弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中附帯控訴に関する部分を除くその余の部分を破棄する。
     右に関する事件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人納富義光の上告理由第一点、第三点、第四点、第六点について。
 原判決の確定する事実によれば、本件懲戒免職処分は、被上告人らが、上告委員
会の発令した昭和二九年四月一日付転補命令を無視し、依然として旧任校にとどま
つて、同校の校務に従事していたため、地方公務員法二九条一項一号及び二号に該
当するものとして、同年五月五日招集された上告委員会臨時会の会議において議決
されたものであるが、右臨時会は、同日午前一〇時、委員全員参集の下に開かれた
協議会の終了に際し、委員長から、引き続き被上告人らの処分を法定するための臨
時委員会を開催することにつき各委員の意見を求めたところ、異議がなかつたので、
同日午後二時半頃協議会を閉じ、午後三時に同委員会室に右臨時会を招集する旨を、
委員長から宣言し、直ちに係員をして臨時会招集に関する告示書を作成せしめ、こ
れを京都市役所の掲示板に掲示し、定刻午後三時に招集された、というのである。
そして原判決によれば、「当時施行されていた教育委員会法(昭和二三年七月一五
日法律第一七〇号)三四条三項、四項によれば、上告委員会の如き地方委員会の会
議は、定例会であると臨時会であるとを問わず、その招集に当つては、会議の場所
及び日時を、会議に付議すべき事項とともに、開会の日前三日までに、これを告示
しなければならないとされているところ、右臨時会は前述の如く、開会の約三〇分
前に告示されたに過ぎないから、会議招集の必要的要件を充たさない不適法なもの
というべく、したがつて、かかる不適法な会議において議決された本件懲戒処分は
違法たるを免れない。もつとも右教育委員会法三四条四項但書には、「急施を要す
る場合はこの限りでない」旨の定めはあるが、右に「急施を要する場合」とは、付
議すべき事件の性質、内容等から緊急性を認められる場合をいうのであつて、本件
懲戒処分は事件の性質からみて、いまだもつて緊急性を有するものとは考えられな
い。」というのである。
 しかし、右但書にいう「急施を要する場合」とは、原審のように、ただ単に付議
すべき事件の性質、内容から緊急性が認められる場合に限ると解し、この点の判断
につき会議の招集権者である委員長になんらの裁量権も認められないと解すべきも
のではなく、会議の招集権者である委員長は、その当時における客観的情勢その他
諸般の事情から、その事件が行政措置上急施を要する等の事情がないかどうかを考
慮し、その裁量判断によりこれを決することもできると解するのが相当である。
 所論によれば、当時京都市においては、被上告人らの右転補命令拒否の問題をめ
ぐつて、ごうごうたる世論がわき起り、中学校校長会、京都市PTA連絡協議会等
においては、これを憂えて上告委員会に対し、人事権の確立について強い要望を示
し、上告委員会が徒らにその処置を延ばしていることに対して烈しい非難を浴びせ、
他方、被上告人らを支援する組合組織は、被上告人らの懲戒処分を見越してこれを
阻止せんがための闘争を日に激化し、事態の収拾は一日も猶予を許さないまでに緊
迫していたのであるが、当時たまたま上告委員会の委員の一人であるDが渡米中で
あり、残余の委員は二対二の同数をもつて意見を対立し、たとい委員会を開いても、
結局において採決をなし得ない実情にあつたので、ひたすら右D委員の帰国を待ち
設けていたところ、さいわい同年四月二九日その帰国を見るに至つたので、直ちに
委員会を開催しようとしたが、同委員から事情調査のため数日の余裕をかされたい
旨の要求があつたので、これを諒承するとともに、その調査の終るのを待つて、右
五月五日急遽協議会及び本件臨時会を開くに至つたものであるというのであり、こ
の間の実情は、原審の確定した事実からも、ある程度うかがい得るところである。
 されば、右の如き緊迫した客観清勢が、もし真に当時存在していたとすれば、会
議の招集権者である委員長が、当該事件を以て「急施を要する場合」にあたるもの
と判断し、三日前告示の方法による招集手続にかえ、右原審の確定するような招集
方法をとつたとしても、これを目して直ちに招集権者に任された裁量権の行使を誤
つたものとすることはできない筋合である。
 しかるに、原判決は、所論客観情勢の存否につき、十分の審理判断を遂げず、判
示の如き理由だけで、たやすく上告人の主張を排斥したのは、右但書の解釈を誤ま
り、審理不尽、理由不備の違法をおかしたものといわざるを得ず、論旨はこの点に
おいて理由あるものといわなければならない。そして右の違法は、判決に影響を及
ぼすことが明らかであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。
 よつて、他の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員
の一致で主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   木   常   七
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫

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