弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成15年3月18日判決言渡同日原本領収 裁判所書記官
平成14年(ハ)第64405号 求償金請求事件
口頭弁論終結日 平成15年2月18日
主       文
1 被告は,原告に対し,金152万4274円及びこれに対する平成13年1
2月4日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は,被告の負担とする。
 3 この判決は,仮に執行することができる。
              事実及び理由              第1 
請 求
  主文と同旨
第2 事案の概要
1 請求の原因
  (1) 原告は,割賦購入あっせん等を目的とする会社である。なお,原告は,A
株式会社(以下「A」という)と存続会社B株式会社が平成11年10月1日に合
併し,同時に商号変更した会社であり,Aの権利・義務の一切を承継した。
(2) 訴外C(以下「C」という)は,平成8年2月13日,訴外D保険相互会
社(以下「金融機関」という)との間で,販売店・有限会社E(以下「E」とい
う)から車両を購入する資金を借り入れるために,次のとおり,金銭消費貸借契約
を締結した(以下「本件オートローン契約」という)。
① 借受金額  金232万0199円(保証料金17万0199円を含
む)
② 利   息 金12万7146円
③ 遅延損害金年14.6パーセント
   ④ 返済方法分割払い(48回)
⑤ 特   約 分割金の支払を1回でも怠ったときは,当然に期限の利
益を失う。
  (3) Aは,平成8年1月26日,Cとの間で下記約定の保証委託契約を締結
し,同年2月13日,金融機関に対しCの前項の債務について連帯保証した。
 ① Cが前項の分割金の支払を怠り,Aが20日以上の相当な期間を定めて
その支払を書面で催告したにもかかわらずその支払をしないときは,Cは,Aが金
融機関に代位弁済した額及び弁済期未到来の利息相当額をAに支払う。
   ② Cは,Aに届け出た住所を変更した場合は遅滞なく書面をもってAに通
知する。この通知を怠った場合,Aからの通知または送付書類が延着または不送達
となっても,通常到達すべき時に到達したものとみなされる。
  (4)(主位的請求原因)
    被告は,平成8年1月26日,Aに対し,Cの前項の債務について連帯保
証した(以下「本件連帯保証契約」という)。
(5)(予備的請求原因)
    被告は,訴外F(以下「F」という)を代理人として,Aとの間で本件連
帯保証契約を締結した。仮に,その事実が認められないとしても,被告は,平成9
年6月16日,Aに対し,上記連帯保証契約を追認する旨の意思表示をした。
(6) Aは,平成9年6月30日までに金融機関に対し金152万4274円を
代位弁済した。
  (7) Aは,Cに対し,平成11年7月12日到達の書面で,代位弁済した金員
を3週間以内に支払うよう催告したが,転居先不明により不送達となり,平成11
年8月2日に期限の利益を喪失した。また,原告は,被告に対し,遅くとも平成1
3年11月12日到達の書面で,3週間以内に同代位弁済金を支払うよう催告をし
た。
  (8) よって,原告は,被告に対し,代位弁済金152万4274円及びこれに
対する平成13年12月4日から支払済みに至るまで年6パーセントの割合による
金員の支払を求める。
2 争点
(1) 本件連帯保証契約の成否
  (2) 被告は本件連帯保証契約(Fの無権代理行為)を追認したか
第3 争点に対する判断
 1 証拠により認定した事実 
  (1) 被告は,知人のFから,被告自身は面識のない外国語の教師C(以下
「C」という)が車両を購入するについて,Cの連帯保証人となってもらえないか
という内容の電話を受け,その妻が日本人であり支払に問題はないとのことであっ
たのでこれを承諾した。当時,被告は株式会社G(以下「G」という)の営業部長
の地位にあった。しかし,その後,販売店等から何の連絡もなく契約関係書類も送
られて来なかったため,Fに連絡をとったところ,販売店の名前が「E」であるこ
とを知った。被告は,Eに照会したが,すでに契約は成立し車両はCに引渡し済み
であるとの回答を得た。
Aは,第2回の支払日である平成8年3月26日にCからの支払がなかった
ので,保証人である被告に対し内容証明郵便により支払の督促をした。被告は,そ
の督促に対し,同年5月13日,16日の両日,Aの担当者Hに,「本人を探して
いるので待ってもらいたい。Fを信じて保証人になることを承諾したが,保証の内
容がわからないので契約書をファクスしてもらいたい。」などと申し入れをした。
   平成9年4月26日に再び支払が滞ったため,Aは車両の引き揚げ,残債務
清算の手続に移ることにした。
   平成9年5月9日,Cの妻I(以下「I」という)は,Aの要請により,C
の代理人として,車両引揚げ等に同意する書面に署名押印をした。その頃,被告
は,Iから,「保証人に迷惑をかけられないので,購入した車両を引き渡すことに
する。近くAの担当者が車両引き上げの同意を得るために会社を訪ねてくるからよ
ろしく頼む。」との連絡を受けた。これに応じ,被告は,原告担当者がGに持参し
た用紙に署名押印した。
平成9年6月16日,被告はAの新宿支店を訪ね,対応したJ(以下「J」
という)らに対し残債務の分割支払を希望した。同日,Jらにより2例の返済案が
作成され,Jらは,G内の被告宛に返済案を無地封筒で郵送した。しかし,それに
対する被告からの連絡はなかった。
 2 本件連帯保証契約の成否
本件オートローン契約書の連帯保証人欄には被告の住所氏名等が手書きで記
載されているが,その筆跡は,本件記録中の被告作成の答弁書や車両引揚げ同意書
等(甲第4号証の2)の筆跡と明らかに異なっている。一方,同契約書には,審査
により連帯保証人を外されたK名義の筆跡が存在するが,被告作成部分の筆跡はK
名義の筆跡と酷似しており,二つの連帯保証人欄は同一人が作成したものと推定す
ることができる。
   この点について,原告は,被告本人に保証意思を確認した平成8年1月26
日に本件連帯保証契約が成立したと主張する。しかし,被告自身は,Eの担当者に
照会して初めて本件オートローン契約の成立並びに目的車両がすでにCに引き渡さ
れた事実を認識しており(被告本人),Aの担当者が被告に対し,本件連帯保証契
約の内容を正確に伝えたのか否かについての疑いを払拭できない。加えて,特定の
中古車購入を目的とするオートローン契約であるにもかかわらず,申込みから契約
成立までの間に予定購入車両が変更されるなどの不自然な点があり,こうした事情
からも,被告が本件連帯保証契約の内容を正確に理解していたとみることはできな
い。
 上記のとおり,被告は本件オートローン契約書の連帯保証人欄に自ら署名押
印しておらず,また,被告に対して正確な保証意思の確認がされたとは言い難いか
ら,本件連帯保証契約の成立を認めることはできない。
 3 Fに対する代理権授与について
   被告は,Fから,主債務者Cの氏名と購入商品が「車両」であることのみ告
げられ,Cの債務の保証人となることを承諾した。ところで,被告には,本件がオ
ートローン契約であること,すなわち,Aが借入金融機関の委託保証人であり,自
分がAに対する保証人になるという認識や,購入金額・購入車種など契約内容の重
要な点についての認識はなかった。そうすると,被告がFに保証人となることを承
諾した行為をもって,本件連帯保証契約締結についての代理権をFに授与したもの
と解することはできない。
 4 無権代理行為の追認について
   被告は,平成9年5月9日頃Aの社員が被告の勤務先Gに持参した車両引揚
げ同意書等に署名したことを否認している。しかし,一方で,Iから,Aの社員が
車両引揚げの件でGを訪ねるという予告連絡があったことを自認しており,その書
面が車両引揚げについての同意書であることを認識していたことは明らかである。
   また,被告は,平成9年6月10日付Aからの書簡(甲第6号証)に応える
形で,同年6月16日Aの新宿支店を訪ね,対応したJらに対し本件オートローン
契約の保証人として今後の弁済計画について相談をしている。この相談は,車両の
引揚げに伴う処分清算を前提として行われたものであり,被告は,少なくとも本件
オートローン契約の重要部分について理解したうえ,相談に臨んだものと解すべき
である。
以上のように,被告は,連帯保証人として自ら契約書に署名押印したわけで
はないが,Fに対し一時保証人となることを承諾した経緯があることや,実際に自
分の名前で契約が締結されていることを踏まえて,車両引揚げの同意書に署名押印
し,それを前提とした弁済計画案の作成をAの担当者に依頼したものとみることが
できる。したがって,被告は,遅くとも平成9年6月16日に,本件連帯保証契約
を追認したものと解すべきである。
 5結論
 以上によると,原告の本件請求は理由があるので,主文のとおり判決する。
     東京簡易裁判所民事第1室
裁判官 廣 瀬 信 義

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛