弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1本件控訴をいずれも棄却する。
2控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人が平成16年12月22日にした原判決添付別紙農薬登録目録記載の農薬
登録を取り消す。
3訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1要旨
本件は,控訴人らが,被控訴人に対し,他の業者の申請に基づいてされた農薬取締
法による農薬登録の処分が違法であるとして,その取消しを求めた事案であるが,そ
の違法事由について,本件の農薬登録処分が,控訴人らの出資による組合において開
発し保有する農薬に係る試験成績の利用につき同組合又は控訴人らの同意を得ないで
されたことを主張し,取消しの利益について,上記の試験成績を営業秘密として無断
で利用されない権利又は利益が侵害されたことを主張する。
原判決は,控訴人らの原告適格を否定して,訴えを却下したため,控訴人らが,こ
れを不服として控訴した。
2前提事実及び争点
前提事実及び争点は,原判決の「事実及び理由」中の「第2事案の概要」の1及
び2に記載されたとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人らは,本件各登録処分の取消しを求めるにつき,行政事件訴訟
法9条1項に定める「法律上の利益」を有するものとはいえず,本件訴えはいずれも
不適法であり,これを却下した原判決は正当であって,本件控訴はいずれも理由がな
いと判断する。その理由は,後記2のとおり控訴理由に対する説示を加えるほかは,
原判決の「事実及び理由」中の「第3争点に対する判断」に記載されたとおりであ
るから,これを引用する。ただし,原判決8頁15行目の「農薬の」を「農薬の見本
の」に改める。
2控訴理由についての判断は,以下のとおりである。
(1)控訴人らは,農薬登録の申請に当たり,他の登録申請において提出された試
験成績を利用することを認める制度の下では,試験成績の提出者にとって,同意
なしに上記制度を利用されることによって,自己の試験成績に係る権利を侵害さ
れるリスクにさらされるから,試験成績の提出者である控訴人らにおいて,本件
各登録処分につき,そのようなリスクから保護されるべき法律上の利益を有する
旨主張する。
たしかに,農薬登録の申請者において,その申請をするに当たり,本件局長通
知に基づく試験成績の代替利用の制度を悪用して,試験成績の提出者の同意を得
ないなどの不正を犯し,もって当該提出者の試験成績に係る利益が侵害されるこ
とはあり得る。しかし,原判決の説示するとおり,農薬登録の申請に当たり,試
,,験成績の提出を要求する趣旨は当該農薬の品質と安全性を確保することにあり
本件局長通知に基づく試験成績の代替利用の制度も,上記の趣旨から,当該農薬
の薬効,薬害,毒性及び残留性について検証し得る資料とするものであって,も
とより,農薬登録の処分において,当該試験成績の私法上の権利の有無が審査の
対象に関わるものではなく,当該処分によって当該試験成績の私法上の権利が侵
害されるものでもなく,試験成績の代替利用の制度を不正に利用する者があり得
ることをもって,直ちに農林水産省において,そのようなリスクから試験成績の
提出者を法律上保護すべき義務を負い,その提出者において,そのようなリスク
から保護されるべき法律上の利益を有するものとまではいい難く,農薬取締法や
その関連法令,さらには,通達その他の行政立法等にも,そのような義務及び利
益の発生を基礎付けるものは見当たらない。控訴人らの上記主張は,採用するこ
とができない。
(2)控訴人らは,本件試験成績が不正競争防止法によって保護された営業秘密に
当たり,この利益が本件各登録処分により侵害されたから,控訴人らには原告適
格がある旨主張する。
しかし,本件試験成績が不正競争防止法によって保護される利益に当たるとし
ても,原判決説示のとおり,本件試験成績が本件各登録処分との関係で法律上保
護された利益に当たるということができない上,その侵害についても,本件各登
録申請において提出すべき試験成績の代替として用いられることによって生じる
ものであり,本件各登録処分自体によって必然的に生ずるものということもでき
ず,控訴人らの上記主張は,採用することができない。
(3)控訴人らは,控訴人らが,たとえ,本件各登録の申請者に対して差止めや損
,,害賠償を求めても不正競争防止法12条1項6号の規定による抗弁が提出され
また,A有限公司に対して損害賠償を求めても,台湾企業であることからする民
事訴訟上の手続障害があって,いずれも奏功しないから,本件試験成績に係る控
訴人らの権利の侵害に対する救済手段が存在しないことに帰し,控訴人らに本件
訴えの原告適格を認める必要がある旨主張する。
しかし,控訴人らにおいて,本件各登録の申請者を相手として差止請求や損害
賠償請求をした場合に,不正競争防止法12条1項6号の規定による抗弁を提出
される可能性があるとしても,その抗弁が必ず成立することを認めるに足りる証
拠はなく,また,A有限公司に対する損害賠償請求について控訴人らが指摘する
民事訴訟上の手続障害の内容も明らかではなく,控訴人らの上記の主張によって
も,控訴人らにおいて本件試験成績に係る私法上の権利の救済手段がないものと
は到底いうことができず,控訴人らが主張する権利侵害について何らの救済手段
がないことを前提とする上記主張は,その前提を欠き,直ちに採用することがで
きない。
(4)その他,控訴人らは,種々主張して原判決の判断を非難するが,いずれも独
自の見解に基づくものであって採用することができない。
3よって,本件控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のと
おり判決する。
東京高等裁判所第4民事部
裁判長裁判官門口正人
裁判官浅香紀久雄
裁判官西田隆裕

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛