弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破毀する。
     被告人を死刑に処する。
     押収になつている匕首一挺(東京高等検察庁昭和二三年押第四〇七号ノ
一)拳銃一挺(同号ノ二八)拳銃実包一八発(同号ノ二九)複生撥条止一個(同号
ノ三〇)拳銃薬莢一個(同号一三一)破損せる銃丸一個(同号ノ三二)拳銃実包一
発(同号ノ三四)及び唐草模様風呂敷一枚(同号ノ三八)はいずれもこれを没収す
る。押収になつている薄紫風呂敷一枚(同号ノ二)はこれを被害者Aに還付する。
     訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 被告人及弁護人渡辺吉男の各上告趣意は末尾添付別紙記載の通りである。
 被告人の上告趣意は原審の事実認定を批難するに過ぎないものでこれは上告適法
の理由とならない。
 弁護人の上告趣意第一点について。
 憲法第三八条第二項及刑訴応急措置法第一〇条第二項の不当に長い抑留又は拘禁
というのは抑留又は拘禁の期間が不当に長い場合をいうのであつて抑留又は拘禁が
不当であることをいうものではない。従つて論旨にいうように勾留が不当であると
いうことだけでは自白を証拠能力なきものにするものではなくなお公判廷における
自白は所論各法条の第三項の「自白」に該当しないことはいずれも当裁判所の判例
とする処であつて今なおこれが変更の要を見ない(右自白の点に付て裁判官真野毅、
同斎藤悠輔の補足意見、裁判官塚崎直義、同沢田竹治郎、同井上登、同栗山茂、同
小谷勝重、の少数意見があり右齋藤裁判官の補足意見、塚崎、沢田、井上、栗山、
小谷各裁判官の少数意見はいずれも右引用昭和二三年(れ)第一六八号事件判決に
真野裁判官の補足意見は昭和二三年(れ)第一五四四号事件昭和二四年四月二〇日
言渡判決に各記載してある通りである。)其故論旨は採用出来ない。
 同第二点について。
 原審が其認定した被告人の各住居侵入の行為を罰する趣旨であることは判文上明
である。しかるにこれに対して其適用条文を示して居ないことは所論の通りであつ
て此点において原判決は理由不備の違法があり論旨は理由がある。しかして右違法
は旧刑事訴訟法第四四八条の二、第四五〇条所定の場合に属しないから同法第四四
七条第四四八条によつて原判決を破毀し、原審の確定した事実に基き当裁判所にお
いて被告事件に付いて更に判決を為すべきものである。原判決の確定した事実を法
律に照すと被告人の原判示所為中第一の(一)(三)(八)第二の(一)強盗傷人
の点は刑法第二四〇条前段(なお第二ノ(一)の所為については第一〇条を適用)
に第一の(二)の強盗致死の点は同法第二四〇条後段に第一の(四)(六)(七)
(九)の強盗の点は同法第二三六条第一項に第一の(五)の強盗中止未遂の点は同
法第二四三条第二三六条第一項第四三条但書に原判示第一の(四)(六)(八)(
九)の住居侵入の点は同法第一三〇条に第二ノ(二)の窃盗の点は同法第二三五条
第六〇条に、第一の(四)乃至(九)第二ノ(一)の拳銃の不用所持の点は銃砲等
所持禁止令第二条第一条に第三の加重逃走未遂の点は刑法第九八条第一〇二条第六
〇条に各該当し強盗傷人、強盗、強盗致死、強盗未遂、強盗の各所為住居侵入の各
所為、拳銃の不法所持の各所為はそれぞれ連続犯であり以上連続犯をなす強盗、強
盗傷人等と住居侵入とは互に手段結果の関係にあり、また右強盗傷人強盗等と拳銃
の不法所持とは一箇の行為が二箇の罪名に触るる場合であるから昭和二二年法律第
一二四号附則第四項同法律による改正前の刑法第五五条刑法第五四条第一項前段後
段第一〇条を各適用しこれを綜合統括して、その最も重い強盗致死罪の刑に従い一
罪として処断することとなるので所定刑中死刑を選択し、これと加重逃走未遂の罪
とは同法第四五条前段の併合罪であるが前者について死刑を選択した結果同法第四
六条第一項本文により他の刑を科せず被告人を死刑に処すべきものである。押収に
なつている匕首一挺(東京高等検察庁昭和二三年押第四〇七号ノ一)拳銃一挺(同
号ノ二八)複生撥条止(同号ノ三〇)薬莢一箇(同号ノ三一)破損せる銃丸一箇(
同号ノ三二)実包一発(同号ノ三四)及唐草模様風呂敷一枚(同号ノ三八)はいず
れも被告人が判示強盗、強盗致死、強盗傷人等の犯行に供したものであり実包一八
発(同号ノ二九)は被告人が本件犯行に供せんとした物でありいずれも被告人以外
の者に属しないから刑法第一九条第一項第二号第二項同法第四六条本文但書により
これを没収すべくまた押収の薄紫風呂敷一枚(同号ノ二)は被告人が判示第二ノ(
一)の強盗により得た物で被害者Aに還付すべき理由明白であるから刑事訴訟法第
三七三条第一項によつてその旨の言渡をすべきものであり訴訟費用は同法第二三七
条第一項に従い全部被告人をして負担せしむものである。
 以上の理由により主文のとおり判決する。
 以上は前記少数意見の外裁判官全員一致の意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二四年一〇月五日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛