弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人寺口健造の上告理由第一点について、
 所論は要するに、上告人が原審において訴外Dは本件賃貸借契約を本件土地の地
主または借地権者として締結したものである旨主張したにもかかわらず、原審は右
主張事実について審理判断せず、これを容認しなかつた点に違法があるというに帰
する。
 しかし、原判決を詳細に検討すれば、原判決の引用する一審判決はその事実摘示
欄において原告(控訴人・上告人)の主張として「仮に被告(被控訴人・被上告人)
がDと賃貸借契約を結んだとしても、それはDを借地権者又は地主本人として契約
したもので、原告の代理人としてしたものではないから、被告の表見代理人の主張
は当らない」と述べた旨掲記し、右主張に対し原判決はその理由欄においてその挙
示する証拠関係、事実関係から「右Dが控訴人から本件土地の処分を委され代理権
を付与されていたことはこれを認めることはできないけれども、被控訴人は控訴人
の叔父でその代理人と称するDとの間に昭和二五年一月本件土地につきその記載の
如き賃貸借契約を約定し、右契約はDの権限踰越行為として表見代理に該当する」
旨判示認定しているのであるから、原判決には所論の違法は存せず、所論は原判決
を正解しないかまたは原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに
帰し、採るを得ない。
 同第二点について、
 原判決の所論事実に関する判示認定は、その挙示する証挙関係、事実関係からこ
れを肯認し得るところである。所論は縷々主張するけれども、結局原判決の判示と
相容れない事実を前提として、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非
難するに帰し、原判決に所論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。
 同第三点について、
 本件記録に徴するに、控訴代理人は原審の昭和三一年四月三〇日の口頭弁論期日
において控訴状に基いて控訴の趣旨を陳述し、一審判決事実摘示のとおり一審にお
ける口頭弁論の結果を陳述し、なお右控訴状の事実および理由の項を陳述したこと、
同じく昭和三二年五月一〇日の口頭弁論期日において被控訴代理人は、同年三月三
〇日附反訴状と題する書面に基いて反訴の趣旨を陳述し、これに対し控訴代理人は
右反訴に同意しない旨を述べた後、同年五月一〇目附控訴状訂正申立書に基いて控
訴の趣旨並びに事実および理由を陳述し、被控訴代理人は右訂正に異議はない旨陳
述したことが明らかである。このような訴訟経過を辿つている本件にあつては、た
とえ右反訴と右訂正後の本訴とが同一訴訟にあたるとしても、前述のように反訴が
右訂正後の本訴より以前に提起されている以上、右反訴は適法に原審に係属してい
るものであることはいうをまたない。そして右反訴の提起について控訴代理人が同
意しなかつたことは前述のとおりであるが、一審において原告(控訴人・上告人)
の本件土地明渡しの請求に対し、被告(被控訴人・被上告人)は同土地について賃
借権を有する旨主張し、原告はこれを争つたところ、一審はこれを容認して原告の
請求を排斥したものであること、被控訴人(被上告人)は原審において反訴として
右賃借権の存在を主張し、その確認の訴を提起するに至つたものであることは記録
上明らかであるから、このような本件における反訴提起については、控訴人(上告
人)をして一審を失う不利益を与えるものとは解されず、従つて、右反訴提起につ
いては同人の同意を要しないものと解するのが相当である。されば、以上と結局に
おいて同旨に出た原審の判断は正当としてこれを肯認し得る。論旨は独自の見解に
立つて原判決を非難するに帰するものであつて採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   木   常   七
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   朔   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛