弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
本件各控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
       事   実
 控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人らに対し、それぞれ
原判決別表(一)債権額記載欄の金員およびこれに対する本件各訴状送達の日の翌
日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一・二審とも
被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求め
た。
 当事者双方の事実上の主張ならびに証拠関係は、次に附加するほか原判決摘示の
とおりであるからこれを引用する。
 (控訴人ら代理人の陳述)
 控訴人らの本件年次有給休暇(以下年休という。)の請求は何ら被控訴人の事業
の正常な運営を妨げる場合には該らない。
 すなわち、「現業機関及び職場の名称・担当業務等に関する規程」によれば、機
関区の業務は(1)機関車・気動車等及び動力車乗務員の運用(2)機関車・気動
車等の運転・検査及び整備(3)気動車列車の組成、電車区の業務は(1)電車等
及び動力車乗務員の運用(2)電車等の運転・検査及び整備(3)電車列車の組
成、運転所の業務は(1)機関車・電車・気動車及び客車並びに動力車乗務員の運
用(2)機関車・電車及び気動車の運転・検査及び整備(3)客電及び貨車の検査
及び整備(4)特殊貨物の輸送検査(5)列車の組成及び車輛の入換え、とそれぞ
れ定められており、控訴人らが本件青年職員研修会に参加しないことが、控訴人ら
所属の事業場である右機関区等の業務の正常な運営の妨げとなる事実は全くない。
 したがつて、被控訴人が控訴人らの年休請求に対してなした時季変更権の行使
は、その効力を生ずる余地はない。
 (被控訴代理人の陳述)
 被控訴人のした控訴人らの年休請求に対する時季変更権の行使は適法有効であ
る。
 被控訴人は公共企業体として、国民の生命・財産を安全かつ迅速に輸送するとい
う使命を有しており、その本来的使命をはたすためには、被控訴人はその職員に対
して、その使命を完うするに必要な教育訓練をなすことは当然の責務であり、控訴
人ら主張のような機関区等の本来の業務ばかりでなく、それら事業場に所属する職
員の労働力の良質化、向上を図るため、本件青年研修会のような職場内教育に参加
させることもまた当該事業場における事業の一内容というべきであり、この事業の
正常な運営を妨げることを理由とした時季変更権の行使が、適法有効であることは
いうまでもない。
 (証拠関係) (省略)
       理   由
一、控訴人らが、被控訴人の職員として雇用され、それぞれ原判決別表(一)勤務
箇所欄記載の箇所に勤務し、同表職名欄記載の職務に従事していること、被控訴人
が日本国有鉄道法に基づき鉄道事業等を経営する公共企業体であることは、いずれ
も当事者の間に争いがない。
 そして、被控訴人が、控訴人P1、同P2を除くその余の控訴人らについて、その
主張する賃金支給日に、それぞれ主張の金額を減額控除してその分を同控訴人らに
支給しなかつたこと、はいずれも当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第二
一号証、同第八二号証によれば、控訴人P1に支給されなかつた金額は金一、〇八八
円であり控訴人P2は、減額支給されたものではなく、一たん全額を支給されたのを
後日金二、一七五円だけ被控訴人に戻入したものである事実が認められ、これに反
する証拠はない。
二、本訴において、控訴人P3、同P4、同P5、同P6、同P7は、いずれも年次有給
休暇(以下年休という。)を請求しないで所定の仕業に従事したとして、控訴人P
8は一部仕業に従事し、一部年休を請求したとして、右控訴人らを除くその余の控訴
人らはいずれも年休を請求したとして、被控訴人のなした賃金減額等の違法を主張
するので、以下右主張の年休請求者(控訴人P8の年休請求分を含む三五名)および
仕業に従事した者(同控訴人の仕業従事分を含む六名)の各別に判断することとす
る。
三、年休請求者について
(一) 控訴人P9、同P10、同P11、同P12、同P13、同P14、同P15、同P16、
同P17、同P18、同P19、同P8ら一二名が、それぞれ原判決別表(二)記載の伝達
者の職氏名欄の者から伝達の日欄記載の日に、被控訴人管下の静岡鉄道管理局が行
つた青年職員研修会に参加すべき業務命令を受けたこと(各参加すべき日は原判決
別表(一)記載の休暇日に該る。)は当事者間に争いがない。
 いずれも成立に争いのない乙第二二、第二三号証、同第三一号証、同第三五、第
三六号証、同第三八、第三九号証、同第四一、第四二号証、同第四四ないし第四六
号証、同第四八ないし第五〇号証、同第五二号証、同第五四号証、同第五七ないし
第五九号証、同第八三号証、同第八五号証、同第八八、第八九号証、同第九一号
証、同第九六ないし第九九号証、同第一〇三、第一〇四号証、同第一〇七号証、同
第一一四、第一一五号証、同第一一七号証、同第一一九号証、原審証人P20の証言
から真正に成立したものと認める乙第三〇号証、同P21の証言から真正に成立した
ものと認める同第五六号証、同P22の証言から真正に成立したものと認める同第八
一号証、同P23の証言から真正に成立したものと認める同第八六号証に右各証人の
証言を総合すれば、前記控訴人らを除く控訴人ら二三名が、前同様原判決別表
(二)記載のとおり、それぞれ青年職員研修会に参加すべき業務命令を受けたこと
が認められ、原審ならびに当審における控訴人P24本人尋問の結果中右認定に反す
る部分は、前掲証拠と対比してこれを措信せず、他に右認定を左右するに足りる資
料はない。
(二) 控訴人P24、同P25、同P2、同P17を除く控訴人ら三一名が、その主張の
休暇日につき年休を請求したこと(ただし、控訴人P8は午後のみ)、右控訴人らを
含む控訴人三五名が、各休暇該当日(原判決別表(一)のとおり)に年休であると
して前記青年職員研修会に参加しなかつた事実は当事者間に争いがない。
 いずれも成立に争いのない乙第四三号証、同第四八号証、同第五〇、第五一号
証、同第五五号証、前顕乙第八一号証、原審証人P26の証言から真正に成立したも
のと認める乙第一〇八号証によれば、原判決別表(一)記載の休暇日のうち、控訴
人P24は昭和四二年九月一九日分については年休を請求したが、同月二〇日につい
ては公休であるとして上司の公休日の振替え指示に従わず、また、年休の請求もし
なかつたこと、控訴人P25は研修前日である同年一〇月一〇日には年休を請求した
が同月一一・一二日については年休の請求をしなかつたこと、控訴人P2は同月一一
日の分は年休の請求をしたが同月一二日の分については請求をしなかつたこと、控
訴人P17は同年一一月二九・三〇日の両日とも年休を請求しなかつたことがそれぞ
れ認められる。原審ならびに当審における控訴人P24、同P25、同P17各本人尋問
の結果中右認定に反する部分は、前掲証拠に対比して措信し難く、他に右認定を左
右するに足りる証拠はない。
(三) 控訴人らは、国鉄動力車労働組合静岡地方本部(以下動労静岡地本とい
う。)と静岡鉄道管理局との間で、右青年職員研修会には、参加を承諾した者に対
してのみ業務命令を出して参加させることとし、参加を希望しない者には業務命令
を出さないこととする趣旨の協定が成立していると主張し、成立に争いのない甲第
一号証の記載、原審ならびに当審証人P27の証言中には右主張にそう部分もあるが
後記各証拠と対比して直ちにこれを信用することはできず、他に右主張事実を認め
させるに足りる証拠はない。かえつて、原審証人P28、同P29、同P23の各証言に
よれば、青年職員研修会に組合員を参加させることに反対していた動労静岡地本の
申入れにより、静岡鉄道管理局側においては、動労所属組合員に研修会参加を命ず
る際には、特に係員から研修会の趣旨・内容等を説明して参加を説得するように努
めることとしたものであつて、説得に応じた者のみを参加させ、応じなかつた者に
は業務命令を出さない旨取り決められたものではない事実が認められるから、控訴
人らの右主張は採用できない。
(四) 控訴人ら公共企業体職員に労働基準法の適用があることは争いのないとこ
ろであるから、前記控訴人らのした年休の請求が当該労働日について効力を生じた
かどうかが主要な争点となるが、右年休の請求が、被控訴人の実施した青年職員研
修会へ参加すべきものとされた日になされたことから当事者間において、種々その
効力が争われているのでまずこの青年職員研修会(以下単に研修会という。)の内
容および研修会への参加を命じた業務命令の効力について判断することとする。
1 成立に争いのない甲第二〇号証、原審証人P30の証言から真正に成立したもの
と認める乙第一号証、同第四号証、同P31の証言から真正に成立したものと認める
同第二号証と、右各証言を総合すれば、次の事実を認めることができる。
 すなわち、静岡鉄道管理局は、管内における鉄道死傷事故の多発に鑑み、昭和四
二年八月ころ、職員管理規程に基づき、職員に対する職場内教育の一環として、青
年職員に安全意識を涵養させるとともに、規律正しい共同生活を体験させ、心身と
もに健全な職員を育成することを目的として、昭和四二年度青年職員研修会の実施
を計画し、その主たる内容は、「(1)静岡県社会教育施設である静岡県立焼津青
少年の家を利用し、一回の研修期間は一泊二日とする。(2)対象者は静岡鉄道管
理局管内の年令二五才以下の男子職員で鉄道学園初等科程終了者等とし、参加人員
は一回四二名宛として前後一三回に分けて実施する。(3)研修目的は青年職員に
共同生活を体験させ、心身ともに健全な職員を育成することを主眼とし、専任安全
管理者および業務別安全管理者による安全講座および安全座談会を実施する。
(4)受講者の勤務は出張扱いとし、旅費日当を支給する。」というものであり、
その具体的な研修日程は
(第一日)
一三・〇〇分~一三・三〇分 入所式 主催者および所長挨拶、入所中の遵守事項
伝達
一三・三〇~一五・〇〇 講話 青年の家所長
一五・〇〇~一六・〇〇 レクリエーシヨン 体操・歌唱その他
一六・〇〇~一六・四〇 オリエンテーシヨン 自己紹介・青年の家講師指導
一六・四〇~一七・〇〇 夕べの集い 国旗降納
一七・〇〇~一九・〇〇 夕食・入浴 班別に入浴する
一九・〇〇~二一・〇〇 キヤンドルサービス 火を囲んで演芸などを行う
二一・〇〇~二二・〇〇 自由時間
二二・〇〇 就寝・消灯
(第二日)
六・三〇 起床 寝具整理・洗面
七・〇〇~七・四〇 朝の集い 国旗掲揚・体操・清掃
七・四〇~八・三〇 朝食
八・三〇~九・三〇 安全座談会
九・三〇~一一・〇〇 レクリエーシヨン 体操・歌唱その他
一一・〇〇~一二・〇〇 自由時間 あとかたづけ・清掃
一二・〇〇~一三・〇〇 昼食
一三・三〇 解散 焼津駅前
というものであつたこと、右研修に際してはその都度管理局において予め作成した
青年職員安全研修講座資料を配布するとともに、管理局の安全関係所管の担当係員
が出席して安全意識昂揚に役立つ安全講義等を行うことにしていたこと、右研修日
程のうち国旗掲揚等は、右研修会場である焼津青少年の家の日課表に定められてい
たもので、同施設を利用する場合には日課に組入れることとされているものである
こと、以上の各事実が認められ、この認定を左右するに足りる資料はない。
2 控訴人らは、右研修会への参加を命じた被控訴人の業務命令は、労働契約上の
義務となつていない事項についてなされたものであるから無効であると主張する。
 およそ使用者が、その雇用する労働者との間の労働契約に基づき、当該労働者が
労働力の自由処分を許諾した範囲内において、業務命令をもつてその業務に関する
一定の指示命令をなし得ることはいうまでもないところである。
 そして、右業務に関する指示命令には、直接現在の担当業務の遂行に関する事
項、現在の業務遂行のために必要な規則、規程等の修得、または技術、技能それ自
体およびその向上に必要とされる教育訓練、研修等への参加、労働者の労働力を良
質化し、向上させるための研修参加等をも含むものと解するのが相当である。もつ
とも、このことは企業等の要請のままに人間開発、人格形成をなす義務までを労働
者に課することを意味するものでないことはいうまでもないから、専ら人格陶冶を
目的とする教養教育などは一般的には業務命令をもつてその受講を命じ得ないもの
というべきである。
 ところで日本国有鉄道が、公共企業体として行う事業である鉄道輸送に際し、高
度の安全を確保しなければならないことはいうまでもないところであり、その職員
もまた業務の遂行にあたり安全の確保のために万全を期さなければならないことは
職務上の義務というべきである(甲第二一号証、日本国有鉄道就業規則第五条の二
参照。)。したがつて、国鉄職員の場合には、安全に関する教育啓蒙のための研修
を受けることも業務遂行に直接必要なものとして当然に労働契約の内容に包含され
るものと解することが相当である。
 しかして、本件研修会の目的および内容は前認定のように、職員管理規程に定め
られた職場内教育の一環として、安全意識の涵養、規律ある共同生活の体験等を目
的として行われたものであるから、職員に対し業務命令をもつてこれに参加するこ
とを命じ得るものと認めるのが相当である。もつとも、研修会が、控訴人ら主張の
ようにレクリエーシヨン的な色彩を帯びていたこともまた前認定のところから否定
できないところであるが、主たる目的が前示のとおりである以上その内容において
スポーツ・演芸等のレクリエーシヨン的な要素を含むものであつたとしても、これ
をもつて直ちに業務命令をもつて命じ得る研修の範囲を逸脱したものということは
できない。
 したがつて、研修会への参加を命じた被控訴人の業務命令は適法であり、この点
に関する控訴人らの主張は採用し得ない。
3 控訴人らはまた、本件研修会は国旗掲揚、君が代斉唱など個人の思想・信条の
選択を迫る内容をもつものであるから、これへの参加を命ずる業務命令は憲法第二
一条に違反するものとして無効である。また、右研修会は、いわゆるマル生運動と
同質のものであつて不当労働行為の意思をもつてなされたものであるから無効であ
る、旨主張するけれども、本件研修に際して行われた国旗の掲揚等は、前認定のよ
うに研修のための会場として被控訴人が利用した焼津青少年の家が日課として行う
ものに過ぎず、被控訴人において殊更に思想教育・思想攻撃を意図して実施したも
のということはできないばかりでなく、右日課行事の部分への参加が強制されてい
たものとも認められないので、研修会への参加を命じたことが憲法第二一条に違反
するということはできないし、また本件にあらわれたすべての証拠資料によつて
も、被控訴人が不当労働行為の意思をもつて研修会を実施したものと認めるには足
りないから、控訴人らの右各主張はいずれもこれを採用することはできない。
4 原審証人P27の証言から真正に成立したものと認める甲第三、第四号証、同第
七号証、同第九号証、同P32の証言から真正に成立したものと認める甲第八号証、
同P33の証言から真正に成立したものと認める甲第一一号証、同P34の証言から真
正に成立したものと認める甲第一二号証、同P35の証言から真正に成立したものと
認める甲第一三号証、同P36の証言から真正に成立したものと認める甲第一五号証
ならびに右各証言中上記各認定に反する部分は、いずれもこれを採用しない。
(五) そこで、右のような研修会への参加を命じられた控訴人らが、研修に参加
すべきものとされた日についてなした年休請求の効力について判断することとす
る。
1 被控訴人は、控訴人らのした年休の請求は、非代替的業務の提供が予定されて
いる業務上の出張命令が出されている日についてなされたものであるから年休請求
の効力が生じない旨主張する。しかし、非代替的業務の提供が予定されている日で
あるからといつて、直ちに年休請求が許されず、これをしても効力を生じないもの
と解すべき根拠はない。むしろ労働基準法第三九条第三項が年休の時季の決定を第
一次的に労働者の意思にかからしめ、同項但書の事由が客観的に存在する場合には
じめて使用者に時季変更権の行使を許すものと定めている趣旨からみれば、たとえ
同項但書所定の「事業の正常な運営を妨げる場合」であることが事前に客観的に明
らかである場合であつても、直ちにこのことから労働者のなす年休の請求が無効と
なるものではなく、このような場合においても使用者の時季変更権の行使があつて
はじめて当該労働日についての年休の請求が効力を失うものと解すべきであるか
ら、控訴人らの年休請求が効力を生じない旨の被控訴人の主張は採用し得ない。
2 被控訴人は、控訴人らのした本件年休の請求は、動労静岡地本の指令に基づ
き、青年職員研修反対という要求貫徹の手段としてなされた争議行為であり、この
ように争議行為としてなされた年休の請求は、その制度の趣旨と相容れないものと
して許されない、仮りにそうでないとしても、もつぱら研修会の開催に反対し当局
の従業員教育を妨害することを目的とするもので、年休の取得それ自体が目的では
なく、当局を困らせることだけを目的としたものであるから権利の濫用である旨主
張する。
 控訴人ら所属の動労静岡地本が、静岡鉄道管理局長に対し青年職員研修会の開催
は組合側に対する思想攻撃、組織分断攻撃であるとして、断固反対の立場を明らか
にし、即時中止方を申入れ、さらに被控訴人主張のように研修会参加拒否の体制を
確立して闘うことを決定して各支部に各種の指令を発し、研修参加を命ぜられた組
合員の年休行使による研修会参加拒否を呼びかけたこと、控訴人らが右指令に基づ
いて年休を請求したものであること、はいずれも当事者間に争いがない。
 しかしながら、労働基準法第三九条第一、二項に定める年次有給休暇は、これを
いかなる目的に利用するかはもつぱら労働者の自由に委ねられているところであつ
てその行使が、争議の目的達成の意図をもつて同盟罷業等の手段としてなされ、も
はや年休請求というに値しないような場合であれば格別、前示のように単に研修参
加を命ぜられた各所属の事業所を異にする一部特定の労働者が各個別に研修参加を
拒むための手段として年休請求権を行使したに過ぎない本件においては、かりに右
年休請求が組合の掲げる争議目的の達成に合致するものであるとしても、これを年
休に名を藉りた争議行為であると評価し、この故に年休請求を無効ならしめるもの
とすることは相当ではなく、したがつて、またこのことを目して権利の濫用という
こともできないから、この点に関する被控訴人の主張はいずれもこれを採用し得な
い。
(六) 前顕乙第二三号証、同第五六号証、同第五八号証、同第八一号証、同第九
七、第九八号証、同第一一四号証、いずれも成立に争いのない乙第二六号証、同第
二八、第二九号証、同第三四号証、同第三七号証、同第四三号証、同第四七号証、
同第五二号証、同第六二号証、同第六四、第六五号証、同第八四号証、同第八七号
証、同第九二号証、同第一〇五号証、同第一一六号証、同第一一八ないし第一二〇
号証、原審証人P37の証言から真正に成立したものと認める乙第二五号証、同P
20の証言から真正に成立したものと認める同第三二号証および同第一〇一号証、同
P21の証言から真正に成立したものと認める同第四〇号証、同P23の証言から真正
に成立したものと認める同第五三号証、同P38の証言から真正に成立したものと認
める同第六〇号証および同第九〇号証、同P26の証言から真正に成立したものと認
める同第九三号証、同第一〇二号証および同第一二二号証、同P39の証言から真正
に成立したものと認める同第九五号証によれば、被控訴人は原判決別表(三)記載
のとおり、年休を請求した控訴人らに対し、同表記載の告知者の職氏名欄の職にあ
る者から告知の日時欄記載の日時に、それぞれ当該年休の請求に対し「その日は研
修会出席のための出張になつているから年休を与えられないので他の日に請求して
貰いたい」旨を告知して、いわゆる時季変更権を行使した事実が認められる。原審
における控訴人P40、同P41、同P19、同P42、同P2、同P43、同P44、同P45各
本人尋問の結果中右認定に反する部分は前掲証拠と対比してこれを措信せず、他に
右認定を左右するに足りる資料はない。
 そこで、被控訴人のした右時季変更権の行使が有効であるかどうかについて判断
するに、労働基準法第三九条第三項但書により使用者が時季変更権を行使し得るた
めには、年休の請求が当該労働者の所属する事業場における事業の正常な運営を妨
げる場合であることが客観的に明らかであることを要するところ、右事業には当該
事業場の通常の業務それ自体は勿論、事業遂行上必要とされる直接間接の業務をも
含むものと解するのが相当であり、鉄道輸送を主たる事業とする被控訴人におい
て、その安全の確保を目的として職員に対して行う安全研修等の職場内教育もまた
被控訴人の事業の遂行上必要な業務というべく、したがつて、控訴人ら所属の事業
場である機関区、運転所、電車区の業務が、控訴人ら主張のとおり定められている
ことは被控訴人の明らかに争わないところではあるが、右各事業場がその業務の遂
行上必要とされる安全研修に所属職員を参加させることも当然その事業場における
事業に該るものとみるのが相当である。
 そして、当該事業場において、特定の職員を指名して右安全研修に参加させるこ
とは、当該職員をして非代替的な業務の遂行を命じたものであつて、かような非代
替的な業務の遂行を命じられた者をして研修に参加させることそれ自体が事業場に
おける事業の正常な運営を図ることにほかならないから、控訴人らが、本件研修会
に参加すべきことを命ぜられた日に年休を請求することは、客観的に所属事業場に
おける事業の正常な運営を妨げる場合に該るものとして、被控訴人において時季変
更権を行使することを許されるものと認めるのが相当である。
 したがつて、被控訴人が前示年休を請求した控訴人らに対してなした時季変更権
の行使は有効であり、右控訴人らのした年休の請求はその効力を生じなかつたもの
というべく、それにもかかわらず、右控訴人らは年休であるとして研修会にも参加
しなかつたのであるから、その賃金を減額した被控訴人の措置は適法であり、同控
訴人らの本訴請求は理由がない。
(七) また、控訴人P24、同P2は、各一日、同P25、同P17は各二日間について
それぞれ年休の請求をせず、また研修会にも参加していなかつたことは前示のとお
りであるから、該当日について賃金請求権が発生しないことはもちろんであつて、
これを減額した被控訴人の措置に違法の廉はなく、同控訴人らの本訴請求も理由が
ない。
四、仕業に従事した者について
(一) 控訴人P3、同P5、同P7、同P8がそれぞれ原判決別表(二)記載の伝達
者の職氏名欄の職にある者から伝達の日欄記載の日に本件研修会への参加を命ずる
業務命令を受けたこと(各参加すべき日は原判決別表(一)記載の乗務日または休
暇日および乗務日に該る。)は当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第七一
号証、同第一〇九号証、原審証人P46の証言によれば、控訴人P4、同P6に対して
もそれぞれ前記控訴人ら同様の日時方法で右研修会に参加すべきことを命ずる業務
命令が伝達された事実が認められ、この認定を履すに足りる証拠はない。
(二) 前顕乙第七一号証、同第一〇九号証、同第一二二号証、いずれも成立に争
いのない乙第六八号証、同第七七、七八号証、同第一一〇ないし第一一三号証、同
第一二一号証、原審証人P29の証言から真正に成立したものと認める乙第六七号
証、同P39の証言から真正に成立したものと認める同第六九号証、同P47の証言か
ら真正に成立したものと認める同第七〇号証、同P46の証言から真正に成立したも
のと認める同第七二号証および同第七六号証、同P48の証言から真正に成立したも
のと認める同第七三号証および同第七五号証、同P49の証言から真正に成立したも
のと認める同第七四号証、同P50の証言から真正に成立したものと認める同第七九
号証、同P51の証言から真正に成立したものと認める同第八〇号証に右各証言を総
合すると、右控訴人P3、同P5、同P7、同P8、同P4、同P6の右研修会に参加す
べき日については、被控訴人は予め他の代務者を指定充当し、その者によつて右控
訴人らの行う業務を代替して行わせることに変更されていたのに拘らず、右控訴人
らは殊更に右業務命令を無視して研修会に出席せず、変更されている業務に就こう
とした(ただし、控訴人角皆は午前中のみ)事実が認められ、右認定を左右するに
足りる資料はない。
(三) 控訴人らに研修会への参加を命じた業務命令が有効であることは既に判断
したとおりであるから、控訴人らにおいて右業務命令に反して右のごとく仕業に就
き、或いは就こうとしたとしても、これは労働契約に基く債務の本旨に従つた履行
の提供とはいえないことが明らかであり、勤務に従事しなかつたものとして賃金請
求権を発生する余地はないものというほかはない。
 したがつて、右控訴人らの本訴請求はそのほかの点について判断するまでもなく
理由がない。
五、よつて、控訴人らの本訴各請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべく、
これと同旨の原判決は相当であつて、本件各控訴はすべて理由がないからこれを棄
却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条
を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 江尻美雄一 滝田薫 桜井敏雄)

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◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
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応募方法
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残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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71期修習生 72期修習生 求人
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ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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応募方法
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