弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を広島高等裁判所岡山支部に差戻す。
         理    由
 弁護人松岡一章の上告趣旨第一点及び同戸田善一郎の上告趣意第一、二点につい
て。
 所論は、原判決の憲法違反、判例違反をいうけれども、原審において控訴趣意と
して主張せず、その判断を経ないところであるから刑訴四〇五条の上告理由に当ら
ない。しかし職権で調査すると、原判決の容認した第一審判決は、麻薬施用者の資
格を有する被告人が他人又は家畜の疾病治療のためでなく自己の中毒症状緩和のた
め塩酸モルヒネ水溶液を自己の身体に施用したとの事実を認定しているところ、右
第一審判決は本件公訴事実に包含せられず従つて何ら犯罪の対象として認定せられ
ていない証第三号の燐酸コデインについて、右は所持を禁止せられた物件であると
して刑法一九条一項一号、二項に則り没収しているけれども、これは明らかに法令
の違反であり、これを容認した原判決は刑訴四一一条一号により破棄を免れない。
 弁護人松岡一章の上告趣意第二点及び同戸田善一郎の上告趣意第三、四点につい
て。
 所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかし職権で調査すると、第一審判
決は百倍用塩酸モルヒネ散(証第二号)を本件犯罪行為に供せんとしたものとして
刑法一九条一項二号、二項に則り没収しているけれども、当裁判所が職権で調査し
たところによれば、塩酸モルヒネ散は経口投与のために調製せられるもので、これ
を注射用に変換するには賦形薬たる乳糖を分離し、塩酸モルヒネを遊離し、生理食
塩液に転溶して滅菌法を講ずる等複雑な操作を必要とするに加え、本件行為当時被
告人は麻薬施用者として適法且つ容易に注射薬たる塩酸モルヒネ末を入手し得てい
たものであるから、他に特別の事情の認められない限り、右百倍用塩酸モルヒネ散
を本件犯罪行為に供せんとしたものとして没収した第一審判決は違法であり、これ
を容認した原判決は刑訴四一一条一号により破棄を免れない。
 弁護人松岡一章の上告趣意第三点及び同戸田善一郎の上告趣意第五点について。
 所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかし職権で調査すると、原判決の
容認した第一審判決は、被告人が昭和二三年五月一日から昭和二六年四月一四日ま
での間一〇七六回に塩酸モルヒネ水溶液を自己の身体に施用した行為につき麻薬取
締法三八条一項、五七条、刑法四五条、四七条を適用しているところ、麻薬取締法
は昭和二三年七月一〇日に施行せられたのであつて同日以前の行為については同法
六五条、七四条により麻薬取締規則三四条、五六条を適用すべく、しかも該規則の
法定刑は麻薬取締法の法定刑よりも軽くなつているのである。それ故麻薬取締法施
行前の行為につき同法を適用した第一審判決は違法であり、これを容認した原判決
は刑訴四一一条一号により破棄を免れない。よつて両弁護人の爾余の論旨に対する
判断を省略し刑訴四一三条に則り裁判官全員一致の意見で主文のとをり判決する。
検察官 佐藤欽一出席
  昭和二九年三月二六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛