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平成17年3月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成15年(ワ)第8312号 商標権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成16年12月20日
判       決
     原      告原頭工業株式会社
訴訟代理人弁護士   山 川 富太郎
                山 田 拓 男
補佐人弁理士     丸 山 敏 之
           宮 野 孝 雄
           北 住 公 一
       長 塚 俊 也
     被      告   ニューNT工法協会
     被      告   株式会社エヌ・ワイ・ケイ
被告ニューNT工法協会、被告株式会社エヌ・ワイ・ケイ訴訟代理人弁
護士
               鎌 倉 利 行
                檜 垣 誠 次
                鎌 倉 利 光
                今 井 俊 裕
           下 元 高 文
      石 井 将 治
     被      告     A
A訴訟代理人弁護士  藤 本 卓 司
主       文
 原告の請求をいずれも棄却する。
       訴訟費用は原告の負担とする。
事       実
第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨
(1) 被告ニューNT工法協会は、建築現場における鉄筋の継手工事についてそ
の会員に別紙被告標章目録記載1ないし4の標章の使用をさせるために、同目録記
載1ないし4の標章を表示した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資
格証明書、取引書類を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し
てはならない。
(2) 被告ニューNT工法協会は、その所有に係る別紙被告標章目録記載1ない
し4の標章を付した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明書、
取引書類を廃棄せよ。
(3) 被告ニューNT工法協会は、その会員に、別紙被告標章目録記載1ないし
4の標章を付した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明書、取
引書類の使用をさせてはならない。
(4) 被告株式会社エヌ・ワイ・ケイは、標準仕様書に別紙被告標章目録記載1
ないし4の標章を付したものを用いて、建築現場における鉄筋の継手工事を提供し
てはならない。
(5) 被告株式会社エヌ・ワイ・ケイは、建築現場における鉄筋の継手工事に関
する標準仕様書、パンフレット、広告、取引書類に別紙被告標章目録記載1ないし
4の標章を付して展示し、又は頒布してはならない。
(6) 被告株式会社エヌ・ワイ・ケイは、その所有に係る別紙被告標章目録記載
1ないし4の標章を付した標準仕様書、パンフレット、広告、取引書類を廃棄せ
よ。
(7) 被告株式会社エヌ・ワイ・ケイは、その下請企業に、別紙被告標章目録記
載1ないし4の標章を付した標準仕様書、パンフレット、取引書類の使用をさせて
はならない。
(8) 被告Aは、標準仕様書に別紙被告標章目録記載1ないし4の標章を付した
ものを用いて、建築現場における鉄筋の継手工事を提供してはならない。
(9)被告Aは、建築現場における鉄筋の継手工事に関する標準仕様書、パンフ
レット、広告、取引書類に別紙被告標章目録記載1ないし4の標章を付して展示
し、又は頒布してはならない。
(10)被告Aは、その所有に係る別紙被告標章目録記載1ないし4の標章を付
した標準仕様書、パンフレット、広告、取引書類を廃棄せよ。
(11) 訴訟費用は被告らの負担とする。
(12) 仮執行宣言
2 請求の趣旨に対する答弁(被告ら)
主文同旨。
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1) 当事者
ア 原告
原告は、建築工事業、配管及び溶接工事業、鉄筋工事業等を目的とする
株式会社である。
イ 被告ら
(ア) 被告ニューNT工法協会(以下「被告現協会」という。)は、継手
スリーブを使用した鉄筋の溶接継手工法の普及活動を行っている私的団体であり、
法人登記はしていない。
(イ) 被告株式会社エヌ・ワイ・ケイ(以下「被告NYK」という。)
は、土木工事業、建築工事業、鉄筋・鋼構造物工事業等を目的とする株式会社であ
る。
(ウ) 被告A(以下「被告A」という。)は、建設業、鉄筋溶接業等を業
とする個人事業者である。
(2) ニューNT工法
ア(ア) 有限会社K1(以下「K1」という。)代表者であったP1は、半
自動炭酸ガスアーク溶接法を用い、鉄筋の接続部に円筒形のスリーブをはめて行う
溶接継手の製作方法を発明し、これをNT工法と称し、昭和57年4月20日、こ
れについて特許出願をし、平成2年9月13日、特許の設定登録を受けた(別紙特
許権等目録記載一の特許権。以下、この特許権を「第一特許権」といい、その特許
発明を「第一特許発明」という。)。
原告は、昭和62年からNT工法による鉄筋溶接事業へ参入し、P1
とともに第一特許発明に係る工法の改良に取り組み、K1の下請となって技術力を
向上させて工事の実績を上げ、NT工法に対するゼネコンの信頼を獲得するように
努めた。
(イ) 原告はP1とともに第一特許発明に係る工法を改良し、筒型のスリ
ーブに代えて、円筒形の4分の1程度をカットしたスリーブを開発した。これにつ
いて、P1は、昭和63年10月21日、発明者をP1として特許出願を行った
(別紙特許権等目録記載二の特許権に係る特許発明についての特許出願。以下、同
目録記載二の特許権を「第二特許権」といい、その特許発明を「第二特許発明」と
いう。)。
(ウ) 第一特許権は、平成4年4月23日、P1から同人の妻であるP2
に譲渡され、同年6月22日、その旨の移転登録がされ、平成5年1月27日、P
2からP3に買戻しの特約付きで譲渡され、同年3月22日、その旨の移転登録が
された。
P1は、平成2年ごろから、同人がK1の代表を辞める場合などに原
告に第一特許権及びNT工法事業を承継させることを認めており、平成4年12月
12日、K1の営業権及び第一特許権を原告に譲渡することを約した。これによ
り、原告は、K1の正式な承継会社となった。K1、P1及びP2は、平成5年3
月9日、大阪地方裁判所で破産宣告を受けた。原告は、NT工法の事業を続けるた
めに第一特許権及び第二特許発明の特許を受ける権利が必要であったことから、同
年7月28日、P2破産管財人P4との間で、代金を3120万円とし、同破産管
財人がP3に対する買戻権を行使して第一特許権を破産者P2名義にした上で、同
特許権を移転すること、第二特許発明の特許を受ける権利を原告に移転することを
内容とする契約を締結した。第一特許権については、平成6年3月28日、P3か
ら破産者P2への移転登録と、同人から原告への移転登録がされた。原告は、平成
8年8月22日、第二特許権につき設定登録を受けた。第二特許発明の発明者はP
1とされているが、前記(イ)のとおり、同特許発明は、原告とP1の共同研究によ
るものである。
(エ) 第二特許発明のスリーブには作業性に関して不都合な点があったの
で、原告代表者は、半円筒形でかつ軸方向の中央部内面に溶接金属を充満させる溝
条を形成したスリーブを発明した。これについて、原告は、平成7年3月31日、
発明者を原告代表者として特許出願を行い、平成12年8月11日、特許の設定登
録を受けた(別紙特許権等目録記載三の特許権。以下、この特許権を「第三特許
権」といい、その特許発明を「第三特許発明」という。)。
原告は、鉄筋の突合せ溶接による接続の際、接続部に半円筒形スリー
ブをはめて行う工法を「ニューNT工法」と称することにした。
(オ) 原告は、第三特許発明に係るスリーブの縁にルート間隔(鉄筋の突
合せ間隔)の幅で切欠きを形成したものについて、平成7年3月31日、考案者を
原告代表者として実用新案登録出願を行い、平成9年6月4日、実用新案の設定登
録を受けた(別紙特許権等目録記載四の実用新案権。以下、この実用新案権を「本
件実用新案権」という。)。
イ 被告らは、ニューNT工法に用いられる半円筒形スリーブの発明者が原
告代表者であり、原告がそのようなスリーブに係る第三特許発明の特許権者である
ことを認めていた。
第三特許権及び本件実用新案権の各出願の際には、これらの登録名義を
被告らの共有にするという話はなく、被告らは、本件訴訟に至って初めて、第三特
許権が原告、被告NYK、K2株式会社(以下「K2」という。)、K3株式会社
(以下「K3」という。)の共有であると主張するようになった。
(3) 商標権
ア 第一商標権
(ア) 原告は、平成6年2月9日、別紙商標権目録記載一の商標権(以下
「第一商標権」といい、その登録商標を「第一商標」という。)につき商標登録出
願をし、平成10年12月18日、商標登録を受けた。
(イ) 原告は第一商標権を有している。
イ 第二商標権
(ア) 原告が施工するニューNT工法は、半割型スリーブを使用した安全
性、作業性に優れた工法として建築業界で周知されていたので、原告は、平成7年
3月2日、別紙商標権目録記載二の商標権(以下「第二商標権」といい、その登録
商標を「第二商標」という。)につき商標登録出願をし、平成11年1月29日、
商標登録を受けた。
(イ) 原告は第二商標権を有している。
ウ 費用負担等
第一商標及び第二商標の商標登録出願は、原告、株式会社K4(以下
「K4」という。)、K3の3社の協議によりK5特許事務所に依頼したものでは
なく、原告が単独で依頼し、出願費用も支払ったが、約6か月から1年半後にK4
とK3が出願費用の一部を負担したものである。
第一商標及び第二商標が商標登録された際の出願代理人の成功報酬及び
登録料の支払は、ニューNT工法協会が支出しており、同協会の財産は、正会員、
準会員等の構成員の費用負担で構成されているから、これを正会員4社の負担とい
うのは誤りである。これを正会員4社が負担したとしても、それは、4社の共有と
する旨の合意があったからではなく、株式会社K6(以下「K6」という。)等の
模倣業者の横行の排除を契機とするものである。
第一商標及び第二商標の出願費用及び成功報酬をK4(又は被告NY
K)、K3、K2らが負担したのは、第一商標及び第二商標の使用の謝礼として負
担したものであり、それらの商標権を共有にすることの対価として負担したもので
はない。
共有の合意があるのは第一特許権のみであり、その他の商標権、特許
権、実用新案権は原告が単独で取得したものである。
(4) ニューNT工法協会
ア 旧協会
(ア) 設立
原告、K3、被告NYKは、平成7年5月、これら3社を正会員とし
てニューNT工法協会(所在地 大阪市<以下略>。以下「旧協会」という。)を
設立し、旧協会の理事長には、被告NYK代表取締役のP5が就任した。その後、
K2が旧協会の正会員に加わった。
原告、K3、K2、K4は平成10年3月31日付けで、第一特許権
をこれらの4社が共有していることを記載した文書を作成したが、この文書は、通
常使用権者の被告NYKが、第一特許発明及びそれに関するノウハウに関連して新
たに改良・発明をしても、その新たな技術は原告、K3、K2、K4の4社の共有
となり、被告NYKがこれを取得しないことを定めたものにすぎない。また、被告
NYKは、第一特許権の共有者ではないから、第一特許発明及びそれに関するノウ
ハウに関連して新たに改良・発明をしても、その新たな技術について特許権を取得
し得ない。
(イ) 法的性質
a 民法上の組合
(a) 民法上の組合への該当性
財団法人日本建築センター(以下「日本建築センター」とい
う。)がニューNT工法について行った評定は、旧協会ではなく、原告、被告NY
K、K3、K2の4社が取得したものであり、これら4社の責任施工により実施す
ることが評定取得の条件とされており、原告以外の正会員は、この評定を取得した
事実に基づいて旧協会の正会員として位置付けられている。このように、旧協会
は、正会員の独立性が高く、正会員からなる民法上の組合に該当する。
旧協会は、正会員、準会員、賛助会員、特別会員の4種類の会員
からなる会員制を採り、会員の種類によってその地位及び会費が異なっていた。正
会員と準会員以下の会員との関係は、預託金制ゴルフ会員権における経営会社と会
員の関係と同じであり、正会員による組合の存続を前提とし、その限りにおいて成
り立つ権利関係である。
(b)商標権の組合財産への属否
旧協会の資産は、旧協会の会則によれば、会費、寄付金品、資産
から生じる収入、その他の収入とされており、これらが組合財産に当たり、第二商
標権はこれに含まれていない。
第二商標権は正会員の共有名義の登録とはされておらず、対外的
には原告の個人財産であり、正会員4社が、旧協会の存続する限り第二商標を共同
目的のために利用することが義務づけられている関係にある。旧協会という組合が
作られたのは、組合員にとっては、組合契約を結ぶことによって第二商標を無償で
使用することができ、原告にとっては組合員の使用により第二商標の普及発展が図
られ評価が高まるという点において利害が一致したからであり、原告は、他の組合
員に対し、組合の存立を前提として第二商標を無償で使用させることを認めたもの
である。したがって、第二商標権は組合財産ではない。
b 法人格なき社団への該当性
(a) 法人格なき社団の要件
法人格なき社団の成立要件は、①団体としての組織を備え、②多
数決の原則が行われ、③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、かつ
④その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要
な点が確定していることである。
(b)構成員の変更と団体の存続
旧協会の構成員は、正会員、準会員、賛助会員、特別会員の4種
類であり、均質を欠いており、正会員4社は、準会員以下の会員をもって代替する
ことができないから、旧協会は、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続
するという上記(a)③の要件を充足していなかった。
(c)団体としての主要な点の決定
① 総会の運営
旧協会の会則によると、通常総会は毎年6月に開催されること
になっており、過去に定時総会を開催した事実はあったが、平成14年度の定時総
会は、旧協会理事長P5が旧協会会員に対して不開催を一方的に通知したことによ
り開催されず、定時総会を開催する旨の会則は有名無実であり、総会の運営は確定
していなかった。
② 財産の管理
ⅰ 財産の独立性
旧協会は、平成10年度の研究開発実験に要した費用275
万5509円のうち69万6254円を協会財産から支払い、残余の205万92
55円を正会員4社に分担させていたから、旧協会の財産運営は、社団財産をもっ
て引当てとしておらず、社団構成員の有限責任は確立されていなかった。
ⅱ 残余財産の分配
旧協会は、平成14年7月31日付けの収支計算書の支出欄
の繰越残高に計上された221万7032円を、正会員と準会員に会費の納入比率
に応じて分配している。これは旧協会の解散を裏付ける事実である。そうでないと
しても、これは社団財産の管理が確立していなかったことを裏付ける事実というこ
とができる。
③ したがって、旧協会は、その組織において総会の運営、財産の
管理が確定しておらず、上記(a)④の要件を充足していなかった。
(d)該当性
上記(b)、(c)記載のとおり、旧協会は法人格なき社団の要件を充
足しないから、法人格なき社団ではない。
イ 旧協会の解散
(ア) 解散に至る経緯
a K3は、平成14年3月6日、経営不振により旧協会に退会を申し
出、旧協会理事長及び事務局(会則10条により、理事長、副理事長、理事らで構
成される。)はこれを承認し受理した。これにより、旧協会の正会員は、原告、被
告NYK及びK2の3社となった。旧協会理事長は、「平成13年度決算報告書送
付の件」と題する文書と定時総会議案書を会員に送付してK3の退会を会員に告知
し、K3の会費は平成14年3月分までしか計上されなかった。
b 平成14年3月以降、旧協会の運営につき、原告とK2は、職員給
与の削減等による経費削減、会費の減額等を提唱したのに対し、被告NYKは溶接
訓練センターの併設を提唱し、3社間の意見の対立が顕著となった。このような対
立状態の下で、同年4月以降、3社で何度も協議が行われたが、意見の対立は解消
せず、被告NYK代表者で旧協会理事長であったP5が、原告らに無断で溶接訓練
センターの併設を関係官庁に申請したことから、3社の対立は決定的となった。
c 平成14年6月11日、3社の代表者が一同に会してその後の方針
を協議したが、対立は解消せず、3社は、旧協会を解散すること、及び解散に伴っ
て残余財産を会員に分配し清算することで一致した。
(イ) 解散の法的根拠
a 組合の解散
(a) 組合は、全組合員の合意のある場合には解散される。
平成14年6月11日、旧協会の全組合員である原告、K2及び
被告NYKが解散に合意したことにより、旧協会は解散し、残余財産が清算された
同年7月31日をもって組合関係は終了した。
(b)組合は、組合員が1人となった場合にも解散される。
旧協会について解散の合意がなかったとしても、K3、原告及び
K2が退会し、組合員が被告NYKのみとなったことにより、旧協会は解散し、残
余財産が清算された平成14年7月31日をもって組合関係は終了した。
被告らは、K3が退会を撤回したと主張するが、仮にそうである
としても、K3は、平成15年8月19日、大阪地方裁判所で破産宣告を受けたか
ら、それにより、組合員は被告NYKのみになった。
b 法人格なき社団の解散
(a)① 旧協会は残余財産を清算し、旧協会理事長であったP5が会
員に送付した平成14年7月31日付けの「ニューNT工法協会の組織変更につい
て」と題する文書には旧協会の解散の事実が記載されていたが、会員から何らの異
議の申立てもなく、解散の事実は各会員に受け入れられていたから、旧協会の会員
はすべて旧協会の解散を追認したものといえる。
② 原告は、「ニューNT工法の新構成と運営について」と題する
文書を取引先に送付し、旧協会が解散したことと、原告が原告本社内に「ニューN
T工法協会」を設立したことを報告した。
K2は、取引先及び旧協会理事長であったP5に対し、「ニュ
ーNT工法協会の件」と題する文書及び「ニューNT工法および協会の件」と題す
る文書を送付し、旧協会が解散したことと、K2が原告の設立した「ニューNT工
法協会」に参加することを通知した。
旧協会は、平成14年7月31日付け収支計算書において、未
払金として、旧協会が存続していれば計上する必要のない項目である退職慰労金、
預託金払戻金、事務所敷引、事務所解約金、リース解約金、備品撤去料を計上し、
事務局職員、顧問は、退職慰労金を受け取って旧協会を退職し、預託金払戻金は、
準会員に返還された。
旧協会の事務所の賃貸借契約の賃借人は、平成14年8月1
日、形式上も実質上も被告NYKに変更された。
(b)上記(a)記載の事実によれば、旧協会が仮に法人格なき社団であ
るとしても、旧協会は解散したといえる。
ウ 現協会
被告現協会は、旧協会が平成14年7月31日に消滅した後、被告NY
Kによって設立された組織であり、旧協会とは別の組織である。被告現協会は、原
告が自己都合により旧協会を退会したという虚偽の事実及び被告現協会が臨時総会
を開催したことを新聞に発表し、旧協会が存続するかのような誤認を会員に与え、
さらに、ゼネコン、官庁などの得意先にも、原告が自己都合により旧協会を退会し
たという虚偽の事実を記載した文書を送付している。
エ 被告A
被告Aは、被告現協会の準会員であるが、被告現協会は旧協会とは別の
組織であるから、被告現協会の準会員であるとしても、別紙被告標章目録記載1な
いし4の標章の使用権原はない。
被告現協会が旧協会と同一の組織であるとしても、後記(6)イ記載のとお
り、旧協会の構成員に上記標章の使用権原はない。
(5) 被告らによるニューNT工法の変更
被告らは、ニューNT工法の標準仕様書を勝手に変更して評定4社の責任
施工であることを不明確にし、曲げ試験を不要にし、引張試験における母材破断の
条件を削除し、90度以上の裏曲げ試験で破断しないことを不必要としたが、これ
は明らかに日本建築センターの評価認定の基準に反する。被告らがこのような変更
を行ったのは、被告NYKの技術力が劣り、厳格な検査試験を実施すると不合格品
が続出したためである。被告らがニューNT工法の標準仕様書をこのように変更し
たことは、ニューNT工法に対する信用を害する行動である。
(6) 使用許諾とその終了
ア 通常使用権の許諾
原告は、第二商標につき、平成11年1月29日の商標登録の後、旧協
会又は旧協会の構成員に対し、無償で使用することを黙認した。このような原告の
行為は、旧協会又は旧協会の構成員に対して、黙示的に無償の通常使用権を許諾し
たものと解される(黙示的通常使用権許諾契約)。
イ 通常使用権の消滅
(ア) 旧協会が解散したことにより、旧協会の通常使用権は消滅した。ま
た、旧協会の構成員の通常使用権は、旧協会の存在を前提とするものであったか
ら、旧協会が消滅したことにより、旧協会の構成員の通常使用権も消滅した。
(イ) 旧協会の解散が認められないとしても、上記ア記載の黙示的通常使
用権許諾契約においては、原告が旧協会から離脱することが解除条件とされていた
から、原告が旧協会を離脱したことにより、その解除条件が成就し、旧協会及び旧
協会の構成員の通常使用権は消滅した。
(ウ)a 旧協会の解散が認められないとしても、上記ア記載の黙示的通常
使用権許諾契約においては、旧協会又は旧協会の構成員が、第二商標権に化体され
た原告の業務上の信用を害するような行動をとらず、原告に協力する限りにおいて
使用を許諾することが当然の前提とされ、約定の内容とされており、旧協会又は旧
協会の構成員は、その当然の前提である約定の内容を明示的又は黙示的に承認して
いた。また、上記ア記載の通常使用権許諾契約に基づき、旧協会又は旧協会の構成
員は、再使用(サブライセンス)を許諾する場合に原告の同意を得る義務を負って
いた。
b 旧協会又は旧協会の構成員である被告らは、前記(5)記載のとおり、
ニューNT工法の標準仕様書を勝手に変更し、第二商標権に化体された原告の業務
上の信用を害する行動をとり、上記a記載の約定の、第二商標権に化体された原告
の業務上の信用を害するような行動をとらず、原告に協力するという債務を履行し
なかった。また、旧協会は、その構成員に再使用を許諾する際に原告の同意を得
ず、上記a記載の義務に違反した。
c 原告は、被告らに対し、平成16年2月16日の本件の第3回弁論
準備手続期日において、平成15年12月24日付け原告第2準備書面を陳述する
ことにより、上記b記載の債務不履行に基づき上記ア記載の通常使用権許諾契約を
解除する旨の意思表示を行った。これにより、同契約は解除された。
(7) 被告らによる標章の使用
ア 被告現協会
(ア) 被告現協会は、建築現場における鉄筋の継手工事についてその会員
に別紙被告標章目録記載1ないし4の標章(以下、別紙被告標章目録記載1ないし
4の標章を包括して「被告標章」という。)の使用をさせるために、被告標章を表
示した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明書、取引書類を譲
渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持している。
(イ) 被告現協会は、その会員に、被告標章を付した標準仕様書、パンフ
レット、ニューNT工法技量資格証明書、取引書類の使用をさせている。
イ 被告NYK
(ア) 被告NYKは、標準仕様書に被告標章を付したものを用いて、建築
現場における鉄筋の継手工事を提供している。
(イ) 被告NYKは、建築現場における鉄筋の継手工事に関する標準仕様
書、パンフレット、広告、取引書類に被告標章を付して展示し、又は頒布してい
る。
(ウ) 被告NYKは、その下請企業に、被告標章を付した標準仕様書、パ
ンフレット、取引書類の使用をさせている。
ウ 被告A
(ア) 被告Aは、標準仕様書に被告標章を付したものを用いて、建築現場
における鉄筋の継手工事を提供している。
(イ) 被告Aは、建築現場における鉄筋の継手工事に関する標準仕様書、
パンフレット、広告、取引書類に被告標章を付して展示し、又は頒布している。
(8) 商標権の侵害
ア 役務
被告現協会がその会員に被告標章の使用をさせている役務、被告NYK
及び同Aが被告標章を使用している役務は、建築現場における鉄筋の継手工事であ
り、第二商標権の指定役務と同一である。
イ 標章
被告標章は、いずれも、第二商標と同一又は類似である。
ウ 侵害
(ア) 被告現協会
a 前記(7)ア(ア)記載のとおり、被告現協会が、建築現場における鉄筋
の継手工事についてその会員に被告標章の使用をさせるために、被告標章を表示し
た標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明書、取引書類を譲渡
し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持していることは、第二商標権
の指定役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商
標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引
渡しのために所持する行為(商標法37条6号)に該当するから、被告現協会は、
第二商標権を侵害しているものとみなされる。
b 被告標章を表示した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技
量資格証明書、取引書類は、第二商標権の侵害の行為を組成した物(商標法36条
2項)に該当する。
c 前記(7)ア(イ)記載のとおり、被告現協会は、その会員に、被告標章
を付した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明書、取引書類の
使用をさせているが、それを差し止めることは、第二商標権の侵害の予防に必要な
行為(商標法36条2項)に該当する。
(イ) 被告NYK
a 標準仕様書は、建築現場における鉄筋の継手工事の提供に当たり、
その提供を受ける者の利用に供する物に該当するから、前記(7)イ(ア)記載のとお
り、被告NYKが、標準仕様書に被告標章を付したものを用いて、建築現場におけ
る鉄筋の継手工事を提供していることは、第二商標権の指定役務の提供に当たり、
その提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付した
ものを用いて同指定役務を提供する行為(商標法2条3項4号、37条1号)に該
当し、第二商標権を侵害しており、又は侵害しているものとみなされる。
b 標準仕様書、パンフレットは広告に該当するから、前記(7)イ(イ)記
載のとおり、被告NYKが、建築現場における鉄筋の継手工事に関する標準仕様
書、パンフレット、広告、取引書類に被告標章を付して展示し、又は頒布している
ことは、第二商標権の指定役務に関する広告、取引書類に登録商標又はこれに類似
する商標を付して展示し又は頒布する行為(商標法2条3項8号、37条1号)に
該当し、第二商標権を侵害しており、又は侵害しているものとみなされる。
c 被告標章を付した広告は、第二商標権の侵害の行為を組成した物
(商標法36条2項)に該当する。
d 前記(7)イ(ウ)記載のとおり、被告NYKは、その下請企業に、被告
標章を付した標準仕様書、パンフレット、取引書類の使用をさせているが、それを
差し止めることは、第二商標権の侵害の予防に必要な行為(商標法36条2項)に
該当する。
(ウ) 被告A
a 前記(7)ウ(ア)記載のとおり、被告Aが、標準仕様書に被告標章を付
したものを用いて、建築現場における鉄筋の継手工事を提供していることは、第二
商標権の指定役務の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に登録商
標又はこれに類似する商標を付したものを用いて同指定役務を提供する行為(商標
法2条3項4号、37条1号)に該当し、第二商標権を侵害しており、又は侵害し
ているものとみなされる。
b 前記(7)ウ(イ)記載のとおり、被告Aが、建築現場における鉄筋の継
手工事に関する標準仕様書、パンフレット、広告、取引書類に被告標章を付して展
示し、又は頒布していることは、第二商標権の指定役務に関する広告、取引書類に
登録商標又はこれに類似する商標を付して展示し又は頒布する行為(商標法2条1
項8号、37条1号)に該当し、第二商標権を侵害しており、又は侵害しているも
のとみなされる。
(9) 請求
よって、原告は、被告らに対し、次のとおり請求する。
ア(ア) 被告現協会に対し、商標法36条1項、37条6号に基づき、建築
現場における鉄筋の継手工事についてその会員に被告標章の使用をさせるために、
被告標章を表示した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明書、
取引書類を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持することの差
止めを求める。
(イ) 被告現協会に対し、商標法36条2項、37条6号に基づき、その
所有に係る被告標章を付した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格
証明書、取引書類の廃棄を求める。
(ウ) 被告現協会に対し、商標法36条2項、37条6号に基づき、その
会員に被告標章を付した標準仕様書、パンフレット、ニューNT工法技量資格証明
書、取引書類の使用をさせることの差止めを求める。
イ(ア) 被告NYKに対し、商標法36条1項、2条3項4号、37条1号
に基づき、標準仕様書に被告標章を付したものを用いて、建築現場における鉄筋の
継手工事を提供することの差止めを求める。
(イ) 被告NYKに対し、商標法36条1項、2条3項8号、37条1号
に基づき、建築現場における鉄筋の継手工事に関する標準仕様書、パンフレット、
広告、取引書類に被告標章を付して展示し、又は頒布することの差止めを求める。
(ウ) 被告NYKに対し、商標法36条2項、2条3項8号、37条1号
に基づき、その所有に係る被告標章を付した標準仕様書、パンフレット、広告、取
引書類の廃棄を求める。
(エ) 被告NYKに対し、商標法36条2項、37条1号に基づき、その
下請企業に被告標章を付した標準仕様書、パンフレット、取引書類の使用をさせる
ことの差止めを求める。
ウ(ア) 被告Aに対し、商標法36条1項、2条3項4号、37条1号に基
づき、標準仕様書に被告標章を付したものを用いて、建築現場における鉄筋の継手
工事を提供することの差止めを求める。
(イ)被告Aに対し、商標法36条1項、2条3項8号、37条1号に基
づき、建築現場における鉄筋の継手工事に関する標準仕様書、パンフレット、広
告、取引書類に被告標章を付して展示し、又は頒布することの差止めを求める。
(ウ)被告Aに対し、商標法36条2項、2条3項8号、37条1号に基
づき、その所有に係る被告標章を付した標準仕様書、パンフレット、広告、取引書
類の廃棄を求める。
2 請求原因に対する認否(被告ら)
(1)ア 請求原因(1)(当事者)ア(原告)の事実は認める。
イ(ア) 請求原因(1)イ(被告ら)(ア)の事実は認める。
被告現協会は、継手スリーブを使用した鉄筋の溶接継手工法の発展、
普及、管理及び工法開発を図る目的で設立された団体であり、①施工実施権契約者
に対する技術指導及び実施権等の管理、②会員に対する技術指導、機材・計器等の
開発製作及び品質管理指導、③特許工法及び申請中の各工法についての研究・開発
と工業所有権の保持業務、④官公庁などの事業主体、設計事務所、コンサルタント
及び建設会社などに対する普及活動、⑤会員の研究・勉強会、親睦会などの開催、
⑥協会の運営に関する事務の活動を行っている。被告現協会は、法人格なき社団で
あり、国土交通省及び日本建築センターに登録している。
(イ) 請求原因(1)イ(イ)の事実は認める。
(ウ) 請求原因(1)イ(ウ)の事実は認める。
(2)ア(ア) 請求原因(2)(ニューNT工法)ア(ア)の事実のうち、K1代表者
であったP1が、半自動炭酸ガスアーク溶接法を用い、鉄筋の接続部に円筒形のス
リーブをはめて行う溶接継手の製作方法を発明し、これをNT工法と称し、昭和5
7年4月20日、これについて特許出願をし、平成2年9月13日、第一特許権の
設定登録を受けたことは認め、その余は不知。
(イ) 請求原因(2)ア(イ)の事実のうち、P1が、第二特許発明について、
昭和63年10月21日、発明者をP1として特許出願を行ったことは認め、その
余は不知。
(ウ) 請求原因(2)ア(ウ)の事実のうち、第一特許権について、平成4年6
月22日、P1から同人の妻であるP2への移転登録がされ、平成5年3月22
日、P2からP3に移転登録がされたこと、K1、P1及びP2が、同月9日、大
阪地方裁判所で破産宣告を受けたこと、第一特許権について、平成6年3月28
日、P3から破産者P2への移転登録と、同人から原告への移転登録がされたこ
と、原告が、平成8年8月22日、第二特許権につき設定登録を受けたことは認
め、その余は不知。
原告は、K4やK3と協議し、原告、K4、K3が特許権を共有し、
費用を平等に負担することを前提として、平成5年7月6日、第一特許権及び第二
特許発明の特許を受ける権利を、P1らの破産管財人から購入した。
(エ) 請求原因(2)ア(エ)の事実のうち、第二特許発明のスリーブに作業性
に関して不都合な点があったこと、第三特許発明について、平成7年3月31日、
発明者を原告代表者として特許出願が行われ、平成12年8月11日、特許の設定
登録がされたこと、鉄筋の突合せ溶接による接続の際、接続部に半円筒形スリーブ
をはめて行う工法を「ニューNT工法」と称することは認め、その余は否認する。
第三特許発明は、原告、被告NYK、K3の3社が、原告名義で出願
し、特許の設定登録を受けた。第三特許発明に係る半円筒形のスリーブは、原告代
表者が発明したのではなく、原告、被告NYK、K3が共同でNT工法を改良研究
して開発、発明したものである。また、「ニューNT工法」の名称は、平成5年ご
ろにNT工法研究会の会員であった原告、被告NYK、K3の3社が協同して名付
けたものである。
(オ) 請求原因(2)ア(オ)の事実は否認する。実用新案登録は、原告、被告
NYK、K3の3社が、原告名義を用いて行ったものである。
イ 請求原因(2)イの事実は否認する。
第二商標権の登録が原告名義で行われたのは、第一特許権について平成
6年3月28日に原告への移転登録がされたのと同様に、便宜上原告の名義を使用
したにすぎない。
(3)ア(ア) 請求原因(3)(商標権)ア(第一商標権)(ア)の事実は否認する。
第一商標権は、原告、被告NYK、K3の協議により、3社が平等に
費用を負担することを前提に、原告名義で商標登録を行ったものである。
(イ) 請求原因(3)ア(イ)は争う。
イ(ア) 請求原因(3)イ(第二商標権)(ア)の事実は否認する。
第二商標権は、原告、被告NYK、K3の協議により、3社が平等に
費用を負担することを前提に、原告名義で商標登録を行ったものである。
(イ) 請求原因(3)イ(イ)は争う。
ウ 請求原因(3)ウ(費用負担等)は争う。
第一商標及び第二商標の商標登録出願は、原告、K4(被告NY
K)、K3の3社の協議により、原告の名義でK5特許事務所に依頼し、その出願
費用はK5特許事務所から原告に請求され、原告が立替払し、その後、第一特許権
の出願費用は、原告、K4、K3の3社で清算した。第一商標及び第二商標が商標
登録された際の成功報酬は、ニューNT工法協会を通じ、原告、K3、被告NY
K、K2の4社が平等に負担した。
第二商標権については、原告、被告NYK、K2、K3の4社の共有
とする旨の合意があった。もっとも、この合意は、法的には、原告が、被告NY
K、K3、K2らに対して通常使用権の許諾をしたものであり、その許諾は、研究
開発費、出願登録費用等を各自平等に負担したこと、その後の維持費用等も4社で
平等に負担することを前提としており、商標の使用を制限する何らの条件や約定も
付されていなかった。
(4)ア(ア) 請求原因(4)(ニューNT工法協会)ア(旧協会)(ア)(設立)の
事実は認める。
旧協会は法人格なき社団であり、被告現協会として現在まで存続して
いる(被告らは、便宜上、「旧協会」、「被告現協会」という文言を用いるが、そ
れは、旧協会と被告現協会が別の組織であることを認めるものではない。)。
旧協会の設立の経緯は平成7年以前に遡る。平成5年4月、原告、被
告NYK及びK3の3社が「NT工法溶接工選定委員会」、「NT工法研究会」を
発足させた(所在地 大阪市<以下略> 委員長 P6)。平成5年にK1、P1
が破産宣告を受けたため、同委員会を構成する3社が協調して第一特許権及び第二
特許発明の特許を受ける権利を取得することとなった。同委員会を構成する3社
は、平成6年3月に第一特許権の移転登録をするに当たり、その取得を依頼してい
たP7弁護士が原告の顧問弁護士であったことなどから、将来第一特許権を3社の
共有にするという合意の下で、第一特許権の登録名義を便宜上原告の名義にした。
第一特許権については、平成10年6月22日、原告、K3、K2、
K4(K4の代表者は、被告NYKの代表者と同じく、P5であった。)の共有と
する移転登録がされた。これらの4社は、同年3月31日付けで、第一特許権をこ
れらの4社が共有していること、第一特許発明及びそれに関するノウハウに関連し
て新たに改良・発明・考案した技術・意匠をこれら4社の共有とすることを記載し
た文書を作成した。
平成5年ごろより、原告、被告NYK、K3は、NT工法による工事
実績を積み重ねるとともに、NT工法の改良を研究し、半円筒形スリーブを用いる
工法(後の「ニューNT工法」)を開発して一般評定を取得する準備を始めた。
平成7年1月の阪神大震災後の復旧、補修工事において、多数の事業
主体がニューNT工法の特性に注目し、ニューNT工法は高い評価を受けて約20
0件を超える震災復旧工事に採用された。そして、同年4月20日、原告、K3、
及びK4から第一特許の通常実施権の許諾を受けた被告NYKによって「ニューN
T工法協会設立合意書」が作成され、原告、K3、被告NYKによって、同年5
月、「ニューNT工法協会」が設立され、その後、K2が正会員に加わった。
(イ)a(a) 請求原因(4)ア(イ)(法的性質)a(民法上の組合)(a)(民
法上の組合への該当性)のうち、日本建築センターがニューNT工法について行っ
た評定は、原告、被告NYK、K3、K2の4社が取得したものであり、これら4
社の責任施工により実施することが評定取得の条件とされていたこと、旧協会は、
正会員、準会員、賛助会員、特別会員の4種類の会員からなる会員制を採り、会員
の種類によってその地位及び会費が異なっていたことは認め、その余は争う。
旧協会は、被告現協会として存続しており、その法的性質は民法
上の組合ではなく法人格なき社団である。旧協会の会員の地位は、会則に基づいて
考えれば足り、預託金制ゴルフ会員権における経営会社と会員の関係を持ち出す必
要はない。
(b)請求原因(4)ア(イ)a(b)(商標権の組合財産への属否)の事実は
否認し、主張は争う。
b(a) 請求原因(4)ア(イ)b(法人格なき社団への該当性)(a)(法人
格なき社団の要件)は認める。
(b)請求原因(4)ア(イ)b(b)(構成員の変更と団体の存続)のうち、
旧協会の構成員が、正会員、準会員、賛助会員、特別会員の4種類であり、均質を
欠いていることは認め、その余は争う。
法人格なき社団の要件として構成員の均質性は要求されていない
から、協会の構成員が均質を欠いていたとしても、そのことは、協会が法人格なき
社団でないことの根拠にはならない。また、第三者が正会員から特許権の譲渡を受
けて正会員となる要件を満たすことは可能であるから、旧協会は、構成員の変更に
もかかわらず団体そのものが存続するという要件を充足する。
(c)①請求原因(4)ア(イ)b(c)(団体としての主要な点の決定)①
(総会の運営)のうち、旧協会の会則によると、通常総会が毎年6月に開催される
ことになっていたこと、過去に定時総会を開催した事実があったこと、平成14年
度の定時総会が開催されなかったことは認め、その余は争う。
旧協会及び被告現協会は、会則に従い、毎年総会を開催してき
た。平成14年度の総会は、平成14年6月に原告が旧協会を退会し、旧協会の運
営に混乱が生じたため、不測の事態により開催されなかったものであり、その点に
ついて各会員に事情を説明するとともに平成14年度定時総会議案書を送付するこ
とにより、総会手続に代替する手続をとったから、平成14年度の総会が開催され
なかったことをもって会則の存在が有名無実であるとはいえない。
②ⅰ 請求原因(4)ア(イ)b(c)②(財産の管理)ⅰ(財産の独立
性)のうち、旧協会が、平成10年度の研究開発実験に要した費用275万550
9円のうち69万6254円を協会財産から支払い、残余の205万9255円を
正会員4社に分担させていたことは認め、その余は争う。
協会の財産は、会員の財産とは独立していた。会員からの研
究開発実験費の徴収は、旧協会と構成員との間の対内的な関係であり、対外的な責
任負担とは無関係であるから、旧協会が正会員4社から研究開発実験費等の特別会
費を徴収していることによって協会の有限責任が否定されることはない。205万
9255円を正会員4社が分担していたことは、特許権、実用新案権、商標権等の
使用許諾契約に基づいて費用負担していたことの証左である。
ⅱ 請求原因(4)ア(イ)b(c)②ⅱ(残余財産の分配)のうち、旧
協会が、平成14年7月31日付けの収支計算書の支出欄の繰越残高に計上された
221万7032円を、会費の納入比率に応じて分配し、原告、K2及びその傘下
の準会員について支払ったことは認め、その余は否認する。被告NYKは、その分
配金の支払を受けていない。
旧協会の会員は、旧協会の財産について共有持分権又は分割
請求権を有するものではない。旧協会が、原告及びK2の退会に当たり、剰余金を
正会員と準会員に分配したのは、会員の総意に基づく財産処分として行ったもので
ある。
③ 請求原因(4)ア(イ)b(c)③は争う。
(d)請求原因(4)ア(イ)b(d)は争う。
イ(ア)a 請求原因(4)イ(旧協会の解散)(ア)(解散に至る経緯)aの事実
のうち、K3が、平成14年3月6日、旧協会に退会を申し出たこと、旧協会理事
長が、「平成13年度決算報告書送付の件」と題する文書と定時総会議案書を会員
に送付したことは認め、その余は否認する。
K3は、平成14年3月6日、口頭により旧協会に退会を申し出た
が、その後、退会を撤回し、現在も被告現協会の会員である。
b 請求原因(4)イ(ア)bの事実のうち、原告が職員給与の削減等による
経費削減を提唱していたこと、被告NYKが溶接訓練センターの設立を提唱し、原
告らが反対したことは認め、その余は否認する。
被告NYKは、溶接訓練センターの設立を提唱したが、原告の強い
反対があったため、旧協会としての設立は行わず、被告NYK代表取締役のP5
が、平成14年5月に大阪府の認可を受け、被告NYKが出資して独自に溶接訓練
センターを設立した。
c 請求原因(4)イ(ア)cの事実は否認する。
旧協会の会則によれば、総会によらなければ解散決議を行うことは
できないのであり、理事会における解散決議などあり得ない。
平成14年6月11日、旧協会の理事会が開催され、原告代表者か
ら退会の意思が再三にわたり表明され、原告の退会を認めることになった。そし
て、原告の退会に当たって、施工権、特許権、商標権、意匠権、著作権、ノウハウ
等の権利は正会員4社の共有であり、旧協会にも商標権、著作権などがあることを
会員間で確認し、念のため、後日、覚書又は協定書を作成することが決まった。ま
た、同月開催予定の平成14年度定時総会は開催せず、決算書、業務報告書を作成
して会員に郵送し、総会に代えることとした。同理事会では、旧協会を解散すると
いう話が出たことはなかった。
(イ)a(a) 請求原因(4)イ(イ)(解散の法的根拠)a(組合の解散)(a)
のうち、組合が全組合員の合意のある場合に解散されることは認め、その余は争
う。
(b)請求原因(4)イ(イ)a(b)のうち、組合が組合員が1人となった場
合にも解散されること、K3が、平成15年8月19日、大阪地方裁判所で破産宣
告を受けたことは認め、その余の事実は否認し、主張は争う。
b(a)① 請求原因(4)イ(イ)b(法人格なき社団の解散)(a)①のう
ち、旧協会理事長であったP5が平成14年7月31日付けの「ニューNT工法協
会の組織変更について」と題する文書を旧協会の会員に送付したことは認め、その
余は争う。
平成14年7月31日付けの「ニューNT工法協会の組織変更
について」と題する文書には、協会が解散した旨の記載はなく、むしろ反対に、
「諸般の事情により会員会社がニューNT工法協会を退会することとなった」と記
載され、「組織変更」、「再編」という、協会の存続を前提とした表現が用いられ
ている。
② 請求原因(4)イ(イ)b(a)②の事実のうち、旧協会が、平成14
年7月31日付け収支計算書において、未払金として退職慰労金を計上していたこ
とは認め、原告が「ニューNT工法に新構成と運営について」と題する文書を取引
先に送付し、旧協会が解散したことと原告が原告本社内に「ニューNT工法協会」
を設立したことを報告したことは不知であり、その余は否認する。
旧協会は、原告とK2が退会に当たって清算金の支払を求めた
ため、平成14年7月31日付け収支計算書により剰余金の計算を行い、会員の会
費の納入比率に応じて分配すべき剰余金の金額を計算した。職員の退職慰労金など
を収支計算書に計上したのは、剰余金を算出するためであったにすぎない。職員で
あるP8及びP9は、退職慰労金を受領していない。
(b)請求原因(4)イ(イ)b(b)は争う。
ウ 請求原因(4)ウ(現協会)の事実は否認する。
エ 請求原因(4)エ(被告A)のうち、被告Aが被告現協会の準会員であるこ
とは認め、その余は争う。
(5) 請求原因(5)(被告らによるニューNT工法の変更)のうち、ニューNT
工法の標準仕様書が変更されて曲げ試験が不必要とされ、母材破断は常に求めるの
ではなく原則として求めるとされたことは認め、その余の事実は否認し、主張は争
う。
標準仕様書の変更は、平成13年9月ごろより旧協会の理事会において協
議され、変更することは原告も了承していた。
(6)ア 請求原因(6)(使用許諾とその終了)ア(通常使用権の許諾)の事実の
うち、原告が、第二商標について通常使用権を許諾したことは認め、その余は否認
する。原告は、第二商標について、旧協会及び被告NYKらに対し、開発費、権利
取得費用等の平等負担を前提として、有償で通常使用権を許諾した。
イ(ア) 請求原因(6)イ(通常使用権の消滅)(ア)は争う。
(イ) 請求原因(6)イ(イ)は争う。
通常使用権許諾契約には、何らの条件も付されていなかった。
(ウ)a 請求原因(6)イ(ウ)aの事実は否認する。
b 請求原因(6)イ(ウ)bの事実は否認する。
旧協会及び被告NYKらが、標準仕様書の変更を行ったことは、原
告も承認していたし、平成12年建設省告示第1463号の施行により、建設省住
指発第31号の一部が廃止されたことに基づくものであって、到底ニューNT工法
の信用を害する行動とはいえない。
c 請求原因(6)イ(ウ)cのうち、原告が被告らに対し、平成16年2月
16日の本件の第3回弁論準備手続期日において、平成15年12月24日付け原
告第2準備書面を陳述することにより、債務不履行に基づき通常使用権許諾契約を
解除する旨の意思表示を行ったことは認め、同契約が解除されたことは争う。
(7)ア 請求原因(7)(被告らによる標章の使用)ア(被告現協会)(ア)、(イ)
の事実は認める。
イ 請求原因(7)イ(被告NYK)(ア)ないし(ウ)の事実は認める。
ウ 請求原因(7)ウ(被告A)(ア)、(イ)の事実は認める。
(8)ア 請求原因(8)(商標権の侵害)ア(役務)は認める。
イ 請求原因(8)イ(標章)は認める。
ウ 請求原因(8)ウ(侵害)(ア)ないし(ウ)は争う。
(9) 請求原因(9)(請求)アないしウは争う。
3 抗弁
(1) 先使用権
被告NYKは、第二商標の商標登録出願日である平成7年3月2日の前か
ら、「ニューNT工法」の名称を用いて工事を受注しており、被告NYKらが使用
していた「ニューNT工法」の名称は、関連業者の間では広く認識されていた。
したがって、被告NYKは、先使用による商標使用権を有している。
(2) 権利濫用
被告NYKは、平成5年ごろより、原告及び他の被告らとともに、NT工
法及びニューNT工法の研究開発、特許権、商標権の取得による保護、普及、発展
に尽力しており、それらに要する費用も平等に負担してきた。
さらに、当事者の認識としては、特許権や商標権について、その実体が共
有であるという共通の認識をもっていたことから、それらの権利の名義を原告の単
独名義とすることについて、特に問題を生じていなかった。
また、原告も、旧協会を退会し、本件訴えの提起に至るまでの間、特許
権、商標権等について単独の保有を主張したことは一度もなかった。
被告NYKらは、10年以上の長きにわたり、「ニューNT工法」の名称
を使用して鉄筋継手工事を受注しており、「ニューNT工法」の名称の使用を前提
とした地位を築いている。
さらに、被告NYKらには、商標権についての通常使用権許諾契約を解除
される理由は全くない。
したがって、原告の商標権の通常使用権許諾契約の解除の主張は、権利濫
用である。
4 抗弁に対する認否
抗弁(1)(先使用権)、(2)(権利濫用)は争う。
理       由
1 次の(1)ないし(7)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。
(1) 請求原因(1)(当事者)ア(原告)、イ(被告ら)(ア)ないし(ウ)の事実。
(2)ア 請求原因(2)(ニューNT工法)ア(ア)の事実のうち、K1代表者であっ
たP1が、半自動炭酸ガスアーク溶接法を用い、鉄筋の接続部に円筒形のスリーブ
をはめて行う溶接継手の製作方法を発明し、これをNT工法と称し、昭和57年4
月20日、これについて特許出願をし、平成2年9月13日、第一特許権の設定登
録を受けたこと。
イ 請求原因(2)ア(イ)の事実のうち、P1が、第二特許発明について、昭和6
3年10月21日、発明者をP1として特許出願を行ったこと。
ウ 請求原因(2)ア(ウ)の事実のうち、第一特許権について、平成4年6月22
日、P1から同人の妻であるP2への移転登録がされ、平成5年3月22日、P2
からP3に移転登録がされたこと、K1、P1及びP2が、同月9日、大阪地方裁
判所で破産宣告を受けたこと、第一特許権について、平成6年3月28日、P3か
ら破産者P2への移転登録と、同人から原告への移転登録がされたこと、原告が、
平成8年8月22日、第二特許権につき設定登録を受けたこと。
エ 請求原因(2)ア(エ)の事実のうち、第二特許発明のスリーブに作業性に関し
て不都合な点があったこと、第三特許発明について、平成7年3月31日、発明者
を原告代表者として特許出願が行われ、平成12年8月11日、特許の設定登録が
されたこと、鉄筋の突合せ溶接による接続の際、接続部に半円筒形スリーブをはめ
て行う工法を「ニューNT工法」と称すること。
(3)ア(ア) 請求原因(4)(ニューNT工法協会)ア(旧協会)(ア)(設立)の事
実。
(イ)a 請求原因(4)ア(イ)(法的性質)a(民法上の組合)(a)(民法上の
組合への該当性)のうち、日本建築センターがニューNT工法について行った評定
は、原告、被告NYK、K3、K2の4社が取得したものであり、これら4社の責
任施工により実施することが評定取得の条件とされていたこと、旧協会は、正会
員、準会員、賛助会員、特別会員の4種類の会員からなる会員制を採り、会員の種
類によってその地位及び会費が異なっていたこと。
b(a) 請求原因(4)ア(イ)b(法人格なき社団への該当性)(a)(法人格
なき社団の要件)
(b)請求原因(4)ア(イ)b(b)(構成員の変更と団体の存続)のうち、旧協
会の構成員が、正会員、準会員、賛助会員、特別会員の4種類であり、均質を欠い
ていること。
(c)①請求原因(4)ア(イ)b(c)(団体としての主要な点の決定)①(総会
の運営)のうち、旧協会の会則によると、通常総会が毎年6月に開催されることに
なっていたこと、過去に定時総会を開催した事実があったこと、平成14年度の定
時総会が開催されなかったこと。
②ⅰ 請求原因(4)ア(イ)b(c)②(財産の管理)ⅰ(財産の独立性)の
うち、旧協会が、平成10年度の研究開発実験に要した費用275万5509円の
うち69万6254円を協会財産から支払い、残余の205万9255円を正会員
4社に分担させていたこと。
ⅱ 請求原因(4)ア(イ)b(c)②ⅱ(残余財産の分配)のうち、旧協会
が、平成14年7月31日付けの収支計算書の支出欄の繰越残高に計上された22
1万7032円を、会費の納入比率に応じて分配し、原告、K2及びその傘下の準
会員について支払ったこと。
イ(ア)a 請求原因(4)イ(旧協会の解散)(ア)(解散に至る経緯)aの事実の
うち、K3が、平成14年3月6日、旧協会に退会を申し出たこと、旧協会理事長
が、「平成13年度決算報告書送付の件」と題する文書と定時総会議案書を会員に
送付したこと。
b 請求原因(4)イ(ア)bの事実のうち、原告が職員給与の削減等による経
費削減を提唱していたこと、被告NYKが溶接訓練センターの設立を提唱し、原告
らが反対したこと。
(イ)a(a) 請求原因(4)イ(イ)(解散の法的根拠)a(組合の解散)(a)の
うち、組合が全組合員の合意のある場合に解散されること。
(b)請求原因(4)イ(イ)a(b)のうち、組合が、組合員が1人となった場
合にも解散されること、K3が、平成15年8月19日、大阪地方裁判所で破産宣
告を受けたこと。
b(a) 請求原因(4)イ(イ)b(法人格なき社団の解散)(a)①のうち、旧
協会理事長であったP5が平成14年7月31日付けの「ニューNT工法協会の組
織変更について」と題する文書を旧協会の会員に送付したこと。
(b)請求原因(4)イ(イ)b(a)②の事実のうち、旧協会が、平成14年7
月31日付け収支計算書において、未払金として退職慰労金を計上していたこと。
ウ 請求原因(4)エ(被告A)のうち、被告Aが被告現協会の準会員であるこ
と。
(4) 請求原因(5)(被告らによるニューNT工法の変更)のうち、ニューNT工
法の標準仕様書が変更されて曲げ試験が不必要とされ、母材破断は常に求めるので
はなく原則として求めるとされたこと。
(5)ア 請求原因(6)(使用許諾とその終了)ア(通常使用権の許諾)の事実のう
ち、原告が、第二商標について通常使用権を許諾したこと。
イ 請求原因(6)イ(通常使用権の消滅)(ウ)cのうち、原告が被告らに対し、
平成16年2月16日の本件の第3回弁論準備手続期日において、平成15年12
月24日付け原告第2準備書面を陳述することにより、債務不履行に基づき通常使
用権許諾契約を解除する旨の意思表示を行ったこと。
(6)ア 請求原因(7)(被告らによる標章の使用)ア(被告現協会)(ア)、(イ)の
事実。
イ 請求原因(7)イ(被告NYK)(ア)ないし(ウ)の事実。
ウ 請求原因(7)ウ(被告A)(ア)、(イ)の事実。
(7)ア 請求原因(8)(商標権の侵害)ア(役務)
イ 請求原因(8)イ(標章)
2 上記1の当事者間に争いのない事実と、後掲各証拠、乙第21号証、第42号
証、第122号証、被告現協会代表者兼被告NYK代表者本人尋問の結果及び弁論
の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる(なお、後記4(2)認定のとおり、旧
協会と被告現協会は、同一の法人格なき社団であり、旧協会は、被告現協会として
存続しているものと認められるが、事実欄における用法に従い、概ね平成14年7
月31日までは「旧協会」、同年8月1日以降は「被告現協会」と呼ぶ。)。
(1) 当事者
ア 原告
原告は、建築工事業、配管及び溶接工事業、鉄筋工事業等を目的とする株
式会社である。
イ 被告ら
(ア) 被告現協会は、継手スリーブを使用した鉄筋の溶接継手工法の普及活
動等を行っている私的団体であり、法人登記はしていない。
(イ) 被告NYKは、土木工事業、建築工事業、鉄筋・鋼構造物工事業等を
目的とする株式会社である。
K4と被告NYKは、いずれもP5が代表取締役で、役員、株主がP5
の親族である同族会社であり、被告NYKの株主は、すべてK4の株主でもある。
したがって、K4と被告NYKとは、法人格が異なるものの、実質的には、いずれ
もP5が経営する会社として密接な関連を有しており、被告NYKに旧協会へ拠出
する資金の余裕がないときにK4が資金を拠出することもあった。(乙第23ない
し第28号証、第42号証)
(ウ) 被告Aは、建設業、鉄筋溶接業等を営む個人事業者であり、被告現協
会の準会員である。
(2) K1によるNT工法の実施等
ア K1の代表者であったP1は、半自動炭酸ガスアーク溶接法により、鉄筋
の突き合わせ溶接の接続部に、周壁上に狭い貫通孔を開設した金属筒のスリーブを
はめて行う鉄筋の溶接継手工法を発明し、これをNT工法と称した。P1は、NT
工法について、昭和57年4月20日、第一特許権に係る特許出願をし、平成2年
9月13日、設定登録を受けた。なお、第一特許権は、平成14年4月20日、存
続期間満了により消滅した。(乙第55号証の1、2)
イ K2、K3、K1は、昭和61年2月8日、覚書を作成し、NT工法によ
る溶接用継手について、K3が製造、K2が販売、K1が技術指導を分担すること
によってNT工法の普及に努めることなどを内容とする合意をした。(乙第58号
証)
ウ K2、K3、株式会社K7は、昭和62年2月15日、NT工法の実用化
に関する契約を締結した。同契約は、上記3社が、NT工法について日本建築セン
ターの一般評定を取得するため互いに協力して実用化のための開発を行うこと、評
定の申請は上記3社の共同名義で行うこと、契約の有効期間は昭和61年12月1
日から昭和62年11月30日までとし、契約期間は上記3社による協議の上延長
できることなどを内容とするものであった。(乙第60号証)
上記3社は、昭和62年5月20日、日本建築センターに評定申込みを行
い、平成元年4月19日、鉄筋の種類SD35につき、継手の性能がA級であると
の評定(評定番号BCJ-C1251)を受けた。(乙第61号証)
エ P1は、NT工法を改良し、筒型のスリーブに代えて、円筒形の4分の1
程度をカットしたスリーブを開発し、この発明(第二特許発明)について、昭和6
3年10月21日、発明者をP1として特許出願を行った。(乙第56号証)
(3) 原告とK1の契約等
ア K1と原告は、平成2年4月1日、「協力会社契約書」を作成し、K1が
元請け、原告が下請けとしてNT工法による工事を行うこと、K1の業務に支障が
生じた場合、又はK1の社長がP1から他へ変わったなどの場合、原告がNT工法
を引き継ぎ、業務を継続することなどを約した。(甲第39号証)
イ K1は、平成4年12月12日ごろ、取引先に挨拶状を送付した。その挨
拶状には、P1の健康上の都合でK1の営業権及びNT工法の特許権を原告に譲渡
したこと、原告は、従来より永年にわたりNT工法を施工し、同工法に充分習熟し
ていることなどが記載されていた。(甲第40号証)
(4) NT工法溶接工選定委員会
ア 平成5年の初めごろ、NT工法を実施していたのは、原告、被告NYK及
びK3であったが、上記3社は、平成5年4月、NT工法溶接工選定委員会を設立
した。同委員会の委員長はK3のP6、事務局所在地は大阪市<以下略>とされ、
同委員会の目的は、NT工法の品質を高め、要求される安全性及び信頼性を得るた
め、習熟した溶接工の技量資格選定試験を実施し、技量資格を承認するとともに、
工法技術の調査研究を行い、工法の普及を図り、土木・建築技術の向上に寄与する
こととされていた。(乙第16号証)
イ K4は、NT工法溶接工選定委員会に対し、平成5年8月2日に400万
円、同年11月8日に300万円、平成6年2月22日に500万円、同年9月2
2日に310万1879円を支払い、同委員会の活動資金を負担した。(乙第14
号証、第15号証の1、2)
(5) K1の破産と第一特許権の譲渡
ア 第一特許権は、平成2年9月13日、P1を特許権者として設定登録がさ
れ、平成4年6月22日、P1の妻であるP2へ譲渡を原因とする移転登録がさ
れ、平成5年3月22日、P3へ譲渡を原因とする移転登録がされた。また、同年
1月25日、P10を専用実施権者とする専用実施権の設定登録がされた。(乙第
55号証の2)
イ K1、P1及びP2は、平成5年3月9日、大阪地方裁判所で破産宣告を
受け、第一特許権(P2が買戻特約付きでP3に譲渡していた。)、実用新案登録
第1932898号の実用新案権、第二特許発明の出願中の特許を受ける権利は、
破産債権者として届け出ていた者に譲渡されることとなった。原告は、K1の破産
債権者として届け出ていたことから、原告が上記権利の譲渡を受けることとなり、
原告の顧問弁護士であったP7弁護士が、譲渡契約の代理をした。破産者P1、同
P2両名破産管財人と原告は、平成5年7月28日、上記権利について売買契約を
締結した。同契約においては、①破産管財人が、原告に対し、上記権利を代金31
20万円で売り渡し、原告がこれを買い受けること、②破産管財人は、譲渡契約の
効力発生後、原告から売買代金の内金として420万円の支払を受けたときは、速
やかにP3に対し買戻権を行使し、上記権利の登録名義を破産管財人に戻さなけれ
ばならないこと、③破産管財人は、原告に対し、P3に対する買戻権を行使して上
記権利の登録名義を破産管財人名義に戻した上、代金全額の支払を受けるのと引換
えに、上記権利につき移転登録手続をすること、④第一特許権につい
ては、P10名義の専用実施権の登録がされたままの売買であるが、原告は、原告
の費用をもって同専用実施権設定登録の抹消登録手続をし、訴訟手続上必要なとき
は、破産管財人に対して訴訟告知を行うことなどが合意された。(乙第40号証)
原告は、破産管財人に対し、上記売買代金として、平成5年7月28日、
420万円を支払い、同年9月29日、1140万円を支払い、同年11月29
日、1560万円を支払った。(甲第45号証の1ないし3)
ウ 第一特許権、実用新案登録第1932898号の実用新案権、第二特許発
明の出願中の特許を受ける権利の売買代金3120万円は、原告、K3、K4が3
等分して1040万円ずつ負担することとされ、平成5年7月末までに既にK4が
2260万円、原告が860万円を負担していたことから、これを清算するため、
原告がK4に対して180万円、K3がK4に対して1040万円支払うことが合
意された。また、P3に対する処分禁止の仮処分に要する費用、及びP10の専用
実施権設定登録の抹消に要する費用は、K4が400万円を立て替え、最後に清算
することとされた。さらに、評定に要した費用については、原告、K3、被告NY
Kが100万円ずつ負担することとされた。(甲第35号証、乙第43号証)
上記の原告からK4への180万円、K3からK4への1040万円は、
平成5年12月1日、原告及びK3からK4へそれぞれ支払われた。(乙第44号
証)
エ 原告は、平成5年7月30日、P3に対する処分禁止の仮処分命令(神戸
地方裁判所伊丹支部平成5年(ヨ)第50号)を取得し、同年9月20日、その旨の登
録がされた。破産管財人は、P3に対する買戻権を行使し、平成6年3月28日、
第一特許権について、P3から破産者P2に対して譲渡を原因とする移転登録がさ
れ、更に同日、破産者P2から原告に対して譲渡を原因とする移転登録がされた。
(乙第55号証の2)
オ 原告は、平成8年8月22日、第二特許権につき設定登録を受けた。(乙
第56号証)
(6) 商標登録
ア P1は、第一商標と同一の商標について、K5特許事務所のP11弁理士
等を代理人とし、平成元年8月1日付け商標登録願により、指定商品を鉄筋溶接継
手金具などとして商標登録出願し、その後拒絶理由通知を受け、指定商品を補正す
るなどしたが、平成3年11月22日付けの拒絶査定を受けた。(甲第58号証)
イ(ア) 原告は、P11弁理士等を代理人とし、第一商標について、平成6年
2月9日付け商標登録願により、商品の区分を第37類、指定商品を建築現場にお
ける鉄筋の継手工事、その他の鉄筋工事、配管工事として商標登録出願(商願平6
-12678号)をした。(甲第59号証)
(イ) 特許庁審査官は、原告に対し、平成8年11月6日起案の拒絶理由通
知書により、商標登録出願に係る商標は、役務の内容を表す記号、符号として用い
られる欧文字2文字の「NT」の文字に、役務を提供する工事の方法を認識させる
「工法」の文字とを「NT工法」として書してなるにすぎないものであるから、こ
れを本願の指定役務に使用するときは、需要者が何人の業務に係る役務であるかを
認識することができないものと認め、商標法3条1項6号に該当する旨の拒絶理由
を通知した。(甲第59号証)
(ウ) 旧協会は、平成8年12月、P11弁理士に対し、NT工法もニュー
NT工法も建設業界では広く知られており、パンフレットも旧協会に属する各社が
共通に作成、配布していること、建設工事についてローマ字と工法という言葉を組
み合わせた商標は、CEC工法、PTC工法など数多くあることなどを記載した意
見書を送付した。(乙第124号証)
原告は、特許庁審査官に対し、平成9年1月8日付けの意見書を提出
し、本願商標は、取扱い業者間では出願人の営業を表示する商標として認識され、
現に特別顕著性を発揮し、業務上の信用が化体しており、商標法3条1項6号に該
当するものではない旨の意見を述べた。(甲第59号証)
(エ) しかし、特許庁審査官は、原告に対し、平成9年3月4日付けの拒絶
査定を行った。その理由は、平成8年11月6日付けで通知した理由によって拒絶
すべきものと認め、意見書によって先の認定を覆すに足りないというものであっ
た。(甲第59号証)
(オ) 原告は、平成9年4月28日付けの審判請求書により、拒絶査定不服
審判(平成9年審判第6887号)を請求し、同年5月28日付けの審判請求理由
補充書を提出した。(甲第59号証)
(カ) 特許庁審判官は、平成10年10月26日、原査定を取り消し、本願
商標は登録をすべきものとする旨の審決を行った。第一商標は、同年12月18
日、商標登録された。(甲第22号証、第59号証)
ウ(ア) 原告は、P11弁理士等を代理人とし、第二商標について、平成7年
3月2日付け連合商標登録願により、役務の区分を第37類、指定役務を建築又は
土木現場における鉄筋の継手工事、その他の鉄筋工事、配管工事とし、第一商標
(商願平6-12678号)の連合商標として商標登録出願した(商願平7-20
736号)。(甲第1号証、第60号証)
(イ) 特許庁審査官は、原告に対し、平成9年5月26日起案の拒絶理由通
知書により、商標登録出願に係る商標は、役務の質(内容等)が新しいといった意
を直感させる「ニュー」の文字と、役務の内容を表す記号・符号として用いられて
いる欧文字2文字の一類型と認められる「NT」の文字、及び工事の方法であるこ
とを表す語として他の語に付して広く使用されている「工法」の文字とを結合させ
「ニューNT工法」と普通に用いられる方法で書してなるにすぎず、これをその指
定役務に使用しても、需要者が何人の業務に係る役務であるかを認識することがで
きないものと認め、商標法3条1項6号に該当する旨の拒絶理由を通知した。(甲
第60号証)
(ウ) 原告は、特許庁審査官に対し、平成9年7月30日付け意見書を提出
するとともに、同日付けの手続補正書(自発)を提出し、指定役務を建築又は土木
現場における鉄筋の継手工事と補正した。
原告は、平成10年12月8日付け追加意見書を提出し、第一商標の拒
絶査定不服審判(平成9年審判第6887号)において、原査定を取り消し、商標
登録出願に係る商標を登録すべきものとする旨の審決を受け、第一商標は自他役務
の識別力を有し、商標法3条1項6号の規定に該当しないとの判断が示されたこと
から、第二商標も同様に自他役務の識別力を有することになる旨の意見を述べた。
(甲第60号証)
(エ) 特許庁審査官は、平成10年12月17日、第二商標について登録査
定を行った。第二商標は、平成11年1月29日、商標登録された。(甲第1号
証、第60号証)
エ 原告は、第一特許権、第二特許発明の出願中の特許を受ける権利を譲り受
けており、第一特許権、第二特許権の登録名義が原告の名義になることとなってい
たことから、第一商標権、第二商標権の出願、登録も、原告名義で行われた。
原告は、第一商標、第二商標につき、旧協会及び旧協会の構成員(会員)
に、黙示に通常使用権を許諾していた。
(7) ニューNT工法
ア(ア) 原告、K3、被告NYKは、協力してNT工法の改良について研究開
発を行っていた。第二特許発明のスリーブには、作業性に関して不都合な点があっ
たので、上記3社の担当者らは、鉄筋の突き合わせ溶接の接続部に半円筒形スリー
ブをはめて行う鉄筋の溶接継手工法を考え出し、この工法は、「ニューNT工法」
と称されることとなった。(乙第122号証)
(イ) 原告、K3、被告NYKは、財団法人日本建築総合試験所に対し、ニ
ューNT工法による鉄筋溶接継手部の強度試験を依頼し、平成6年12月16日、
同試験所から報告書の提出を受けた。(乙第36号証)
また、原告、K3、被告NYKは、ニューNT工法について、平成7年
5月17日、日本建築センターに評定を申し込み、同年12月、評定番号BCJ-
C1865の評定を取得した。(乙第122号証)
旧協会設立後は、旧協会が「ニューNT工法標準仕様書」を発行し、旧
協会の会員は、同標準仕様書に基づいてニューNT工法の施工を行っていた。(甲
第47号証)
イ 原告、K3、被告NYKの担当者らは、半円筒形でかつ軸方向の中央部内
面に溶接金属を充満させる溝条を形成したスリーブを発明し、原告は、この発明に
つき、平成7年3月31日、発明者を原告代表者として特許出願を行い(特願平7
-74837号)、平成12年8月11日、第三特許権の設定登録を受けた。(乙
第57号証)
原告は、第一特許権、第二特許発明の出願中の特許を受ける権利を譲り受
けており、第一特許権、第二特許権の登録名義が原告の名義になることとなってい
たことから、第三特許権の出願、登録も、原告名義で行われた。
ウ 原告は、第三特許発明に係るスリーブの縁にルート間隔(鉄筋の突合せ間
隔)の幅で切欠きを形成したものについて、平成7年3月31日、考案者を原告代
表者として実用新案登録出願を行い、平成9年6月4日、本件実用新案権の設定登
録を受けた。(甲第23号証)
本件実用新案権の出願、登録も、第三特許権と同様に、原告名義で行われ
た。
エ 原告、K3、被告NYKは、従前はNT工法を施工していたが、平成6年
ごろから、ニューNT工法の施工を始めた。(甲第41号証、乙第63、第64号
証、第123号証。なお、甲第41号証においては、平成2年7月以降の工事が記
載された表に「ニューNT工法工事履歴書」という題名が付されているが、これま
で認定された事実に照らし、同表には、ニューNT工法が採用される前の工事も含
めて記載されているものと認められ、平成2年7月以降の工事がすべてニューNT
工法によることを表す趣旨ではないものと認められる。)
(8) 旧協会の設立
ア 原告、K3、被告NYKは、平成7年4月20日、「ニューNT協会設立
合意書」を作成し、旧協会の設立に合意した。同合意書には、NT工法及びニュー
NT工法の知的所有権、保有技術、及びそれらのノウハウを保持管理することを図
り、更に同工法の発展、普及、研究開発等をするとともに、工法の管理体制を確立
することを目的として、旧協会の設立に合意したこと、上記3社は、旧協会の会則
を遵守し、相互扶助、互恵の精神に則り、旧協会の目的に沿って互いに協力し、会
員の技術的・経済的地位の向上に寄与するものとして合意することが記載されてい
た。(乙第17号証)
イ 旧協会は、設立当初は、正会員が原告、K3、被告NYKであり、理事長
は被告NYK代表取締役のP5であり、所在地は、大阪市<以下略>であった。
平成7年5月、原告、K3、被告NYKの他にK2が旧協会の正会員とな
った。
(9) 第三者との係争等
ア 第一特許権については、P10を専用実施権者とする専用実施権設定登録
がされていたところ、原告は、平成6年3月23日、P10に対する処分禁止の仮
処分命令(大阪地方裁判所平成6年(ヨ)第851号)を取得し、同年5月30日、そ
の旨の登録がされた。原告は、P10に対する専用実施権設定登録抹消登録手続請
求訴訟を提起して勝訴し、P10の専用実施権設定登録は、平成9年10月20
日、抹消された。(甲第56号証、乙第55号証の2)
イ 平成7年9月19日の日経産業新聞に、広島県尾道市に所在するK6がP
10から第一特許権の専用実施権を購入し、自らNT工法を実施するとともに、中
国地方に代理店を置いてNT工法の一層の普及を図る旨の記事が掲載された。原告
代理人のP7弁護士は、K6に対して警告書を送付し、原告がP10に対して第一
特許権の専用実施権設定登録抹消登録手続請求訴訟を提起して係属中であり、原告
が同訴訟で勝訴した場合には、原告がK6に対して第一特許権の侵害による損害賠
償を請求する旨警告した。(甲第55、第56号証)
(10) 費用の分担等
ア 原告は、平成5年12月9日から平成7年8月7日までに、K5特許事務
所に対し、第一特許権の登録名義を原告に移転するための費用、第一商標の出願費
用及び登録料、第二商標の出願費用及び登録料等として、合計約124万円を支払
うとともに、同事務所に対する歳暮、中元等の費用を負担し、それらの合計は12
7万7822円であった。(乙第2ないし第4号証)
  イ 原告、K3、K4は、①NT工法について日本建築センターの評定を取得
するために上記3社が負担していた費用合計1666万7472円、②第一特許権
の登録名義の移転費用、第一商標及び第二商標の出願費用及び登録料等として原告
がK5特許事務所に対して負担した費用合計127万7822円(前記ア)、③P
10に対する専用実施権設定登録抹消登録手続請求訴訟等に要した費用として原告
が負担していた428万8688円を、上記3社がそれぞれ3等分して負担するこ
ととし、平成7年9月26日、各社のそれまでの立替分との差引額及び支払先が明
らかにされ、その後清算が行われた。(乙第5号証、第109号証)
ウ 原告、K3、K4は、平成7年11月、第一特許権について覚書を作成
し、①第一特許権は原告の名義で登録されているが、実質は原告、K3、K4の共
有であり、その持分は各3分の1であることを互いに確認すること、②第一特許権
に関して係属中である原告のP10に対する専用実施権設定登録抹消登録手続請求
訴訟の終了後、第一特許権の登録を原告、K3、K4の共有名義にすること等につ
いて協議すること、③第一特許権に関する原告とP10との間の本案訴訟、仮処分
に関する訴訟費用、弁護士費用等一切の費用は、原告、K3、K4が平等に負担す
ることを約した。(乙第41号証)
エ 原告代理人のP7弁護士は、平成9年12月26日、原告に対し、P10
に対する仮処分申立事件及び専用実施権設定登録抹消登録手続請求事件並びにP3
に対する仮処分申立事件の費用、着手金、報酬の合計が537万7408円である
旨の計算書を送付した。(乙第47号証)
(11) 旧協会の組織
ア 旧協会会則
旧協会においては、「ニューNT工法協会会則」(以下「旧協会会則」と
いう。)が定められた。旧協会会則は、設立当初は、旧協会の名称、目的などを定
めた第1章「総則」、会員、会費などを定めた第2章「会員」、理事等の任命、任
期、事務局の行う事務などを定めた第3章「事務局」、総会、理事会等の会議の構
成、権能などを定めた第4章「会議」、技術開発等のために設けられた技術開発委
員会について定めた第5章「技術開発委員会」、ニューNT工法に習熟した技術者
の教育訓練、資格取得のために設けられた溶接技術者選定委員会について定めた第
6章「溶接技術者選定委員会」、資産の構成、管理、予算、決算等について定めた
第7章「資産及び会計」、会則の変更及び解散について定めた第8章「会則の変更
及び解散」、第9章「雑則」、並びにニューNT工法協会組織図からなっていた。
(甲第3号証)
平成11年当時の旧協会会則は、第3章の題名が「役員及び事務局」とさ
れ、第5章「運営委員会」として、旧協会の運営に当たる運営委員会の構成、権能
等が定められ、第6章「技術開発委員会」、第7章「溶接技術者選定委員会」、第
8章「資産及び会計」、第9章「会則の変更及び解散」、第10章「雑則」という
構成であったが、設立当初の旧協会会則の規定は、ほぼそのまま維持されていた。
(甲第46号証)
イ 旧協会の構成
(ア) 旧協会会則によれば、旧協会の会員は、正会員、準会員、賛助会員、
特別会員からなり、正会員は、特許権者又は評価取得者、準会員は、旧協会の目的
に賛同して、通常実施権を許諾され、又はニューNT工法の実施資格の認定を受
け、正会員のいずれかと施工協力契約を行う個人若しくは法人(平成11年当時の
旧協会会則では、「通常実施権を許諾され」という部分は削除された。)、賛助会
員は、旧協会の目的に賛同して協力する個人又は法人、特別会員は、旧協会の目的
に賛同して理解、指導、協力が得られる個人又は法人、及び学識経験者とされ、会
員の種類によって会費が異なっていた。(甲第3号証、第46号証)
平成8年11月12日当時の旧協会の会員は、正会員が原告、K3、K
2、被告NYKであり、賛助会員が株式会社K8、K9株式会社であり、特別会員
がP8、P12であった。また、特別会員にP13が加わることもあった。(乙第
19号証)
(イ) 旧協会には、事務局の他に溶接技術者選定委員会、技術開発委員会が
置かれ、平成8年11月12日当時の事務局の構成は、理事長がP5、副理事長が
P14(K2大阪建材部部長)、理事(運営理事)がP15(K3代表取締役社
長)、P16(原告代表取締役社長)、P17(被告NYK代表取締役社長)、P
8、P13(K9取締役営業部長)、運営理事がP18(K3常務取締役)、P1
9(K2大阪建材部副部長)、P12、監事がP20(K2大阪建材部副部長)で
あり、溶接技術者選定委員会の構成は、委員長がP5、副委員長がP13、委員が
P18、P19、P16、P17、P12であり、技術開発委員会の構成は、委員
長がP12、副委員長がP13、委員がP18、P19、P16、P17であっ
た。また、運営理事にP21(被告NYK専務取締役)が加わり、技術開発委員会
が、委員長P16、副委員長P12、委員P18、P19、P17、P13とされ
たこともあった。(乙第19号証)
(12) 第一特許権等の共有契約
ア 原告、K3、K2、K4は、平成10年3月31日、第一特許権につき特
許共有契約を締結し、旧協会は、上記4社と、同契約に拘束されることに合意し
た。同契約には、次の趣旨の条項が定められていた。(甲第20号証)
2条
(1) 原告は、第一特許権の持分の4分の1ずつをK3、K4及びK2に譲
渡し、第一特許権を共有する。そのため、原告、K3、K4及びK2は、第一特許
権の特許権者の名義変更・追加の手続を行い、かつ特許登録令33条に従って、持
分の定め、及びK4は原告、K3及びK2の同意のない限り特許発明の実施をする
ことができない旨の定めを登録する手続を行うものとする。この名義変更・追加の
手続に要する費用は、原告、K3、K4及びK2がそれぞれ均等に負担する。
(2) K4は、原告、K3及びK2の同意のない限り、共有となった第一特
許発明を自ら実施しない。
(3) 原告、K3、K4及びK2は、共有となった第一特許権について、2
条(1)に定める特許権者の名義変更・追加の手続がされた日から5年間は分割を請求
しないことに同意する。
(4) K3、K4及びK2は、本契約締結後直ちに第一特許権に関する一切
の書類及び2条(1)に定める手続に必要な一切の書類を原告に引き渡すものとし、原
告は、第一特許権に関する2条(1)に定める手続を善良なる管理者の注意義務をもっ
て行うものとする。
(5) 原告、K3、K4及びK2は、他の共有者全ての同意なしに第一特許
権を他に譲渡してはならないものとする。
(6) 原告、K3及びK2は、共有となった第一特許権につき、K4が被告
NYKに対して通常実施権(実施地域は日本国内全域、実施期間は特許有効期間、
実施内容は全部)を許諾することに同意し、許諾に際しては、原告、K3、K4及
びK2が同意する内容の通常実施権設定契約を、原告、K3、K4、K2、被告N
YK間で締結するものとする。
(7) 2条(6)の他、第一特許権の実施、管理等については、旧協会会則に
従うものとする。
3条
(1) 本契約の有効期間中に、原告、K3、K4又はK2が、単独又は共同
(これら4社以外の第三者との共同を含む)で、第一特許権に係る発明及びノウハ
ウに関連して新たに改良、発明、考案した技術、意匠については、原告、K3、K
4又はK2のいずれかが工業所有権の出願を要請したときは、必要事項を協議し、
合意を得たものについて、原告、K3、K4及びK2が共同して工業所有権の出願
をするものとする。その際には、2条の規定を準用する。
(2) (1)における出願費用、登録費用は、原告、K3、K4及びK2がそ
れぞれ均等に負担する。
4条
(1) K3、K4及びK2は、2条(1)に定める第一特許権の一部譲渡及び
本契約における原告の合意の対価として、原告に対しそれぞれ914万4000円
を支払う。
(2) 2条(6)によって第一特許権に関し通常実施権を被告NYKに許諾す
る場合のランニングロイヤリティーについては、原告、K3、K4、及びK2が協
議の上決定する。
5条
(1) 旧協会は、原告、K3、被告NYK及びK2が第一特許権を実施する
上で必要なすべての情報、資料その他を提供し、かつ技術的な面において協力し、
原告、K3、被告NYK及びK2を援助するものとする。
(2) 旧協会は、原告、K3、被告NYK及びK2が第一特許権を実施でき
るように、原告、K3、被告NYK及びK2に対し、第一特許権に係るノウハウを
開示、提供し、技術指導を行うものとする。
(3) 5条(1)、(2)に関する事項の詳細は、旧協会にて別途定めるものとす
る。
6条
第一特許権の登録を維持するための費用については、原告、K3、K4
及びK2がそれぞれ均等に負担するものとする。
7条
第一特許権につき、第三者より侵害を受けたり、侵害の申立てを受ける
など、第三者との間に紛争が生じた場合には、原告、K3、K4及びK2は、協力
して紛争の解決に当たるものとする。
9条
原告、K3、K4及びK2は、他の共有者の書面による承諾を得ずに、
本契約に基づく権利、義務を第三者に譲渡、引受させてはならない。
11条
本契約は、第一特許権の有効期間中、効力を有するものとする。
イ K2は、平成10年3月18日ごろ、上記特許共有契約4条(1)に定める負
担を実行するため、原告、K3、K4に清算額(それぞれ304万8000円)を
支払った。(乙第45号証)
ウ 第一特許権については、平成10年6月22日、その持分の一部を原告か
らK3、K4、K2に移転する旨の移転登録がされた(乙第20号証、第55号証
の2)。
(13) 第一特許権の通常実施権許諾契約
原告、K3、K2、被告NYK及びK4は、平成10年6月30日、K4が
被告NYKに対して、原告、K3、K4及びK2が共有する第一特許権の通常実施
権を許諾する通常実施権許諾契約を締結した。同契約には、次の趣旨の条項が定め
られていた。(乙第1号証)
2条
(1) 原告、K3及びK2は、K4が被告NYKに対して、実施地域を日本
国内全域、実施期間を特許有効期間、実施内容を全部とする通常実施権を許諾する
ことに同意する。被告NYKは、第三者に対し再実施許諾しないものとする。
(2) K4は、原告、K3及びK2の同意のない限り、自ら第一特許権を実
施しないものとする。
4条
(1) 本契約の有効期間中に、被告NYKが、単独又は共同(原告、K3、
K2、K4以外の第三者との共同を含む)で、第一特許発明及びこれに関するノウ
ハウに関連して新たに改良、発明、考案した技術、意匠については、第一特許権の
特許権者の共有に帰属するものとし、第一特許権の特許権者は必要事項を協議し、
合意を得たものについて、共同して工業所有権の出願をするものとする。
(2) 4条(1)における出願費用については、第一特許権の特許権者がそれ
ぞれ均等に負担するものとする。
5条
第一特許権につき、第三者より侵害を受けたり、侵害の申立てを受ける
等、第三者との間に紛争が生じた場合には、第一特許権の特許権者及び被告NYK
は、協力して紛争の解決に当たるものとする。
9条
本契約は、第一特許権の有効期間中、効力を有するものとする。
(14) 商標登録費用等
ア 原告は、平成10年12月3日、K5特許事務所に対し、第一商標の拒絶
査定不服審判の成功謝金、納付手数料、登録料等の合計として25万6000円を
支払った。(乙第11号証)
原告は、平成10年12月24日、旧協会に対し、第一商標の登録に要し
た費用として、上記25万6000円を含む29万6210円を請求し、旧協会
は、平成11年2月25日、原告に対し、29万6210円を振り込んだ。(乙第
10号証、第12号証)
イ 原告は、平成11年1月18日、K5特許事務所に対し、第二商標の登録
の成功謝金、納付手数料、登録料等の合計として11万8250円を支払った。
(乙第7号証)
原告は、平成11年3月5日、旧協会に対し、第二商標の登録に要した費
用として、上記11万8250円を含む12万3750円を請求した。(乙第6号
証)
また、原告は、旧協会に対し、平成11年1月28日に東京の日本建築セ
ンターに出張した際の手土産、タクシー、飲食の代金の立替分として合計6050
円を請求した。(乙第8号証)
旧協会は、平成11年3月29日、原告に対し、上記12万3750円と
6050円の合計12万9800円を支払った。(乙第9号証)
ウ 原告は、平成11年10月21日、旧協会に対し、第一特許権と本件実用
新案権の登録料合計14万8900円、日本建築センターの追加評価に必要な試験
に要した費用合計15万1200円を請求し、旧協会は、同年12月6日、原告に
対し、これらの合計30万0100円を支払った。(乙第65ないし第67号証)
エ 原告は、平成14年2月14日、トンボスリーブについての意匠登録第1
113580号の意匠権の第2年分の登録料8500円を特許庁に対して支払い、
旧協会は、同年7月末の清算金の分配の際、この金額を含めて、清算金を原告に支
払った。(甲第5号証)
(15) 旧協会の活動等
ア 旧協会の会費
(ア) 原告、K3、K2、被告NYKは、平成8年6月から平成14年7月
まで(ただし、K3については平成14年3月まで)、旧協会に対し、会費及び研
究開発等に要する臨時会費を支払っていた。(乙第102ないし第108号証の各
1ないし4)
(イ) 平成5年から平成14年3月末まで、NT工法又はニューNT工法の
開発実験、試験、日本建築センターの評定取得に要した費用は合計3115万10
00円であり、特許権、商標権、意匠権等の出願、登録の維持に要した費用は合計
417万1000円であり、これらの合計3532万2000円のうち233万2
000円をNT工法協会が負担し、その余は正会員4社が負担した。正会員4社が
それぞれ負担した金額は、平均約824万円であり、そのうち特許権、商標権、意
匠権等の出願、登録の維持に要した費用は、約104万円であった。(乙第102
ないし第108号証の各1ないし4、第109、第110号証、第122号証)
(ウ) 旧協会は、平成10年度の研究開発実験に要した費用275万550
9円のうち69万6254円を協会財産から支払い、残余の205万9255円を
正会員4社が負担した。
(エ) 旧協会は、平成11年11月20日、原告に対し、同月分会費等18
万6000円、及び臨時会費として日本建築センターの追加評価に必要な強度試験
の費用、K5特許事務所に支払った特許登録料等7万5025円を請求し、被告N
YKに対し、臨時会費として日本建築センターの追加評価に必要な強度試験の費
用、K5特許事務所に支払った特許登録料等7万5025円、溶接工選定試験費用
1万5000円を請求し、K3及びK2に対し、それぞれ、同月分会費18万円、
及び臨時会費として日本建築センターの追加評価に必要な強度試験の費用、K5特
許事務所に支払った特許登録料等7万5025円を請求した。(乙第68ないし第
71号証の各1、2)
イ 旧協会における技術開発等
(ア)a 旧協会の理事であったP8は、平成6年までK10株式会社に勤務
し、一級建築士の資格を有していたが、退職後、理事として旧協会の運営に当たる
とともに、ニューNT工法に関する技術の開発や評定の取得に尽力した。P8は、
ニューNT工法を改良した鉄筋の溶接継手工法を開発し、特許出願のために明細書
案などを作成し、K11特許事務所と、明細書の内容について調整等を行った。原
告は、これについて、K11特許事務所のP22弁理士らを代理人として、平成1
2年2月1日、特許出願を行い(特願2000-24139号、発明の名称 鉄筋
溶接継手工法)、同年8月3日にも特許出願を行った(特願2000-23571
5号、発明の名称 鉄筋の溶接継手工法とその溶接部探傷方法)。(乙第79ない
し第83号証)
b また、P8は、ニューNT工法の改良型スリーブ(トンボスリーブ)
を開発し、K11特許事務所と、意匠登録出願の願書、添付図面について調整を行
った。原告は、これについて、K11特許事務所のP22弁理士らを代理人とし
て、平成12年5月2日、意匠登録出願を行い(意願2000-11799号)、
平成13年4月27日、意匠登録を受けた(意匠登録第1113580号)。(乙
第52号証、第76ないし第78号証)
c 上記a、bの工業所有権の出願費用等は、旧協会が支出した。(乙第
73号証、第99号証)
(イ)a 原告、K3、K2、被告NYKは、平成13年6月20日、日本建
築センターに評定申込みを行い、同年9月19日、鉄筋の種類SD490につき、
継手の性能がA級であるとの追加評定(評定番号BCJ-RC0011-01)を
受けた。(甲第4号証、乙第18号証)
b 旧協会が日本建築センターから鉄筋の種類SD490について追加評
定を受けたことは、平成13年10月29日の日刊建設工業新聞の記事に掲載さ
れ、同記事には、ニューNT工法協会の正会員4社(原告、K3、K2、被告NY
K)がニューNT工法についての特許権、商標権を共有していることが記載されて
いた。(乙第131号証)
c 旧協会は、平成13年4月10日、「UT検査改良型継手スリーブの
開発と今後の継手スリーブの取扱いについて」と題する文書を会員に配布し、継手
スリーブの取扱い規定を設けたこと、旧協会が指定したメーカー以外が製造したス
リーブを使用してはならないことを通知した。(乙第126号証の1、2)
ウ 旧協会の取引関係
(ア) 旧協会は、事務局に充てるため、平成10年9月4日ごろ、K12株
式会社との間で、同社所有の大阪市<以下略>を賃借する旨の賃貸借契約を締結
し、有限会社K8が連帯保証人となった。旧協会は、同日、K12株式会社に対
し、貸室保証金として144万円を支払った。(乙第38、第39号証)
(イ) 旧協会は、平成12年6月、コピー機についてリース契約を締結し、
同契約は、被告現協会が引き継ぎ、現在まで継続している。(乙第30号証の1、
2、乙第31号証)
旧協会は、平成14年3月、電話機等についてリース契約を締結し、同
契約は、被告現協会が引き継ぎ、現在まで継続している。(乙第37号証)
エ 旧協会の出納
(ア) 旧協会は、平成8年5月7日、株式会社K13銀行にニューNT工法
協会名義の普通預金口座を開設し(株式会社K13銀行は、その後、株式会社K1
4銀行に商号変更し、更にその営業は、株式会社K15銀行に譲渡された。)、旧
協会が有する金銭の出納を管理してきた。(乙第90ないし第97号証)
(イ) 平成14年7月31日当時、上記預金口座には約488万円が残って
いたが、そのうち清算金(後記(18)キ、ク)として支払われたのは220万円余り
であり、清算金を分配した後も旧協会の預金は存続した。(乙第32号証、第42
号証)
オ 旧協会の第三者への警告等
(ア) 旧協会は、平成10年9月4日、日刊建設工業新聞に「鉄筋の溶接継
手工法についてのお知らせ」という題の広告を掲載した。同広告には、次の趣旨が
記載されていた。(乙第127号証)
「ニューNT工法は、定格半割型スリーブ継手金具を用いたエンクローズ
方式の溶接継手工法として一番長い歴史を有している。そして、当工法は、平成元
年、日本建築センターの評定を受け、かつ平成2年に特許が登録されたNT工法を
ベースに開発したものである。
その後、品質、性能の向上と適用範囲拡大を目的とし、新たにニューN
T工法として、平成7年、日本建築センターの評価を取得した。現在までの施工実
績は1000件を超え、施工累計は約500万個所である。
当工法は、ニューNT工法協会の指導と保障のもとに、以下の特徴によ
る施工とサービスを約束している。
① 会員会社は、日本建築センターの評価取得者であり、『A級継手』の
品質保証と認定された標準仕様書に基づき、責任施工を行う。
② 所属する溶接技術者は、JIS資格を有し、かつ当協会の教育訓練・
実技試験の合格者であり、協会認定の資格証明を保持している。
③ 当協会で製作した刻印のある定格スリーブを使用している。
④ 会員会社は、当工法にかかわる特許権を共有している。
⑤ 当協会は、構造体の技術進化に対応すべく、上位鋼種SD490の溶
接継手の実用化研究を進めている。
ここ2~3年来各方面で当工法の亜流や類似工法の売り込みが多発して
いる。
鉄筋の溶接継手工法の選定の折りには、日本建築センターの評定・評価
を得ているか、組織的な品質管理・性能保証・溶接技術者の資格認定などがなされ
ているか、また特許権侵害の問題はないかなどを十分検討、注意の上、採用された
い。」
(イ) 旧協会は、平成10年9月ごろ、上記広告と同趣旨の「鉄筋の溶接継
手工法についてお願い」と題する文書を、建設会社等の構造設計担当部門長、設計
監理担当部門長宛に送付した。(乙第128号証)
(ウ) 旧協会は、平成12年7月19日、平成13年7月11日にも、日刊
建設工業新聞に、類似工法に注意するよう呼びかける広告を掲載した。(乙第12
9、第130号証)
(エ) 原告は、平成11年3月、有限会社K16に対し、第一商標又は第二
商標と同一又は類似の「NT工法」又は「メッシュNT工法」という標章の使用中
止を求める警告をした。(甲第57号証)
カ 旧協会の定時総会
(ア) 旧協会の会則によれば、旧協会の通常総会は毎年6月に開催すること
とされていた。旧協会は、平成9年6月12日に平成9年度定時総会、平成10年
6月30日に平成10年度定時総会、平成11年6月18日に平成11年度定時総
会、平成12年7月14日に平成12年度定時総会、平成13年7月6日に平成1
3年度定時総会を開催し、前年度(前年4月ないし当年3月)の事業及び収支決算
の報告、当年度の事業計画案及び収支予算案の報告、役員改選などの議案につい
て、議事及び採決が行われた。事業報告においては、実施した事業として、技術開
発、溶接工の養成、P10に対する専用実施権設定登録抹消登録手続請求訴訟、商
標の無断使用に対する警告、特許の取得などが報告された。(甲第3号証、乙第2
2号証、第72、第73号証、第98、第99号証)
(イ) 平成12年7月19日の日刊建設工業新聞には、ニューNT工法協会
の平成12年度定時総会の開催を紹介する記事が掲載され、平成13年7月11日
の同新聞には、平成13年度定時総会の開催を紹介する記事が掲載された。いずれ
の記事にも、旧協会の正会員4社である原告、K3、K2、被告NYKが、ニュー
NT工法に関する特許権、商標権を共有している旨記載されていた。(乙第12
9、第130号証)
キ 旧協会においては、ほぼ毎月、運営理事会が開かれ、技術事項の検討、溶
接工の養成、顧問の報酬など、旧協会の運営に必要な事項を協議し、決議してい
た。(乙第22号証、第72、第73号証、第98、第99号証)
(16) K3から原告への営業の引き継ぎ
ア K3は、平成14年2月25日、原告に対し、「ニューNT工法に関わる
商権及び要員のお引き受け検討お願いの件」という題の文書を送付し、K3が廃業
するのに伴い、施工中の現場、従業員などを原告が引き継ぐよう願い出た。(甲第
43号証)
イ 原告とK3は、平成14年3月6日、取引先に対し、「ニューNT工法営
業および施工統合のお知らせ」と題する文書を送付し、同月11日からK3の営業
を原告が引き継ぐことを通知した。(甲第44号証)
ウ K3は、平成14年3月6日、旧協会に退会を申し出た。
(17) 溶接訓練センターの設立
ア 旧協会においては、平成14年2月ごろから、旧協会の理事長であり被告
NYKの代表者であるP5らが、ニューNT工法を施工する溶接工を養成する溶接
研修センターの設立を提唱し、事務局は、溶接研修センターの設立に伴う助成制度
などを調査していた。旧協会は、同年3月4日、会員に対し、助成対象条件、助成
対象内容、溶接研修センター設立の目的とメリットなどを記載した「ニューNT工
法『溶接研修センター』設立」と題する文書を送付した。(甲第28号証)
イ 原告は、平成14年3月6日、旧協会に対し、「ニューNT工法『溶接研
修センター』設立について」と題する書面を送付し、工業高校、専門溶接技術工業
高校の卒業生を毎年雇い入れ、現場に出ながら溶接の練習又は講習を義務づけてい
るので、溶接研修センターの設立は、現在のところ特に必要と考えていない旨を通
知した。(甲第29号証)
また、原告は、旧協会の職員給与の削減等による経費削減を主張してい
た。
ウ P5は、旧協会の費用で溶接研修センターを設立することを断念し、被告
NYKの費用で溶接研修センターを設立することにした。被告NYKは、平成14
年5月21日、大阪府職業能力開発協会会長に対し、被告NYKの技術部長を職業
能力開発促進法12条の規定による職業能力開発推進者に選任することを届け出
た。大阪府知事は、同月23日、「ニューNT工法溶接訓練センター P5」を名
宛人として、普通職業訓練短期過程の溶接技術科初級コース、溶接技術科上級コー
スを職業能力開発促進法24条1項の規定により認定した。(乙第88、第89号
証)
(18) 分裂の経緯
ア平成14年6月11日、旧協会の理事会が開かれ、旧協会の理事長であり
被告NYKの代表者であるP5、原告代表者、K2のP23、旧協会事務局のP
8、P13が出席した。原告代表者は旧協会からの退会を表明し、P5から慰留を
受けたが、退会の意思が固く、繰越金の配分をも要求した。P5は、原告が退会し
ても被告NYKが責任をもって旧協会を存続させる旨、剰余金を返還するのであれ
ば、正会員と準会員に公平に配分する旨述べた。特許権、商標権等については、後
日、覚書又は協定書を作成することが決まり、事務局が案を作成して送付するこ
と、平成14年度の総会は行わず、決算書、業務報告書を作成し、郵送して総会に
代えることとされた。K2のP23は、K2としては退会する気持ちはないが、剰
余金の配分は受けたいと表明した。(乙第48号証)
イ 旧協会は、平成14年6月24日、原告とK2に、同月18日付けの覚書
案を送付した。同覚書案には、同月11日の理事会の出席者として、原告代表者、
K2のP23、被告NYK代表者、旧協会事務局のP8、P13が記載されてお
り、同理事会で協議の結果決議された条項として、次のような事項が記載されてい
た。(乙第49号証の1、2、第50号証、第51号証の1、2)
① 原告は都合により、旧協会を離れて独自で従来どおり、ニューNT工法
による鉄筋の溶接継手の施工にかかわる事業活動を行う。旧協会は、構成を変えて
存続する。(1項)
② 旧協会の維持継続の任には被告NYKが当たり、協会の運営のために一
新して必要な会員と事務局員とにより協会を再構築する。(3項)
③ 日本建築センターより取得した評価、評定に基づく施工権及び平成7年
協会設立後に出願登録した特許権、商標権、意匠権などの権利は、旧協会と評定を
取得した4社の共有とする。メンテナンスフィーは権利者が負担する。(4項)
④ 旧協会のP5理事長、P8事務局長が、平成14年3月6日、K3のP
15社長からの口頭による退会届を受理したことも、この覚書により各関係者は追
認した。(5項)
⑤ 事務処理について(6項)
(イ) 平成14年度総会(覚書案には「平成13年度総会」と記載されて
いるが、後記エと同様に、「平成14年度総会」の誤記であると認められる。)は
行わず、決算書、会務報告などは事務局が作成し、関係会社に郵送する。
(ロ) 旧協会の会計は平成14年7月末日をもっていったん清算する。事
務所の移転に必要な費用を含め清算書を作成し、旧協会と利害関係のない第三者
(税理士など)の監査を受ける。
(ハ) 原告に対しては、平成13年度全会費収入(開発分担金を除く)に
原告の納入会費比率を乗じて算定した額を清算金から還付する。
(ニ) 旧協会の保有する什器備品等は、残存価値について第三者の評価を
受け、存続する「ニューNT工法協会」に移転する。
(ホ) 旧協会が保有している仕様書、パンフレット類は希望者に頒布す
る。残存する他の物品は、新規協会に移転する。
ウ K2は、平成14年6月26日、旧協会、被告NYK、原告宛てに、「6
/11の理事会の内容にそって作成しました。確認願います。」という記載をして
覚書案を送付した。同覚書案は、K2、原告、被告NYK、旧協会の記名がされて
おり、同覚書案には、次のような条項が記載されていた。(甲第52号証)
① 旧協会は6月末をもって解散する。ただし、清算業務のため、旧協会及
び旧協会事務局は7月末まで存続させる。(1項)
② 日本建築センターより取得した評価・評定に基づく施工権及び平成7年
協会設立後に出願登録した特許権、商標権、意匠権などの権利は、評定を取得した
4社の共有とする。そのメンテナンスにかかわる費用については、権利者の応分負
担とする。(2項)
③ 旧協会解散後の客先への各種サービスについては、各施工会社が独自で
行うものとする。ただし、評定・評価のメンテナンス、商標・意匠などの権利の管
理、免許発行・更新の手続については、正会員3社(原告、被告NYK、K2)で
協議するものとする。(3項)
④ 事務処理について(4項)
(1) 平成14年度の総会は行わない。決算書・会計報告については事務局
で作成し、関係会社に郵送する。
(2) 旧協会の会計については、6月末日をもって締め切り、7月末までに
清算を行う。
(イ) 会費徴収は6月分までとし、7月以降、会費徴収は行わない。
(ロ) 準会員の預託金については7月中に返還する。
(ハ) 事務局閉鎖に伴う費用を算出し、7月末までに清算を行う。
(ニ) 旧協会が保有している仕様書・パンフレット等については、希望
者に配布する。
(ホ) 旧協会が保有している什器備品等は、残存価値を算出し、7月末
までに清算を行う。
(へ) (イ)ないし(ホ)の清算終了後の残金については、徴収比率に応じ
て正会員4社に分配する。
エ 旧協会は、平成14年7月15日、会員に対し、「平成13年度決算報告
書送付の件」と題する文書を送付し、例年、定時総会は7月中旬に開催してきた
が、平成14年度は総会は行わず、決算書及び事業報告書のみを送付する旨通知す
るとともに、平成13年度定時総会議案書(甲第26号証に「平成13年度定時総
会議案書」と記載されているのは、平成13年7月6日付けの乙第99号証に「平
成13年度定時総会議案書」と記載されていることからして、「平成14年度定時
総会議案書」の誤記であると認められる。)及び平成13年度収支計算書を送付し
た。(甲第25、第26号証)
オ 旧協会は、平成14年4月1日から同年7月26日までの収支について、
未払の事務所敷引、事務所解約金、リース解約金等を支出の項目に含めて平成14
年度7月26日収支計算書を作成し、繰越残高を明らかにした。また、平成13年
7月から平成14年6月までの会費の入金及び未収入金を明らかにする表を作成し
た。さらに、ファックス、コピー機、電話機などの割賦金及びリース代金の平成1
4年7月末日現在の残額を計算した。(甲第27号証、第30号証)
カ 旧協会は、平成14年7月31日、会員に対し、「ニューNT工法協会の
組織変更について」と題する文書を送付した。同文書には、同文書記載の事由によ
り、同月末日をもって協会をいったん清算せざるを得なくなり、同年8月1日から
協会を再編することとなった旨記載されており、清算に至った事由として、次のと
おり記載されていた。(甲第5号証)
① 諸般の事情により会員会社が旧協会を退会することとなった。
② 平成14年7月31日をもって旧協会の会計を閉鎖し、清算することと
なった。
③ 協会の維持継続の任に被告NYKが当たり、一新して協会を再編する。
④ ニューNT工法の施工権は、評定を取得した4社の共有とし、特許権、
商標権、意匠権等などは4社と協会の共有とし、メンテナンスフィーは権利者の持
分負担とする。
⑤ 平成14年8月1日より新編成の「ニューNT工法協会」を立ち上げ
る。所在地は従来どおりの予定である。
⑥ 平成14年7月31日決算の清算配分金は、評定取得者に振り込む。未
収金がある場合は相殺する。預託金は、直接預託者に振り込む。
キ旧協会は、平成14年4月1日から同年7月31日までの収支について、
未払の退職慰労金、事務所敷引、事務所解約金、リース解約金等を支出の項目に含
めて作成した平成14年度7月31日収支計算書を作成し、その繰越残高として計
上された221万7032円を、正会員と準会員に、平成13年7月から平成14
年6月までの納入会費の納入比率に応じて分配することとした。旧協会は、会員に
対し、前記カの「ニューNT工法協会の組織変更について」と題する文書ととも
に、平成14年度7月31日収支計算書、及び清算に伴って支払うべき金額につい
て算出した結果を記載した表を送付した。(甲第5号証)
ク 原告は、平成14年8月9日、旧協会から清算金34万6000円を受領
し、K2は、同日、旧協会から清算金101万円を受領した(甲第6、第7号
証)。
しかし、退職慰労金、事務所敷引、事務所解約金、リース解約金などは、
実際は支出されなかった。
ケ 被告現協会は、平成14年8月1日、K12株式会社に対し、旧協会の事
務局に充てている大阪市<以下略>の賃貸借契約書の賃借人名義及び貸室保証金預
り証の宛名の名義を「ニューNT工法協会」から被告NYKに書き替えることを申
し入れる念書を差し入れた。K12株式会社と被告NYKとの間では、平成14年
8月1日付けで、賃借人名義を被告NYKとし、連帯保証人をP8とする賃貸借契
約書、及び宛名を被告NYK名義とする貸室保証金預り証が作成された。しかし、
同事務所は、引き続き被告現協会の事務所として使用されている。(甲第49ない
し第51号証)
(19) 分裂後の状況
ア 被告現協会は、平成14年8月6日、原告、K3、K2、被告NYKに対
し、「協定書締結の件」と題する文書を送付した。同文書には、特許権、実用新案
権、意匠権について共有の登録をすることは可能であるが、多大な費用と2か月以
上の期間が必要と思料されること、評定にかかわる施工実施権、建設省新技術登録
などは共有の登録になじまないことから、上記4社と被告現協会が協定を締結し、
公証人による宣誓認証証書を作成することとなった旨記載されていた。
同文書に添付された協定書案には、①日本建築センターの評定(評定番号
BCJ-RC0011-01)にかかわる施工実施権、第二特許権、実用新案登録
第1932898号の実用新案権、意匠登録第1113580号の意匠権、出願中
の特許を受ける権利(特願2000-14384号、特願2000-15373
号、特願2000-24139号、特願2000-235715号)を上記4社の
共有とすること、②第一商標権、第二商標権、建設省新技術登録(平成11年2月
15日登録、登録番号KK-980086)、平成7年の協会設立後に確定し作成
したノウハウ、印刷物の著作権、研究成果物、フロッピーディスク等に保存された
データを上記4社と被告現協会の共有とすることなどが記載されていた。(乙第5
2号証、第53号証の1、2)
イ K2は、平成14年9月19日、被告現協会に対し、協定書締結の件につ
いてファックスで回答し、協定書締結の趣旨には異存がないが、問題点を検討、調
整するように求め、問題点として、①実質的に経営が破綻しているK3を協定書に
連名するのは後々の問題となるので、10月ごろまで様子をみてからでよいのでは
ないかということ、②ニューNT工法にかかわる審議・決定については、共有者の
相談事項とし、協会名を入れるべきではないことを指摘した。(乙第54号証)
ウ 被告現協会は、平成14年9月11日、会員に対し、「臨時総会のご案
内」と題する文書を送付した。同文書には、同年10月4日に臨時総会を開催する
ことの他、原告が自己都合により旧協会から退会したこと、その要請もあって協議
の結果、7月末日に正会員、準会員に対して会費、預託金の清算を完了したこと、
今後、原告は被告現協会と関係がないこと、被告現協会は再編を行い、協会として
技術スタッフも充足し、ユーザーに対する技術サービス証明証の改訂、発行仕様書
の改訂など従来どおりの機能をもっていることなどが記載されていた。(甲第8号
証)
(20) 分裂後の協会の活動等
ア 被告現協会は、平成14年9月20日、準会員である有限会社K17に対
し、同年10月4日に臨時総会を開催する予定であることを通知した。(甲第9号
証)
イ 平成14年9月18日の日刊建設工業新聞には、被告現協会がニューNT
工法溶接訓練センターを設立し、第1回生が卒業した旨の記事が掲載された。同記
事には、その所在地が被告NYK内であることも記載されていた。(甲第10号
証)
ウ 被告現協会は、平成14年10月4日、平成14年度総会を開催し、平成
13年度事業報告、決算報告、平成14年度事業計画案、収支予算案の報告が行わ
れた。平成14年10月10日の日刊建設工業新聞には、上記総会の記事が掲載さ
れ、同記事には、原告が自己都合で被告現協会を退会し、K2も利益効率が悪いこ
とを理由として退会の意思を表明したこと、標準仕様書の内容を一部変更し、評定
取得者の名前を記入せず、従業員、施工協力会社も所属者であるという広い意味を
もたせたほか、外観検査、引っ張り・曲げ、超音波試験のうち、曲げ試験は規定か
らはずしたことなどが記載されていた。(甲第11号証、乙第100号証)
エ 被告現協会は、平成14年10月8日、ゼネコン各社に「鉄筋の溶接継手
工法について(お知らせ)」と題する文書を送付した。同文書には、同年5月大阪
府の認定を受けて「ニューNT工法溶接訓練センター」を設立したこと、同年7
月、原告が自己都合により被告現協会を退会し、同年9月末、K2も被告現協会を
退会したこと、原告とK2の名義で、協会が解散したとか、別に協会、委員会を設
けるなどと記載した文書を関係先に配布しているとの報告を受けたこと、今般、ニ
ューNT工法標準仕様書を改訂し、協会発行の資格証明証も切り替えたことなどが
記載されていた。(甲第12号証)
オ 被告現協会は、平成14年8月分の会費、臨時会費等を、正会員である被
告NYK、及び準会員、賛助会員から徴収した。K2は、同月時点において、3か
月分の会費が未納であった。被告現協会は、同年7月31日まで金銭の管理に用い
られてきた預金口座により、同年8月1日以後も金銭の出納を管理している。(乙
第33ないし第35号証)
(21) 原告及びK2の活動等
ア 原告は、平成14年10月、取引先等に、「ニューNT工法の新構成と運
営について(ご報告とご案内)」と題する文書を送付した。同文書には、同年3月
にK3の施工班が原告の傘下に入り、旧協会の正会員が原告、K2、被告NYKの
3社になったこと、同年7月末日をもって旧協会を解散したこと、旧協会の解散
は、被告NYKのP5が会員の反対を無視して同年6月に一方的にニューNT工法
溶接工訓練センターを設立し運営を開始したことによること、同年8月より原告が
新たに「ニューNT工法協会」を大阪市<以下略>に設立し、運営方針に賛同した
K2も合流していること、ニューNT工法の日本建築センターの評定条件は、評定
申込み3社それぞれの責任施工であり、評定を取得した3社が平等に権利を有して
いることなどが記載されていた。
原告は、取引先等に、上記文書とともに、原告とK2が「ニューNT工法
協会」を設立したこと、第二商標権並びに第二特許権、第三特許権及び本件実用新
案権を原告が有することを記載した文書を送付した。(甲第31号証)
イ K2は、平成14年10月9日、被告現協会に対し、「ニューNT工法協
会の件(回答)」と題する文書を送付した。同文書には、同年7月末日に旧協会が
いったん解散し、その後被告NYKと原告がそれぞれ別個に協会を立ち上げたこ
と、K2は最終的に原告が組織する協会に参加すること、その理由は、ニューNT
工法溶接訓練センターに賛同できず、原告が第二商標権を有するからであることな
どが記載されていた。(甲第32号証)
ウ K2は、平成14年10月18日、取引先に対し、「ニューNT工法およ
び協会の件(ご報告)」と題する文書を送付した。同文書には、旧協会が、その運
営等について会員間で意見の相違があったため、同年7月末日をもって解散したこ
と、原告及び被告NYKがそれぞれ協会を設立し、従来どおりの活動を行ってお
り、K2は、原告の組織する協会に参加して引き続き営業活動を行うことが記載さ
れていた。(甲第33号証)
エ 原告は、平成14年10月2日、被告Aに対し、被告Aから原告に対して
送付された同年8月7日付け通知書及び同年9月4日付け通知書に対する反論を記
載した文書(通知書)を送付した。同文書には、「貴社は、当社がニューNT工法
協会から退会したことにより、当社がニューNT工法での工事を行えなくなった等
の虚偽の風説を流布し、当社の業務を妨害しているやに聞き及んでおります。元
来、ニューNT工法の特許は、当社が承継取得し、その後、他3社との共有にし
て、その普及発展に寄与してきたものであります。また、当社は、同工法に関する
財団法人日本建築センターの評定書も取得しており、当社がニューNT工法協会を
退会しても、同工法により工事を行うことが出来ることは、当然のことでありま
す。」と記載されていた。(乙第29号証)
(22) 商標使用中止の警告等
ア 原告は、被告現協会に対し、平成14年11月26日、同月25日付け警
告書を送付した。同警告書には、旧協会は同年6月11日開催の運営理事会決議に
より同月30日をもって閉鎖し、同年7月31日をもって解散したこと、したがっ
て、被告現協会は、理事長P5、事務局長P8を新役員として組織され、被告NY
Kを会員とする新たに設立された、旧協会とは別個の協会であること、「ニューN
T工法」の名称の使用中止を求めることなどが記載されていた。(甲第15号証の
1、2)
原告は、被告NYKに対し、平成14年12月19日、上記警告書と同旨
の同月18日付け警告書を送付した。(甲第16号証の1、2)
イ これに対し、被告現協会は、原告に対し、平成14年12月10日付け回
答書を送付し、旧協会は解散しておらず、被告現協会と旧協会が同一の協会である
ことなどを主張した。(甲第17号証)
また、被告NYKは、原告に対し、平成15年1月7日付け回答書を送付
し、旧協会が解散していないこと、第一商標権、第二商標権を原告、K3、K2、
K4が共有すること、第二特許権、第三特許権も第一特許権と同様に上記4社が共
有することなどを主張した。(甲第18号証)
ウ なお、K3は、平成15年8月19日、破産宣告を受けた。(甲第53号
証)
以上の事実が認められ、甲第19号証、第34号証及び原告代表者本人尋問の
結果のうち、上記認定に反する部分は、採用することができない。上記認定事実に
基づいて、以下、検討する。
3 旧協会の法的性質について検討する。
(1) 法人格なき社団の成立要件は、①団体としての組織を備え、②多数決の原則
が行われ、③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、かつ④その組織
において代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定
していることである。そこで、旧協会がこれらの要件を備えていたかについて検討
する。
(2)ア(ア) 旧協会は、会則を備え、各種の会員、委員会を有しており(前記
2(11))、団体としての組織を備えていたと認められ、上記(1)の①の要件を満た
す。
(イ) 旧協会は、定時総会で、前年度の事業及び収支決算の報告、当年度の
事業計画及び収支予算案の報告、役員改選などの議案について、議事及び採決を行
っており(前記2(15)カ)、多数決の原則が行われていたものと認められ、上記(1)
の②の要件を満たす。
(ウ) 旧協会の会員には、正会員、準会員、賛助会員、特別会員の種別があ
り(前記2(11)イ)、正会員は、特許権者又は評価取得者とされており、特許権若し
くはその持分の得喪又は評定の得喪によって正会員が変更しても旧協会は存続し得
るものであった。また、他の種類の会員についても、会員の資格要件に照らして、
会員が変更しても旧協会は存続し得るものであった。したがって、旧協会は、構成
員が変更しても存続するものであったと認められ、上記(1)の③の要件を満たす。
(エ) 旧協会は、会則を備えており(前記2(11)ア)、代表の方法、総会の
運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していたものと認められ、上
記(1)の④の要件を満たす。
イ さらに、旧協会は、会員から会費を徴収し、その財産を旧協会名義の預金
口座において管理し、その財産から工業所有権の出願費用、登録料に相当する金額
を原告に支払うなどし、収支は定時総会に報告され、議事、採決を経ていたもので
あり(前記2(14)、(15))、協会の財産、会計は、会員の財産、会計とは名実とも
に区別されていたものと認められる。
また、旧協会は、ニューNT工法にかかわる技術開発、特許権、意匠権等
の出願の準備を行うほか、ニューNT工法の標準仕様書の発行、事務所の賃貸借契
約やコピー機等のリース契約などの取引、広告の掲載などを行い(前記2(7)
ア、(15))、旧協会の名義をもって、個々の会員の行為とは区別された行為を行っ
ていたものと認められる。
ウ 以上の認定事実によれば、旧協会は、民法上の組合ではなく、法人格なき
社団であると認めるのが相当である。
(3)ア 原告は、旧協会の構成員は4種類で均質を欠いており、正会員4社は準会
員以下の会員をもって代替することができないから、旧協会は、構成員の変更にも
かかわらず団体そのものが存続するという要件を充足していなかった旨主張する。
しかし、法人格なき社団の成立要件として、構成員の均質性までは要求さ
れておらず、前記(2)ア(ウ)認定のとおり、旧協会においては、いずれの種類の会員
についても、その変更にかかわらず旧協会は存続し得るものであったから、旧協会
は、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続するという要件を充足してい
たものというべきである。
イ(ア) 原告は、平成14年度の定時総会は、旧協会理事長P5が旧協会会員
に対して不開催を一方的に通知したことにより開催されなかったのであり、定時総
会を開催する旨の会則は有名無実であったから、総会の運営は確定していなかった
旨主張する。
しかし、旧協会においては、会則に総会の構成、権能が定められており
(前記2(11)ア)、平成9年度から平成13年度までは、毎年6月又は7月に定時
総会が開催され、議事、採決等が行われていたから(前記2(15)カ)、旧協会にお
いては、総会の運営が確定していたものと認められる。確かに、平成14年度定時
総会は開催されず、旧協会が会員に対して定時総会議案書及び収支計算書を送付す
るにとどまったが(前記2(18)エ)、それは、同年6月11日の理事会において原
告が退会を表明し、事実上旧協会が分裂することとなり、同年度定時総会を開催し
ないこととされたためであり(前記2(18)ア)、その後、被告現協会(後記4(2)認
定のとおり、旧協会と同一性が認められる。)が同年10月4日に平成14年度総
会を開催したこと(前記2(20)ウ)も併せ考えると、平成14年度定時総会が6月
又は7月に開催されなかったことをもって、総会の運営が確定していなかったとは
いえない。
(イ)a 原告は、旧協会は平成10年度の研究開発実験に要した費用275
万5509円のうち69万6254円を協会財産から支払い、残余の205万92
55円を正会員4社に負担させていたから、旧協会の財産運営は社団財産をもって
引当てとしておらず、社団構成員の有限責任は確立されていなかった旨主張する。
確かに、旧協会は、平成10年度の研究開発実験に要した費用275
万5509円のうち69万6254円を協会財産から支払い、残余の205万92
55円を正会員4社に負担させていた。しかし、そうであるとしても、そのことか
ら直ちに、会員の財産が旧協会の債務の引当てとされていたとは認められず、むし
ろ、前記(2)イ認定のとおり、旧協会の財産、会計は、会員の財産、会計とは名実と
もに区別されていたものであるから、原告の上記主張は採用することができない。
b 原告は、旧協会が、平成14年7月31日付けの収支計算書の支出欄
の繰越残高に計上された221万7032円を正会員と準会員に会費の納入比率に
応じて分配したことをもって、旧協会の解散を裏付ける事実であるとし、そうでな
いとしても、社団財産の管理が確立していなかったことを裏付ける事実である旨主
張する。
しかし、後記4(1)イ(イ)の認定のとおり、上記分配は、算出された剰
余金の分配にすぎず、それをもって、旧協会の会計が清算されたとは認められない
し、社団財産の管理が確立していなかったともいえない。また、旧協会会則に剰余
金の分配や解散後の残余財産の分配について具体的に規定されていないこと(甲第
3号証、第46号証)、及び旧協会の分裂の経緯(前記2(18))に鑑みれば、剰余
金の分配は、原告の旧協会からの退会に際し、原告、K2らと旧協会の合意の上
で、剰余金に限って分配が行われたものというべきであり、上記分配が行われたこ
とをもって、会員が旧協会に対して旧協会の財産につき分配請求権を有していたと
認めることはできない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。
4 旧協会の解散の有無について検討する。
(1)ア 旧協会の分裂の経緯は、前記2(18)のとおりであり、その後の状況等は、
前記2(19)ないし(22)のとおりである。
イ(ア) 旧協会は、未払の退職慰労金、事務所敷引、事務所解約金、リース解
約金等を支出の項目に含めて作成した平成14年度7月31日収支計算書を作成
し、その繰越残高として計上された221万7032円を正会員と準会員に分配す
ることとし、原告及びK2は、その分配を受けた。(前記2(18)キ、ク)
(イ) しかし、旧協会の会計を清算するのであれば、旧協会の債権債務、有
形無形の資産のすべてについて、その金額と承継者等が定められるべきところ、平
成14年度7月31日収支計算書は、単に繰越残高を算出したものにすぎず、原告
及びK2は、算出された剰余金の分配を受けたものにすぎないというべきである。
また、退職慰労金、事務所敷引、事務所解約金、リース解約金等は、繰
越残高を計算するために計上されたものの、それらは実際には支出されず(前記
2(18)ク)、清算金の分配後も、旧協会の預金口座には、相当額の現金が存在し、
被告現協会は、平成14年7月31日以降も、同じ銀行口座によって金銭の出納を
管理している(前記2(15)エ、(20)オ)。
したがって、平成14年度7月31日収支計算書に基づく清算金の分配
をもって、旧協会の会計が清算されたとは認められないというべきである。
ウ 被告現協会は、平成14年9月18日の日刊建設工業新聞に、ニューNT
工法溶接訓練センター設立の記事を掲載し、同年10月4日、平成14年度総会を
開催した。また、被告現協会は、正会員である被告NYK、及び準会員、賛助会員
から同年8月分の会費を徴収した。(前記2(20))
被告現協会は、平成14年8月、ニューNT工法標準仕様書を改訂し、同
年9月、その改訂に係るニューNT工法標準仕様書を発行した。(甲第14号証)
エ 旧協会の事務局に充てられていた大阪市<以下略>の賃貸借契約書の賃借
人名義及び貸室保証金預り証の宛名の名義は、平成14年8月1日付けで被告NY
Kに書き替えられたが、同事務所は、引き続き被告現協会の事務所として使用され
た。(前記2(18)ケ)
オ 旧協会が締結したコピー機、電話機等のリース契約は、被告現協会が引き
継ぎ、現在まで継続している。(前記2(15)ウ(イ))
カ K2が平成14年6月26日に旧協会等に宛てて送付した覚書案(前記
2(18)ウ)、K2が同年10月9日に被告現協会に送付した文書(前記2(21)
イ)、原告が平成14年10月に取引先等に送付した文書(前記2(21)ア)には、
旧協会が解散したことが記載されている。しかし、旧協会が平成14年6月24日
に原告、K2に送付した覚書案(前記2(18)イ)には、旧協会は構成を変えて存続
する旨記載されており、原告が同年10月2日に被告Aに対して送付した書面(前
記2(21)エ)には、原告が旧協会から退会した旨記載されており、旧協会自体の解
散については記載されていなかった。原告が被告現協会に対して旧協会の解散を明
確に主張したのは、原告が被告現協会に対して「ニューNT工法」の名称の使用中
止を求めて同年11月26日に送付した同月25日付け警告書においてであった
(前記2(22))。
キ 甲第3号証、第46号証によれば、旧協会の会則には、解散について、総
会の議決に基づいて解散する場合は、出席会員数の過半数の同意を得なければなら
ない(甲第3号証では40条、甲第46号証では45条)旨規定されていたことが
認められるが、本件において、旧協会の総会において解散について議事、採決がな
されたと認めるに足りる証拠はない。
(2) 前記3(2)認定のとおり、旧協会は、法人格なき社団であり、会員とは別個
の財産、会計を有し、旧協会の名義をもって、個々の会員の行為とは区別された行
為を行っていたものである。したがって、このような実態を有していた旧協会が解
散したというためには、財産の面で清算が行われ、組織等の面において、会則の定
めに従った解散の手続が採られ、又は会員と独立した団体の実態が失われることな
どが必要と解される。
しかし、前記(1)イないしキの認定によれば、旧協会の会計は清算されておら
ず、その財産は存続し、旧協会を当事者とする契約等も継続しており、また、総会
決議等の会則の定めに従った解散の手続は採られておらず、団体としての活動も被
告現協会によって引き続き行われているものである。そうであるとすれば、旧協会
が解散したものとは認められず、被告現協会は、旧協会と同一の法人格なき社団で
あり、旧協会は、被告現協会として存続しているものと認められる。
(3)ア 原告は、旧協会は残余財産を清算し、旧協会理事長であったP5が会員に
送付した平成14年7月31日付けの「ニューNT工法協会の組織変更について」
と題する文書には旧協会の解散の事実が記載されていたが、会員から何らの異議の
申立てもなく、解散の事実は各会員に受け入れられていたから、旧協会の会員はす
べて旧協会の解散を追認したものといえる旨主張する。
しかし、前記(1)イ認定のとおり、旧協会による清算金の支払は、剰余金の
分配にとどまるというべきであるし、旧協会理事長であったP5が会員に送付した
平成14年7月31日付けの「ニューNT工法協会の組織変更について」と題する
文書の記載内容は、前記2(18)カ認定のとおりであり、旧協会の会計を閉鎖し清算
する旨記載されていたとはいえ、会員会社が旧協会を退会することとなったこと、
協会の維持継続の任に被告NYKが当たることなども記載されており、全体として
みると、旧協会が解散したことが明確に記載されていたとは認められないから、原
告の上記主張は、その前提を欠くというべきである。また、前記(2)認定のとおり、
旧協会は解散したものとは認められず、被告現協会として存続している。したがっ
て、原告の上記主張は、採用することができない。
イ(ア) 原告は、原告が「ニューNT工法の新構成と運営について」と題する
文書を取引先に送付したこと、K2が取引先及び旧協会理事長であったP5に対
し、「ニューNT工法協会の件」と題する文書及び「ニューNT工法および協会の
件」と題する文書を送付したことなどをもって、旧協会は解散したと主張する。
確かに、前記2(21)アないしウ認定のとおり、原告、K2は上記文書を
送付したが、そのことのみをもって旧協会が解散したと認めることはできない。前
記(2)認定のとおり、旧協会は解散したものとは認められず、被告現協会として存続
しているものというべきであるから、原告の上記主張は、採用することができな
い。
(イ) 原告は、旧協会が、平成14年7月31日付け収支計算書において、
未払金として、退職慰労金、預託金払戻金等を計上したことなどをもって、旧協会
は解散したと主張する。
確かに、旧協会は、平成14年度7月31日収支計算書において、未払
の退職慰労金等を計上した(前記2(18)キ)。しかし、退職慰労金等は実際は支出
されず(前記2(18)ク)、前記(1)イ(イ)認定のとおり、清算金の支払は、剰余金の
分配にすぎず、未払金の計上は、剰余金の計算のためにされたものであるから、清
算金の分配をもって、旧協会が解散したとは認められないというべきである。
(ウ) 原告は、旧協会の事務所の賃貸借契約の賃借人が、平成14年8月1
日、形式上も実質上も被告NYKに変更されたことなどをもって、旧協会は解散し
たと主張する。
確かに、旧協会の事務局に充てられている部屋の賃貸借契約書の賃借人
名義及び貸室保証金預り証の宛名の名義は、平成14年8月1日付けで、「ニュー
NT工法協会」から被告NYKに書き替えられた(前記2(18)ケ)。しかし、同事
務所は引き続き被告現協会の事務所として使用されており、上記の名義書替えの事
実があることにより、旧協会は解散していないとの前記(2)の認定が覆されることは
ないというべきであり、原告の上記主張は、採用することができない。
5 第二商標の使用権について検討する。
第二商標の商標登録等の経緯は、前記2(6)ウ、エ認定のとおりであって、第一
商標権、第二商標権の出願、登録が原告名義で行われたのは、第一特許権、第二特
許権の登録名義が原告の名義になることとなっていたからである。また、原告は、
第一商標、第二商標につき、旧協会及び旧協会の会員(構成員)に、黙示に通常使
用権を許諾していたものである。そして、原告は、原告の登録名義であった他の工
業所有権の出願費用、登録料と同じように、第二商標の登録に要した費用を旧協会
に請求し、旧協会がこれを負担していたものである(前記2(14))。これらの事実
に、旧協会が、その名称のとおり、ニューNT工法の施工、管理等を主たる業務と
していること、ニューNT工法の開発、発展の経緯(前記2(1)ないし(17))、並び
にその過程において旧協会の正会員4社及びK4が第一特許権を共有にしたほか、
その他の工業所有権の取得、保有等に関しても協力してきたこと、旧協会とその会
員がニューNT工法の研究、施工等の主体となってきたこと、さらに、原告が旧協
会、被告現協会又はそれらの会員に対して「ニューNT工法」の名称の使用中止を
求めたのは、平成14年11月以降であること(前記2(22))を併
せ考えると、原告は、第二商標が商標登録された平成11年1月29日ごろ、旧協
会及び旧協会の会員に対し、登録に要した費用を旧協会が負担することの対価とし
て、旧協会及び旧協会の会員がニューNT工法を使用する限りにおいて第二商標の
使用を許諾する旨の通常使用権の許諾を黙示に与えたものと認めるのが相当であ
る。第二商標権は、第一特許権のように共有の登録がされておらず、登録名義は原
告の名義となっているが、上記の諸事情に鑑みれば、登録名義が原告の名義となっ
ていることは、上記通常使用権の許諾を認定することの妨げにならないというべき
である。
6 次に、第二商標の通常使用権の消滅の有無について検討する。
(1) 原告は、旧協会が解散、消滅したことにより、旧協会又はその会員の通常使
用権も消滅した旨主張する。
しかし、前記4(2)認定のとおり、旧協会は解散したものとは認められず、被
告現協会として存続しているから、原告の上記主張を採用することはできない。
(2) 原告は、第二商標の黙示的通常使用権許諾契約においては、原告が旧協会か
ら離脱することが解除条件とされていたから、原告が旧協会を離脱したことによ
り、その解除条件が成就し、旧協会及び旧協会の構成員の通常使用権は消滅した旨
主張する。
しかし、前記5認定のとおり、第二商標権の出願、登録が原告名義で行われ
たのは、第一特許権、第二特許権の登録名義が原告の名義になることとなっていた
からであり、第二商標の通常使用権の許諾は、登録に要した費用を旧協会が負担す
ることの対価として、旧協会及び旧協会の会員がニューNT工法を使用する限りに
おいて第二商標の使用を許諾するというものであって、第二商標の通常使用権許諾
契約において、原告が旧協会から離脱することが解除条件とされていたと認めるに
足りる証拠はない。したがって、原告の上記主張は、採用することができない。
(3)ア(ア) 原告は、第二商標の黙示的通常使用権許諾契約においては、旧協会又
は旧協会の構成員が、第二商標権に化体された原告の業務上の信用を害するような
行動をとらず、原告に協力する限りにおいて使用を許諾することが当然の前提とさ
れ、約定の内容とされており、旧協会又は旧協会の構成員が、その当然の前提であ
る約定の内容を明示的又は黙示的に承認していたことを前提として、被告らが標準
仕様書を勝手に変更し、第二商標権に化体された原告の業務上の信用を害する行動
をとり、上記約定の債務を履行しなかった旨主張する。
(イ) そこで、標準仕様書の変更に関して検討する。
乙第122号証、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、鉄筋継手の性
能の判定基準に関する通達等の改廃等は、次のとおりと認められる。
a 建設省住指発第31号
建設省住宅局建築指導課長が都道府県建築主務部長に宛てた平成3年
1月31日付けの建設省住指発第31号「特殊な鉄筋継手の取扱いについて」とい
う通達には、爾後の取扱いについて、特殊な鉄筋継手について建設省住宅局建築指
導課長が行ってきた認定を行わないこと、各社の継手工法の性能の確認に当たって
は、別添1の1の鉄筋継手性能判定基準(溶接継手の継手性能の確認にあっては、
別添1の2の鉄筋の溶接継手性能判定基準)及び別添2の鉄筋継手使用基準による
継手工法については、建築基準法施行令73条5項の規定に適合する性能を有する
ものとして取り扱って差し支えないものとすることなどが定められていた。同通達
別添1の2の鉄筋の溶接継手性能判定基準には、継手性能の判定について、次のよ
うに記載されていた。(乙第117号証)
「(1) JISG3112の8.試験に定められた引張試験を行い、以下の(a)
~(c)の条件を満足すること。
(a) 降伏点強度
σy≧σy0
ここで、σy  :接合鉄筋の降伏点強度
σy0:母材の規格降伏点強度
(b) 引張り強度
σb≧1.35σy0又はσb0
ここで、σb:接合鉄筋の引張り強度
σb0:母材の規格引張り強度
(c) 接合鉄筋の破断は母材部分で生じること。」
「(3) JISG3112の4.機械的性質の『曲げ性』の規格を満足すること。
ただし、曲げ角度は90°以上とする。」
b国住総第15号
国土交通省住宅局長が都道府県知事に宛てた平成13年2月19日付
けの国住総第15号「地方分権に伴う住宅・建築行政に関する通達の取扱いについ
て」という通達は、次のように定めていた。(乙第114号証)
「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成1
1年法律第87号)は、平成12年4月1日から施行され、機関委任事務及びその
処理に関する国の包括的指揮監督権限が廃止されたところである。このため、機関
委任事務の処理に関し拘束力のあるものとして地方公共団体に対し発出した通達は
その根拠を失っているが、従前に発出した住宅・建築行政に関する通達(国の地方
公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)の取扱いについて疑
義が生じないよう下記のとおりとしているので、ご了知願いたい。
なお、各都道府県におかれては、貴管下市町村(指定都市を除く。)
に対してこの旨周知いただくようお願いする。
                    記
防災計画書の作成について(昭和47年5月10日建設省住指発第38
9号)、高層建築物等に係る防災計画の指導について(昭和56年7月30日建設
省住指発第190号)、旅館及びホテルの防災計画の指導等について(昭和57年
5月20日建設省住防発第16号)の通達を廃止し、その他の住宅・建築行政に関
する通達については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1
項の規定に基づく技術的な助言とみなす。ただし、法令に基づかない関与又は事務
の義務付け等の規定があるものについては、当該部分の効力は失効し、地方公共団
体を拘束するものではない。」    
c 建築基準法施行令73条2項
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)73条は、鉄筋の継
手及び定着に関する規定であり、同条2項は、次のとおり定めている。(乙第11
1号証)
「主筋又は耐力壁の鉄筋(以下この項において「主筋等」という。)の
継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける場合
にあっては、主筋等の径(径の異なる主筋等をつなぐ場合にあっては、細い主筋等
の径。以下この条において同じ。)の二十五倍以上とし、継手を引張り力の最も小
さい部分以外の部分に設ける場合にあっては、主筋等の径の四十倍以上としなけれ
ばならない。ただし、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる継手にあっては、こ
の限りでない。」
d 平成12年建設省告示第1463号
平成12年建設省告示第1463号「鉄筋の継手の構造方法を定める
件」は、次のとおり定めている。(甲第64号証)
「建築基準法施行令(昭和25年政令第三百三十八号)第七十三条第二
項ただし書(第七十九条の四において準用する場合を含む。)の規定に基づき、鉄
筋の継手の構造方法を次のように定める。
1 建築基準法施行令(以下「令」という。)第七十三条第二項本文
(第七十九条の四において準用する場合を含む。)の規定を適用しない鉄筋の継手
は、構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける圧接継手、溶接継手及び機
械式継手で、それぞれ次項から第四項までの規定による構造方法を用いるものとす
る。ただし、一方向及び繰り返し加力試験によって耐力、靱性及び付着に関する性
能が継手を行う鉄筋と同等以上であることが確認された場合においては、次項から
第四項までの規定による構造方法によらないことができる。」
e 建築物の構造関係技術基準解説書
「2001年版 建築物の構造関係技術基準解説書」(国土交通省住宅
局建築指導課、日本建築主事会議、日本建築センター編集、国土交通省建築研究所
編集協力、平成13年3月15日第1版第1刷発行、平成14年6月1日第2版第
2刷発行)127頁には、平成12年建設省告示第1463号の解説として次のと
おり記載されている。(乙第111号証)
「平12建告第1463号は令第73条第2項ただし書の規定に基づき
鉄骨の継手の構造方法を定めたものである。具体的には、圧接継手、溶接継手及び
機械式継手について規定している。なお、通常行われているガス圧接以外の方法、
例えば電気圧接についても本告示中の圧接の規定の適用を受けるが、これに適合し
ない場合は平12建告第1463号のただし書の規定により継手部分の性能を確認
する必要がある。ただし書の加力実験によって耐力、靱性及び付着に関する性能を
確認する方法としては、一般に(7)鉄筋継手性能判定基準に示す方法が行われてい
る。」
そして、上記(7)鉄筋継手性能判定基準は、建設省住指発第31号の別
添1の1、別添2とほぼ同一であるが、別添1の2の内容は含まれておらず、した
がって、(7)鉄筋継手性能判定基準には、別添1の2に記載された継手性能の判定に
ついての降伏点強度(別添1の2(1)(a))、母材破断(別添1の2(1)(c))、曲げ
試験(別添1の2(3))は含まれていない。
(ウ) 上記(イ)の認定によれば、建設省住指発第31号は、地方分権の推進
を図るための関係法律の整備等に関する法律が平成12年4月1日から施行され、
機関委任事務及びその処理に関する国の包括的指揮監督権限が廃止されたことによ
り効力を失い、そのことは、国住総第15号により明らかにされたものと認められ
る。そして、建設省住指発第31号が廃止された後は、同通達の別添1の2に記載
された降伏点強度(別添1の2(1)(a))、母材破断(別添1の2(1)(c))、曲げ試
験(別添1の2(3))は、継手性能の判定に必要な要件ではなくなったものと認めら
れる。
(エ) ニューNT工法の標準仕様書の記載の訂正について、後掲各証拠によ
れば、次の事実が認められる。
a 旧協会のニューNT工法標準仕様書Ⅱ(鋼種SD490適用)(20
01)(平成13年10月改訂)25頁には、溶接継手の性能の合格判定基準につ
いて、試験方法として、引張り試験、曲げ試験、超音波探傷試験が記載され、引張
り試験の合格基準として、次のように記載されていた。
「○降伏点強度σy≧σya   ここで、σy :接合鉄筋の降伏点強度
                       σya:母材の規格降伏点強度
○引張り強度σb≧1.35σya又はσb0
                   ここで、σb:接合鉄筋の引張り強度
                       σb0:母材の規格引張り強度
○ 全ての試験片が母材破断した場合」
また、曲げ試験の合格基準として、次のように記載されていた。
「○90度以上裏曲げ試験で破断しない事。」(甲第47号証)
b ところが、ニューNT工法標準仕様書(鋼種SD345、SD39
0、SD490適用)(2002)(平成14年8月改訂。以下「新仕様書」とい
う。)25頁には、溶接継手の性能の合格判定基準について、試験方法として、引
張り試験、超音波探傷試験のみが記載され、曲げ試験は記載されていない。また、
引張り試験の合格基準として、次のように記載され、降伏点強度、母材破断につい
ては記載されていない。
「○引張り強度σb≧1.35σya又はσb0
                  ここで、σb:接合鉄筋の引張り強度
                      σya:母材の規格降伏点強度
σb0:母材の規格引張り強度」
さらに、合格判定基準について、「(解説)」という項目の下に次の
とおり記載されている。
「平成12年5月31日付建設省告示第1463号公布以降に平成3年
1月31日付建設省住指発第31号の一部が改廃されて『接合鉄筋の破断は母材部
分で生じること。』の字句が抹消された。
これは溶接材料強度が母材規格引張り強度以上であっても溶接部に欠
陥がある場合、又は、しばしば母材強度が規格引張り強度よりはるか高すぎる為に
起る『溶接部破断等の問題』に対処する為とも考えられる。」、「当ニューNT工
法としては、引張り試験においては『原則として母材破断』の姿勢の保持を希求し
ており、一部に不具合が発生した場合には種々の方法で調査、検討をなしその対処
を講じ更なる技術の向上の資としたいと考えている。」(甲第14号証)
(オ) 乙第84、第85号証の各1ないし4、第86、第87号証の各1な
いし3によれば、旧協会及び被告現協会は、日本建築センターの評定を受けた際の
標準仕様書において、建設省住指発第31号の別添1の2に定められた引張り試
験、曲げ試験が要求されていることから、地方分権の推進を図るための関係法律の
整備等に関する法律が平成12年4月1日から施行されて建設省住指発第31号が
廃止された後も、実際の施工に当たっては、建設省住指発第31号の別添1の2に
定められた引張り試験、曲げ試験を行い、その合格基準を満たすようにしているこ
とが認められる。
(カ) 甲第72号証の1、2によれば、原告訴訟代理人のP7弁護士が日本
建築センターに対して弁護士法23条の2第2項に基づいて申し出た照会につい
て、次のとおり認められる。
照会事項は、①平成13年9月19日付評定書(評定番号BCJ-RC
0011-01)において、引張り試験において全ての試験片が母材破断すること
が性能判定の合格基準として現在においても要求されているか、②ニューNT工法
による鉄筋溶接継手の施工業者が、ニューNT工法の標準仕様書の性能判定基準の
合格基準の曲げ試験の項目を削除し、曲げ試験を不要とすることは、上記評定書に
違反するか、③ニューNT工法による鉄筋溶接継手の施工業者が、ニューNT工法
の標準仕様書の性能判定基準の合格基準の引張り試験における降伏点強度試験の項
目を削除し、引張り試験における降伏点強度試験を不要とすることは、上記評定書
に違反するか、④ニューNT工法による鉄筋溶接継手の施工業者が、上記評定書に
違反した標準仕様書を用い建築工事を受注している場合、その違反業者に対し、日
本建築センターは、評定の取消等の是正措置を講ずることは可能かという趣旨であ
った。
日本建築センター評定部部長は、上記①の照会に対しては、現在におい
ても要求していると回答した。上記②ないし④については、質問の趣旨は、ニュー
NT工法標準仕様書記載の合格基準が変更された場合、評定書違反になるかとの点
にあると思われるが、同センターの評定は、あくまで申込みのあった標準仕様に関
するものであり、各個別の建設工事において、設計者等が特記仕様として格別に指
示することは可能であり、質問の趣旨が、各個別の建設工事における特記仕様の内
容を意味するというのであれば、日本建築センターとしては、その内容について確
認する立場にないため、当該内容が評定書の範囲内にあるかどうかについては回答
しかね、また、あくまで標準仕様における合格基準を変更した場合を意味するとい
うのであれば、変更した合格基準を前提に再度評定の申込みがないと判断しかね、
回答しかねる旨回答をした。
(キ) 前記(イ)、(ウ)認定の鉄筋継手の性能の判定基準に関する通達等の改
廃の状況に照らすと、前記(エ)認定のとおり被告現協会が標準仕様書を一部改訂
し、降伏点強度、母材破断、曲げ試験を削除したのは、建設省住指発第31号が、
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行によって効力を
失い、同通達の別添1の2に記載された降伏点強度、母材破断、曲げ試験が継手性
能の判定に必要な要件でなくなったことに対応した措置であり、そのことは、改訂
後の新仕様書の解説の部分に記載されているとおりであると認められる。そして、
前記(オ)認定のとおり、被告らは、日本建築センターの評定を受けた際の標準仕様
書が母材破断、曲げ試験を要求していることから、実際の工事に当たっては、これ
らの要件を充足するようにしている。
そうであるとすれば、前記(エ)認定のとおり被告現協会が標準仕様書を
一部改訂したことは、法令に反することはなく、第二商標権に化体された原告の業
務上の信用を害するような行動には該当しないというべきである。前記(カ)認定の
日本建築センターによる回答の事実は、上記認定を覆すに足りるものではない。
(ク) また、原告は、被告らが原告に協力する限りにおいて第二商標の使用
を許諾することが第二商標の黙示的通常使用権許諾契約の約定の内容とされていた
と主張するが、第二商標の使用許諾につきそのようなことが約定の内容であったと
認めるに足りる証拠はない。
イ 原告は、旧協会又は旧協会の構成員が、第二商標の通常使用権許諾契約に
基づき、再使用(サブライセンス)を許諾する場合に原告の同意を得る義務を負っ
ていたことを前提とし、旧協会は、その構成員に再使用を許諾する際に原告の同意
を得ず、上記義務に違反した旨主張する。
しかし、前記5認定のとおり、第二商標の通常使用権許諾契約は、旧協会
又は旧協会の会員がニューNT工法を使用する限り、第二商標の使用を許諾すると
いう内容であり、旧協会の会員(構成員)は、ニューNT工法を使用する限り、第
二商標の使用が許諾されているものであるから、第二商標の使用につき、旧協会の
再許諾を得る必要はないものというべきである。そして、被告現協会は、旧協会と
同一であると認められるから(前記4(2))、旧協会の会員はもちろんのこと、被告
現協会の会員も、ニューNT工法を使用する限り、第二商標を使用し得るものとい
うべきである。
したがって、旧協会の会員が第二商標を使用するに当たって旧協会の再使
用許諾を要することを前提とする原告の上記主張は採用することができない。
ウ これまで認定、判断したところによれば、旧協会及びその会員並びに被告
現協会及びその会員が第二商標についての黙示の通常使用権許諾契約に基づく義務
に違反したことは認められず、同契約の債務不履行に基づく解除についての原告の
主張は、採用することができない。
(4) 以上によれば、第二商標の通常使用権が消滅したものとは認められない。
7 第二商標権の侵害の有無について検討する。
(1) 弁論の全趣旨によれば、別紙被告標章目録記載1ないし4の各標章と第二商
標を対比すると、同目録記載1の標章は、書体が影付きの斜字体となっている点は
異なるが、文字は同一であり、同目録記載2の標章は、前後にかぎ括弧が付されて
いる点は異なるが、書体及び文字は同一であり、同目録記載3の標章は、第二商標
と同一であり、同目録記載4の標章は、前後に丸括弧が付されている点は異なる
が、書体及び文字は同一であり、いずれの標章も、第二商標と同一又はほとんど同
じものと認められる。
第二商標の通常使用権許諾契約が、旧協会及び旧協会の会員がニューNT工
法を使用する限り第二商標を使用することができるというものであり(前記5)、
旧協会及びその会員並びに被告現協会及びその会員がニューNT工法の施工等の主
体となっており、第二商標を広く使用する必要性が少なからずあることからすれ
ば、同契約は、第二商標と全く同一の標章の使用のみならず、別紙被告標章目録記
載1、2、4のような、第二商標とほとんど同一というべき標章の使用の許諾をも
含むと解するのが、当事者の合理的意思に合致するものというべきである。
(2) 前記4(2)認定のとおり、被告現協会は旧協会と同一であり、現在も被告現
協会及びその会員がニューNT工法を使用している。そして、前記6(4)認定のとお
り、第二商標の通常使用権が消滅したものとは認められない。したがって、被告現
協会並びに被告現協会の会員である被告NYK及び被告Aは、第二商標の通常使用
権許諾契約に基づき、被告標章を使用し得るものと認められる。
また、仮に、原告が、第二商標の通常使用権許諾契約を解除し得るとして
も、前記5において考慮した事情、及び前記6(3)ア(鉄筋継手の性能の判定基準に
関する通達等の改廃、標準仕様書の改訂等)の認定に照らし、原告が被告らに対し
て第二商標の使用差止めを求めることは、権利の濫用に当たり、許されないという
べきである。
したがって、被告らの行為は、いずれも原告の第二商標権を侵害するもので
はない。
8 よって、その余の点につき判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由が
ないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して、主文
のとおり判決する。
 大阪地方裁判所第21民事部
           裁判長裁判官   田  中  俊  次
              裁判官   中  平     健
              裁判官   大  濱  寿  美
     
 
(別紙)
被告標章目録特許権等目録商標権目録

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ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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