弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成一一年(ネ)第二二一号特許権に基づく製造販売差止等請求控訴事件(原審・神
戸地方裁判所平成九年(ワ)第一一四七号)
          判    決
    控訴人(原告)         有限会社かわら技研
    右代表者代表取締役       【A】
    控訴人(原告)         平和窯業株式会社
    右代表者代表取締役       【B】
    右両名訴訟代理人弁護士     平  山  博  史
    同               平  山  成  信
    同               桑  原  秀  幸
    右補佐人弁理士         【C】
    被控訴人(被告)        近畿セラミックス株式会社
    右代表者代表取締役       【D】
    右訴訟代理人弁護士       白波瀬  文  夫
    右補佐人弁理士         【E】
          主    文
     一 本件各控訴を棄却する。
     二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
          事実及び理由
第一 控訴の趣旨
 一 原判決を取り消す。
 二 被控訴人は、原判決別紙イ号目録記載の屋根瓦を製造し、譲渡し、貸し渡
し、譲渡もしくは貸渡しのために展示してはならない。
 三 被控訴人は、控訴人有限会社かわら技研に対し、一五〇〇万円及びこれに対
する平成九年三月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
 四 被控訴人は、控訴人平和窯業株式会社に対し、一億五〇〇〇万円及びこれに
対する平成九年三月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
五 被控訴人は、原判決別紙イ号目録記載の屋根瓦を製造するための金型を廃棄
せよ。
 六 訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。
第二 事案の概要
  (以下、控訴人を「原告」・被控訴人を「被告」と略称する。)
  原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるか
ら、これを引用する(但し、原判決五頁二行目「一一月一日」を「九月二日」に、
同二四頁八行目及び一〇行目各「ツメ3」をいずれも「ツメ2」に、同二六頁八行
目「技術」を「従来技術」に各改める。)。
第三 当裁判所の判断
 一 争点1(イ号物件の製造販売は本件特許権を侵害するか)について
  1 本件特許権の特許公報(本件公報)の【特許請求の範囲】の記載は次のと
おりである(争いがない)。
   「和形系葺き合わせ構造をとる屋根瓦において、肩切込部(F)に面する肩縦
縁(Fy《これは、本件公報中の【発明の詳細な説明】や【図面の簡単な説明】の記
載に照らすと、Ftの誤記と認められる。》)寄りの肩横縁(Ft《同じくFyの誤記と
認められる。》)側から肩隅角部(C)の一部に切込部(2a-d)を形成して、該切
込部(2a-d)の外側の肩隅角部(C)に瓦本体のほぼ半分以上の厚さの肩隅角突
片(1a-d)を形成させ、小口切込部(E)に面する小口横縁(Ey)の側端寄りの差
込部側端水返し(6)を含む小口差込部(B)の一部を瓦縦方向に延長させて支持軸
部(4a-d)を形成させ、該支持軸部(4a-d)を含む小口差込部(B)の小口縦
縁(Et)寄りの一部に斜め下流瓦の該肩隅角突片(1a-d)が嵌入して抑止する陥凹
部(3a-d)を形成し、該支持軸部(4a-d)が斜め下流瓦の該切込部(2a-d)に嵌
入する構造とすることを特徴とする耐風強化瓦。」
2従って、本件発明の構成要件は次のとおりに分説される(争いがない)。
   (1)和形系葺き合わせ構造をとる屋根瓦であること
   (2) 肩切込部(F)に面する肩縦縁(Ft)寄りの肩横縁(Fy)側から肩隅角
部(C)の一部に切込部(2a-d)を形成すること
   (3) 該切込部(2a-d)の外側の肩隅角部(C)に瓦本体のほぼ半分以上の厚
さの肩隅角突片(1a-d)を形成すること
   (4) 小口切込部(E)に面する小口横縁(Ey)の側端寄りの差込部側端水返
し(6)を含む小口差込部(B)の一部を瓦縦方向に延長させて支持軸部(4a-d)を
形成すること
   (5) 該支持軸部(4a-d)を含む小口差込部(B)の小口縦縁(Et)寄りの一
部に斜め下流瓦の該肩隅角突片(1a-d)が嵌入して抑止する陥凹部(3a-d)を形
成すること
   (6) 該支持軸部(4a-d)が斜め下流瓦の該切込部(2a-d)に嵌入する構造
であること
   (7) 以上を特徴とする耐風強化瓦であること
  3 これに対し、原判決別紙イ号第1図ないし第3図記載の瓦(商品名「スー
パーJ」、以下「イ号物件」という。)の構成は次のとおり分説するのが相当であ
る(甲七・八、弁論の全趣旨)。
   (1) 和形系葺き合わせ構造をとる屋根瓦であること
   (2) 瓦左肩切込部(F)に面する肩縦縁(Ft)と肩横縁(Fy)が交わる入隅
部に一定の厚さ(内側で瓦本体のほぼ半分以上の厚さを有し、外側に向けて緩やか
に厚さを減じる)を有する四角形のツメ押え1aを形成すること
   (3) 瓦右下隅の小口切込部(E)に面する小口差込部(B)の外側(小口横
縁(Ey)の側端寄りで差込部側端水返し(6)の下端部を含む)に四角形のツメ2
(陥凹部3a)を形成し、その厚さは基端部で瓦本体のほぼ半分以上で、外側に向け
て緩やかに厚さを減じていること
   (4) 斜め上流瓦のツメ2(陥凹部3a)に斜め下流瓦のツメ押え1aが垂直に押
さえるように組み合わされること
(5) 以上を特徴とする耐風強化瓦であること
4 そこで、イ号物件の構成(2)が本件発明の構成要件(2)(3)に該当するか、イ
号物件の構成(3)が本件発明の構成要件(4)(5)に該当するかについて検討する。
(一) 本件発明は、和形系葺き合わせ構造をとる屋根瓦において、抑止や振
れ止め係止の組み合わせ機能を付加することによって耐風性能を強化した瓦に関す
るものである(本件公報2欄4・5行)。
     暴風や地震による瓦の移動・浮きを積極的に抑止する措置に関する従来
技術は、(一) 葺き合わせ瓦間の係止措置が全くないか(本件公報2欄【0002】参
照)、(二) 瓦右下隅の小口切込部に閉塞突片を一杯に設け、それによって斜め葺
き合わせ瓦間の抑止がなされるか(同2欄【0003】参照)、(三) 瓦尻隅閉塞突堰
によって上下流の葺き合わせ瓦間の振れ止めと浮き防止効果を果たすか(同3
欄【0004】参照)、のいずれかであった。
     しかし、右(二)の瓦では、閉塞突片を斜め下流瓦の左肩隅角部が抑える
ことによって、その効果を期するものであるが、その閉塞突片では横方向の振れ止
めが一方向のみであるため、外れるおそれもあって瓦の横移動を防止する機能や浮
き防止の機能は十分でなく(同3欄【0006】参照)、右(三)の瓦では、尻隅閉塞突
堰の組み合わせによって上・下流側の瓦の振れ止め機能は高まるものの、左側(桟
部)寄りの強風に対する抑止機能が十分でないという欠点があった(同3
欄【0007】参照)。
 本件発明は従来技術が有する右の欠点を改良することを目的とし、以下
の二通りの手段によりこれを解決しようとするものである。
すなわち、
    (1) 第一の手段は、瓦の肩切込部(F)に面する肩横縁Fyの外側端寄りの
一部から肩切込部に向かって肩隅角突片1a,1dを突設することにより、同突片
1a,1dより肩縦縁Ft側の肩隅角部(C)に切込部2a,2dを形成し、併せて、下隅の小口
差込部(B)の一部(小口切込部(E)の小口横縁Eyに面する小口縦縁Et寄りの位
置)に陥凹部3a,3dを形成し、かつ、差込部(U)の下側端を支持軸部4a,4dとして残
すことによって、(ア)右の突片1a,1dが斜め上流側の瓦の陥凹部3a,3dに嵌入すると
ともに、(イ)右の支持軸部4a,4dが斜め下流側の瓦の切込部2a,2dに嵌入して、瓦が
相互に係止する構造とするものであり(同3欄【0008】・6欄【0015】参照)、
    (2) 第二の手段は、瓦の肩切込部(F)に面する肩縦縁Ft寄りの肩横縁
Fy側から肩隅角部(C)の一部に切込部2b,2cを形成することにより、同切込部
2b,2cの外側に肩隅角突片1b,1cを形成し、併せて、小口差込部(B)の下側端を差込
部側縁水返し6を含めて縦方向(下側)に延長することにより、下隅の小口切込
部(E)に支持軸部4b,4cを形成し、かつ、小口差込部(B)の小口縦縁Et寄りの一部
に陥凹部3b,3cを形成ことによって、(ア)右の突片1b,1cが斜め上流側瓦の陥凹部
3b,3cに嵌入するとともに、(イ)右の支持軸部4b,4cが斜め下流側瓦の切込部2b,2cに
嵌入して、瓦が相互に係止する構造とするものである(同3欄【0009】・6
欄【0015】参照)。
     右各手段により、斜め上流側瓦の陥凹部に斜め下流側瓦の肩隅角突片が
嵌入して抑止し、かつ、斜め下流側瓦の支持軸部が斜め上流側瓦の切込部に嵌入し
て、相互に係止め・振れ止めがなされ、浮き防止も強化されることとなる(同6
欄【0016】)。
    (以上、甲二)
   (二) 本件発明が達成しようとする右の課題と手段に照らして本件発明の構
成要件をみると、前記第一・第二のいずれの手段をとるにしても、同構成要
件(2)(3)は、要するに、瓦の肩切込部(F)の内側に凹部に当たる切込部(2a-d)
を設け、その外側に凸部に当たる肩隅角突片(1a-d)をそれぞれ設けて凹凸を形成
し、同構成要件(4)(5)は、要するに、瓦の小口切込部(E)の内側に凹部に当たる陥
凹部(3a-d)を設け、その外側に凸部に当たる支持軸部(4a-d)をそれぞれ設け
て同じく凹凸を形成し、これらの凹凸を上下流側瓦間で嵌入させ組み合わせること
(構成要件(6))がその要旨であると解することができる。
     このように、本件発明は、瓦の肩切込部と下隅小口切込部にそれぞれ凹
凸部を備え、特にいずれも外側に凸部を設け、それを嵌合させることによって横振
れを防ぎ、瓦相互の係止め・振れ止めの効果を発揮し、浮き防止の効果も強化され
ているものと認められる。
   (三) これに比較して、前記のように、イ号物件の構成(2)は、左肩切込
部(F)の入隅部に四角形のツメ押えを形成するのみで、内側に凹部・外側に凸部を
設けるとの構成や技術思想はなく、同構成(3)も、右下隅の小口切込部(E)に面す
る小口差込部(B)の外側に四角形のツメ(陥凹部)を形成するのみで、小口切込部
の内側に凹部・外側に凸部を設けるとの構成や技術思想はなく、従って、同構成(4)
も、単にツメ押えとツメとを垂直に重ね合わせるだけで、凹凸部をそれぞれ嵌入さ
せて組み合せるとの構成や技術思想は有していないこと、そのため、重なり合った
瓦が横振れすることを防止する機能はそれ自体では有していないことが認められ
る。
   (四) 従って、イ号物件の構成(2)ないし(4)は、本件発明の構成要件(2)ない
し(6)を充足しないものというべきである。
  5 原告らの主張の検討
   (一) 原告らは、本件発明の本質的部分は、肩切込部(F)に肩隅角突片1aを
形成し、小口切込部(E)に肩隅角突片1aが嵌入する陥凹部(3a)を形成し、これに
より瓦同士の浮き防止を図った点にあって、左右横方向の振れ止めだけが唯一の効
果ではないし、両横方向の振れ止めに限定されるものでもないと主張する。
     しかし、本件公報の【特許請求の範囲】に明記されているとおり、本件
発明の構成要件は、肩切込部(F)に切込部(2a-d)と肩隅角突片(1a-d)の両者
を形成し、小口切込部(E)に支持軸部(4a-d)と陥凹部(3a-d)の両者を形成す
ること、そして、該支持軸部が斜め下流瓦の該切込部に嵌入する構造であることを
特徴とするものである。
     特許発明の技術的範囲は、明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定
めなければならず(特許法七〇条一項)、明細書の特許請求の範囲には、特許を特
定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない(同法三六条五
項)のであるから、特許請求の範囲に記載された要件の一部を除外して発明の本質
的部分を限定することは許されない。
     原告らの右主張は採用することができない。
   (二) 原告らは、本件発明の【特許請求の範囲】は発明者が自ら記載したた
め稚拙な記載がみられるが、明細書作成上の巧拙によって権利範囲が一義的に特定
されるのは不合理であり、明細書作成の稚拙さによる無用の限定事項は一義的・形
式的に必須要件とせず、客観的・合理的な判断に基づいて拡大解釈をすべきである
と主張する。 
しかし、いかに新規性・進歩性のある特許発明でも、そのうちどの範囲
を権利として登録するかはすべて権利者の自主的な選択に委ねられているのであっ
て、その範囲は願書に添付された明細書の【特許請求の範囲】の記載によって客観
的に定まることは前記のとおりである。
発明者が明細書の作成を弁理士等の専門家に依頼せず自ら作成したため
に記載内容が稚拙であったとしても、それを理由に明細書の【特許請求の範囲】を
限定し、あるいは拡大して解釈することが許されるものではない。
     原告らの右主張も採用の限りではない。
   (三) 原告らは、本件発明の【特許請求の範囲】の記載では、肩隅角突
片(1a-d)は切込部(2a-d)の外側に位置することが限定されているだけで、肩
隅角突片がいずれの部位から突設されるかは限定されていないから、肩切込部(F)
の肩横縁(Fy)の端側から上向きに突出形成された実施例通りのものに限定される
べき特段の事情はなく、肩横縁(Fy)と肩縦縁(Ft)とを跨いで両者の入隅部に形
成されたイ号物件の形式も当然に含むものであると主張し、それを根拠にイ号物件
は本件発明の利用発明であるとも主張する。
しかし、本件発明の【特許請求の範囲】の記載によれば、肩隅角突片は
切込部の外側に位置することとされ、あくまで肩隅角突片は切込部と同時に形成さ
れることが要件とされているのであって、原告らの主張するように、肩横縁と肩縦
縁との入隅部に肩隅角突片を形成すればその内側に切込部(凹部)を形成すること
はできないから、イ号物件は本件発明の構成要件を充足しないことは明らかであ
る。
     従って、イ号物件が本件発明の構成要件をすべて利用してそれに付加し
た構成ということはできず、利用発明には当たらない。
     原告らの右主張は理由がない。
   (四) 原告らは、本件発明の【特許請求の範囲】の記載には、支持軸部4aは
「差込部側縁水返し(6)を含む小口差込部(B)の一部を瓦縦方向に延長させて」
形成するとされているが、これは明細書作成上の稚拙さによる意味不明の無用の限
定であると主張する。
     しかし、本件発明が課題とした従来技術の欠点を改良するための第二の
手段(前記4(一)(2))は、差込部側縁水返し(6)を含む小口差込部(B)の一部を
瓦縦方向に延長させて支持軸部を形成する点に第一の手段との差異があるとされて
いるのであるから、これを意味不明の無用の限定とは到底いうことができない。
   (五) 原告らは、本件発明では、陥凹部(3a-d)に肩隅角突片(1a-d)が
まず乗りかかり、それに従って切込部(2a-d)と支持軸部(4a-d)とが上下方向
で嵌入し得る関係になるが、陥凹部は浅い凹みで上下瓦を部分的に重ね合わせるた
めに存在するに過ぎず、切込部の左側縁と陥凹部の右側縁との係合は緩いので、陥
凹部には左横方向への振れ止めの機能はなく、この点でイ号物件も同様であると主
張する。
しかし、本件発明は、瓦の肩切込部に切込部(凹部)と肩隅角突片(凸
部)を、瓦の小口切込部に陥凹部(凹部)と支持軸部(凸部)をそれぞれ設けて、
上下に凹凸部を形成し、これらの凹凸を上下流側瓦間で嵌入させ組み合わせること
を基本的な構成要件とするもので、右の凹凸部の嵌合によって、瓦相互の係止め・
振れ止めの効果を発揮しようとするものであることは前記のとおりである。
     従って、陥凹部の凹みが浅く切込部との接触部の厚み自体は少ないとい
っても、陥凹部と肩隅角突片との嵌合、切込部と支持軸部との嵌合の双方が相俟っ
て瓦の両横方向への振れ止めの効果を発揮しているのであるから、本件発明が左横
方向への振れ止めの機能を有することはその基本的な構造の一部というべきであ
る。
     この点において、本件発明とイ号物件とは構成を異にするものであっ
て、原告らの右主張は理由がない。
 二 均等論について
  1 特許権侵害訴訟において、相手方が製造等をする製品等が特許発明の技術
的範囲に属するかどうかを判断するに当たっては、特許請求の範囲に記載された構
成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても、①右部分が特許発明の本
質的部分でなく、②右部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の
目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、③右のように置
き換えることに、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下
「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到すること
ができたものであり、④対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と
同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤対
象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外され
たものに当たるなどの特段の事情もないときは、右対象製品等は特許請求の範囲に
記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解する
のが相当である(最高裁第三小法廷平成一〇年二月二四日判決・民集五二巻一号一
一三頁参照)。
  2 そこで、イ号物件につき右均等の要件を検討する。
   (一) 先に検討したように、本件発明においては、瓦の肩切込部の内側に切
込部(凹部)とその外側に肩隅角突片(凸部)を、瓦の小口切込部の内側に陥凹部
(凹部)とその外側に支持軸部(凸部)をそれぞれ設けて、上下に凹凸部を形成
し、これらの凹凸を上下流側瓦間で嵌入させ組み合わせることを基本的な構成要件
とするものである。
     これに対し、イ号物件においては、肩切込部の入隅部に四角形のツメ押
えを、小口切込部に面する小口差込部の外側に四角形のツメ(陥凹部)をそれぞれ
形成するのみで、肩切込部や小口切込部の内側に凹部・外側に凸部を設けてこれら
を嵌合させるとの構成を採用していないことは前記(一4(三))認定のとおりであ
る。
     従って、右の相違は本件発明の本質的部分に関するものであるから、イ
号物件は、前記均等論を適用するに必要な要件①を欠くものである。
   (二) そうすると、その余の要件を検討するまでもなく、イ号物件は本件発
明の技術的範囲には属さないというべきである。
第三 結論
  以上の次第で、被控訴人のイ号物件の製造販売等が本件特許権を侵害するもの
とは認められないから、控訴人らの本訴請求はその余の点について判断するまでも
なく棄却すべきである。これと同旨の原判決は相当であって本件各控訴は理由がな
い。
  よって、主文のとおり判決する。
  (口頭弁論終結日 平成一一年六月三日)
    大阪高等裁判所第八民事部
        裁判長裁判官    鳥  越  健  治
           裁判官    小  原  卓  雄
           裁判官    山  田  陽  三

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛