弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人清瀬一郎、同内山弘の上告趣意第一点のうち判例違反をいう点
は、引用の判例は本件と事案を異にし、本件に適切でなく、判例違反の主張は前提
を欠き採るを得ない。その余の論旨は単なる法令違反の主張で刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。(原審の確定した事実関係の下においては、被告人の本件行為に、
刑法一九七条を適用したことには所論の違法はなく、この点に関する所論引用の原
判示は正当である。)
 同第二点は単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
(そして、原審の認定したところによれば、「本件において、前記のごとく、被告
人Aが、原判示鈴北地方における葉たばこの収納に際しその品質の等級鑑定に手心
を加える余地が事実上なかつたとしても、同地方の耕作者としては、なお、収納の
際の鑑定人において、事実上その鑑定に手心を加え得る余地があり、特に、品質五、
六級以下の下級のものについては、これを鑑定人の手心如何により一級上下して鑑
定することも可能なことであると考えており、鑑定人たる被告人Aも、その間の耕
作者らの意図を承知していたものである」というのであつて、かかる事実関係の下
においては、本件行為が、右被告人の鑑定人としての職務に関してなされたもので
あるとした原判示は正当であつて、所論の違法は認められない。)
 同第三点は単なる訴訟法違反の主張であつて、同四〇五条の上告理由に当らない。
(そして論旨は、原審の裁量に属する証拠の取捨を争うに帰し、原判決には所論の
違法は認められない。)
 被告人Aの弁護人杉浦酉太郎の上告趣意第一点は、事実誤認、これを前提とする
単なる法令違反判例違反の主張であつて、同四〇五条の上告理由に当らない。
 同第二点は違憲をいうが、所論自白が強要によつたものであることを疑うに足る
証跡は、何ら記録上存在せず(所論調書が証拠に供せられることについては、同意
がなされている―記録三二六丁)、違憲の主張は前提を欠き採るを得ない。
 同第三点は事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Bの弁護人重富義男、同関根栄郷の上告趣意は、単なる訴訟法違反、事実
誤認の主張を出でないものであつて、同四〇五条の上告理由に当らない。
 記録を調べても、所論の点につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり
決定する。
  昭和三六年二月九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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