弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人堀川嘉夫の上告理由第一点、第二点について。
 原判文を熟読すれば、原審は、証拠上適法に、被上告人は、原判示のように、原
判示農業委員会の正当でない回答により、本件土地に関する権利を失い、なんらの
救済手段もなくなつたものとの錯誤に陥つた結果、本件買收の対価を受領し、第二
物件表記載の土地を宅地に転用することに同意して原判示の同意料五万円を受け取
つたに止まり、右土地所有権を有しないことを大阪市に対して認めたものでもなく、
原判示のように登記請求権及び訴権を放棄する意思もなかつたものであるとの趣旨
の事実を認定し、右認定の事実関係に基いて、被上告人は、本訴において本件買収
処分の効果の生じていないと主張することを許されると判断しており、右認定判断
は是認し得られる。原判決に所論の違法はない。
 論旨は、これと異なる見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用できな
い。
 同第三点について。
 原審が適法に確定した事実関係のもとで、本件土地を被上告人の所有であると判
断したことは、これを是認できる。論旨は、本件土地の地目が元農地であつたが大
阪府知事の許可を得て宅地に変更せられ、その上に公共的建物が存在するに至つて
おり、農地に復旧するのは不可能であつて、最早名義上所有権を持つとしても、完
全な支配を回復できないとの理由の下に、被上告人には本訴により本件土地に対す
る所有権確認を請求する利益がないばかりでなく、所有権行使の社会的不当性即ち
権利濫用があるものの如くいうけれども、所論知事の許可の有無は、原審の判断を
経ていない所であつて、右許可のあつたことを前提とする論旨は、不適法であり、
また本件土地を名実共に農地に復旧すること不可能となつて居るため、これを農地
として完全に支配する権利を回復し得るか否かは、本件土地は、依然として被上告
人の所有であるとする原審の判断にかゝわりがあるものとは、考えられない。しか
も実質上不動産を所有する者が、登記簿上その所有名義を有する者に対し所有権の
確認を請求する利益があり、これを訴求し得ることは、当然であつて、実質上本件
土地を所有する被上告人が、登記簿上その名義人である上告人に対し本訴請求に及
んだことに所論の如くに、社会的不当性即ち権利濫用があり、所有権の確認を訴求
する利益のないものであるとなすべき法律上の根拠を見出し得ない。而して、原判
文全体を通読すれば、原審が、以上と同趣旨において、所有権行使の社会的不当性
即ち権利濫用に関する上告人の所論主張を排斥する判断をも示して居ることを窺え
るのであり、その判断も亦正当である。
 論旨は、すべて採用できない。
 同第四点について。
 原審は証拠上適法に、原判示農地委員会は本件土地所有者の住所と全く関係のな
い大阪市a区bc丁目D合資会社を本件土地所有者の住所であると認定して、本件
買收令書を送付したが、送達不能となつたので右の交付ができなかつたこと、本件
土地所有者の登記簿上の住所は満洲であり到底右令書を送達できなかつたこと、納
税管理人に所有者の住所を問合せようとしたが、その問合せ書類自体が送達不能と
なつていたこと、しかし本件交付に代える公告がなされたのは、昭和二五年三月二
五日であるところ、これより遙に遡る同二二年九月一六日、既に原判示のように、
正式に所有者の住所を原判示d村と届出ているのに、右委員会は、本件土地所有者
の住所を同二二年二月五日頃になした前記のように住所問合せ書類自体が送達不能
となつたような調査方法によるだけで右交付に代える公告をなしたものであつて、
本件買收計画の定められた同二二年一〇月一八日から右公告まで約二年五ヵ月の間、
その他の調査をしなかつたこと等の事実を認定し、右認定の事実関係に基いて、そ
の間に調査すれば右届出の新住所も容易に判明した筈であつて、本件交付に代える
公告は、その要件をかき無効であると判断して居る。原審の右認定判断は相当であ
つて、所論再調査が不能であつたとはなし難い。
 論旨は採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐

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