弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人Aを禁錮五月に、被告人Bを禁錮三月に処する。
     右両名に対しこの裁判が確定した日から三年間それぞれその刑の執行を
猶予する。
     原審における訴訟費用中証人Cに支給した分は、被告人両名の連帯負担
とし、証人今関とりに支給した分は、被告人Bの負担とする。
         理    由
 (控訴の趣意)
 弁護人鵜沢重次郎提出の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。
 (当裁判所の判断) (前略)
 控訴趣意第一点の二について。
 所論は、被告人AがD、E、F、G、Hに交付した原判示第三の一の2および二
の各金員は投票取りまとめなどの選挙運動に対する報酬ではなく、労務賃であるか
ら、右の点で原判決には事実誤認があり、また、かりに右各金員が選挙運動費と労
務賃とをかねたものであるとしても、両者を区別して判定すべきであるのに、原判
決がこれを区別することなく全額につき選挙運動の報酬の性質のものであると解し
ているのは違法である、というのである。
 <要旨>そこで考えてみるのに、公職選挙法一九七条の二は「選挙運動に従事する
者」と「選挙運動のために使用する労務者」とを区別し、前者に対しては選
挙運動のために使用する事務員を別として実費弁償のみを支給することがてきると
し、後者に対しては実費弁償ばかりでなく報酬をも支給することができるとしてい
るのであるが、これは、選挙運動が本来奉仕的な性質のものであるべきだとの建前
から、これを原則として無報酬とし、ただ選挙運動に従事する者のうちそのために
使用する事務員と選挙運動のために単なる機械的労務に服する使用人てあるいわゆ
る労務者に対しては、無償の奉仕を期待しがたいところから、これに対し報酬を支
給することを認めたものと解される。すなわち、これによれば、無報酬である選挙
運動に従事する者と報酬を受けることのできる事務員、労務者とは人による区別な
のであつて、この二つを同一人が兼ねることはできず、本来無報酬であるべき選挙
運動に従事する者がたまたまあわせて単なる事務または労務をも行なつたがらとい
つて、それは選挙運動に付随し当然これに含まれるものとみるべきであり、そのた
めにその者が同条にいう事務員または労務者となるわけてはないから、これに対し
て報酬を支給することはできないと解するのが相当である。
 ところで、関係証拠によれば、被告人Aが原判示のように千葉県長生郡a村の村
議会議員選挙に立候補するに際し、Dはその選挙運動の総括的な責任者として、ま
たE、F、G、Hはその協力者としていずれも被告人Aを当選させるため選挙運動
に従事する立場にあつた者であつて、その地位および候補者との間柄からみても、
単なる選挙運動のため使用する事務員ないしは単なる機械的な労務の提供者に止ま
るものではなかつたことは明らかである。もつとも、所論の各金員については、同
人らの領収証も作成され、選挙管理委員会に対し人件費の名目のもとに報告がなさ
れていることが記録上認められるのであつて、これによればあたかもDらが単なる
機械的な事務または労務に従事する者であつたかのようにもみえるけれども、同人
らが公職選挙法一九七条の二にいう「選挙運動に従事する者」にあたることが前示
のように明らかである以上、たとえ選挙管理委員会に対する支出報告の上でどのよ
うな記載がなされていたにせよ、それによつてその実質が変ずるものではなく、そ
うであるとすれば、かりに同人らが選挙運動のかたわら若干労務などを行なつたと
してもこれに対して報酬を支給することができないことは前に説示したとおりであ
るから、右の金員は要するに同人らが被告人Aに当選を得しめるために選挙運動を
したことの報酬であるとみるのほかなく、したがつてその供与は同法二二一条一項
三号に該当するといわざるをえない。それゆえ、原判決にはこの点についても事実
誤認ないしは法令適用の誤りは存しないから、論旨は理由がない。
 (以下省略)
 (裁判長判事 中野次雄 判事 寺尾正二 判事 粕谷俊治)

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