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平成19年(ネ)第10082号著作権侵害差止請求控訴事件(原審・東京地方
裁判所平成19年(ワ)第11535号)
平成20年7月30日判決言渡,平成20年4月23日口頭弁論終結
判決
控訴人株式会社コスモ・コーディネート
訴訟代理人弁護士角田雅彦
被控訴人角川映画株式会社
訴訟代理人弁護士前田哲男,中川達也
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
本判決においても原判決の略語表記を使用する。
1本件の経過
本件は,被控訴人が,別紙映画目録記載1及び2の本件映画の著作権者であると
主張して,本件映画を複製して製造した別紙商品目録記載のDVD商品を輸入販売
する控訴人の行為が被控訴人の上記著作権を侵害するとして,控訴人に対し,著作
権法112条に基づき,上記DVD商品の増製,輸入及び頒布の差止め並びに在庫
品の廃棄を求めたのに対し,控訴人が本件映画についての著作権は存続期間の満了
により消滅したと主張して争っている事案である。
原判決は,本件映画の著作権の存続期間は満了していないから,控訴人の行為は
被控訴人の上記著作権の侵害に当たるなどとして,上記DVD商品の増製,輸入及
び頒布の差止め並びに在庫品の廃棄の各請求を認容したため,これを不服とする控
訴人がその取消しを求めて控訴したものである。
2著作権法の規定,前提事実,争点及びこれに関する当事者の主張
次のとおり,原判決を訂正し,当審における主張を付加するほか,原判決の「事
実及び理由」欄の「第2事案の概要」の「1新旧著作権法の規定「2前提」,
事実「3争点」及び「4争点に関する当事者の主張(以上,原判決2頁2」,」
行∼14頁4行)に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決の訂正
ア原判決2頁2行目の「1新旧著作権法の規定」を「1著作権法の規
定」と改める。
イ原判決4頁4行目及び9頁15行目の「(3)平成15年改正」を「(3)
平成15年改正法」と改める。
「(「」ウ原判決4頁5行目の平成15年法律第85号以下平成15年改正
というを平成15年法律第85号による改正後の著作権法以下平。)」「(「
成15年改正法」という」と改める。。)
エ原判決4頁12行目から同頁14行目にかけての「平成15年改正後の
54条1項は,平成15年改正が施行された平成16年1月1日時点で,
平成15年改正前の新著作権法による著作権が消滅していない映画の著作
物に適用される」を「平成15年改正法54条1項は,同法が施行され。
た平成16年1月1日時点で,平成15年法律第85号による改正前の著
作権法による著作権が消滅していない映画の著作物に適用される」と改。
める。
オ原判決9頁11行目,12行目,10頁13行目,13頁6行目から同
頁7行目にそれぞれ平成15年改正附則3条とあるのをいずれも平「」,「
成15年改正法附則3条」と改める。
(2)当審における控訴人の主張
ア旧著作権法における映画の著作物の著作者について
(ア)原判決は,旧著作権法における映画の著作物の著作者は,新著作権
法16条と同様に,映画の「制作,監督,演出,撮影,美術等を担当し
てその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」であると解す
るのが相当であるとしているが,これは,以下に述べるとおり,旧著作
権法の解釈を誤ったものである。
(イ)旧著作権法における映画の著作物の著作者については,大きく分け
て,①映画は,映画製作に創作的に関与した者の共同著作物であるとす
る考え方と②映画は,映画製作者の単独の著作物であるとする考え方が
あった。
①の考え方は,著作者とは,著作物の全体について創作意図を有し,
それを完結させる者であり,映画についていえば,単に創作的に関与し
たというだけでなく,映画に対して一貫したイメージを抱き,それを実
現する者を著作者と考えるべきであるとし,これに属する者として,シ
ナリオの著作者,音楽の著作者,監督,プロデューサーの四者を挙げ,
映画はこれらの者を著作者とする共同著作物であるとするものである。
これに対し,②の考え方は,映画製作過程のすべての活動は,映画製
作者の構想の枠内において行われるのであって,すべての参加者は,映
画製作者の構想をより効果的に表現するという見地から協力するもので
あり,映画製作者は,これらの協力の成果を自己の構想に基づいて取捨
,,,選択することにより自己の構想を映画として表現するもので映画は
その製作過程において多種多様な参加者の芸術的及び技術的参与を要求
しながら,映画製作者の一貫した著作活動によって成立する単一の著作
物であるとし,この単一の著作物としての映画の主体は映画製作者であ
り,映画製作者が単独著作者であるとするものである。
②の考え方にいう映画製作者とは映画会社などの団体を指すが,旧著
作権法の時代の映画製作の実態は,映画会社の資本を背景に映画会社の
意を受けたプロデューサーが,映画会社に著作権等一切の権利を保有さ
せることを条件として監督等を選出し,映画製作に当たらせていたもの
であるから,映画会社が主体的に映画を製作していたのであり,②の考
え方こそがこのような映画製作の実態に忠実な考え方である。
(ウ)また,新著作権法の立法過程において,著作権制度審議会第4小委
員会(以下「第4小委員会」という)は,映画著作権は映画製作者に。
当然帰属するもの,すなわち,映画製作者が映画著作権を原始取得する
旨の審議結果報告書を提出しており,映画著作権の創作者共有(①の考
え方)を前提とした上での映画製作者への映画著作権の譲渡推定という
考え方は,映画利用の円滑化を図れないとして採用しなかった。
こうして,新著作権法においては,映画製作者が映画著作権を原始取
得することが条文化されたのであり,旧著作権法から新著作権法へ移行
する立法過程のなかでは,映画の共同著作者である自然人から映画製作
者へ著作権の譲渡を推定するという立法はされていないのである。
(エ)以上のことからすると,旧著作権法においては,映画は映画製作者
の単独著作物である,すなわち映画の著作物の著作者は映画製作者であ
ると解釈すべきである。なお,誰を映画著作者とするかは政策問題であ
り,映画著作権は,映画の性質上団体的に発生し,映画製作者に帰属す
ると考えることに理論的,法技術的な障害はない。
イ旧著作権法6条の団体著作物について
(ア)旧著作権法6条は,官公衙,学校,社寺,協会,会社その他の団体
名義をもって発行又は興行した著作物の著作権の保護期間について規定
しているが,その趣旨は,これらの団体名義をもって公にした著作物の
著作権の保護期間はその著作権の帰属が何人にあるかを問わず一律に3
0年間とするということである。すなわち,自然人の創作した著作物で
あっても団体の名義をもって発行し又は興行することはできるのであ
り,このような団体名義で発行又は興行した著作物を団体著作物とし,
その著作権の保護期間を最初の発行又は興行のときから30年間とした
のである。そして,映画の著作物について言えば,その著作権者は,映
画製作者すなわち映画製作について必要な配備をした者であり,映画製
作者は通常映画会社であるから,その場合には映画は団体著作物に当た
り,当該映画著作権の保護期間は発行又は興行したときから30年間と
なる。なお,旧著作権法6条の趣旨については,上記の解釈が当時の学
説の多数説であった。
(イ)最高裁判所平成19年12月18日第三小法廷判決(以下「シェー
ン判決」という)は,劇場用映画としてアメリカ合衆国において19。
53年(昭和28年)に公表され,その後日本でも劇場公開された映画
「シェーン」の著作権の保護期間に関し「本件映画を含め,昭和28,
年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物
は,本件改正による保護期間の延長措置の対象となるものではなく,そ
の著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了し消
滅したというべきである」と判示した。
シェーン判決の「団体の著作名義をもって公表された独創性を有する
映画」の著作権の保護期間に関する判断は,昭和28年までに公表され
た同様の劇場用映画についても妥当するものであるところ,同判決で問
題となった映画「シェーン」と本件映画の公表形態を比較すると,①映
画製作会社の表示,②題名,③スタッフ及び俳優,④監督の各表示が,
③の中での順序が異なることを除き,全て同一であり,こうした公表形
態からすれば,本件映画は,同判決のいう「団体の著作名義をもって公
表された独創性を有する映画」に含まれるというべきであり,かつ,昭
,,和28年以前に公表されているのであるから同判決が判断したとおり
その著作権は消滅している。
ウ本件映画の著作権の存続期間について
以上のとおり,旧著作権法下においては,映画は映画製作者の単独著作
物であると解され,しかも,映画製作者が会社(法人)の場合には同法6
条の団体著作物に当たるから,本件映画は,いずれも旧大映が製作した団
体著作物としてその著作権の保護期間は30年間(延長措置により33年
間)であり,その結果,本件映画1については平成11年12月31日,
本件映画2については平成12年12月31日の経過をもって著作権の存
続期間が満了し,著作権が消滅したものというべきである。そして,この
結論はシェーン判決の判断にも沿うものである。
(3)被控訴人の反論
ア旧著作権法における映画の著作物の著作者について
(ア)旧著作権法の下でも,著作物の創作が精神活動の所産であることは
異論がないところ,著作物の創作行為を現実に行うことができるのは,
自然人のみであり,法人が現実に創作行為を行うことは不可能である。
したがって,旧著作権法下において,法人が著作者となることはあり得
ず,著作者は,自然人である。
そして,映画について現実に創作行為を行うのは,自然人たる監督等
であるから,旧著作権法における映画の著作物の著作者は,映画の著作
物の全体的形成に創作的に寄与した監督等である。
(イ)また,新著作権法の制定過程において,監督等に発生した著作権の
譲渡を推定するのではなく,映画製作者が映画の著作権を原始取得する
ものとされたことは控訴人主張のとおりであるが,だからといって,旧
著作権法下における映画の著作物の著作者が映画製作者であったという
ことには,何らつながらない。すなわち,新著作権法の制定過程の議論
においては「映画の著作権(利用権)は,従来から映画製作者が行使,
しており,また,映画製作の目的および態様からして,映画製作者が集
中的に行使できるようにすべきものであることは,大方の異論のないと
ころ」であったが,映画製作者が映画の著作権を集中的に行使できるよ
うにする方法としては,①共同著作者に発生した著作権が特約のない限
り映画製作者に譲渡されたものとする推定規定を設ける方法と,②映画
の著作者を「映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」としつ
つ,著作権(財産権)は映画製作者が有する旨を法定する方法との2つ
,,,が検討され新著作権法では後者が採用されたのであってこのことは
旧著作権法の下で創作された映画の著作物について,監督等が著作者で
あったと考えることの妨げとなるものではない。
(ウ)旧著作権法下における映画の著作物の著作者が誰かという議論は,
,,主として映画著作権の帰属主体の観点からの議論であり新著作権法が
映画の著作物の著作権は原則として映画製作者に帰属するが,同法15
条の職務著作が成立する場合を除いては,著作者人格権は監督等に帰属
すると規定する(著作権法16条)のと同様に,旧著作権法の下で創作
された映画の著作物についても,著作者人格権は監督等に帰属すること
に異論はなかった。
実際,旧著作権法下における多くの学説は,監督等をもって映画の著
作物の著作者としており,この見解は,新著作権法制定時の著作権制度
審議会において支持を得たものであり,映画製作者が著作者であるとす
る考え方は,著作権の帰属の観点からのみ著作者が誰かを論じ,著作者
人格権の帰属主体のことを失念しているといわざるを得ず,新著作権法
と同じく著作者人格権を著作者に認めていた旧著作権法の解釈として
も,あり得ないものである。
イ旧著作権法6条の趣旨について
(ア)旧著作権法6条は,団体名義で著作物を公表した場合,団体には死
亡を観念することができず,著作者の生死を標準として著作権の存続期
間を計算することができないために設けられた規定であり,同条の団体
名義の著作物とは,自然人の著作者名が掲げられていない,団体の著作
者名義のみが表示された著作物を意味するものである。
したがって,自然人の氏名が著作者として掲げられて公表されている
場合には,旧著作権法6条が適用されることはない。
本件映画においては,映画製作者である旧大映は,映画製作者として
映像上に表示されているものの,著作者としての表示がされているわけ
ではない。そして,黒澤監督の氏名が映画の著作物の全体的形成に創作
的に関与した著作者として表示されているのであるから,本件映画につ
いて旧著作権法6条を適用する余地はない。
(イ)また,シェーン判決は,控訴人の主張を支持するものではない。す
なわち,シェーン判決は,映画「シェーン」がアメリカ合衆国法人を著
作者とし,その著作名義で公表された著作物であるとして旧著作権法6
条を適用した場合の存続期間に関し,平成15年改正法附則2条の経過
規定の解釈が問題となった事案である。これに対し,本件映画の著作者
は黒澤監督という自然人であり,同人が著作者として映像中に表示され
,。ているのであるから本件映画は旧著作権法6条の団体著作物ではない
したがって,本件は,シェーン判決とは事案を異にするものである。
第3当裁判所の判断
1映画の著作物の保護期間に関する我が国の法令の概要
(1)旧著作権法は,映画の著作物の保護期間を,独創性の有無(22条の3
後段)及び著作名義の実名(3条,無名・変名(5条,団体(6条)の別))
によって別異に取り扱っていたところ,独創性を有することにつき争いがな
い本件映画の保護期間については,本件映画の著作名義が監督等の自然人で
あるとされた場合にはその生存期間及びその死後38年間(3条,52条1
項)とされるのに対し,映画製作者の団体名義であるとされた場合には,本
件映画の公表(発行又は興行)後33年間(6条,52条2項)とされるこ
とになる。
(2)旧著作権法は,昭和46年1月1日施行の新著作権法により全部改正さ
れた。新著作権法は,映画の著作物及び団体名義の著作物の保護期間を,原
則として,公表後50年を経過するまでの間と規定する(54条1項)とと
もに,その附則2条1項において「改正後の著作権法(以下「新法」とい,
う)中著作権に関する規定は,この法律の施行の際現に改正前の著作権法。
・・・による著作権の全部が消滅している著作物については,適用しない」
旨の,また,附則7条において「この法律の施行前に公表された著作物の,
著作権の存続期間については,当該著作物の旧法による著作権の存続期間が
,。」新法第2章第4節の規定による期間より長いときはなお従前の例による
と定めた。
なお,新著作権法は,法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物
の著作者及び映画の著作物の著作者についてそれぞれ新たな規定を設けた
(前者につき15条,後者につき16条)が,これらの規定は本件映画につ
いては適用されない(附則4条)し,新著作権法の施行前に創作された同法
29条に規定する映画の著作物の著作権の帰属については,なお従前の例に
よるものと定めている(附則5条。)
(3)平成15年改正法が平成15年6月18日に成立し,平成16年1月1
日から施行された。これにより,映画の著作物の保護期間は,原則として公
表後70年を経過するまでの間と延長される(上記改正後の54条1項)と
ともに同改正法附則2条は「改正後の著作権法・・・第54条第1項の規定
は,この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の
著作物について適用し,この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著
作権が消滅している映画の著作物については従前の例による」と定めた。。
(4)本件映画の著作者及び著作名義が映画監督,すなわち黒澤監督であると
した場合には,その生存期間及びその死後38年間,すなわち,当事者間に
争いのない黒澤監督が死亡した平成10年の翌年から起算して38年後の平
成48年までの間となる(旧著作権法によれば,黒澤監督の死亡の翌年であ
る平成11年から起算して38年経過後の平成48年までの間となるとこ
ろ,附則2条1項により新法を適用し,公表後50年の保護期間とした場合
は,本件映画のうち昭和25年に公表された映画について見ると,公表の翌
年である同26年から起算して50年経過後の平成12年となるが,附則7
条により,保護期間の長い旧著作権法による保護期間である平成48年まで
の間となる。。)
これに対し,上記映画につき,映画製作会社の著作名義であるとした場合
には,団体名義の著作物として公表後33年間,すなわち昭和58年までの
間となるが,附則2条1項により新法を適用し,公表後50年の保護期間と
した場合は,本件映画が公表された昭和25年の翌年である同26年から起
算して50年経過後の平成12年となるところ,附則7条により,保護期間
の長い平成12年までの間となる。
(5)したがって,本件における法解釈上の主要な争点は,旧著作権法の解釈
として,本件映画の著作者及び著作名義をどのように考えるべきかである。
2本件映画の著作者について
(1)旧著作権法における著作者の意義
ア新著作権法は,著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつ
て,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう(2条1項1。」
号)と定義するが,旧著作権法は「文書演述図画建築彫刻模型写真演奏,
歌唱其ノ他文芸学術若ハ美術(音楽ヲ含ム以下之ニ同ジ)ノ範囲ニ属スル
著作物ノ著作者ハ其ノ著作物ヲ複製スルノ権利ヲ専有ス(1条1項)と」
規定するものの,著作物とは何かを示す定義規定を設けていない。しかし
ながら,旧著作権法下においても,著作物とは「著作者の精神的所産た,
る思想内容の独創的表現たることを要す(大審院昭和12年11月20」
日判決・法律新聞4204号3頁参照「精神的労作の所産である思想ま),
たは感情の独創的表白であって,客観的存在を有し,しかも文芸,学術,
美術の範囲に属するもの(東京地裁昭和40年8月31日・下民集16」
),,,巻8号1377頁参照などと解されておりこれらは実質的に見れば
新著作権法における著作物の定義と同義であり,また,新著作権法の立法
過程において,旧著作権法に比し著作物の意義が変更されたことを窺わせ
るに足りる事情もないことからすれば,旧著作権法の保護対象とされる著
,。,作物は新著作権法のそれと同義であると解するのが相当であるそして
著作者が著作物を創作する者であることは,新・旧著作権法において変わ
りがないものと解され,前記の裁判例にみられるように「著作者の精神,
的所産たる思想内容の独創的表現「精神的労作の所産である思想または」,
感情の独創的表白」という事実行為としての創作行為を行うことができる
のは自然人であることからすれば,旧著作権法において著作者となり得る
のは原則として自然人であると解すべきである。
イもっとも,新著作権法は,法人等における著作物の創作の実態等から,
一定の要件の下に法人等の被用者が職務上作成する著作物についてその著
作者を当該法人等とする職務著作の規定(15条)を設け,前記原則の例
外を規定している。すなわち,法人等において被用者が職務上作成する著
作物には多種多様なものが含まれ,様々な創作態様のものがあるところ,
被用者が雇用契約等に基づく指揮監督の下に作成する著作物には,作成に
関与した個々の被用者の個性の表出が乏しいうえ,その中には創作行為に
関与した者の特定が必ずしも容易ではなく,また,仮にその特定ができた
場合であっても複数の作成関与者の創作行為の範囲や寄与の程度等を明ら
かにすることが困難なものが多数あり得ること,そのため,それが法人等
の名義で公表されることが予定される場合には,公表により法人等が当該
著作物に対する社会的な責任を負うと同時にこれに対する社会的な評価を
も受けることとなるため,個々の作成関与者については当該著作物に関す
る人格的利益の保護を考慮することを要しないものと考えられること,法
人等の経済的な負担において作成されたそれらの著作物を当該法人等が利
用するに当たり,当該著作物の権利関係を集中し,明確にしなければ,そ
の円滑な利用に支障を来す場合が少なくないものと考えられること,それ
ゆえそのような著作物については,法人等と作成に関与した被用者との間
において,当該著作物の著作権を法人等に原始的に帰属させるとするのが
当事者の意思に沿うものと推測されること等の法人等における著作物の創
作の実態や当該著作物の利用の便宜の必要性等を考慮し,新著作権法は,
一定の要件の下に法人等が著作者となることを認めている。
新著作権法15条は,同法の施行前に創作された著作物には適用されな
い(新著作権法附則4条)が,旧著作権法6条は「官公衙学校社寺協会,
会社其ノ他ノ団体ニ於テ著作ノ名義ヲ以テ発行又ハ興行シタル著作物ノ著
作権ハ発表又ハ興行ノトキヨリ三十年間継続ス」と規定するところ,同条
,,は後記のとおり団体著作物の保護期間を定めた規定であると解されるが
更に法人等の団体が著作者となり得ることを前提とした規定であると解す
る余地もないわけではなく,新著作権法における職務著作の規定の実質的
な根拠とされた上記の法人等における著作物の創作実態及び利用上の便宜
の必要性等の事情は,旧著作権法の下においても程度の差こそあれ存在し
ていたものと推認することができることからすれば,旧著作権法において
も,新著作権法15条1項所定の要件と同様の要件を備える場合には法人
等が著作者となり得る場合があるものと解するのが相当である(東京高裁
昭和57年4月22日判決・無体裁集14巻1号193頁参照。)
(2)旧著作権法における映画の著作物の著作者
,,,,本件映画のような劇場用映画は概ね映画製作会社の委託を受け企画
予算,製作スタッフの選定,俳優の配役,興業等の全般について統括するプ
,,,,,,ロデューサーシナリオライター監督カメラマン照明技師録音技師
編集技師,出演俳優,音楽家,美術家など多くの者の協同作業により製作さ
れるものと認められ(乙第20,21号証,弁論の全趣旨,映画の著作物)
の創作行為については多数の者が関与していることから,新著作権法は,著
作者となるべき者を明確にするため,16条において「映画の著作物の著作
者は,その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音
楽その他の著作物の著作者を除き,制作,監督,演出,撮影,美術等を担当
してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする」と規定。
したが,同条は新著作権法の施行前に創作された著作物には適用されず(新
著作権法附則4条,また,旧著作権法は,その22条の3前段において映)
画の著作物について「活動写真術又ハ之ト類似ノ方法ニ依リ製作シタル著,
作物ノ著作者ハ文芸,学術又ハ美術ノ範囲ニ属スル著作物ノ著作者トシテ本
法ノ保護ヲ享有ス」と規定するのみで,映画の著作物の著作者を定めた規定
は存在しない。
しかしながら,前記(1)で説示したとおり,著作者となり得る者は原則と
して自然人であり,これを前提として上記の劇場用映画の製作実態を踏まえ
て旧著作権法の下における映画の著作物の著作者となるべき者を検討するな
らば,少なくとも制作,監督,演出,撮影,美術等を担当して映画の著作物
の全体的形成に創作的に寄与した者は,当該映画の著作物の著作者であると
解するのが相当であり,新著作権法附則4条の規定もこのような解釈を妨げ
る趣旨のものではないというべきである。
(3)本件映画の著作者
そして,黒澤監督は本件映画の監督を務め,脚本の作成にも参加するなど
しており,本件映画は黒澤監督の一貫したイメージに沿って製作されたもの
であると認められる(甲第1,2号証,第11号証,乙第22∼24号証)
から,黒澤監督は本件映画の全体的形成に創作的に寄与した者であり,著作
者の一人であると認められる。
(4)当審における控訴人の主張に対する判断
控訴人は,映画製作の実態及び新著作権法の立法過程からすれば,旧著作
権法の下においては,映画は映画会社などの映画製作者の単独著作物である
と解釈すべきであると主張するが,以下の理由から,控訴人の主張を採用す
ることはできない。
ア前記(1)で説示したとおり,映画の著作物の著作者は,原則として,事
実行為としての映画の創作を行う者と解すべきであり,映画製作の実態を
,,,,,,見てもそのような創作行為を現実に行う者は監督演出出演撮影
,,美術等を担当する自然人であって映画会社等の映画製作者ではないから
新著作権法15条1項所定の要件と同様の要件を備える場合でない限り,
映画製作の実態から映画が映画製作者の単独著作物であると解釈すべき理
由はない。
そして,本件映画は旧大映が製作したものであるところ,黒澤監督又は
それ以外の者で本件映画の全体的形成に創作的に寄与した者が旧大映の被
用者として,その職務上本件映画を作成したことなど旧大映が本件映画の
著作者となるための新著作権法15条1項所定の要件と同様の要件を具備
するとの点については,控訴人の主張立証がない。
したがって,映画製作の実態からみて,本件映画を映画製作者である旧
大映の単独著作物であると認めることはできない。
イまた,証拠(甲第25号証,乙第1号証)及び弁論の全趣旨によれば,
新著作権法の立法過程における映画の著作物に関する審議状況等につい
て,次の事実が認められる。
(ア)昭和37年に文部大臣の諮問機関として設置された著作権制度審議
会の第4小委員会が昭和40年5月21日に提出した審議結果報告に
は,映画の著作物の著作者の確定について,①シナリオの著作者,音楽
の著作者,監督等の映画製作に創作的に関与した者の共同著作物である
という考え方と,②映画製作者の単独の著作物であるという考え方の2
つの考え方が併記されていた。
しかし,その後,検討を重ねた結果,昭和41年3月9日の第4小委
員会再審議結果報告では,2つの考え方を併記した上記結論を改め,①
の考え方を採用し,②の考え方は少数意見として付記するにとどめられ
た。ただし,シナリオと音楽の著作者については,映画の著作者から除
外して原作者として扱うことにし,また,映画の著作者の範囲を具体的
に特定することをやめて「映画の全体的形成に創作的に関与した者」,
とし,だれが著作者になるかは個々の映画ごとの判断に委ねることとし
た。
(イ)著作権制度審議会は,第4小委員会の上記再審議結果報告やこれに
対して映画製作会社や映画監督等の関係団体から提出された意見,専門
委員会審議結果報告などを総合的に検討して,昭和41年4月20日文
部大臣に対し「映画の著作者は『映画の全体的形成に創作的に関与し,,
た者』とする。著作者には,監督,プロデューサー,カメラマン,美術
監督などが該当し,俳優も映画の全体的形成に創作的に関与したと認め
られるものである限り,映画の著作者たり得ると考えるが,著作者を法
文上例示することはしないものとする」旨答申した。。
,,上記答申を受けて著作権法案が作成され第63回国会に提出されて
昭和45年4月28日,新著作権法が成立した。
ウ前記イに認定した新著作権法の立法過程に関する事実及び映画の著作物
の著作者を法定する新著作権法16条の規定に照らすならば,新著作権法
の立法過程を考慮しても,映画が映画製作者の単独著作物であると解する
ことはできない。
エ以上に検討したところによれば,控訴人の前記主張を採用することはで
きない。
3本件映画の著作権者について
(1)旧大映の著作権取得
前記2で説示したとおり,黒澤監督は本件映画の著作者である(少なくと
もその一人である)ところ,証拠(甲第1,2号証,第18,19号証)及び
弁論の全趣旨によれば,本件映画1は昭和24年に,本件映画2は昭和25
年にそれぞれ製作され,興行されたものであること,旧大映は,本件映画が
興行されたころまでには黒澤監督から本件映画についての著作権の譲渡を受
けていたことが認められ,これに反する証拠はない。
なお,本件証拠上は明らかではないものの,仮に黒澤監督以外に本件映画
の全体的形成に創作的に寄与した著作者がいたとすれば,それらの者も本件
映画の著作権を原始取得したものといえるが,本件映画は,当初から映画製
作者である旧大映が自己の商品として公表することを前提に製作されたもの
であること(前提事実(2)ア,弁論の全趣旨),旧大映が本件映画を興行し,
その後,後記のとおり,旧大映から本件映画の著作権を取得した新大映が本
件映画を複製したDVD商品を販売してきたが,これに対して本件映画の製
作に関与した者から著作者であると主張して異議が述べられた形跡は認めら
れないこと(弁論の全趣旨)からすると,他に著作者がいたとしても,それら
,,の者も映画製作者である旧大映に対し本件映画が興行されたころまでには
明示的ないし黙示的に本件映画の著作権を譲渡していたものと十分推認する
ことができる。
したがって,旧大映は本件映画の著作権を単独で有していたものである。
(2)被控訴人の著作権取得
証拠(甲第12号証ないし第15号証)及び弁論の全趣旨によれば,次の事
実が認められ,これに反する証拠はない。
ア旧大映は,昭和46年12月に破産宣告を受けた。
イ旧大映破産管財人は,昭和51年3月31日,新大映及びその代表者で
あるAとの間で,本件映画を含む映画の著作権を新大映及びAに譲渡する
旨合意した。
ウ旧大映破産管財人,新大映,A及び組合は,昭和53年1月30日,本
件映画を含む映画の著作権を新大映と組合の共同所有とすることを合意し
た。
エ上記ウの合意を受けて,Aは,昭和53年2月14日,組合に対し,上
記著作権譲渡契約における譲受人たる地位を譲渡し,旧大映破産管財人及
び新大映はこれを承諾した。
また,新大映は,同月15日,組合に対し,新大映の有する本件映画を
含む映画の著作権のうち持分2分の1を代物弁済として譲渡した。
オその後,新大映と組合との間に,旧大映が著作権を有していた本件映画
を含む映画の著作権の帰属等を巡る紛争が生じ,両者を当事者とする訴訟
が東京地方裁判所に提起され(東京地方裁判所平成11年(ワ)第171
81号本訴事件,同平成12年(ワ)第3921号反訴事件,同裁判所)
は,平成13年3月28日,新大映と組合が本件映画を含む映画の著作権
につき持分2分の1ずつを有すると判断し,新大映と組合と間において,
組合が本件映画を含む映画の著作権につき持分2分の1を有することを確
認する旨の判決を言い渡し,同判決は確定した。
カ組合は,平成14年11月1日,新大映に対し,組合の有する本件映画
を含む映画の著作権の持分全部を譲渡した。その結果,新大映は,本件映
画の著作権の単独保有者となった。
キ新大映は,同日,被控訴人に対し,本件映画の著作権を譲渡した。
(3)小活
前記(2)認定の事実を総合すれば,本件映画の著作権は,旧大映から新大
映及び組合に譲渡され,その後,組合の持分が新大映に譲渡され,最終的に
新大映から被控訴人に譲渡されたものと認められるから,被控訴人は,本件
映画の著作権全部を有するものである。なお,これにより,争点3−1(共
有持分に基づく差止め及び廃棄請求の可否)の問題は生じない。
4本件映画の著作権の存続期間について
(1)旧著作権法6条の趣旨
前記1に概観したとおり,旧著作権法は,3条から9条まで著作権の保護
期間に関する規定をおいているところ,3条1項は,発行又は興行した著作
物の著作権の存続期間を著作者の生存する間及び死後30年間と定め,4条
は,著作者の死後に発行又は興行した著作物の著作権の存続期間を発行又は
興行の時から30年間と定め,5条本文は,無名又は変名の著作物の著作権
の存続期間を発行又は興行の時から30年間と定め,但書きでその期間内に
著作者の実名登録を受けたときは3条の規定に従うこととされ,6条は,団
体の名義をもって発行又は興行した著作物の著作権の存続期間を発行又は興
行の時から30年間と定めている。
ところで,前記2(1)に説示したとおり,旧著作権法においては著作者と
なり得る者は原則として自然人であると解されるところ,これを前提に上記
のような著作権の保護期間に関する規定の定め方を見れば,旧著作権法は,
著作物の存続期間を原則として自然人である著作者の死亡の時を基準とする
ことを定めているものと解することができ,著作者が特定できないためこの
基準によることができない無名又は変名の著作物及び著作者の死亡という事
態を想定できない団体名義の著作物については5条及び6条で発行又は興行
の時を基準とすることとしたものと解される。
そうすると,旧著作権法6条の「官公衙学校社寺協会会社其ノ他ノ団体ニ
於テ著作ノ名義ヲ以テ発行又ハ興行シタル著作物」とは,著作者名義として
団体を表示して発行又は興行した著作物であって,その著作者は法人等であ
る著作物をいうものと解するのが相当である。
(2)本件映画の著作権の存続期間
以上を前提に,本件映画の著作権の存続期間につき検討する。
ア前記第2の1の前提事実に証拠(甲第1,2号証,第9,10号証,検
甲第1,2号証)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件映画は,旧大映が
製作し,その専用系列映画館で旧大映製作の作品として公開されたもので
あること,本件映画ではオープニングの冒頭に旧大映の社章と共に「大映
株式會社製作」との表示がされ,その後に題名が映し出され,続いて本件
映画の製作に関与した者の担当職名と氏名が表示され,オープニングの最
後に「監督黒澤明」と表示されていることが認められる。
以上の事実によれば,本件映画における「大映株式會社製作」との表示
は映画製作者が旧大映であることを示すものであり「監督黒澤明」と,
の表示が本件映画の著作者を示すものであると認めるのが相当であるか
ら,本件映画は著作者の実名を表示して興行された著作物であり,旧著作
権法6条にいう団体名義の著作物に当たらないというべきである。
したがって,本件映画の著作権の存続期間は,旧著作権法3条が適用さ
れるものと解される。
イそして,本件映画が独創性を有する映画の著作物であること,黒澤監督
が平成10年に死亡したことは当事者間に争いがないから,本件映画の著
作権の存続期間は,旧著作権法によれば,22条の3,3条,9条,52
条1項により,少なくとも著作者の1人である黒澤監督の死亡した年の翌
年である平成11年から起算して38年間存続するので,平成48年12
月31日まで存続することとなる。
また,本件映画1は昭和24年に興行され,本件映画2は昭和25年に
興行されたものである(前記3(1))から,平成15年改正法によれば,
54条1項,附則2条,新著作権法附則7条により,いずれもその著作権
は興行の年の翌年から70年間存続するので,本件映画1は平成31年1
2月31日まで,本件映画2は平成32年12月31日まで存続すること
となる。
そうすると,平成15年改正法附則3条により,本件映画の著作権は,
少なくとも平成48年12月31日まで存続することとなる。
(3)当審における控訴人の主張に対する判断
控訴人は,本件映画が旧著作権法6条の団体著作物に当たり,このように
解することはシェーン判決の判断にも沿うものであると主張する。
しかしながら,本件映画における旧大映の表示が映画製作者を示すもので
あり,著作者としては黒澤監督が表示されていることは前記(2)に認定した
とおりであるから,本件映画が旧著作権法6条の団体著作物に当たるものと
は認められない。
また,シェーン判決は,映画「シェーン」がアメリカ合衆国法人を著作者
とし,その著作名義をもって1953年(昭和28年)に同国において最初
に公表された映画であることを前提事実として(なお,同映画の抽出画像で
ある乙18のA−2シーンには「COPYRIGHTMCMLIIBYPARAMOUNTPICTURES,
CORPORATION」とパラマウント社に著作権が帰属する旨が明示されているこ
とが認められるのに対し,本件映画にかかる表示はない,同映画のように。)
団体名義で公表された独創性を有する映画の著作物の保護期間は,旧著作権
法6条により発表後33年間とされていたことを踏まえ,平成15年改正法
による保護期間の延長措置の適用の可否についての同法附則2条の経過規定
()。,,の解釈が問題となった事案である乙第17号証これに対し本件では
前記(2)に説示したとおり,黒澤監督を著作者と表示して興行された本件映
画の存続期間が争われているのであるから,シェーン判決とは事案を異にす
るものである。
したがって,控訴人の上記主張は採用できない。
5被控訴人の本件請求について
(1)以上に認定判断したところによれば,本件商品は,輸入の時において国
内で作成したとしたならば被控訴人の複製権を侵害するべき行為によって作
成された物であり,控訴人が本件商品を国内において頒布する目的で輸入し
ていることは争いがないから,控訴人が本件商品を輸入する行為は被控訴人
の著作権を侵害する行為とみなされる(著作権法113条1項1号。)
したがって,被控訴人は,控訴人に対し,著作権法112条1項及び2項
に基づいて,本件商品の輸入及び頒布の差止め並びに在庫品の廃棄を求める
ことができる。
なお,控訴人による頒布の差止めについては,著作権法113条1項2号
の適用があるとしても,遅くとも控訴人に対し原判決書が送達されたことに
より同号の「情を知つて」の要件を満たすことになると認められるので,被
控訴人は,著作権法113条1項2号,112条1項に基づいて,その頒布
の差止めを求めることができる。
(2)また控訴人は本件商品を日本国外において第三者に製造させており(前,,
提事実(3)),原審及び当審を通じて本件映画の存続期間の満了を理由に著作
,,,権侵害の成立を争っているから将来日本国内においても本件商品を製造
販売するおそれがあると認められる。
よって,被控訴人は,著作権法112条1項及び2項に基づいて,本件商
品の国内での増製及び頒布の差止めを求めることができる。
6結論
以上の次第で,被控訴人の請求を認容した原判決は相当であって,本件控訴
は理由がないから,棄却されるべきである。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
田中信義
裁判官
榎戸道也
裁判官
浅井憲
(別紙)
映画目録
1題名:静かなる決闘」「
2題名:羅生門」「
(別紙)
商品目録
1日本名作映画集07「静かなる決闘」商品番号:4582297250178
2日本名作映画集10「羅生門」商品番号:4582297250208

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