弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人牛島定の上告趣意は、末尾に添えた書面記載のごとくであつて、これに対
する当裁判所の判断は、次の通りである。
 記録を調べてみると、原審は、昭和二四年四月七日の第一回公判期日を弁護人牛
島定からの千葉地方裁判所における民事事件弁論のための差支による公判期日変更
願により延期し、第二回公判期日を同年五月二六日に指定した、ところが同弁護人
は右期日においても千葉地方裁判所における他の刑事事件弁護のための差支により
公判期日の変更を申請し、原審は更に右期日を変更して第三回公判期日を同年六月
一六日に指定した、しかるに、右第三回公判期日についても同弁護人は千葉地方裁
判所における他の刑事事件弁護のための差支により右期日の変更を申請した、そこ
で原審は、弁護人の公判期日変更申請を却下して、同弁護人不出頭のまゝ本件控訴
事件の審理を進め、即日結審して同年六月三〇日に裁判を宣告する旨を告げ同日原
判決を宣告した、そして被告人本人は右いずれの期日にも適法な召喚を受けながら
無届で出頭しなかつたのである。
 本件は、旧刑事訴訟法の適用される事件であり、旧刑訴法第四〇四条によれば、
被告人が公判期日に出頭しないときは更に期日を定めその期日にも被告人が正当の
事由なくして出頭しないときはその陳述を聴かないで判決をすることができるので
ある。本件において、被告人は原審のいずれの期日にも無届で出頭しないのである
から、右規定の適用される場合であることは言うまでもない。さて、論旨は、弁護
人が公判期日に出頭できない正当の理由を証明して期日の変更申請をしたのに、原
審がこれを却下して弁護人不出頭のまゝ審理判決したのは、旧刑訴法第四一〇条第
一一号にいう「不法ニ弁護権ノ行使ヲ制限シタル」ものであると主張し、憲法第三
七条第三項、刑訴応急措置法第四条等を引用して、不法に弁護権の行使を制限する
ことは憲法の示す基本的人権の保障に背くというのである。
 憲法が刑事被告人に弁護人を依頼する権利を認め、弁護権を尊重していることは
所論の通りである。しかし憲法はまた、刑事事件につき裁判が迅速になされること
をも要求しているのである。それゆえ、裁判所は刑事事件の公判期日を弁護人の度
重なる変更申請によつて際限なく延期しなければならないものではないのである。
たとい、公判期日の変更申請が弁護人の他の裁判所における訴訟事件立会のための
差支によるものであつても、それが度重なるにおいてはかゝる事由は期日の変更を
求める正当な理由とはならない。むしろ、弁護人においては他の裁判所における訴
訟事件につき期日の変更を求める等適宜の方法をとるべきであり、もしそれが困難
な場合には被告人において他の弁護人を依頼する等の措置に出で、同一刑事事件の
度重なる公判期日の変更申請を回避すべきものである。そして、弁護人において正
当な理由がなく公判期日に出頭しないときに、その弁護人の立会なく事件の審判を
行つても、それは不法に弁護権の行使を制限するものでないことについては、すで
に当裁判所の判例に示すところである(昭和二四年(れ)第一〇六六号同年一二月
二二日言渡第一小法廷判決)。されば、原審が本件につき冒頭に述べたような事実
関係の下に弁護人の公判期日変更申請を却下して、弁護人の立会なくして事件の審
判を進めたことは正当であつて、所論のように不法に弁護権の行使を制限したもの
ではない。なお、論旨における憲法違反の主張は、不法に弁護権の行使を制限した
ことを前提とするものであるから、すでにこの点が否定された以上、問題とする余
地がないのである。
 よつて、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴法第四四六条に従い、主文の通
り判決する。
 以上は当小法廷裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 茂見義勝関与
  昭和二五年三月一四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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