弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     被告人Aを懲役一年六月に処する。
     同被告人に対する第一審における未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算
入する。
     押収中の竹槍八本(証第五号乃至第九号、第一八号及び第二〇号)手工
用小刀六本(証第一、第二、第一〇、第一二ノ一、二、及び第一七号)並びに庖丁
六本(証第三、第四、第一三、第一六ノ一、二、号)は孰れもこれを没収する。
     同被告人を除くその余の被告人等の各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Bの弁護人安田幹太の上告趣意第一点について、
 刑法一〇六条は、多衆聚合して暴行又は脅迫をしたときは、その行為自体に当然
地方の静謐又は公共の平和を害する危険性を包蔵するものと認めたが故に騒擾の罪
として処罰するものであるから、同罪の成立には、右のごとき暴行脅迫の外更らに
所論のごとく、群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしむる危険又は、社会の治
安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要とするものではない。そして、原判決摘示事
実(第一審判決引用)によれば、判示の三〇名余の者が共謀の上(刑法一〇六条に
いわゆる多衆は、本来互に意思連絡のない不特定多数人であることを必要とするも
のでないことはいうまでもない。)、判示場所において判示殺傷行為(その動機目
的が所論のごとく特定の個人の殺傷にあり、又その殺傷行為が特定の一個人に対す
るものであつても騒擾罪の成立に影響を及ぼすものでないことも多言を要しない。)
 をしたものであるから、本件被告人等の所為が騒擾罪にあたること明らかである。
所論は、それ故に理由がない。
 同第二点について。
 本件が騒擾罪たるを妨げないことは、前点について説明したとおりである。そし
て、騒擾罪の首魁とは主動者となり首唱劃策し、多衆をして其の合同力により暴行
又は脅迫を為すに至らしむる者を謂い、必ずしも暴行脅迫を共にし、若しくは現場
に在つて総括指揮することを必要とするものではない。されば、被告人Bが殺傷行
為の現場において集団の総括指揮者たる行動をしなかつたとしても同人が本件騒擾
の首魁たることを妨ぐるものではない。そして原判決は、同被告人が兄弟分たるC、
D、E等と共に爾余の被告人等に対し親分という優勢な地位を有するものであつて、
その配下たる地位にある爾余の被告人等多衆が集合して判示F、Gその他一味の者
を殺害又は傷害すべきことを判示日時、場所において協議決定し判示二十数名の配
下に対し右の企図を告げ、ことに被告人Bの音頭により全員拍手し又は乾盃して大
いに気勢を挙げる等共謀し、被告人Bが、本件騒擾を左右すべき地位にあつた者の
一人であつた旨を判示しているから、原判決の認定は、同被告人が本件騒擾の首魁
としての判示として欠くるところないものというべく、原判決に所論の違法はない。
 被告人H、同I、同A、同Dの弁護人東海林民蔵の上告趣意第一点について。
 安田弁護人の上告趣意第一点について説明したとおり、刑法一〇六条の騒擾行為
は、それ自体当然地方の静謐又は公共の平和を害する虞のある行為であるから、同
罪にあたる事実を判示するには、多衆が聚合して暴行又は脅迫の行為をしたことを
明らかにすれば足りるものであつて特にその所為が地方の静謐を害し又は公共の平
和を害する虞れのあることを判示する必要はない。そして原判決の摘示事実によれ
ば被告人等多衆が聚合して殺傷行為をしたことを明らかにしているから、原判決に
は所論の違法はない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判決摘示事実(第一審判決引用)並びに法律適用によれば、原判決が所論各被
告人等に対し没収を科した各押収物件は右被告人等と共犯関係にある各被告人等が
判示の騒擾又は殺人未遂、傷害の用に供し又は供せんとした物であつて、被告人等
及び共犯者以外の者に属しないことが自ら明らかであるから、原判決が擬律をする
に当り所論各被告人等の犯罪行為と押収物件との関係を判文上特に説明判示しない
で右被告人等に対し没収の言渡をしても、擬律錯誤又は理由不備の違法ありとなす
を得ない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原判決摘示の被告人Hに対する犯罪事実は、その挙示引用に係る検事の昭和二三
年二月三日附聴取書(ハ、E方に於ける被告人等の出入について及び(ト)騒擾及
び住居侵入、殺人未遂乃至傷害の事実について)並びに(ホ)E方に於ける謀議の
模様につき挙示するところの各証拠等を綜合すれば充分認定できるのであるから、
論旨は理由がない。
 同第四点について。
 原判決挙示の証拠によれば、被告人Iの侵入、殺意、拳銃に実弾が装填され、同
被告人が判示のごとく引金を引いたが不発に終つた原判示犯罪事実の認定を肯認す
ることができる。されば、所論は、結局原審の裁量に属する証拠の取捨判断乃至事
実誤認の主張に帰し刑訴応急措置法一三条にょり適法な上告理由とならない。
 同第五点について。
 第一審判決が被告人Aに対し懲役一年六月を言渡し第一審における未決勾留日数
中一二〇日を右本刑に算入したこと、同被告人のみがこれに対し控訴したこと、し
かるに原判決が同被告人に対し第一審判決と同一の懲役一年六月の刑を言渡しなが
ら第一審における未決勾留日数を本刑に算入していないことはいずれも所論のとお
りである。従つて、原判決は、所論のごとく旧刑訴四〇三条に違背する違法がある
ものというべく、この点において、原判決中同被告人に関する部分は、破棄を免れ
ない。(なお、昭和二六年七月二日附上申書は上告趣意書提出期間経過後のもので
あるから、これについては判断を与えない。)
 同第六点について。
 原判決挙示の証拠によれば原判示事実認定を肯認することができる。されば、所
論は事実誤認の主張に帰し、適法な上告理由と認め難い。
 同第七点、第八点並びに同第一〇点中被告人Eに関する部分について。
 所論は、上告取下に係る被告人Eに関するものであるから、これに対しては判断
を与えない。
 同第九点について。
 原判決が証拠により確定した被告人Dの地位、身分並びに本件犯罪の動機、原因
と、(ホ)E方に於ける謀議の模様につき原判決が挙示するところの証拠を綜合す
れば、同被告人が本件騒擾の首魁たることは充分認められるのであるから(なお、
前記被告人Bの弁護人安田幹太の上告論旨第二点に対する判断をも参照)、原判決
には所論の違法はない。
 同第一〇点中被告人Dに関する部分について。
 所論は、量刑不当の主張であつて、刑訴応急措置法一三条により適法な上告理由
とならない。
 以上の理由により、被告人Aを除く爾余の被告人の各上告は、旧刑訴四四六条に
よりこれを棄却すべく、同被告人に対する原判決の部分は、旧刑訴四四七条に従い
これを破棄し、同四四八条に従い更らに判決すべきものとする。
 よつて、原判決の確定した被告人Aに対する判示事実に法律を適用すると、同被
告人の判示所為中住居侵入の点は刑法一三条六〇条に、殺人未遂の点は同二〇三条、
一九九条、六〇条に、傷害の点は同二〇四条、六〇条に、騒擾(附和随行)の点は
同一〇六条三号に該当するところ、住居侵入と殺人未遂、傷害の間には互に手段、
結果の関係があり、且つ騒擾と住居侵入、殺人未遂、傷害とは一個の行為で数個の
罪名に触れる場合であるから同五四条一項前段後段一〇条を適用し結局最も重いG
に対する殺人未遂の一罪として所定刑中有期懲役刑を選択し、同四三条本文六八条
三号に従つて未遂減軽をした刑期範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、なお同
二一条により第一審における未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算入し、主文第四
項掲記の各押収物件(なお、原判決の没収した拳銃一挺(証第一四号)、実弾六発
(証第一三号)は同被告人に対し第一審判決はこれを没収しなかつたものであるか
ら、当裁判所はこれを除く。) は本件犯行に供せられ被告人及びその共犯者以外
の者に属しないから、同一九条一項二号二項によりこれを没収することゝし、裁判
官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 検察官 岡本梅太郎関与
  昭和二八年五月二一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
 裁判官 沢田竹治郎は退官につき署名捺印することができない。
         裁判長裁判官    真   野       毅

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