弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     被申立人株式会社朝日新聞社、同株式会社毎日新聞社および同株式会社
読売新聞社は、本件事案について公正取引委員会の審決があるまで、被申立人らの
うち上記三新聞社および第三項記載の五名を除くその余の被申立人ら(被申立人A
ほか百五十名)と株式会社千葉新聞社から千葉新聞の供給を受けないことを条件と
して、新聞販売の取引をしてはならない。
     被申立人らのうち第一項記載の三新聞社および第三項記載の五名を除く
その余の被申立人等(Aほか百五十名)は本事案について公正取引委員会の審決が
あるまで、昭和三十年三月二十日以降実施予定の千葉新聞の不買をしてはならな
い。
     被申立人B、同C、同D、同E、同Fらに対する本件申立を却下する。
         理    由
 申立人は「被申立人株式会社朝日新聞社、同株式会社毎日新聞社および同株式会
社読売新聞社は、本案の審決があるまで株式会社千葉新聞社から、千葉新聞の供給
を受けないことを条件として、別紙当事者目録記載の被申立人新聞販売業者A以下
百五十六名と新聞販売の取引をしてはならない、別紙当事者目録記載の被申立人新
聞販売業者A以下百五十六名は、本案の審決があるまで昭和三十年三月二十日実施
予定の千葉新聞の不買をしてはならない。」との裁判を求め、その理由として、左
記のように主張した。
 被申立人朝日新聞社、同毎日新聞社および同読売新聞社(以下被申立人三社とい
う。)は、それぞれ別紙当事者目録記載の地に本店を設け、いずれも新聞の発行販
売事業を営む事業者であり、被申立人Aほか百五十五名はそれぞれ営業所を設け、
いずれも新聞販売事業を営む事業者である。
 被申立人三社は、昭和二十九年九月の新聞定価引上げ後の千葉県における販売対
策を協議中であつたところ、被申立人朝日新聞社千葉県担当員G、同毎日新聞社同
県担当員Hおよび同読売新聞社同県担当員Iは同三十年二月十五日から同月十九日
までの間、千葉市ほか九か所において、千葉県における被申立人三社の各系統販売
店の合同部別会議を開催し、各販売店に対して、新聞定価引上げ後の販売状況を説
明し、同県における減紙の原因は一に千葉市において新聞の発行販売を営む事業者
である株式会社千葉新聞社(以下千葉新聞社という。)の発行する千葉新聞の進出
にあると断定し、これが対策として各店とも同年三月一日から千葉新聞を二割減紙
すること、同新聞の販売拡張のために被申立人三社の新聞を減紙しないこと等を実
行されたい旨を説示し、また三月十四日午前、千葉市においてそれぞれ系統販売店
会を開催し、出席販売店に対し同月二十日を期して以後千葉新聞を不買することを
要請し、もつて出席販売店をしてこれを決定させ、ついで同日午後同市において、
被申立人三社系統販売店の合同会議を開催し、右の不買決定を再確認させるととも
にこの決定の趣旨を千葉新聞社に通告することを申し合させ、被申立人Aほか二百
余名は右の申し合せにしたがい、これが実行に移行しているものである。
 右被申立人三社の行為は、販売店が正当な理由がないのに自己の競争者である千
葉新聞社から、千葉新聞の供給を受けないことを条件として、当該販売店と取引す
るものであつて、昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保
に関する法律(以下私的独占禁止法という。)第二条第七項昭和二十八年公正取引
委員会告示第十一号の第七の排他条件付取引に該当し、同法第十九条に違反し、被
申立人Aほか百五十五名の行為は、千葉新聞社から不当に千葉新聞の供給を受けな
いものであつて同法第二条第七項同告示第十一号の第一の不当不買に該当し、私的
独占禁止法第十九条に違反する疑があるものである。
 しかして、本件において、前記排他条件付取引と千葉新聞の不買が実行されるな
らば、千葉新聞社は、その顧客である新聞購読者の大部分を失い、千葉県における
新聞販売分から排除されるおそれがあり、しかも一旦、顧客を失えば、それば単な
る顧客の喪失に非ずして、永久的の営業の廃止となる等、千葉県における新聞販売
の公正な競争が阻害される結果を招来し、通常の手続による排除措置を命ずる審決
をもつてしては、右の法益侵害は回復することができないものと推認されるから、
ここに私的独占禁止法第六十七条の規定に基いて申請の趣旨どおりの緊急停止処分
を求める次第である。
 <要旨>当裁判所は申立人及び被申立人双方の主張と双方の提出した疎明方法とを
検討審査した結果主文第三項記載の被申立人ら五名を除くその余の被申立人
ら百五十四名がいずれも申立人主張の法条に違反する疑のある行為をしていること
及び一時これらの有為を停止すべき緊急の必要があることが疏明されたと認める。
被申立人らの提出した疏明方法によつては右の認定を左右することはできない。被
申立人らは千葉新聞社の行動について種々主張するところがあるけれども、その主
張の程度の所為は、かりにあつたとしても、これをもつて右被申立人らの行為を正
当化することはできないのである。
 よつて右被申立人らに対する本件申立は正当としてヒれを認容すべきものであ
る。
 主文第三項記載の被申立人ら五名については、被申立人らの提出した疏明方法に
よれば、すでに千葉新聞社と合意のうえ円満に取引を止めたものであることがうか
がわれるから、これらの被申立人らに対する本件申立は理由がないものとして却下
すべきものでちる。
 よつて主文のとおり決定する。
 (裁判長高等裁判所長官 垂水克已 判事 藤江忠二郎 判事 浜田潔夫 判事
 村松俊夫 判事 浅沼武)
 (別紙当事者目録は省略する。)

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