弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。
     被控訴人の請求を棄却する。
     訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴人は、主文同旨の判決を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。
 事実及び証拠の関係は、被控訴人において「原審共同被告Aは、被控訴人に対
し、本件家屋を明け渡すべしとの原審判決は、確定しているが、被控訴人におい
て、いまだその強制執行はしていない。」と述べ、乙第七号証は不知と答え、控訴
人において「控訴人は、右Aから、本件家屋を同人の所有と信じ、賃借し引渡を受
けて居住し、同人に対し家賃を支払つてきたし、登記簿にも右家屋は、同人の所有
として登記されているので、かりに、同家屋が被控訴人の所有であるとしても、控
訴人は、同家屋に対する被控訴人の所有権取得登記の欠缺を主張するにつき、正当
の利益を有する第三者である。」と述べ、乙第七号証を提出した外は、原判決の
「事実」に示すとおりである。
         理    由
 控訴人が、昭和二五年四月頃、原審共同被告であつたAから、本件家屋を賃借し
(それが賃貸借であるか、転貸借であるかは、しばらくおいて)引渡を受けて居住
し、現に占有していることは、当事者間に争がない。成立に争のない乙第二号証登
記簿謄本によると、本件家屋はAの所有で、同人において昭和二四年一一月一一日
所有権保存登記をなしたこと及び被控訴人が同家屋につき、所有権取得の登記を経
たことのないことが認められる。しかるに、被控訴人は、昭和二四年三月一二日こ
の家屋を、Aから買い受けると同時に、同人に賃貸し、同人は昭和二五年四月被控
訴人の承諾を得て、これを控訴人に転貸したと主張するので考えるに、原審証人B
の証言により成立を認めうる甲第一号証及び同証言並びに原審証人Aの証言による
と、あたかも、被控訴人の右主張を肯定しうるかのようであるけれども、これらの
証拠は事実に反するもので採用し難い。すなわち、検討するに、(一)はたして被
控訴人が、昭和二四年三月一二日Aから、本件家屋を買い受けたとすれば、その後
は格別の事情のないかぎり、同人において本件家屋について、所有者たるの行為に
出ないはずであるのにかかわらず、(1)同人は、昭和二四年九月五日依然自己の
所有として本件家屋を抵当に供し、訴外野見山徹から一二万円を借り受け、その抵
当権設定登記をなす前提として、前示のように、本件家屋の所有権保存登記をなす
とともに、即日右訴外人を抵当権者とする抵当権設定登記をなしていること(前記
乙第二号証及びAの証言の一部による。)(2)Aは、昭和二九年七月一二日自己
を所有者として訴外Cとの間に、本件家屋の売買予約をなし、翌々日の同月一四日
右訴外人のため、所有権移転請求権保全の仮登記をしていること(乙第二号証によ
る)(3)Aは、昭和二六年三月一五日書留内容証明郵便をもつて、控訴人に対
し、自己所有の本件家屋を控訴人に貸したが、他に売却処分する必要があるので、
明渡を求める旨催告していること(当事者弁論の全趣旨と成立に争のない甲第二号
証による。)(4)Aは、昭和二五年三月二三日控訴人と通謀の上、同人に対し、
自己所有の本件家屋を二〇万円で売り渡した旨虚偽の家屋売買契約をなし、その契
約書を作成し控訴人に交付しているのであるが、それは、Aにおいて、当時本件家
屋階上の賃借居住者を立ち退かせるために、控訴人に依頼してなした術策であるこ
と(Aの証言の一部・原審控訴本人の第一回の尋問の結果・同結果によつて成立を
認めうる乙第六号証・同号証を控訴人において所持する事実による。)の各事実
(二)Aは被控訴人に対し本件家屋を明け渡すべし、との第一審判決は、すでに昭
和三〇年一二日中に確定しているのに、住居を転輾と変えて、その安定性ありとは
いえない被控訴人は、いまだに、Aに対し、明渡の強制執行をしていないこと(被
控訴人の自認と、当裁判所に顕著な事実とによる)と(三)成立に争のない乙第一
号証・原審証人Dの証言・原審控訴本人の第一回尋問の結果(四)冒頭認定の事実
の以上(一)から(四)をかれこれ合わせ考えると、被控訴人は、Aから本件家屋
を買い受け所有権を取得したことはなく、前示甲第一号証に示される被控訴人とA
間の売買契約は、なんらかの意図の下になされた右両名間の通謀虚偽の意思表示で
あり、控訴人は、本件家屋の所有者Aから、これを賃借し引渡を受けて、以来同家
屋に居住しているもので、けつして被控訴人の主張するように、被控訴人よりの賃
借人Aから、転借したものでないことを認定することができる。この認定に反する
前示A・Bの各証言は、前挙示の証拠資料及び認定事実に照らして、信用すること
はできないし、その他に反証はない。したがつて、被控訴人が本件家屋をAに賃貸
し、賃借人たる同人がこれを控訴人に転貸したことを前提として、控訴人に対し、
本件家屋の明渡及び損害金の支払を求める本訴請求は、すべて失当であつて排斥を
まぬかれない。
 そればかりでなく、たとえ、被控訴人が、昭和二四年三月一二日Aから、本件家
屋を買い受け所有権を取得するとともに、これを同人に賃貸し、占有改定によりき
渡したと仮定しても、冒頭認定した事実・甲第二号証の一部・乙第二号証・Dの証
言・控訴本人の第一回尋問の結果によると、本件家屋の所有者として登記のあるA
は、昭和二五年四月頃同家屋を自己の所有として、控訴人に賃貸し、控訴人もAの
所有として、同人から賃借し引渡を受けたこと、及び被控訴人においては、かつて
本件家屋につき所有権取得の登記を経たことのないこと、並びに控訴人は終始被控
訴人が本件家屋の所有権者たることを争い、被控訴人がこの家屋の所有者であるこ
とを承認したり、あるいは、被控訴人がこの家屋の賃貸人であつて、控訴人<要旨>
自身が、賃借人Aからの転借人であることを承認したことのないことが明認される
のである。ところで、所有権取得の登記を経た家屋の所有者が、当該家屋を
買主に売り渡して所有権を移転したものの、いまだ買主名義に所有権移転登記をし
ないで、買主と賃貸借契約を締結して賃借し引渡を受けた場合においても、売主が
その家屋を賃貸人として(賃借人として転貸するのでなく)第三者に賃貸引き渡し
たときは、引渡を受けた賃借人(転借人でない)たる第三者は、売主が賃貸をなす
の権限、すなわち、当該家屋の管理処分権あるが故に、自己が対抗要件を備えた賃
借人たることを主張しうるとともに、賃借家屋の買主の所有権取得登記の欠缺を主
張しうる正当の利益ある第三者と解すべきであるから、未登記の右買主は、第三者
が自己の賃借権に礎定して、対抗要件たる登記の欠缺を主張し、かつ、賃貸人たる
ことを争う以上、右賃借人に対して、自己が当該家屋の所有者たること、ないし賃
貸人たることを主張しえないと解すべきである。したがつて、この点からするも、
被控訴人の本訴請求は、すべて理由がなく棄却しなければならない。
 されば以上説示するところと趣旨を異にし、控訴人に対し本件家屋の明渡と損害
金の一部の支払を命じた原判決は、失当であるからこれを取り消すべく、控訴は理
由があるので、民訴第三八六条第九六条第八九条を適用し、主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 秦亘 裁判官 天野清治 裁判官 山本茂)

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