弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人等の負担とする。
         理    由
 上告人等の上告理由(梗概書、詳論書)第三点について。
 所論財産関係は、記録によれば第一審における準備手続の際、上告人等の主張が
第一審判決事実摘示欄記載の限度に整理されたものであることが認められるのであ
り、又、所論「補正申立書」は、原審最終口頭弁論期日と同日附を以て作成提出さ
れているが、相手方に送達もなく、右口頭弁論においてその陳述もなされていない
ものである。のみならず被上告神社設立の当時施行されていた宗教法人令(昭和二
一年勅令七〇号による改正後の昭和二〇年勅令七一九号)三条によれば、神社は、
同二条の教派、宗派、教団の場合と異り、「財産管理其ノ他ノ財務ニ関スル事項」
を「神社規則」の必要的記載事項としていないのであつて、財産的要素の存否は神
社の設立自体に影響がなかつたものと解されるばかりでなく、当時の宗教法人令施
行規則(昭和二一年司法文部省令一号による改正後の昭和二〇年司法文部省令一号)、
宗教法人設立登記及神社寺院教会財産登記取扱手続(昭和二一年司法省令四号によ
る改正後の昭和二〇年司法省令七六号)によつても、神社の財産関係の登記は、設
立登記と全く別個の手続によるのであつて、、本訴が、被上告神社の財産関係登記
の抹消を求めるものでなく、設立登記の抹消を求めるものである限りにおいて、財
産関係の主張は、本訴に影響ありとなしえないものといわなければならない。され
ば右いずれの点からみても、所論財産関係の主張のなされたことを前提とする判断
遺脱、法令違背の論旨は採用の限りでない。
 同第四点について。
 原判決が、被上告神社を以て昭和二六年二月一〇日頃前記宗教法人令三条による
神社規則の作成によつて結成され、同四条による設立登記によつて宗教法人として
成立したものとする趣旨であることは、その判示自体に徴して明らかであつて、論
旨は理由がない。又、論旨中憲法二九条違反の主張は、原判示にそわない事実を前
提とするものであつて、採用の限りでない。
 その余の論旨も亦、「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法
律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又
同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    池   田       克

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