弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A弁護人戸毛亮蔵上告趣意第一点について。
 所論食糧緊急措置令が昭和二一年二月一七日旧憲法第八条に基いて制定された緊
急勅令であることは所論のとおりである。されば右措置令は法律に代わるべきもの
であり、そしてその後適法に帝国議会(昭和二一年八月二七日に衆議院、同年九月
一七日に貴族院)の承諾を経たのであるから将来に向つても法律と同一の効力を失
うものでないことは多言を要しない。それ故同令は所論昭和二二年法律七二号一条
にいわゆる「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令」にあたるものではなく従
つて昭和二二年一二月三一日を限り失効するものではないと解するのを相当とする。
されば原審が所論措置令一〇条の規定を適用して被告人を処断したからといつて、
原判決には所論のような無効の法令を適用した違法は存しない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 しかし、所論宇陀郡に対する事前割当とは、同郡内の各市区町村部落内の主要食
糧の生産者全体に対する事前割当の趣旨であること明らかであり、そして、原判決
の認定したところによれば、判示収賄者は、食糧管理法施行規則第一条により地方
長官の補助者としてかかる割当につき職務権限を有すること明白であるから、原判
決には所論の違法は存しない。
 被告人A弁護人吉村泰蔵上告趣意第一点について。
 所論原判決の判示第一の(一)の(い)事実として判示するところは、食糧緊急
措置令一〇条にいわゆる不正の手段により他人をして主要食糧の配給を受けしめた
事実を判示したものであること明白であつて、その判示として欠くるところがない
から、所論は採ることができない。
 同第二点について。
 所論の食糧管理法及び食糧緊急措置令各違反事件の第一審第二回公判調書中に論
旨摘録のような供述記載のあることは所論のとおりである。しかし右公判調書中の
その余の被告人の供述記載と検察事務官のBに対する聴取書謄本中の供述記載を綜
合すればBにおいてCが発行した特配伝票によつて一応判示数量の玄米を判示配給
所から配給を受けこれを昭和二二年度供出未納米分として供出する手続を省き配給
米に対する代金から供出米に対する代金を差引いた残額を現金でBにおいて支払つ
て配給の玄米一石五斗を直ちに供出未納米に振向け、簡易の引渡によつて受配と供
出とを完了したものであることが認められるのであるから、被告人Aは不正の手段
によつてBをして実質上判示玄米の配給を受けさせた者といわなければならない。
それ故原審が被告人に措置令一〇条を適用して処断したからといつて原判決には所
論のような擬律錯誤の違法はない。
 同第三点について。
 しかし、数ある証拠の中それがたとい同一人の供述であつたとしても、そのいづ
れを措信して証拠として採用するかは事実審たる原裁判所の裁量に属するところで
ある。そして被告人等の原審公判廷における供述は第一審公判廷における供述に優
先してこれを証拠として採用しなければならぬという法則も存しないから、原審が
所論Bに対する玄米一石五斗を特配する事由の認定資料として第一審第二回公判調
書中の被告人Aの供述記載を採用して所論に摘録する原審公判調書中の同人の供述
証人C及同Bの供述を採用しなかつたからといつて採証の法則を誤つたものとはい
うことができない。所論は結局事実審たる原裁判所の証拠の取捨乃至事実の認定を
非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。
 同第四点について。
 しかし、原判決挙示の各証拠に照して、原判示第一の(一)の各事実殊に被告人
の犯意の認定はこれを肯認するに足り、その間反経験則等の違法は存しない。所論
は要するに原判決が概ね証拠として採用しないものに基ずき事実審たる原裁判所の
事実誤認を主張するものにすぎないから上告適法の理由とならぬ。
 被告人D弁護人浅川文哉の上告趣意について。
 所論は結局原判決挙示の証拠に照して肯認することのできる原判示事実の認定を
非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 竹原精太郎関与
  昭和二五年四月一三日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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