弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
     被控訴人は控訴人に対し一五万円及びこれに対する昭和三二年一二月一
六日以降完済にいたるまで年五分の割合による金員を支払うこと。
     控訴費用はこれを二分し、その一を控訴人の、その余を被控訴人の負担
とする。
         事    実
 控訴人は第一位に「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し一五万円及びこ
れに対する昭和三一年四月五日から完済にいたるまで一〇〇円につき一日四銭の割
合による金員を支払え。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。」との
判決を求め、当審において新たに、予備的に主文第二項同旨の判決を求め、被控訴
人は、控訴棄却並びに予備的請求棄却の判決を求めた。
 事実及び証拠の関係は、控訴人において「本件一五万円の消費貸借が法律上無効
であるとすれば、被控訴人は控訴人の財産により同額の利益を受けると共に控訴人
は同額の損失を被むり、かつ、被控訴人の右利益は現存するものというべきである
から、予備的に、不当利得に基いて被控訴人に対し一五万円の返還を求める。しか
して、右の予備的請求及びその原因事実を記載した準備書面は昭和三二年一二月一
五日被控訴人において受領しているから、主文第二項同旨の判決を求める。」と述
べ、当審証人Cの証言、当審控訴組合代表者A、同被控訴組合代表者Bの各尋問の
結果を援用し、被控訴人において「右予備的請求の原因事実は否認する。控訴人主
張の準備書面を主張のに受領したことは認める」と述べた以外は、原判決の「事
実」に示すとおりであるから、ここに引用する。
         理    由
 一、 控訴組合の第一位の請求の理由がない所以は、以下補加する外原判決説示
のとおりである。 農業協同組合法(以下組合法と略称し、農業協同組合を組合と
略称する。)第一条第三条第一〇条第一二条等の規定によると、組合の行う諸種の
事業のうち、金員の貸付についていえば、組合は組合員に対しその事業又は生活に
必要な資金を貸し付けるのを本務とし、たとえ、組合員に対してでも、その事業又
は生活に必要でない<要旨>金員を貸し付けることは許されていないことが明白であ
る。そして、組合員以外の者に対しては組合法第一〇条第三項に特例を設け
て「組合は定款の定めるところにより、組合員以外の者にその施設を利用させるこ
とができる」旨規定し、組合の施設を利用する途を開いてはいるものの、定款の定
めるところによらないかぎり、組合は組合員以外の者に対し自己の施設を利用させ
てはならない制約を受けている。組合が組合員以外の者に金員を貸し付ける行為
は、同条項の「その施設を利用させる」行為の典型的なものであり、同条項及び同
条項に基く定款の規定に違反する貸付行為は、組合の事業の範囲外の行為であつ
て、あるいは組合の基礎を危くし、ひいては組合設立の目的にも反するものである
から、法律上無効であると解するのが相当である。(なお組合法第九九条参照)こ
の点組合法第一条第一〇条第一二条第四四条第五九条ないし第六一条及びその外特
別の規定に服するいわゆる中間社団法人たる組合とかような規定に服しない、企業
自由の営利を目的とする商事会社と趣を異にするところである。これを本件につい
て見るに、控訴組合が本訴の金員を被控訴組合に対し貸し付けたことは、後記二に
説示する通り明らかであるけれども、当事者弁論の全趣旨及びそれぞれ成立に争の
ない甲第三号証(控訴組合定款)第四条・乙第二号証(被控訴組合定款)第四条並
びに組合法第一二条の規定によると、被控訴組合は控訴組合の組合員でないことが
明白である以上、つぎに前示組合法第一〇条第三項所定の控訴組合の定款の定めに
ついて検討すれば、右定款(甲第三号証)第五六条には「この組合(控訴組合を指
す)は、組合員の利用に差し支えのない限り、組合員以外の者に第二条第一号から
第四号まで、第七号、第九号から第十一号までの事業並びにこれらの事業に附帯す
る事業を利用させることができる。但し第二条第一号の事業の利用にあつては、こ
の組合が金庫事務を行つている地方公共団体に限るものとする。」旨規定されてい
るので、控訴組合は、非組合員たる右地方公共団体に対しては、貸付をなしうるけ
れども(原判決中原告(控訴)組合の定款には同組合がその組合員以外の第三者に
対し金銭貸付をなしうる旨の規定がない旨説示している部分は誤りであるから、引
用しない。)、その余の非組合員に対しては、金員を貸し付けることのできないこ
とが明らかであるので、本件貸付行為は、前説示の理由により法律上無効であると
いわなければならない。よつて、これが有効であることを前提とする控訴組合の請
求は排斥するの外はない。
 二、 成立に争のない甲第一・二号証、原審及び当審証人Cの証言及び当審にお
ける各当事者の代表者両名の尋問の結果によると、被控訴組合は預金者a町から預
金の払戻の請求を受けたのに、手持の現金が不足したため、控訴組合に懇請し昭和
三一年四月五日控訴組合から一五万円を弁済期同年同月二五日利息日歩四銭の約で
借り受け、その頃a町に対し右預金債務を弁済したことが認められる。この認定に
反する原審証人Dの証言は採用しがたく、乙第一号証及び原審証人Eの証言をもつ
ては、右認定を左右することはできないし、その外に右認定を動かす証拠はない。
そして、先に説示したとおり、前示消費貸借は、法律上の効力を生じないので、被
控訴組合は控訴組合に対し不当利得として右一五万円を返還する義務があること
は、前認定の事実関係から了解されるところ、(この義務があることは、被控訴組
合主張の組合総会の議決した借入の最高限度を越えると否と、右貸借につき同組合
理事会の承認の有無を問わないし、また右貸借が被控訴組合の当時の代表者個人が
借用したものであるとの主張は前認定にてい触する。)事実摘示の控訴人主張の準
備書面を昭和三二年一二月一五日被控訴組合において受領したことは当事者間に争
がないので、被控訴組合は控訴組合に対し、一五万円及びこれに対する昭和三二年
一二月一六日以降完済にいたるまで年五分の割合による遅延損害金を支払うべきで
ある。
 三、 右に見たとおり、控訴組合の第一位請求を棄却した原判決は相当で、これ
に対する控訴は理由がないが、当審において新たに主張した不当利得を原因とする
予備的請求は理由があるので、これを認容し、民事訴訟法第三八四条第九五条第九
二条を適用し主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 鹿島重夫 裁判官 秦亘 裁判官 山本茂)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛