弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
1 当裁判所が当庁昭和四九年(ヨ)第二三〇六号賞与等支払仮処分申請事件につ
いて昭和四九年八月九日にした仮処分決定を取消す。
2 本件仮処分申請をいずれも却下する。
3 訴訟費用は申請人らの各負担とする。
4 この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。
       事   実
第一 申立
一 申請人ら
 主文第一項掲記の仮処分決定を認可する。
二 被申請人
 主文第一ないし第三項と同旨
第二 主張
一 申請人ら(申請の理由)
1 被保全権利
(一) 申請人らは、被申請人に従業員として雇用されたものであるが、被申請人
は、申請人aを昭和四〇年五月一二日に、その余の申請人らをいずれも昭和四〇年
六月一日に、それぞれ懲戒解雇したとして、以後申請人らが本件雇用契約の約旨に
従い提供する労務の受領を拒絶したまま現在に及んでいる。
(二) 従つて、申請人らは被申請人に対し依然賃金、賞与の請求権を有するもの
であるところ、申請人ら所属の労働組合と被申請人間において、(1)昭和四九年
五月三一日付をもつて昇給に関する協定、(2)昭和四九年六月二八日付をもつて
夏季賞与に関する協定がそれぞれ締結されるにいたつた。右各協定によれば、申請
人らの昇給額及び夏季賞与額は、いずれも次のとおりであるから、申請人らは被申
請人に対し、その支払を求める権利がある。
<19107-001>
 仮に右賃金等に含まれる査定分についての請求権の発生につき被申請人の個別的
意思表示が必要であるとすれば、被申請人は、本件雇用契約並びに前記各協定上の
査定義務を怠り、申請人らに対し右と同額の損害を与えているのであるから、申請
人らのこの損害を賠償すべき義務がある。
2 保全の必要性
 申請人らは、被申請人から支払われる賃金等を唯一の生活手段とする労働者であ
つて、右賃金等の支払が得られなければ著しい損害を蒙るおそれがある。
3 以上の理由をもつて申請人らが東京地方裁判所に対し昭和四九年八月から本案
判決確定までの間の前記各昇給額並びに夏季賞与額に相当する金員の仮払を求める
仮処分を申請したところ、これを認容する原決定がなされたので、その認可を求め
る。
二 被申請人(申請の理由に対する認否)
 被申請人は、本件仮処分異議訴訟においては、申請人らが主張する「保全の必要
性」の存在のみを争うものであつて、その主張の詳細は、別紙記載のとおりであ
る。
三 申請人ら(別紙記載の被申請人の主張に対する認否並びに反駁)
1 一の事実中、(一)記載の仮処分判決並びに(二)ないし(八)記載の各仮処
分(以下、これらを一括指称する場合「各仮処分」と略記する。)がなされたこ
と、被申請人が各仮処分に基づく金員の仮払をしたこと、第三次仮処分決定に対し
被申請人が異議を申立て、右異議訴訟が同庁昭和四六年(モ)第二一〇九号事件と
して係属していること、以上の事実は認め、その余を争う。
2(一) 二の事実中、申請人らが各仮処分に基づいて被申請人主張の金員の仮払
を受けたことは認め、その余を争う。
(二) 被申請人は、申請人らが各仮処分に基づき仮払を受けている金額と人事院
が国家公務員の給与改訂勧告を行うに当つて参考としている標準生計費の数額とを
対比して、本件仮処分につき保全の必要性が存在しない所以を力説するのである
が、この標準生計費は、公務員の賃金抑制のための資料として作成利用されている
という基本的性格の故に、総評が労働者の生活の実態に即して作成公表している標
準生計費と対比した場合、基準として偏りがあるばかりでなく、労働者の生活実態
とかけはなれた低水準であり、その実質は、標準生計費というよりむしろ最低生計
費というべきものであることが明らかであつて、これをもつて本件仮処分について
の保全の必要性の有無の判定資料とすることはできない。のみならず、仮処分によ
つて申請人らを被申請人の従業員として認めることは、申請人に対し、被申請人の
他の従業員と同等の生活を保障することを意味するのであつて、申請人らの被申請
人の従業員たるの地位が否定されているならばともかく、第一次仮処分によつて被
申請人の従業員たる地位が認められている申請人に対して、作成目的の異る前記標
準生計費を引合に出して、本件仮処分における保全の必要性を云々することは許さ
れない。
3 三の事実中、申請人らが第二次及び第四ないし第七次の仮処分により毎月被申
請人主張の金員の仮払を受けていることは認め、その余は争う。
4(一) 四の(一)の事実中、申請人b名義をもつて昭和四九年二月ころ、ニツ
サン・サニー・エクセレントGXを購入したこと、同(二)の事実中、申請人cが
被申請人主張の建物を購入し、昭和四五年三月から右建物に居住していること、同
(三)の事実は、いずれも認め、その余は争う。
(二) 申請人b名義をもつて購入した右自動車は、申請人ら四名をもつて組織す
る東亜石油争議団が、その用を弁ずるため金八〇万七〇〇〇円をもつて購入したも
のであつて、いわば申請人らの共有物である。また申請人cは、従来六畳一間に夫
婦及び子供二人で生活していたため、やむなく前記建物を購入移転したもので、そ
の代金一〇八万円のうち金一〇〇万円の親族からの借入金をもつて賄つたもので生
活に余裕があつて購入したものではない。申請人aの妻の復職後における月収手取
額は金一六万余円である。
第三 証拠関係(省略)
       理   由
一 申請の理由1の(一)の事実は当事者間に争いがない。
二 被申請人は、申請人らが申請の理由2において主張する本件仮処分における保
全の必要性の存在のみを争うので、まずこの点について判断する。
1 本件当事者間において各仮処分がなされ、これに基づき被申請人が昭和四〇年
六月以降昭和四九年三月までに申請人らに対して仮払した金員の合計は、申請人a
につき金一一〇六万三六五〇円、申請人bにつき金一一六七万八〇五〇円、申請人
cにつき金一〇七二万〇二〇〇円、申請人dにつき金一〇〇七万二五五〇円である
こと、第二次及び第四次ないし第七次仮処分により被申請人が申請人らに対し現に
仮払している金額は、申請人aにつき金一二万八九〇〇円、申請人bにつき金一三
万一〇〇〇円、申請人cにつき金一二万四〇〇〇円、申請人dにつき金一二万〇五
〇〇円であること、以上の事実は当事者間に争いがない。
2 ところで、賃金等の仮払を命ずる仮処分は、労働者が解雇の無効を主張し、そ
れが疎明されているにかかわらず、使用者が該解雇を理由に労働者に対する賃金の
支払を中絶している結果労働者及びその扶養する家族の経済生活が危殆に瀕し、こ
れに関する本案判決の確定を待てないほど緊迫した事態に立ちいたり又はかかる事
態に当面すべき現実かつ具体的なおそれが生じた場合、その労働者に対し、暫定的
に使用者から右緊急状態を避けるに必要な期間、必要な金額の仮払を得させること
を目的とするものであつて、保全すべき権利の終局的実現を目的とするものでない
ことはもとより、申請人らが主張するように暫定的にもせよ申請人らに対し被申請
人の他の従業員と同等の生活を保障することを目的とするものでもない。そしてこ
のことは、この仮処分が民訴法七六〇条の規定によつて許容される仮処分の一種で
あることから見ても、すでに疑うべき余地のないところである。従つて、この仮処
分の必要性は、前記緊急状態の現存又はその具体的な発生のおそれの存在の疎明に
よつて理由づけられるべきものであり、通常は、賃金を唯一の生計手段とする労働
者が解雇によつて収入の途が絶たれた事実が疎明されれば、右必要性の存在も疎明
されたものとして扱うことができるのであるが、その場合においても、(一)賃金
全額の支払を命ずべきかどうかは、労働者及びその家族の経済生活の危殆を避止す
るに足るかどうかの見地から慎重に判断して決すべきものであるし、(二)仮払を
命ずる期間も、労働者が本案訴訟を追行するために他に暫定的な生活の資を獲得す
るに必要な期間を判定して決すべきものであることは、前判示の仮処分の目的に照
らし、いうまでもないところである。
 この見地からみると、申請人らのごとく、すでに過去における数次の賃金仮払仮
処分によつて、解雇された昭和四〇年六月から現在に至るまで一〇年余にわたり毎
年の改訂分も含めて賃金全額にとどまらず夏季・冬季の賞与金までもの仮払を受け
ているという特段の事情の存在する場合にあつては、申請人らが右の賃金等の仮払
にかかわらず、加えて本件の仮処分を求める必要性が存在するとするならば、申請
人らは、すべからく、その必要性を基礎づける具体的な事実を主張し、かつ疎明す
べきであり、また解雇後一〇年余も漫然手を拱いて被申請人からの仮払金のみに依
存しているものではないという特段の事情も併せて主張し、かつ疎明すべきであつ
て、それがなされない限り、申請人らの求める夏季賞与金の仮払についてはもとよ
り昇給差額金の仮払を求める仮処分についても、その必要性はないものというほか
ない。そして、申請人らは右各主張をしないし、本件の全証拠を検討しても、同人
らにつき右の仮処分の必要性の存在することを疎明する資料はない。
三 以上のとおりであつて、申請人らの本件仮処分申請は、すでに保全の必要性に
ついての疎明を欠くものであり、しかも保証をもつて疎明に代えることは相当とは
認められないから、爾余の判断を用いるまでもなく失当たるを免れないのであつ
て、右申請を認容した原決定は不当として取消すべきものである。よつて、民訴一
九六条、八九条の各規定を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 西山俊彦 原島克己 中宗根一郎)
(別紙) 「保全の必要性について」
一 そもそも、地位保全仮処分に基づく金員の支払いに関しては、申請人らの訴訟
維持のための生活保障の範囲に限定せらるべき性質のものであることは、仮処分と
しての性格上、当然のことといえるが、本件に関連する金員の支払いについては既
に左記の経緯が存在し、履行が終了している。
(一) 昭和四四年六月二八日付仮処分判決(第一次仮処分)
 「被申請人は、昭和四〇年六月以降本案判決確定に至るまで、毎月二〇日限り、
申請人aに対し一ケ月金三四、一〇〇円、同bに対し一ケ月金三八、七〇〇円、同
cに対し一ケ月金三三、一〇〇円、同dに対し一ケ月金二八、三〇〇円の各割合に
よる金員を仮りに支払え。」(御庁昭和四〇年(ヨ)第二、一九三号)
 右仮処分判決により、会社は昭和四四年六月以前のバツクペイの分として、
b 一、八九六、三〇〇円
c 一、六二一、九〇〇円
d 一、三八六、七〇〇円
a 一、六七〇、九〇〇円
を支払うとともに、同年七月以降判決確定に到る迄毎月左記金員を支払うこととな
つた。
b 三八、七〇〇円
c 三三、一〇〇円
d 二八、三〇〇円
a 三四、一〇〇円
(二) 昭和四五年一〇月三〇日付仮処分決定(第二次仮処分)
「被申請人は、
1 申請人 bに対し、金二、五五一、二〇〇円
同 cに対し 金二、三六九、〇〇〇円
同 dに対し 金二、二六三、二〇〇円
同 aに対し 金二、四〇三、四〇〇円
2 昭和四五年一〇月以降毎月二〇日限り
申請人 bに対し一ケ月 金八二、五〇〇円
同 cに対し一ケ月 金七五、六〇〇円
同 dに対し一ケ月 金七一、七〇〇円
同 aに対し一ケ月 金七六、五〇〇円
の各割合による金員をそれぞれ仮りに支払え。」(御庁昭和四五年(ヨ)第二、三
九二号)
 右は、昭和四〇年以降同四五年迄の賃金上昇分および夏季冬季賞与等の支払いを
求めて申請人らが仮処分申請をなし、仮処分決定がなされたものである。
(三) 昭和四五年一二月一八日付仮処分決定(第三次仮処分)
 「被申請人は、申請人bに対し金二一八、七五〇円、同cに対し金二〇一、五〇
〇円、同dに対し金一九一、七五〇円、同aに対し金二〇三、七五〇円を、それぞ
れ仮りに支払え。」(御庁昭和四五年(ヨ)第二、四四九号)
 右決定は、申請人らが昭和四五年冬季賞与の支払いを求める仮処分申請に基づき
なされたものであるが、第三次仮処分決定は前記第二次仮処分決定と同様、被申請
人に対して何ら審尋することもなく、また何の理由を示すことなく安易になされた
ものであり、被申請人に取返し難い重大な不利益を与えるものであつた。
 なお、第三次仮処分について、会社は、その取消しと仮処分申請の却下を求めて
異議を申し立て、現在、御庁昭和四六年(モ)第二一〇九号事件として係属中であ
る。
(四) 昭和四六年一二月二一日付仮処分決定(第四次仮処分)
 「1 被申請人は、申請人bに対し金六三三、一〇〇円、同cに対し金六〇六、
〇〇〇円、同dに対し金五七一、四〇〇円、同aに対し金六四七、七〇〇円をそれ
ぞれ仮に支払え。
2 被申請人は、昭和四六年一二月から本案判決確定まで、毎月二〇日限り申請人
bに対し金一三、一〇〇円、同cに対し金一四、四〇〇円、同dに対し金一五、二
〇〇円、同aに対し金一七、七〇〇円をそれぞれ仮に支払え。」(御庁昭和四六
(ヨ)第二、三九七号)
 右決定は、昭和四六年度賃金増額および同年度夏季・冬季賞与の支払を求めた申
請人らの仮処分申請に対してなされた仮処分決定である。
(五) 昭和四七年八月四日付仮処分決定(第五次仮処分)
「被申請人は、
1 申請人bに対し金三四八、九〇〇円、同cに対し金三二九、三〇〇円、同dに
対し金三一九、〇〇〇円、同aに対し金三四三、四〇〇円
2 昭和四七年八月から本案判決確定に至るまで毎月二〇日限り、申請人bに対し
金一一、三〇〇円、同cに対し金一〇、七〇〇円、同dに対し金一〇、五〇〇円、
同aに対し金一一、〇〇〇円をそれぞれ仮に支払え。」(御庁昭和四七年(ヨ)第
二、三三二号)
 右決定は、昭和四七年度賃金増額および同年度夏季・冬季賞与の支払を求めた申
請人らの仮処分申請に対してなされた仮処分決定である。
(六) 昭和四八年一月一八日付仮処分決定(第六次仮処分)
「被申請人は、
1 申請人bに対し金三三九、四〇〇円、同cに対し金三二一、一〇〇円、同dに
対し金三一一、四〇〇円、同aに対し金三三四、四〇〇円
2 昭和四八年一月から本案判決確定に至るまで毎月二〇日に限り、申請人らに対
し各金三、四〇〇円をそれぞれ仮に支払え。」(御庁昭和四七年(ヨ)第二、四三
四号)
 右決定は、昭和四七年度賃金増額および同年度冬季賞与の支払いを求めた申請人
らの仮処分申請に対してなされた仮処分決定である。
(七) 昭和四八年八月六日付仮処分決定(第七次仮処分)
「被申請人は、
1 申請人bに対し金四四七、三〇〇円、同cに対し金四一七、一〇〇円、同dに
対し金四〇五、八〇〇円、同aに対し金四三三、四〇〇円
2 昭和四八年八月から本案判決確定に至るまで、毎月二〇日に限り、申請人bに
対し金二〇、七〇〇円、同cに対し金一九、九〇〇円、同dに対し、金一九、七〇
〇円、同aに対し金二〇、三〇〇円をそれぞれ仮に支払え。」(御庁昭和四八年
(ヨ)第二、三一一号)
 右決定は、昭和四八年度賃金増額および同年度夏季賞与の支払いを求めた申請人
らの仮処分申請に対してなされた仮処分決定である。
(八) 昭和四八年一二月二六日付仮処分決定(第八次仮処分)
「被申請人は、申請人bに対し、金四四一、〇〇〇円、同cに対し金四〇八、〇〇
〇円、同dに対し金三九六、〇〇〇円、同aに対し金四二六、〇〇〇円をそれぞれ
仮に支払え。」(御庁昭和四八年(ヨ)第二、三七〇号)
 右決定は、昭和四八年度冬季賞与の支払いを求めた申請人らの仮処分申請に対し
てなされた仮処分決定である。
(九) 以上八回の仮処分において申請人らは会社在籍従業員と同一の処遇を得て
いることになつたが、毎月支払われる賃金についてみても、労働基準法第二六条の
休業手当や同第七六条の休業補償がいずれも平均賃金の六割と定められていること
にてらし、賃金支払仮処分における支払額は平均賃金の六割を限度とすべきであり
(大阪高裁昭和三五年八月二三日判決淀川製鋼不当解雇仮処分控訴事件労民集一一
巻八七五頁、大阪高裁昭和三八年二月一八日判決川崎重工賃金請求事件労民集一四
巻一号二九八頁、大阪高裁昭和三八年五月二一日決定産経新聞仮処分執行停止申立
事件労民集一四巻三号八三六頁参照)、全額の支払いを命ずることは「原状回復を
なし得ざるようなやり方で債権者に満足を与える仮処分」(最高裁昭和二四年四月
二七日判決)であり、かかる仮処分命令は、保全されるべき権利の終局的実現を招
来するもので、仮処分本来の目的を逸脱し、不当、違法といわなければならない。
 さらに、申請人らは賞与といえども生活補助金の実体を有するものであるとして
仮処分の必要性を主張するが、前記平均賃金の基礎にも算入されない一時金につい
てまで仮処分による支払を認めることは到底許されるべきことではない。
二 前述した仮処分の必要性の具体的な判断の基準としては、人事院が例年国家公
務員の給与改訂に関する勧告を行なうに当つて参考としている標準生計費(総理府
統計局の家庭調査および厚生省の国民栄養調査に基づく)が適当であると認められ
ところ、東京都における標準生計費を昭和四〇年度から昭和四八年度まで各年別世
帯人員別に表わせば別表(一)のとおりである。これを申請人らにあてはめれば別
表(二)となる。
 別表(二)によつて明らかなように、申請人らについて、昭和四〇年六月以降同
四九年三月迄の間、生計費として必要とされる総金額は、
b 四、六三五、二八〇円
c 七、二二六、四〇〇円
d 五、六八一、八三〇円
a 六、二五七、五二〇円
であるところ、会社は前記した第一ないし第八次仮処分に基づき申請人らに左記総
金額を仮に支払つているのである。
b 一一、六七八、〇五〇円
c 一〇、七二〇、二〇〇円
d 一〇、〇七二、五五〇円
a 一一、〇六三、六五〇円
これを対比すれば明らかなように、申請人らは昭和四〇年六月以降同四九年三月迄
の間に標準生計費を上回ること
b 七、〇四二、七七〇円
c 三、四九三、八〇〇円
d 四、三九〇、七二〇円
a 四、八〇六、一三〇円
の金員を受領しているのである。すなわち、申請人らが既に標準生計費を大巾に上
回る金員を受領していることは明白であり、申請人bについていえば標準生計費の
二倍以上の金員を受領していることになる。
 さらに、年々物価の上昇していることは周知の事実であるが、前記標準生計費が
かかる事情を加味して算定されていることはもちろんであり、申請人らの申請理由
は全く根拠がない。しかも申請人らが第二次ないし第八次仮処分決定について、こ
とさらに、何ら記載することもなく本件申請におよんだことは信義則に反する態度
であるといわなければならない。
三 第二次、第四次、第五次、第六次および第七次仮処分により、現在、会社は申
請人らに対し毎月次の金員を仮りに支払つている。
b 一三一、〇〇〇円
c 一二四、〇〇〇円
d 一二〇、五〇〇円
a 一二八、九〇〇円
 右のなかで申請人bは、妻との二人の生活であり、別表(一)にある四八年度、
二人の標準生計費六七、八二〇円の二倍近い金額を受領している。
 申請人a、同c、同dについて、いずれも標準生計費を上回る金員を受領してお
り、前項で述べた過去において標準生計費を上廻つて受領した金額をあわせれば、
本年度中における物価上昇分を容易に吸収できることは明白である。以上述べてき
たことにより、賃金相当分および賞与相当分を問わず、本件申請について仮処分の
必要性は全く存在しないものである(広島高裁昭和四七年九月一八日決定、仮処分
抗告事件判例時報六八三号参照)。
四 本件仮処分申請が保全の必要性がないことについては、既に以上において詳述
したところであるが、申請人らには、次のような個別的な事情があり、保全の必要
性のないことはさらに明白である。
(一) 申請人bは、昭和四九年二月頃、日産サニー・エクセレント・ハードトツ
プGXを即金で購入している。右車輛は当時八五万円前後の価格であり、かかる新
鋭車を即金で購入していること自体、同人に本件仮処分の必要性のないことを示す
ものである。
(二) 申請人cは、厚木市<以下略>所在鉄筋コンクリート造陸屋根五階建家屋
の五階部分四二・七九平方米を購入し、既に昭和四五年三月頃から居住している。
右建物の価格は、昭和四五年当時において少くとも三百万円以上であつたものと認
められる。当時、家屋を購入し得る者は、ある程度、家計に余裕のある者に限られ
ていたから、かかる点からみて、同人には、本件仮処分をなす必要性のなかつたこ
とが明白である。
(三) 申請人aについて
 同人の妻は、昭和三〇年から東京都中央区立の中学校に教員として勤務し、昭和
四九年において年収一九五万八〇〇〇円を得ていたものであり、昭和四七年一〇月
一日から疾病により休職となつてはいたが、被申請人の調査によれば東京都教職員
は、休職中であつても最初の二年間は月収の八割が支給され、さらにその後は共済
組合から月収の六割が支給されることになつているから、同人は、昭和四九年一〇
月以降においても最小限右六割の月収を得ていたものである。そして同人は、昭和
五〇年一一月一六日をもつて復職し、現在の月収額は二二万円を下るものではな
い。
 このような事情からして、同人の家計が裕福な状態にあることは否み難く、従つ
て、本件仮処分は、必要性のないものとして、却下さるべきものである。
(別表省略)

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