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横浜地裁平成18・12・19
316条の20第1項棄却
主文
本件請求をいずれも棄却する。
理由
第1犯人特定ないし捜査の端緒に関する捜査報告書について
弁護人らは,証拠開示命令を求める請求書1(2)(a)において脅迫の故意ないし実行行為を
争うとの主張を予定している旨,同請求書1(3)において要するに被告人が被害者に公訴事
実記載の日時に架電した内容について公訴事実記載の言動をとっていないことを主張する
ことを予定している旨述べているが以上の2つの主張は結局は本件公訴事実について脅迫
の故意ないし実行行為を争うとの主張を予定しているということに尽きる。
なお,同請求書1(3)において,公訴事実記載の言動をとったのは公訴事実記載の日時と
は別の日時に架電した被告人以外の者であることを主張する旨述べているが,弁護人ら作
成の平成18年11月8日付け「予定主張記載書面」及び平成18年11月20日付け「予定主張記載
書面の補充書」においては,上記主張について触れられておらず,上記証拠との関連性を
判断する前提となる主張を欠くものである(上記補充書別紙2,第3には,具体的事実主張
が記載されているが,弁護人らは,同主張と本件請求証拠との関連性については何ら主張
していない。)。
そして,弁護人らは,脅迫の故意ないし実行行為の直接証拠となるA及びBの各供述の
信用性を弾劾するために,その信用性を判断する上で,捜査機関の初動捜査段階における
認識内容を検討することは,上記主張に密接に関連しかつ必要不可欠の重要性を有するも
のである旨主張している。
しかし,捜査機関の初動捜査段階における認識如何と脅迫の故意ないし実行行為を争う
との抽象的な主張の間には関連性が極めて乏しいと言わざるを得ないし,防御の準備のた
めに開示する必要性もほとんどなく,結局,開示することが相当であるとは認められない。
したがって,刑事訴訟法316条の20第1項の要件を欠く。
第2被告人の取調べに際して作成された捜査メモないし備忘録,被告人の取調状況に関す
る捜査報告書について
証拠開示命令を求める請求書2(2)及び平成18年11月8日付け「予定主張記載書面」による
と,弁護人らは,脅迫を被疑事実とする逮捕手続の違法性及びかかる逮捕・勾留がもっぱ
ら別件である逮捕・監禁被疑事件の捜査を目的とする違法な別件逮捕・勾留でありそれに
引き続く公訴提起は公訴権濫用であり公訴が無効であるとの主張を予定しているところ,
上記証拠は,相互にあるいは被告人の供述と相まって,被告人に対する取調べの重点が本
件である脅迫と別件である逮捕・監禁罪のいずれに置かれていたかを推認させる資料であ
り,ひいては取調官における令状主義潜脱の主観的意図の有無をも推認させるものである
から,いずれの証拠も上記主張に密接に関連し,また必要性も高い旨主張している。
ここで,刑事訴訟法316条の20による主張関連証拠の開示請求の対象となる証拠は,いわ
ゆる検察官手持ち証拠であり,これは原則として検察官が現に保管している証拠を意味す
るものと解される。このことは,刑事訴訟法316条の27第2項に,裁判所が,被告人側から
の開示命令の請求について決定をするに当たり,検察官の保管する証拠であって,裁判所
の指定する範囲に属するものの標目を記載した一覧表の提示を命ずることができる旨の規
定が置かれていることからもうかがうことができる。
そうすると,平成18年12月14日付け検察官の意見によると,弁護人が開示を求める本件
請求書2(1)アの被告人の取調べに際して作成された捜査メモ,備忘録は,検察官が現に保
管している証拠中に存在しないとされており,その性質上,検察官に対して送致書等とと
もに送付されるべき書類でもないから,検察官に前記一覧表等の提出等を命じるまでもな
く,検察官の手元に存在しないこれら証拠の開示を命じる余地はない。
また,捜査手続の違法は直ちに公訴提起の効力に影響を及ぼすものではないところ,弁
護人らの前記法律上の主張を基礎づける事実主張には具体性が乏しく,弁護人らの上記主
張と弁護人らが開示を求める本件請求書2(1)イの被告人の取調状況に関する捜査報告書と
の関連性の程度は極めて低いと言わざるを得ず,また,検察官が本件について収集された
証拠を種々請求している状況や検察官及び弁護人らのその余の事実主張に照らすと,これ
までに請求されている証拠及び被告人質問に加えてこの点に関する証拠調べをする必要性
自体乏しいと言うべきであるから,被告人の防御の準備のために開示する必要性があると
も認められない。
したがって,刑事訴訟法316条の20第1項の要件を欠く。
第3結論
よって,弁護人らの本件請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主
文のとおり決定する。
(裁判長裁判官・栗田健一,裁判官・日野浩一郎,裁判官・田中一洋)

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