弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金一、〇〇〇円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金五〇〇円を一日に換算した
期間被告人を労役場に留置する。
     軽犯罪法違反の点につき被告人を免訴する。
     第一審における訴訟費用は、被告人の負担とする。
         理    由
 広島高等検察庁検事長野村佐太男の上告趣意第一点は、、原判決の判例違反をい
うけれども、所論引用の各判例は、いずれも事案を異にする本件には適切ではない
から、その前提を欠き、その余は単なる法令違反の主張であり(なお、本件ビラ貼
り行為、すなわち、被告人が昭和三三年三月一八日午後一一時過頃、外四名と共同
して、日本国有鉄道a線b駅々長室において、同建造物の一部である同室内西側板
壁や南東側白壁の下部の腰板に、「人べらしは死ねということだ」、「人間らしい
生活をさせよ」等と墨書し、または「みんなの力で賃金調停を有利に出させよう」
などと印刷してあるビラ三四枚を、また、器物である同室内北西側硝子窓、北側出
入口および西側駅事務室に通ずる出入口の各硝子戸、同室内の木製衝立等に同様の
ビラ三〇枚を、メリケン粉製の糊でそれぞれ貼り付けた行為につき、刑法二六〇条
の建造物損壊罪ないし同二六一条の器物損壊を内容とする、「暴力行為等処罰ニ関
スル法律」一条一項の罪を構成するものでないとした原判示は、相当として是認す
ることができる。)、同第二点は、訴訟法違反の主張であつて、いずれも適法な上
告理由に当らない。
 弁護人小林直人、同星野民雄の上告趣意は、検察官が前示の本件ビラ貼り行為を、
刑法二六〇条の建造物損壊および同二六一条の器物損壊を内容とする「暴力行為等
処罰ニ関スル法律」違反の各訴因として起訴した以上、これを軽犯罪法一条三三号
の罪と変更、認定するには訴因変更の手続を要するのにかかわらず、原判決が右手
続を経る必要がないと判示したことは、判例違反ないし訴訟法違反であると主張す
る。しかしながら、所論引用の各判例はいずれも事案を異にし本件には適切でない
から、判例違反の主張はその前提を欠き、また、所論原判示は相当として是認する
ことができる。しかも、本件記録に徴するに、原審第三回公判期日(昭和三六年四
月二一日)において検察官が右訴因(並びに罰条)の予備的追加の請求をしたこと
および原審第六回公判期日(昭和三六年一二月四日)において、原裁判所が右請求
を許可する旨の決定をしたことは、いずれも明認されるところであるから(本件に
おけるように、控訴審が事実の取調をしたうえ、第一審判決を破棄、自判する場合
で、しかもそれが被告人の防禦上実質的利益を害しないと認められる場合には、検
察官の予備的訴因の追加請求を容れ、追加された訴因を認定することの許されるこ
とは、当裁判所の判例の趣旨とするところである。昭和二九年(あ)第五一五号、
同年九月三〇日第一小法廷決定、刑集八巻九号一五六五頁、昭和二八年(あ)第五
〇八六号、同三〇年一二月二六日第二小法廷判決、刑集九巻一四号三〇一一頁、昭
和三六年(あ)第二四四七号、同三七年三月一五日第一小法廷決定、刑集一六巻三
号二七四頁各参照)、論旨は、この点においても前提を欠き不適法たるを免れず、
適法な上告理由に当らない。
 しかしながら、検祭官の上告趣意第二点にかんがみ、職権をもつて調査するに、
原判決は、第一審判決を破棄したうえ、第一審判決判示の建造物侵入の事実を一と
し、新たに二として、軽犯罪法一条三三号に該当する事実(本件ビラ貼り行為とし
て前示した事実と同趣旨のもの)を認定し、以上二罪は刑法四五条前段の併合罪で
あるとし、同法四八条一項により、前者につき罰金一、〇〇〇円、後者につき科料
三〇〇円に処する旨言い渡したものであるが、右軽犯罪法違反の罪の法定刑は拘留
または科料であるから、犯罪行為の終つた時から一年の期間を経過することにより、
その公訴の時効は完成するものであるところ(刑訴二五〇条六号)、本件起訴のな
されたのは、被告人の右犯罪行為後一年一月余を経過した昭和三四年四月三〇日で
あること、本件起訴状の記載上明白であるから、たとえ、本件起訴状記載の訴因お
よび罪名が建造物損壊並びに(器物損壊を内容とする)「暴力行為等処罰ニ関スル
法律違反」とされているにしても、原判決が右事実を認めなかつたこと前示のとお
りである以上、右軽犯罪法違反の行為については、右起訴の当時すでに公訴の時効
は完成していたものというべきである。してみれば、右行為については、刑訴四〇
四条、三三七条四号により、被告人に対し免訴の言渡をすべきものであるのに、原
判決が有罪の言渡をしたのは違法であり、原判決を破棄しなければ著しく正義に反
するものと認められる。 よつて、同四一一条一号により原判決を破棄し、同四一
三条但書により、さらに次のとおり判決する。
 原判決の確定した建造物侵入の事実に法令を適用すると、刑法六〇条、一三〇条
前段、罰金等臨時措置法二条、三条に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、そ
の所定金額の範囲内で被告人を罰金一、〇〇〇円に処し、刑法一八条により、右罰
金を完納することができないときは金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役
場に留置し、原判決の認定した軽犯罪法違反の行為については、上記のとおり公訴
時効が完成しているので、刑訴四一四条、四〇四条、三三七条四号により被告人を
免訴し、訴訟費用中第一審において生じた分については、同一八一条一項本文によ
り被告人に負担させることとし、裁判官全員一致の意見により、主文のとおり判決
する。
 検察官 玉沢光三郎公判出席
  昭和三九年一一月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    田   中   二   郎

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