弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人C弁護人井出甲子太郎の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りで
ある。
 第一点について。
 按ずるに論旨は原審においては単に公訴事実を読聞けただけで事実の内容を審究
しない違法があると主張するのであるが、原審公判調書に徴するに裁判長は公訴事
実について詳細に審理をとげたものであることは明白である。ただ被告人は第一審
において認めた事実を原審では否認している為め、所論の事実即ち被害者たる判示
A、同B両名に対し、若しも被告人等の要求に応じないときは如何なる害悪を加え
られるかも知れないと右両名に認識させる様な言語や挙動を示した事実は公判調書
に記載されていないだけのことであつて、所論の害悪告知事実について審理をしな
いものでない事は、記録上明らかである。そして被告人は原審においては判示恐喝
事実を否認しているが、原審では適法な証拠調をした原判決挙示の証拠を総合して
判示事実を認定したのであつて、所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。
 第二点について。
 論旨は原判決は本件恐喝罪を認定するに欠くべからざる害悪告知の事実を判示し
ない違法があるというのであるが、原判決は理由第一において、「右A方に行き同
人を附近の自動車待合所に呼出し、Dより同人に対し自分の出征中自分の妻と関係
したことは不都合だから別れて呉れ、別れるなら別れる印をして貰いたい旨申向け
て暗に金銭を要求し要求に応じないときは如何様なことをされるかも分らないと同
人を畏怖させた上、即時同所において現金二百円を、次に同年十月九日頃倉敷市a
道路上で現金三百円を交付させて同人より合計五百円を喝取し」とあり、同第二に
おいても「道の傍の飲食店の娘をE旅館に連れ行き無理に部屋につれて入つた覚へ
があるだろう、おぢさんも孫が大勢あるのにそんなことをして分らんではすまんだ
らうが等申向け、暗に出金をせまり右要求に応じないときは如何様のことをされる
かも分らないと同人を畏怖させた上即時同所において同人より現金千円を交付させ
てこれを喝取し」と、記載されているのである。判文はやや簡に失するきらいはあ
るが、右判文の趣旨はたゞ被害者A、B、両名の主観を示したにすぎないものでは
なく、被告人が右両名に対して為したる害悪告知事実をも説示したものといわなけ
ればならない。即ち右判文中「暗に金銭を要求し右要求に応じないときは如何様な
ことをされるかもわからないと畏怖させて」とあるのは、右要求に応じなければ如
何様なことをされるもわからないと意識させる様な挙動や言葉を示した為め、右A、
B、両名は如何なることをされるかも知れないと畏怖心を起したものであるという
意味を説示したものと推認されるのであるから、原判決は被告人は右両名に対して
如何なる害悪を告知したかの点について説示しないと非難するのは当を得ざるもの
である。更に論旨は恐喝手段として被害者に告知した害悪は、具体的に其内容を判
示しない違法があると主張するが、前段に説明した通り原判決理由は右A、B両名
が被告人の要求に応じないときは如何様なことをされるかも知れないと意識される
様な言語挙動を示し、其為め右両名は如何様のことをされるかも知れないと畏怖心
を起したものである旨を説示したと解されのであつて、如何様なことをされるかも
知れないということは、一見漠然としているが、被害者の生命、身体、自由、名誉、
財産等の各法益の何れかに対し、何等かの害悪が到来することを認識せしめた旨を
説示したものと認め得るから、恐喝罪の説示として欠くるところはなく、論旨は理
由がない。
 第三点について。
 しかし原判決は挙示の証拠により判示Fと判示Dとは単に情交関係があつた者と
認定したものであつて、同人等は内縁の夫婦であるとか、正式の婚姻による夫婦で
あるとかいう事実は認めないものであることは明らかであり、且つ其認定は挙示の
証拠に照らし相当であつて何等法則違反は認められない。従つて原審では、右Fと
D間に夫婦関係があるか否かについて審理をしないという非難は当を得ない。論旨
は右FとDとは単なる情交関係ではないと見ることもできると主張するのであるが、
独自の見解であつて採用に値しない。論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 宮本増蔵関与
  昭和二三年一二月七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    河   村   又   介

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