弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原決定を取り消す。
     抗告人を過料五千円に処する。
         理    由
 一 本件抗告の要旨は、抗告人とAとが代表取締役である西日本製菓販売株式会
社(以下本件会社と称する)は、昭和二七年九月五日設立登記を経て成立し、初め
福岡市に本店を置いていたが、昭和二八年一一月一八日小倉市ab番地に本店を移
転し、その登記も終えたのであるが、会社役員の任期は二年であると承知していた
のに原決定によると、昭和二八年九月五日に取締役、監査役の任期は終了するとい
うのであるから、小倉に本店を移転する前に、役員の改選任をなすべきものであ
り、したがつて、抗告人としては、当然福岡市に在住の代表取締役Aにおいて、役
員改選任の手続とその変更登記をなすべきものと思料する。しかるに、右の手続と
変更登記がなされなかつたので、抗告人は昭和三二年五月に右の手続をとり、ま
た、変更登記も完了した次第である。殊に資本金数百万円、数千万円の大会社なら
いざしらず、本件会社のように、資本金僅かに三十三万円の赤字続きの経営困難な
小会社の取締役に過ぎない抗告人を過料三万五千円に処するのは、破産を宣告する
のに等しく、到底その負担にたえられないから、原判決を取り消し、さらに相当の
裁判を求めるというのであつて、抗告人は証拠として、本件会社の貸借対照表、損
益計算書、財産目録、棚卸表を提出した。
 二 記録に依れば、本件会社は昭和二七年九月五日設立登記を了して同日成立し
たこと、これより先本件会社の最初の取締役として、抗告人、A(以上二名は各代
表取締役)及びBの三名監査役としてC、Dの両名がそれぞれ選任されたことが明
らかであり、記録中の同会社の定款によると、同会社の取締役は三名以上、監査役
は一名以上とする、また、取締役の任期は二年、監査役の任期は一年とする規定が
ある以外に、特に最初の取締役の任期につき法定の最長期一年を短縮する規定の存
しないことが明白であ<要旨>る。かかる場合、最初の取締役および監査役の一年の
任期は、その選任の日から計算しないで、会社成立の日から始まるものと解
すべきであるから、商法第二五六条第二項第二七三条により、右五名の者の任期
は、同会社成立の日から一年を経過した昭和二八年九月五日の終了とともに満了す
るものと解すべく、したがつて、原審が挙示の証拠により右五名の者の任期が昭和
二八年九月五日満了し、法律、定款に定めた取締役及び監査役の員数を欠くにいた
つたのに、抗告人においてその選任手続を怠り、昭和三二年五月二八日その手続を
なした旨認定したのは、相当であつて、たとえ所論のように、本件会社の本店が昭
和二八年一一月一八日小倉市に移転するまで、福岡市にあり、かつ、福岡市に同会
社の代表取締役Aが在住するにしたところで、そのことは、Aにも前示手続をなす
ことを怠つた過責を生ずるだけのことであつて、抗告人の責任を免脱させるもので
はない。
 しかし、記録を精査し諸般の事情を合わせ考えると、原審が抗告人を過料三万五
千円に処したのは不当と認められるので、当裁判所は原決定を取り消し、原審が挙
示の証拠によつて認定した商法違反の事実につき原審挙示の法条を適用し、抗告人
を過料五千円に処すべく、非訟事件手続法第二五条民事訴訟法第四一四条第三八六
条に従い主文の通り決定する。
 (裁判長裁判官 鹿島重夫 裁判官 秦亘 裁判官 山本茂)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛