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平成12年(行ケ)第22号 審決取消請求事件
平成13年1月25日口頭弁論終結
            判       決
        原      告      スリーディ、システムズ、イン
コーポレーテッド
       代表者      A
       訴訟代理人弁理士      柳田征史
        同              佐久間   剛
        同              福尾勲将
        被      告      竹本油脂株式会社
       代表者代表取締役      B
        訴訟代理人弁理士      辻 邦夫
    同     辻 良子
            主      文
      1 原告の請求を棄却する。
      2 訴訟費用は原告の負担とする。
      3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を
30日と定める。
            事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
 特許庁が平成9年審判第15148号事件について平成11年12月13日
にした審決を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
  主文1、2項と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
 原告は、発明の名称を「三次元の物体を作成する方法と装置」とする特許第
1979820号の特許(昭和60年8月8日に出願した特願昭60-17334
7号(以下「原出願」という。)の分割出願として平成元年5月1日に出願され、
平成7年10月17日に特許権設定登録されたものである。以下、「本件特許」と
いい、その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。
 被告は、本件特許を無効にすることについて審判を請求し、特許庁は、この
請求を平成9年審判第15148号事件として審理した結果、平成11年12月1
3日、「特許第1979820号発明の明細書の特許請求の範囲第1項、第2項、
第7項、第8項に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決をし、
その謄本を同月27日、原告に送達した。
2 特許請求の範囲
(1) 第1項(以下、この発明を「第1項発明」という。)
 硬化し得る流体媒質から三次元物体を自動的に作成する方法において、作
成する三次元物体の断面を表すデータを創成し、前記データに応答して発生される
硬化用照射のビームに指定された作業面上の前記流体媒質を曝して輪郭を有する第
1断面層を形成し、この硬化用照射のビームが立体造形を迅速化するために直径1
mm以下のスポツトサイズと、少くとも1ワット/c㎡の強度を有し、1mm以下
の薄さをもつ次の流体層を前記第1断面層に自動的に積層し、前記次の流体層を硬
化用照射に曝して第2断面層に形成し、前記流体媒体が1mm以下の薄さをもつ形
成中に他の層によって部分的に支持されていない構成層の接着層の形成をするのに
たる十分な硬化用照射の吸収性を有し、前記次の流体層を形成させる硬化用照射に
前記次の流体層を曝している間に前記第2断面層を前記第1断面層に接着させて、
複数の順次接着された断面層から三次元物体を形成する方法。
(2) 第2項(以下、この発明を「第2項発明」という。)
 硬化し得る流体煤質から三次元物体を自動的に作成する装置において、作
成する三次元物体の断面を表すデータを発生する演算装置と、前記流体媒質を収容
する容器と、前記流体媒質が、1mm以下の薄さをもつ形成中に他の層によって部
分的に支持されていない構成層の接着層を形成するのにたる十分な硬化用照射の吸
収性を有し、前記流体媒質が指定された作業面を画成し、前記流体媒質を前記デー
タに応答して発生された硬化用照射のビームに曝して、前記作業面上に第1断面層
を形成する硬化用照射源と、この硬化用照射のビームが立体造形を迅速化するため
に直径が1mm以下のスポットサイズと、少くとも1ワット/c㎡の強度を有し、
前記第1断面層に接着される第2断面層の形成備えて、1mm以下の薄さをもつ次
の流体層を前記第1断面層に自動的に積層する装置とを備え、これにより複数の順
次接着された断面層から三次元物体を形成する装置。
(3) 第7項(以下、この発明を「第7項発明」という。)
 コンピュータにより設計され創成された三次元物体を直接作成する装置に
おいて、画像出力を発生する演算装置と、前記画像出力が前記三次元コンピュータ
設計物体の少くとも1つの薄い断面を画成し、流体媒質を収容する容器と、前記流
体媒質が1mm以下の薄さをもつ形成中に他の層によって部分的に支持されていな
い構成層の接着層を形成するのにたる十分な硬化用照射の吸収性を有し、前記流体
媒質が指定された作業面を画成し、硬化用照射源と、前記流体媒質を前記画像出力
に応答して発生される硬化用照射のビームに曝して、前記作業面上に第1断面層を
形成するコンピュータ制御装置と、前記硬化用照射のビームが立体造形を迅速化す
るために直径1mm以下の以下のスポットサイズと、少くとも1ワット/c㎡の強
度を有し、前記第1断面層に接着される第2断面層の形成に備えて、1mm以下の
薄さをもつ次の流体層で前記第1断面層を自動的に積層するコンピュータ制御装置
と、前記次の流体層を硬化用照射中に、直前の層に接着される次の流体層を自動的
に形成させて三次元物体の自動形成を可能にするコンピュータ制御装置とを備えた
三次元物体を形成する装置。
(4) 第8項(以下、この発明を「第8項発明」という。)
 硬化し得る流体煤質から三次元物体を自動的に作成する装置において、作
成する三次元物体の断面を表すデータを発生する演算装置と、前記流体媒質を収容
する容器と、前記流体媒質が、0.8mm以下の薄さで、形成中に他のどの層によ
って部分的にでも支持されることなしに接着性を有する構成層を形成するのにたる
十分な硬化用照射の吸収性を有し、前記流体媒質が指定された作業面を画成し、前
記作業面上に所定の流体媒質の液位を制御する液位制御装置と、前記流体媒質を前
記画像出力に応答して発生される硬化用照射のビームに曝して、前記作業面上に第
1断面層を形成する硬化用照射源と、前記硬化用照射のビームが立体造形を迅速化
するために直径1mm以下のスポットサイズと、少くとも1ワット/c㎡の強度を
有し、前記第1断面層に接着される第2断面層の形成に備えて、前記第1断面層に
1mm以下の薄さをもつ流体を次の流体層へと厚みを減少するよう自動的に積層す
る装置とを備え、複数の順次接着された断面層が三次元物体を形成する装置。
3 審決の理由の要点
  別紙審決書の理由の写しのとおり、①第8項発明は、原出願の出願当初の明
細書及び図面(以下、これらをまとめて「原明細書」という。)に記載された事項
の範囲外の点をその要旨としており、本件発明の特許出願は適法な分割出願とは認
められないため、出願日は分割出願の日である平成元年5月1日となり、第1、第
2、第7項発明は、特開昭62-35966号公報(原出願に係る公開公報、以下
「引用例1」という。)に記載された発明である、②第1、第2、第7項発明
は、「JournalofAppliedPhotographicEngineering,Volume8,Number4,
August1982,185~188頁」(以下「引用例2」という。)記載の発明に基づいて当
業者が容易に発明することができたものである、③第8項発明に係る「流体媒質
が、0.8mm以下の薄さで、形成中に他のどの層によって部分的にでも支持され
ることなしに接着性を有する構成層を形成するのにたる十分な硬化用照射の吸収性
を有し」は、発明の詳細な説明に記載された発明であるとは認められない、と認定
判断した。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
  審決の理由2頁2行~7頁3行(出願経過、特許請求の範囲、及び請求人の
主張に関する認定)は認める。同7頁4行~8頁4行(第8項発明に関する認定)
は争わない。同8頁5行~16行(出願日の認定)は争う。同8頁17行~10頁
12行(引用例1の開示内容と第1、第2、第7項発明との比較に関する認定)は
認める。同10頁13行~11頁1行(第1、第2、第7項発明に係る特許の有効
性に関する認定)は争う。11頁2行~14頁16行(引用例2及び特開昭57-
125906号公報(審決の甲第9号証、本訴の甲第3号証、以下「甲第3号証刊
行物」という。)の記載の認定)は認める。同14頁17行~15頁9行(引用例
2記載の発明と第1、第2、第7項発明との一致点及び相違点の認定)は認める。
同15頁10行~17頁9行(相違点の判断及びこれに基づく第1、第2、第7項
発明に係る特許の有効性に関する認定)は争う。同17頁10行~18頁4行(第
8項発明に関する記載要件不備の認定判断)は争わない。同18頁5行~11行
(訂正請求の認容に関する認定及び結論)は争う。
  審決は、①本件発明の出願日に関する認定を誤り、②引用例2記載の発明と
第1、第2、第7項発明との相違点についての判断を誤ったものであって、これら
の誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、違法として取り消さ
れるべきである。
1 本件発明の出願日に関する認定について
  原告は、本件特許に係る別の無効審判事件(平成8年審判第4789号、同
年審判第10682号)において、特許請求の範囲第8項を削除する訂正請求(以
下「別件訂正請求」という。)をしている。別件訂正請求は、同事件の審決(以下
「別件審決」という。)において認められなかったものの、別件審決については、
取消訴訟(当庁平成11年(行ケ)第139号事件)が係属中であり、確定してい
ない。別件訂正請求が認容されるべきであると認められれば、特許請求の範囲第8
項が削除されるから、同項が削除されていないことを前提として出願日を認定した
審決は、意味がないことになる。別件訂正請求が認容されるべきものか否かの判断
をしないまま、出願日を平成元年5月1日と認定した審決には、審理未了の違法が
ある。
2第1、第2、第7項発明と引用例2記載の発明との相違点についての判断に
ついて
(1) 相違点(イ)について
 審決は、ビーム強度を「少なくとも1ワット/c㎡」とすることを、容易
になし得るものと認定判断したが、誤りである。
 甲第3号証刊行物は、感光性液体12を入れたガラス容器10の下から紫
外ビーム24を照射し、基板13を連続的に上昇させるもので、三次元物体(光導
波路)は、連続的に形成されるものである。
 本件発明は、既に硬化された薄層に次の薄層を硬化させつつ接着して三次
元物体を作成するものにおいて、特に層の薄さが薄い場合の流体媒質の光吸収性を
問題にしているものであって、甲第3号証刊行物とは技術的背景が全く異なる。
 したがって、甲第3号証刊行物における諸条件は、本件発明における諸条
件とは必ずしも同じものではあり得ず、これを本件発明に係る技術分野に適用し得
るということはできない。
(2) 相違点(ロ)について
 審決は、引用例2記載の発明について、「より精度の高い物体をも作成す
べく『1mm以下の薄さ』の層を形成し得る流体媒質を用いることは当業者が容易
に想到し得ること」(16頁5行~8行)であると判断したが、誤りである。
ア本件発明に係る特許は、別件訂正請求により請求されている訂正後の特
許請求の範囲に記載された発明(以下「訂正発明」という。)が、独立して特許を
受けることができるものであれば、有効なものと認定されるから、本件発明に係る
特許の有効性は、訂正発明を引用例2記載の発明と比較して議論しなければならな
い。
イ 引用例2には、層厚を1mmより小さくすればするほどますます困難に
なること(「実験的解像度研究」)、並びに1mm厚の層だけが良好に形成された
こと及び現在のレベルでは、この技術は、工作機械による加工品に要求されるよう
な精度レベルにはまだ達していないこと(「コンピュータ駆動式物体製造機」と
「結論」の項)が記載されている。これらの記載は、引用例2の著者が、層厚は1
mmが限度であって、それより薄い層を形成するのは困難であると思っていたこ
と、そして、材料の吸収性がそれを解決するための重要な要素であることに気付い
ていなかったことを示している。したがって、当業者がこの引用例2に接して、本
件発明に容易に想到することができたとは、到底考えられない。
ウ 三次元物体の形成中に他の層によって部分的に支持されていない層を1
mm未満まで薄くするためには、どうしても、液体媒質(硬化性液体)がそれを実
現するだけの硬化用照射の吸収性を有していることが必要である。
 ところが、訂正発明の対象である光造形法において草分け的な研究者と
して著名なC氏の研究論文「ReviewofScientificInstruments
Vol.52.No.11.P.1770-1773“Automaticmethodforfabricatinga
three-dimensionalplasticmodelwithphoto-hardeningpolymer”November
1981」(以下「甲第4号証刊行物」という。)には、「硬化する層の厚みは紫外線
強度と照射時間で決まる。従って照射領域と照射強度と照射時間を制御することに
よって、所望の形状と所望の厚みを持つ硬化層が成長する。」(1770頁左欄下
から7~3行)として、異なるビーム強度について硬化層の厚みと照射時間との関
係がグラフで示され(1771頁の図2)、同図には、1mm以下の硬化層の厚み
がゼロ点まで、データとしてのプロット(実験で得られた測定点)はないのに、1
mm以上の測定点に基づく予測によって描かれている。すなわち、いくらでも薄い
所望の厚みの硬化層が得られることが示されているのである。
 このように、当業者は、1mmより薄い層を得るには照射強度と照射時
間を制御すればよいと思っていたのであって、本件発明のように、吸収性の条件な
どを考慮しなければならないことには容易に気がつかなかったのである。
エ 甲第5号証のグラフで示すとおり、甲第4号証刊行物記載の発明で用い
られた材料“Tevista”で実現できた最小の厚みは、1.00mmよりわずかに大き
く、訂正発明で用いられた材料“PottingCompound363”で実現できた最小の厚み
は、0.80mm程度である。原出願前には、1mmより小さい層を形成できるよ
うな吸収性を有している液体媒質を示す知見はなかった。
 被告は、甲第4号証刊行物の記述から、同号証刊行物記載の発明で使用
された樹脂(帝人株式会社製の「Tevista」)は0.1mmの硬化層を形成すること
ができたのであって、原出願前、1mmより小さい層を形成できるような吸収性を
有している液体媒質がなかったということはない、と主張する。しかし、同号証刊
行物において一層の厚みが0.1mmまで薄くされたと記述されているのは、円柱
もしくは円錐を作製する場合についてであって、本件発明におけるもののような、
物体の形成中に他の層によって部分的に支持されていない層を作成する場合のこと
ではない。
第4 被告の反論の要点
1 本件発明の出願日に関する認定について
  別件訂正請求による訂正を認めるとする審決は、確定していない。そうであ
る以上、本件においては、上記訂正がなされていないものとして判断しなければな
らない。
  また、訂正審判事件と無効審判事件とが、同時に係属する場合、訂正審判事
件の審決が確定する前に行った無効審判事件の審決が違法となるわけでもない。こ
のことからも、別件訂正請求による訂正を認めないとした別件審決について原告が
争っているからといって、本件の審決を取り消すべき理由にはなり得ないことは明
らかである。
2 第1、第2、第7項発明と引用例2記載の発明との相違点についての判断に
ついて
(1) 相違点(イ)について
 甲第3号証刊行物記載の技術において、何ら特別の条件を採用することな
くその光硬化ポリマーの硬化が行われていることからも分かるように、層の形成を
連続的に行うからといって、その光硬化を硬化させるために特段特殊の条件を必要
とするものではなく、また、本件発明がそのために何らかの特殊の条件を採用して
いるものでもない。層の形成を連続的に行うか、一層ごとに硬化させて積層してい
くか、という違いがあるからといって、この違いの存在のゆえに光硬化ポリマーの
硬化条件が異なったものになることはないのである。
(2) 相違点(ロ)について
ア原出願時において、当業者が、支持する層が存在しなければ光硬化性樹
脂の硬化層の厚さは必然的に1mm以上となってしまうと認識していたなどという
事実はない。支持層がなければ硬化層の厚さは1mmあるいはそれを超えたものと
なってしまうというようなことは、技術常識上も到底考えられないことである。
イ 引用例2には、硬化させる流体層を1mmとして、「形成中に他の層に
よって部分的に支持されていない構成層の接着層の形成」を行う造形物を作成した
との記載がある。そして、周知のとおり、光硬化性樹脂は、一般に硬化時に収縮す
ることが避けられないから、引用例に接する当業者は、そこに記載された技術にお
いては流体層の厚さである1mmよりも薄い硬化層が形成されている、と解するこ
とが自然であり、その厚さが必然的に1mmあるいはこれを超えてしまうなどと解
することはない。
ウ 甲第4号証刊行物には、帝人株式会社製の“Tevista”を用い、一層の厚
みが0.1mmまで薄くされた造形実験が行われたこと、及び厚み精度が0.2m
mで硬化層を形成することは困難でなかったことが記載されている。
 また、同号証刊行物の著者であるC氏は、1993年9月13日付け陳
述書において、一層の厚みを0.1mmとしたときにも「部分的に支持されない部
分」を造形できたこと、一層の厚みを1mm以上にしないと「部分的に支持されな
い部分」を造形できなかったという事実は存在しないこと、このような興味深い現
象が存在すれば、当然に同号証刊行物で発表したはずであること、を明確に陳述し
ている。
エ 甲第5号証のグラフは、実験事実を示す文書としては極めて雑ぱくなも
のであって、この実験で用いられた“Tevista”が照射条件のいかんを問わず厚さが
1mmより小さい硬化層を形成できないことを、証明するものではない。
 また、帝人株式会社は、昭和57年に“Tevista”事業から撤退
し、“TEVISTA”、“テビスタ”の商標権は、同年に東京応化工業株式会社に譲渡さ
れている。原告が平成元年ころに購入したと主張する甲第5号証のグラフに記載さ
れている“Tevista”が、甲第4号証刊行物と同じ“Tevista”を用いた実験結果で
あるという点は、信憑性がない。 
第5 当裁判所の判断
1 本件発明の出願日に関する認定について
  原告は、別件訂正請求を認めなかった別件審決が確定していないから、別件
訂正請求が認容されるべきものか否かの判断をしないまま、出願日を平成元年5月
1日と認定した審決には、審理未了の違法があると主張する。
  しかし、別件訂正請求は、本件の審判手続においてされているものではな
い。そして、別件訂正請求がなされているとしても、その訂正が認められることが
確定していない以上、本件の審判手続においては、願書に添付した明細書及び図面
は、訂正がなされていない状態のものを対象として判断すべきであることが明らか
である。この理は、別件訂正請求の訂正を認めなかった審決に対して、取消訴訟が
提起されているとしても、何ら変わるものではなく、本件の審理においてその審決
の確定を待たなければならないものでもない(なお、右取消訴訟である当庁平成1
1年(行ケ)第139号事件については、平成12年12月14日に原告の請求を
棄却するとの判決がなされたことは、当裁判所に顕著である。)。
  そうである以上、原告の主張は、理由がないというほかはなく、出願日を平
成元年5月1日とした審決の認定には、原告主張の誤りはない。そして、第1、第
2、第7項発明が引用例1に記載された発明であることは、原告も争わないところ
であるから、これらが特許法29条1項3号に該当することは明らかである。
2 以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は、その余について判断
するまでもなく、理由がないことが明らかであり、その他、審決にはこれを取り消
すべき瑕疵は見当たらない。
第6 よって、本訴請求は、理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担及
び上告及び上告受理の申立てのための付加期間の付与について行政事件訴訟法7
条、民事訴訟法61条、96条2項を適用して、主文のとおり判決する。
       東京高等裁判所第6民事部
             裁判長裁判官   山  下  和  明
 
                裁判官    山  田  知  司
 
      裁判官   阿  部  正  幸

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