弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人赤松政雄、同河合与の各上告審としての事件受理申立、同和島岩吉の上告
趣意、同河合与、同河上丈太郎、同美村貞夫の上告趣意、同白井正実、同赤松政雄
の上告趣意第二点について。
 第一審判決引用の各証拠並びに本件記録に徴すれば、本件偽造の目的物たる外国
貿易支払票(俗にドル・セント・クーポンと称するもので、五ドル・一ドル・五〇
セント・二五セント・一〇セント・五セント券を組合せ合計五〇ドルを一冊に綴つ
たもの)は連合国の指令に基づき外国銀行が発行した弗表示の証券で、一般の外国
人が日本国内においてこれと引換へに表示金額相当の物資の購入等をなし得るもの
であり、その流通は人的及び場所的に制限せられているけれども、なお日本国内に
おいて事実上流通するものというを妨げないから、刑法一六二条にいわゆる「其ノ
他ノ有価証券」に当るものと解するを相当とする。論旨引用の大正三年(れ)第五
四五号、同年一一月一四日大審院判例は内国において発行せず且つ流通しない「軍
用鈔票」の偽造に関するものであつて本件に適切でない。また、有価証券偽造罪に
おける有価証券たるには、法律上一定の形式を必要としないものにあつては、必ず
しも発行名義人の記載を要するものではなく、一見世人をして真正に成立した有価
証券と誤信せしむべき外観を有するものであれば足りる。従つて、仮りに本件偽造
にかかるクーポンの表紙に発行名義人の記載又は消印を欠き、これがため法律上有
価証券としての要件を具備しない場合においても有価証券偽造罪の成立を妨げない。
それ故、第一審判決をもつて有価証券偽造罪の判示に欠くるところありとし延いて
これを是認した原判決の理由不備、経験則違背を主張し、或いは本件は偽造未遂罪
を構成するに過ぎないものとして原判決の事実誤認を主張する論旨はいずれも理由
なきものである。更に昭和二四年政令三八九号において外国貿易支払票の収受又は
所持が一般に禁ぜられていることを根拠としてその偽造行為が刑法一六二条一項の
有価証券偽造罪を構成しないものとする論旨並びに右禁止規定を根拠として直ちに
外国貿易支払票が日本国内において事実上流通するものなることを否定する論旨は
ともに採用できない。
 弁護人白井正実、同赤松政雄の上告趣意第一点について。
 論旨は憲法違反を云為するけれども原審において主張せず且つその判断を経てい
ないものであつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかも共同被告人の自白は
互に補強証拠となりうるのみならず、第一審判決挙示の証拠書類、証拠物は右自白
の真美性を保障するに足る補強証拠ということができるから違憲の論旨は前提を欠
き採用できない。
 同第三点、第四点について。
 論旨は結局量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四
〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二八年五月二九日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛