弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人芳井俊輔の上告趣意第一点について。
 本件のごとく被告人が証人審問の機会を与えられていたにかかわらず、その審問
を妨害し、秩序維持のため遂に退廷させられたような場合には、被告人自らの責に
おいて反対尋問権を喪失したものというべきであつて、証人審問の機会を与えられ
なかつたものということはできない。しかのみならず、本件のように被告人の弁護
人が終始証人尋問に立会い且つ被告人のためにその証人を尋問しているときは被告
人の反対尋問権は弁護人によつて行使されているものというべきであつて、被告人
自身がその審問に立会つていなくとも差支えないことは、当裁判所大法廷屡次の判
例の趣旨とするところである(判例集四巻三号三五五頁以下、同三七一頁以下、同
一一号二三〇九頁以下、同六巻二号一三四頁以下参照)。されば、原判決の判断は
正当であつて、所論は採用できない。
 同第二点について。
 所論は、量刑の非難で、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べて
も刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二九年二月二五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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