弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人三宅正太郎同小林直人の上告趣意第一点について。
 刑事裁判において有罪の言渡をする場合に適用される法令は、刑法その他の実体
的法規だけではなく、憲法の基本法はもとより刑事訴訟法等の手続的法規もあるの
であるが、旧刑事訴訟法第三六〇条において有罪判決に示さなければならないもの
として規定している「法令ノ適用」というのは、これらすべての法規の適用をさし
ているのではなく、「罪ト為ルベキ事実」に適用されて被告人の刑事責任を生する
に直接関係ある法令の正条の適用を意味しているのである。されば、所論の昭和二
二年法律第一二四号附則第四項のような手続的法規の適用は有罪判決に示す必要が
ないのである。また仮りに右の規定が有罪判決に示さなければならない実体的規定
であるとしても、「刑法の一部を改正する法律」の施行後において、その施行前の
行為につき刑法第五五条を適用すれば、おのずから所論の規定の適用されたことも
推知されるものであることは当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一一二号同年七
月一四日言渡大法廷判決)とするところである。それ故、原判決には所論のような
違法はなく、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判決に示した(四)の被告人等が共謀の上三回にわたり「A外二個所において
同人外二名所有のモーター合計二台及び窓ガラス七十三枚を窃取した」という記載
は、所論のように被告人等の窃取した財物がA外二名の共同所有にかかることを判
示したものではない。むしろ、連続犯の判示方法として従来一般に行われてきた裁
判上の慣例によれば、かかる判示は被害者各自の単独所有であることを示したもの
と解すべきである。されば、右の判示事実は、所論被害者提出の届出書と一致する
ものであるから、原判決には所論のように証拠によらないで事実を認定した違法は
なく、論旨は理由がない。
 同第三点について。
 刑事訴訟における被告人の訊問は、「一面において当事者としての被告人に公訴
事実について陳述の機会を与えるものであるとともに、他面において証拠方法とし
ての被告人の証拠調でもあるのである。一般に、被告人の訊問と被告人以外の証拠
の取調とは一応別々の段階において行われるのが通常ではあるが、証拠調の段階に
おいて被告人の訊問がなされてももとより違法ではない。されば、被告人訊問の趣
旨が書証の証拠調によつて補われることは少しも差つかえないことである。それ故、
原審の公判において、たとえ裁判長が所論のように第一審判決書の記載に基いて被
告人を訊問し、また所論のような証拠調をしたとしても、これらの手続の全体によ
つて犯罪事実は具体的に明かにされるのであつて、原審の証拠調の手続には違法は
なく、論旨は理由がない。
 同第四点について。
 所論の各被害届並びに各被害始末書は、本件捜査手続の段階において、各被害者
が被害の顛末を報告する書面として作成して捜査官憲に提出したものを本件記録に
編綴したものであり、これらの書面の成立については、その後の審判手続において
も別段に争われた形跡のないことは記録上明かである。されば、右の書面は、刑事
事件の手続について作成されたものであるから、旧刑事訴訟法にいわゆる証拠書類
に当るものである。それ故、右書面の証拠調は、同法第三四〇条に従つてなさるべ
きものであり、原審の裁判長が所論のように右書面の要旨を被告人に告げて証拠調
をしたことは正当であつて、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がな
い。
 同第五点について。
 所論判示事実の(一)ベルト四巻は所論被害始末書の革ベルト二巻及び紙ベルト
二巻に当り(ニ)ゴムベルト二巻は同始末書のゴムベルト三巻中の二巻に当ること
は、原判決の判示事実と各被害始末書の記載とを対照すれば一見して明かであるか
ら、原判決には所論のょうな違法はなく、論旨は理由がない。
 弁護人久保田由五郎は、法定の期間内に上告趣意書を差出さない。
 よつて、刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判
決する。
 以上は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二四年三月二九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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