弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

令和2年(ク)第275号,同年(許)第11号売却許可決定に対する執行抗告棄
却決定に対する特別抗告及び許可抗告事件
令和2年9月2日第二小法廷決定
主文
原決定を破棄し,原々決定に対する抗告を却下する。
抗告手続の総費用は抗告人の負担とする。
理由
1本件は,担保不動産競売の手続における期間入札において最高価買受申出人
に次いで高額の買受けの申出をした抗告人が,民事執行法71条4号イ(同法18
8条において準用するもの。以下同じ。)に掲げる売却不許可事由を主張して,上
記最高価買受申出人が受けた売却許可決定に対して執行抗告をし,抗告棄却決定に
対して更に抗告をした事件である。抗告人は,上記最高価買受申出人が,上記担保
不動産競売の目的物件の競落を抗告人に依頼し,抗告人から上記期間入札における
入札予定額の範囲の開示を受けていたところ,抗告人にあらかじめ告知することな
く上記範囲を上回る額で入札をしたものであって,上記最高価買受申出人は上記手
続において売却の適正な実施を妨げる行為をした者に該当すると主張している。
原審は,上記執行抗告を適法なものと扱い,上記執行抗告には理由がないとして
これを棄却した。
2職権により上記執行抗告の適否について検討する。
担保不動産競売の手続において,執行裁判所は,最高価買受申出人がその手続に
おいて他の者の買受けの申出を妨げ,若しくは不当に価額を引き下げる目的をもっ
て連合する等売却の適正な実施を妨げる行為をし,又はその行為をさせた者に該当
すると認める場合には,上記最高価買受申出人に対する売却を不許可としなければ
ならないものとされている(民事執行法71条4号イ,65条1号)。これは,担
保不動産競売の手続における売却の適正な実施を確保する趣旨によるものと解され
るところ,上記趣旨等に照らせば,上記の場合に,執行裁判所は,売却不許可決定
をした上で,原則として,改めて売却実施処分から上記手続をやり直すべきであっ
て,他の買受申出人は,上記最高価買受申出人に次いで高額の買受けの申出をして
いたとしても,上記売却不許可決定がされることにより売却許可決定を受けること
になるものではない。そうすると,担保不動産競売の手続において,売却許可決定
に対する執行抗告は,その決定により自己の権利が害されることを主張するときに
限りすることができるところ(同法188条において準用する同法74条1項),
同法71条4号イに掲げる売却不許可事由があるにもかかわらず最高価買受申出人
に対する売却許可決定がされ,これが確定したとしても,他の買受申出人は,原則
として再度の売却手続において買受けの申出をする機会を得られないこととなるに
すぎず,そのことをもって,上記売却許可決定により自己の権利が害されるものと
はいえない。
したがって,担保不動産競売の手続において,最高価買受申出人が受けた売却許
可決定に対し,他の買受申出人は,特段の事情のない限り,民事執行法71条4号
イに掲げる売却不許可事由を主張して執行抗告をすることはできないと解するのが
相当である。
本件において,抗告人は,最高価買受申出人から同人が入札することにつきあら
かじめ告知を受けていれば自らが最高の価額で入札をした可能性がある旨を主張す
るものにすぎず,上記特段の事情が認められないことは明らかであるから,原々決
定に対する抗告は不適法である。
3以上によれば,原決定には裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反が
あり,原決定は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,原々決
定に対する抗告を却下すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官菅野博之裁判官三浦守裁判官草野耕一裁判官
岡村和美)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛