弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士椎津盛一の上告理由第一点、同森田重次郎の上告理由第四点に
ついて。
 しかし、昭和八年頃本件山林の共有者の一員であつたD(当時E)およびFは、
共有者の窮乏を救うため本件山林の土地および立木の一括処分を共有者に諮り判示
のごとく立木のほか土地も共に処分することになつたこと、両人は共有者から土地
立木の売却につき一切の権限を委ねられFの親戚にあたるGとの間に売買契約が成
立したこと、売買締結にあたり先ずFにおいて土地立木一体として本件山林を売り
渡すつもりでGに話を進めGもそのつもりで同山林を見分の上契約締結の細部につ
いては同人の秘書H某に一任したので判示のごとく売買契約を締結したこと、及び
その締結後Gは、Fを本件山林の監視人としてその立木につきGの所有である旨の
標札を立てしめ、その後本件山林の土地をI製紙株式会社に売り渡す際も土地立木
を一体として処分した旨の原判決の事実認定は、挙示の証拠関係に照し肯認できな
いことはなく、その間経験則に反した点は認められない。また、右事実認定の下に、
本件売買契約については明示的にも黙示的にも立木を除外する意思のあつたことは
認められず、結局共有者らとG間の売買においては本件山林の土地と共に同地上に
生立する立木全部がその目的となつたといわなければならない旨の原判示判断もこ
れを正当として是認することができる。されば、所論は、結局原審の適法になした
証拠の取捨、判断ないしは、事実認定を非難し、これらを前提として所論の違法あ
るがごとく主張するに帰し、採ることができない。
 椎津代理人の上告理由第二点、森田代理人の上告理由第一点ないし第三点につい
て。
 しかし、本件土地およびその地上に生立する本件立木がもとE外六四名の共有で
あつたことは、当事者間に争のないところである。また、明認方法は、立木に関す
る法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものであ
るから、それは、登記に代るものとして第三者が容易に所有権を認識することがで
きる手段で、しかも、第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもつ
て存在するものでなければならず、従つて、たとい権利の変動の際一旦明認方法が
行われたとしても問題の生じた当時消失その他の事由で右にいう公示として働きを
なさなくなつているとすれば明認方法ありとして当該第三者に対抗できないものと
いわなければならない旨の原判決の見解は、当裁判所もこれを正当として是認する
(なお、大正六年一一月一〇日大審院判決、判決録二三輯一九五五頁以下、昭和六
年七月二二日大審院判決、判例集一〇巻五九三頁以下、昭和三五年三月一日当裁判
所第三小法廷判決、判例集一四巻三号三〇七頁以下各参照。)そして、J木材株式
会社が本件山林の買受当初判示のごとき明認方法を施したが大正十四年頃かかる標
示は既に見受けられなかつたこと、同社は昭和十年前後まで本件立木に対する明認
方法につき無関心であり、結局Gが本件山林の立木を買い受ける昭和八年七月当時
右立木にっきJ木材株式会社のためその権利取得を公示するに足りる明認方法は存
在していなかつたこと、竝びに、Gは本件山林買受後間もなく同山林の要所に同人
の所有であることを標示する標杭を立てた外山林中の四、五箇所において立木を削
つて同様の標示をし、これらの標示は右山林をI製紙株式会社が本件土地立木を買
い受ける当時も現存していた旨の原判決の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照
し、すべて、これを肯認することができる。従つて、Gが、前示共有者から取得し
た本件山林の立木の所有権は、J木材株式会社が先に取得した同立木の所有権に優
先するとし、GからI製紙株式会社を経て取得した被控訴人B製紙株式会社の所有
権を是認した原判決は正当であつて、所論の違法は認められない。また所論引用の
判例は本件に適切でない。それ故、所論は、すべて、採ることができない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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