弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 本件は論旨摘録のごとき公訴事実について食糧緊急措置令第一〇条に該当するも
のとして起訴せられ、第一審裁判所も右同一事実を認定し同法条を適用して被告人
を懲役一年に処する旨の判決をしたことは所論のとおりである。しかしながら裁判
所はその基本たる事実関係の同一性を害せさる限りは、公訴事実として摘示せられ
た事実と、その態様において異り、従つて適用法条を異にする事実を認定すること
かできるのであつて、また、控訴審は第一審の覆審ではないのであるから、公訴事
実の同一性を害せざる限りは、第一審判決の認定した事実と差違のある事実を認定
しても、すこしも差し支えないのである。もとより裁判所は検察官の付けた罪名に
拘束せられることはない。本件において、起訴状記載の事実、並びに、第一審判決
認定の事実は、被告人か松田町役場に不実の申告をなし、米穀購入通帳の交付を受
け、A営団B支所から主食等の不正配給を受けたという事実であるけれども、原判
決はその挙示の証拠によつて、判示のごとく、被告人はA営団B支所の係員を欺罔
して主食等の二重配給を受け、よつてこれを騙取したという事実を認定したのであ
つて、その間、毫も公訴事実の同一性を害するものでないのみならず、右の場合の
ごとく、食糧緊急措置令第一〇条不正受配の罪にあたる事実が、同時に刑法に正条
ある罪にあたる場合においては、刑法によつて処断すべきものであることは、同条
末段の明定するところである。従つて原判決は所論のように、刑事訴訟法第四一〇
条第一八号にいわゆる「審判ノ請求ヲ受ケタル事件ニ付キ判決ヲ為サズ又ハ審判ノ
請求ヲ受ケサル事件ニ付判決ヲ為シタルトキ」に該当するものでないことは明瞭で
ある。
 二、刑事訴訟法における、いわゆる不利益変更の禁止とは同法第四〇三条所定の
ごとく、上訴審において、下級審が言渡した刑よりも重い刑を言渡すことを禁ずる
のであつて、この制限に反せさる限り、事実の認定において、一審の認定するとこ
ろよりも、重い罪にあたる事実を認定しても、これを以て、同条に違反するものと
いうことはできないのである。本件において、原審は、一審認定の食糧緊急措置令
第一〇条該当の罪よりも重い刑法詐欺罪にあたる事実を認定したけれども、その処
断刑においては一審の懲役一年よりも軽い懲役十月の刑を言渡したのであるから、
所論のごとく、刑事訴訟法における不利益変更禁止の規定に違反するところはない
のである論旨はいづれも理由がない。
 よつて、刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 右は全裁判官一致の意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二三年一二月四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎

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