弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を取消す。
     被控訴人の請求を棄却する。
     訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は、主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求め
た。
 当事者双方の事実上の主張は、被控訴代理人において、(1)被控訴会は其の寄
附行為によつて利殖の目的で資金を他に貸付けることができるのである。(2)被
控訴会の代表者から訴外Cに個々の債権の取立を委任したことはあるが、包括的な
債権取立を委任したことはない。と述べ、
 控訴代理人において、(1)本件貸金の貸主は被控訴会ではなく、其の代表者で
あるAであつて同人が個人の資格で被控訴会の名義を利用して手形又は借用証書で
貸付けて自己の利益を図つていた具の債権を訴外Bが譲受けてこれを取立て其の金
員を借受けて自己のために利用していたので、この貸金債務を準消費貸借に改めた
のであつて、その債務者は右Bである。(2)かりにそうでないとしても被控訴会
が利殖の目的で其の資金を他に貸付けることは寄附行為によつて定められた目的の
範囲外の行為であつて無効であるから本訴請求は失当である。(3)以上いずれも
理由がないとしても、右Bが昭和二十四年十一月五日被控訴会の代理人Cに対して
本件貸金債権の弁済として金五十六万八千六百円の債権を、手形債権は裏書譲渡、
指名債権は予め債務者の承諾を得て債権譲渡の方法で譲渡したからこの時に既に本
件貸金は右代物弁済によつて消滅した。(4)仮りに右Cに包括的な代理権がなか
つたとしても、同人は本件貸金については被控訴会から取立の代理権を与えられて
いるから有効に代物弁済を受けることができる。(5)仮に同人に本件貸金につい
て代理権がないとしても、同人は被控訴会の貸金の取立其の他一切の事務を取扱つ
ていたから代物弁済を受ける代理権があるものと信じていたし、又そう信ずるにつ
いて正当の事由がある。(6)更に、被控訴会の代表者Aは右Cを通じて右代物弁
済を承諾する意思表示をし、即時直接に其の譲渡を受けた債権の取立に着手し、お
そくとも、昭和二十八年七月中までに全部取立済である。と述べた外、原判決中事
実摘示のとおりであるからここにこれを引用する。
 証拠として、被控訴代理人において、甲第六号証を提出し、当審での被控訴会の
代表者A本人の尋問の結果を援用し、乙第三号証の一中印影の成立を認め、其の他
の部分の成立を否認し、乙第三号証の二、乙第四号証の成立を認め、
 控訴代理人において、乙第四号証を提出し、甲第五、六号証の成立を認めた外、
原判決中事実摘示のとおりであるからここにこれを引用する。
         理    由
 被控訴人の本訴請求は、被控訴会が利殖の目的で控訴会社に貸付けた現金二十万
円と、同様の目的で控訴人に裏書譲渡又は指名債権譲渡の方法で譲渡取立させた上
貸付けた金二十万円の債権とを目的として昭和二十四年五月三日元金四十万円、利
息月三分、弁済期日昭和二十五年四月三日という定めの消費貸借に改めたもののう
ち金二十万円と之に対する年一割の約定利息ならびに遅延損害金の支払を求めると
いうにあるところ、被控訴会は利殖の目的で資金を他に貸付けることは寄附行為に
よつて定められた目的の範囲内の行為であるから有効であると主張し、控訴人は右
貸付行為は寄附行為によつて定められた目的の範囲外の行為であるから無効であつ
て本訴請求は失当であると抗弁するのでまずこの点を判断する。
 成立に争のない甲第六号証によると、被控訴会の寄附行為第二条には学生生徒を
保護し其の学業を奨励し人材を養成することを目的とすると定め、この目的を達す
るため、同会の行う事業は人物優秀、身体強健の学生生徒で資力の乏しい者に学資
の貸与をなすこと、及び其の他前記目的を達するに必要な事項に限定されているこ
とは第三条の明定するところである。
 <要旨>そうすると、被控訴会が其の資金を他に貸付けることは、たとえそれが利
殖の目的であるとしても、その目的を逸脱するものと解するのを相当とす
る。財団法人たる被控訴会がその目的たる育英事業を行うためその資産の増殖を図
ることは、寄附行為第三条にいわゆる目的達成のための必要な事項であるけれど
も、それば資産の管理方法を定めた寄附行為第六条にある如く確実な方法によるべ
きものであつて、金銭については、これを確実な金融機関に預入れ利殖を図るべき
ことを同条に規定し、これが貸付について何等の定めがないのも当然であつて、高
利によつて利殖が可能な反面元金をも失う危険のある金銭の貸付が公益法人たる被
控訴会の目的達成に必要なものとはとうてい考えられない。被控訴会代表者Aは原
審(第一回)および当審の本人尋問において金銭貸付は寄附行為で許されたもので
あると供述するけれども、如上説示に照し、とうてい措信し難く他にこれを認める
に足る証拠はない。このことは被控訴会が其の資産たる不動産を他に賃貸する場合
とは全く其の趣旨を異にするのである。けだし、この場合は自ら使用する場合の外
はこれを他に賃貸するのがこれを管理保存する通常の方法であつて、不動産そのも
のを失うおそればないからである。
 これを要するに、被控訴会の本件貸金行為は寄附行為に定められた目的の範囲外
の行為であつて無効であり、したがつて、これを消費貸借の目的としても、その準
消費貸借は無効といわなければならない。そこで、本件貸金行為の有効なことを前
提とする本訴請求はこの点において失当であるから進んで其の他の争点の判断をな
すまでもなく棄却すべきである。右に反して被控訴会の請求を認容した原判決は不
当であるから取消を免れない。
 よつて民事訴訟法第三百八十六条、第九十六条、第八十九条を適用して主文のと
おり判決する。
 (裁判長裁判官 三宅芳郎 裁判官 高橋雄一 裁判官 三好昇)

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