弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人今西貞夫の上告趣意第一点について。
 原判決において挙示する被告人の原審公判廷における供述を公判調書について検
討するに、被告人は先ず審理の冒頭でどの点が不服かとの裁判長の問に対し、自分
は利益を得る為に米を売買したのではなく、家には若い者を使つているのでこれに
も米を食べさせなければならず又果物を二日か三日に一度トラツクで運んで貰う為
米を少しお礼として出したのですと供述している。ところがその後の事実調べにお
いては、第一審判決摘示の冒頭並びに第二の事実(これには営利の目的で原判決摘
示の第二の事実に該当する米の売買をした旨の記載がある)を読聞けられて、その
とおり相違ないと答えており、更に、買つた米は、どうしたのかとの問に対し、家
に若い者が四、五人居りますのでそれに食べさせたり、Aにも売つたりしましたと
述べている。そして原判決は第一審判決において有罪と認定した被告人がBから玄
米一石を買受けた行為を無罪として居り、しかもこの部分は、被告人が家の若い者
に食べさせたと弁解するものにほゞ該当することが前記公判調書上明かである、し
て見れば、被告人としては原審公判廷における供述全体の趣旨においては、原判決
が有罪と認定した判示第二の売買は営利目的でなしたものであることについては何
等争う意思もなく、これを自認したものと解し得る。そればかりでなく、原判決に
判示第二の事実として示されたところとこれを認定する証拠として示されたものと
を彼此対照すると結局被告人はAに対し三回に米一石二斗を販売し内八斗は二回に
Cから買受けたものであることを知り得る。これらの各事実についての証拠と前掲
原審公判廷における被告人の供述とを綜合すると原判決に示す如く被告人が営利の
目的で米の売買をしたことが首肯できる。原判決もかゝる趣旨において証拠説明を
したものと認め得るから原判決には所論の如き違法はなく諭旨は理由がない。
 同第二点について。
 (一)しかし所論判例に示すように、連続犯は結局一罪として処断さるべきもの
であるから、その行為の内容が同一罪質を有する複数のものであることが分る程度
に具体的に判示されゝば十分である。この点原判決の事実摘示をみるに、それが複
数の行為であることは明瞭であり、唯その回数が明示されていないのみである。し
かし証拠説明と相俟つて、ともかくも十月中旬頃から、十一月初旬迄の間に、何回
かに分けて、塩蔵鰯の販売、その対価としての米の受領があつたことは明瞭で、行
為の特定、法令の適用に些さかの支障を来していないのである。即ち原判決は、連
続犯の判示として欠くるところはないから論旨は理由がない。
 (二)しかし原判決をみるに判示第二の米を買受け、その販売についてはいずれ
も価格が明記してあり、これに適用さるべき告示も判示されているのであるから、
超過額算定の基礎は十分示されているわけである。唯原判決は右の如き超過額を示
すに当り「約」として、明細な計算の結果を示してないことは所論のとおりである
が、前記の如く計算の基礎が明確にされている以上法令の適用には何等の支障も来
さないのである(物価統制令三三条但書の適用なきことも計数上明かである。)し
かも本件売買は、食糧営団以外の者のなしたものであることは原判決により自ら明
かであるから、所論の如き法令適用上の疑義は残らないのである。故に原判決には
所論(二)の如き理由不備の違法はない。
 よつて旧刑訴四四六条を適用し主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 橋本乾三関与
  昭和二五年五月一六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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