弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を禁錮2年に処する。
理由
(犯罪事実)
被告人は,平成28年10月2日午前2時5分頃,大型貨物自動車を運転し,愛
知県岡崎市a町地内高速自動車国道第2東海自動車道横浜名古屋線上り線bキロポ
スト付近の第一通行帯を豊田東ジャンクション方面から岡崎東インターチェンジ方
面に向かいオートクルーズ機能を使用し時速約80キロメートルで進行するに当た
り,前方左右を注視し適切な進路を保持するとともに進路の安全を確認して進行す
べき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,考え事に気を取られて前方不
注視のまま漫然と前記速度で進行した過失により,自車の一部が左方路肩に進出し
ていることに気付かず,その進路左前方路肩内に故障のため大型乗用自動車が停車
していることにも気付かないまま,自車左前部を前記大型乗用自動車右後部に衝突
させ,同車を左斜め前方に押し出し,同車両の左方にいた同車両の運転手であるA
(当時50歳)及び同車両乗務員であるB(当時53歳)をそれぞれ同車両と左側
壁の間で狭圧させ,よって,前記Aに骨盤骨折等の傷害を,前記Bに骨盤骨骨折等
の傷害をそれぞれ負わせ,同日午前4時9分頃,同県豊田市c町d丁目e番地C病
院において,前記Aを骨盤骨折による出血性ショックにより,同日午前4時16分
頃,同県岡崎市f町字gh番地iD病院において,前記Bを骨盤骨骨折による出血
性ショックによりそれぞれ死亡させた上,別紙被害者一覧表(省略)のとおり,同
車両の乗客であるE(当時22歳)ほか5名に対し,同表記載の傷害をそれぞれ負
わせた。
(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
省略
(量刑の理由)
被告人は,夜間の高速道路において,大型トラックを運転中,前方注視という自
動車運転者としての基本的な注意義務を怠り判示の事故を引き起こした。しかも,
高速で進行していたにもかかわらず,前方不注視は数十秒程度継続していたのであ
る。このような運転は危険であって,被告人の過失が重大なものであることは否定
の余地がない。被告人が職業運転手であり,より慎重な運転が求められることも併
せると,この過失について,被告人は強い非難を免れない。
また,被害者2名の命を奪った結果が取り返しのつかない重大なものであること
はいうまでもなく,被害者遺族らの処罰感情が強いのも当然である。そのほか受傷
した被害者も多く,その中には重い傷害を負った者も含まれている。
以上によれば,被告人の刑事責任には,この種の過失致死傷事案の中でも重いも
のがあり,任意保険により損害賠償が履行される見込みであること,被告人が事実
関係を認めて反省の言葉を述べていること,勤務先の上司と被告人の妻が被告人の
ために証言したこと,前科前歴のないことなど,被告人のために酌むことのできる
犯情以外の情状を併せて考慮しても,主文の実刑(禁錮刑)が相当である。
(求刑禁錮2年6月)
平成29年3月29日
名古屋地方裁判所刑事第5部
裁判官奥山豪

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