弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人敗訴の部分を破棄する。
     前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人柳川俊一、同緒賀恒雄、同松永榮治、同水野秋一、同東條敬、同布村
重成、同村松日出男、同西川伸一、同吉田司の上告理由第一点について
 論旨は、要するに、府中刑務所長が第一審判決添付の別紙目録記載の図書(以下
「本件図書」という。)の差入を不許可にした処置を違法とする原判決には、監獄
法(以下「法」という。)五三条一項及び同法施行規則(以下「規則」という。)
一四六条二項の解釈適用を誤つた違法がある、というのである。
 法五三条一項は、「在監者ニ差入ヲ為サンコトヲ請フ者アルトキハ命令ノ定ムル
所ニ依リ之ヲ許スコトヲ得」と規定し、これを受けて規則は、受刑者に対する差入
許否の基準等について規定している。すなわち、規則一四二条は、受刑者には拘禁
の目的に反し又は監獄の紀律を害すべき物の差入をすることができない旨を規定し、
一四三条は受刑者に対し差入をすることができる物の種類、範囲を定め、一四六条
二項は、差入人と受刑者との続柄等同条一項に定める事項についての調査の結果、
その差入が受刑者の処遇上害があると認めるときはこれを許さない旨を規定してい
る。このような法及び規則の規定からみれば、受刑者については、法は、規則にお
いて差入を不許可とすべき場合として明文で定める場合を除き、それ以外の場合の
差入の許否を刑務所長の裁量にゆだねているものと解するのが相当である。けだし、
差入は受刑者と外部との交通の一態様であるが、懲役刑は、受刑者を一定の場所に
拘禁して社会から隔離し、その自由をはく奪するとともに、その改善、更生を図る
ことを目的とするものであつて、受刑者と外部との交通は一般的に禁止されている
ものであるところ、およそ物品は、その本来の用途以外にも通常の予測を超えた目
的・用途に利用される可能性を持つものであり、また、特定の者からの差入という
事実自体によつて受刑者に一定の影響を与えることがあり得る性質のものであるこ
と及び多数の受刑者を収容し、これを集団として管理する施設である刑務所におい
て紀律保持の必要があることにかんがみ、法は、規則において差入を不許可とすべ
き場合として明文で定める場合を除き、それ以外の場合は、刑務所長が、目的物の
性質、形状、内容、差入人と受刑者との人的関係等諸般の事情を考慮して、その裁
量により差入の許否を決することを予定しているものと解されるからである。そう
であるとすると、差入人と受刑者との人的関係が明らかでないため、その差入が受
刑者の処遇上害があるか否か不明である場合は、刑務所長は、その裁量により、右
差入の許否を決することができるものというべきである。規則一四六条二項の規定
は、差入人と受刑者との人的関係からみて差入が受刑者の処遇上害があると認めら
れる場合に、これを許可すべきでないことを定めたものであつて、差入人と受刑者
との人的関係が明らかでないため差入が受刑者の処遇上害があるか否か不明である
場合にこれを許可すべきことまで定めた趣旨のものと解することはできない。
 これと異なる見解に立つて、府中刑務所長が本件図書の差入を不許可とした処置
を違法であるとした原判決は、法五三条一項及び規則一四六条二項の解釈適用を誤
り、ひいては審理不尽の違法があるものといわざるを得ず、右違法が判決の結論に
影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決中上告人敗訴部
分は、その余の点につき判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、本件図書
の差入を不許可としたことが府中刑務所長の裁量権の範囲の逸脱として違法である
かどうかについて更に審理を尽くさせる必要があるから、右部分につき本件を原審
に差し戻すのが相当である。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    大   橋       進
            裁判官    牧       圭   次
            裁判官    島   谷   六   郎
            裁判官    藤   島       昭

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