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平成15年(行ケ)第153号 審決取消請求事件
平成15年11月25日判決言渡、平成15年11月11日口頭弁論終結
         判    決
    原   告     株式会社三共
    訴訟代理人弁理士  米田昭
    被   告     特許庁長官 今井康夫
    指定代理人     瀬津太朗、二宮千久、高橋泰史、大橋信彦、林栄二
         主    文
  原告の請求を棄却する。
  訴訟費用は原告の負担とする。
         事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 特許庁が不服2002-8574号事件について平成15年3月3日にした審決
を取り消す、との判決。
第2 事案の概要
 1 特許庁における手続の経緯
 原告は、平成4年10月2日、名称を「スロットマシン」とする発明につき特許
出願(特願平4-265171号)をしたが、拒絶査定を受けたので、平成14年
5月15日、審判の請求をした。特許庁は、これを不服2002-8574号事件
として審理し、平成15年3月3日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との
審決をした(平成15年3月18日審決謄本送達)。
 2 本願発明の要旨
 本願発明は、平成14年6月14日付けの手続補正書(甲5)により補正された
特許請求の範囲に記載されたとおりものである(以下、下記請求項1の発明を「本
願発明」という。請求項2ないし4の記載は省略)。
【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変
表示装置の1回の可変停止により1ゲームが終了し、該可変停止時の表示結果が予
め定められた特定の識別情報となったときに所定の遊技価値が付与可能となるスロ
ットマシンであって、
 通常ゲームよりも高確率で入賞が発生するビッグボーナスの最後のゲームにおい
て前記可変表示装置が可変停止したときに次のゲームができない状態にする処理手
段と、
 該処理手段により次のゲームができない状態となってから所定時間が経過したと
きに自動的に前記次のゲームができない状態を解除する自動解除手段と、
 手動操作により前記次のゲームができない状態を解除する手動解除手段と、
 前記自動解除手段による解除と前記手動解除手段による解除とのうちいずれか一
方を選択する解除態様選択手段と、
 前記解除態様選択手段の状態に応じて、前記自動解除手段による解除と前記手動
解除手段による解除とのうちいずれか一方の解除態様を設定する設定手段とを含
み、
 該設定手段は、前記解除態様選択手段の状態に応じて前記解除態様の設定を変更
する処理を前記スロットマシンの電源が投入されたときにのみ行なうことを特徴と
する、スロットマシン。
 3 審決の理由
 審決は、別紙審決書のとおり、本願発明は、刊行物1(実願平2-83492号
(実開平4-40686号)のマイクロフィルム、甲6)に記載された発明と周知
技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法2
9条2項の規定により特許を受けることができないと判断した。
第3 原告の主張(審決取消事由)の要点
 1 取消事由1(発明の目的についての審理不尽等)
 刊行物1記載の発明は、従来手作業で行っていた打止解除作業を機械化、自動化
することを目的としているのに対し、本願発明は、打止めに関する種々の異なった
営業方針に対応できる汎用性の高いスロットマシンを提供することを目的とするも
のであり、両発明の目的は著しく異なる。
 本願発明の目的は、従来手作業で行っていた打止解除作業を単に機械化、自動化
することを目指した刊行物1記載の発明に接した当業者が容易に想起し得る程度の
ものとはいい難く、極めて斬新な商品コンセプトに裏打ちされた特異なものであ
る。 審決は、本願発明の創作容易性を判断するに当たり、両発明の目的の異同に
ついて一切認定判断していない審理不尽、判断遺脱の違法がある。
 2 取消事由2(本願発明と刊行物1記載の発明との一致点の認定の誤り)
 本願発明の「自動解除手段」と「手動解除手段」とは、単に2つのものが無関係
に具備されているのではなく、自動解除手段による解除と手動解除手段による解除
とのうちいずれか一方を選択する「解除態様選択手段」と、解除態様選択手段の状
態に応じて自動解除手段による解除と手動解除手段による解除とのうちいずれか一
方の「解除態様を設定する設定手段」とによって、相互に有機的に関連づけられて
いる。本願発明の「自動解除手段」、「手動解除手段」、「解除態様選択手段及び
解除態様を設定する設定手段」は、一体不可分の発明の構成として把握されるべき
ものである。
 審決は、本願発明の一体不可分の「自動解除手段」、「手動解除手段」、「解除
態様選択手段及び解除態様を設定する設定手段」を、個々の要素に分解して本願発
明と刊行物1記載の発明の一致点を認定した誤りがある。
 上記各手段を不可分一体のものとして本願発明の要旨を正しく認定すれば、本願
発明と刊行物1記載の発明とは、「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示
装置を有し、該可変表示装置の1回の可変停止により1ゲームが終了し、該可変停止
時の表示結果が予め定められた特定の識別情報となったときに所定の遊技価値が付
与可能となるスロットマシンであって、ある決まった状態になったときに次のゲー
ムができない状態にする処理手段と、該処理手段により次のゲームができない状態
となってから次のゲームができない状態を解除する解除手段を含むスロットマシ
ン」である点で一致するにすぎない。
 審決が、一致点について、「複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置
を有し、該可変表示装置の1回の可変停止により1ゲームが終了し、該可変停止時の
表示結果が予め定められた特定の識別情報となったときに所定の遊技価値が付与可
能となるスロットマシンであって、ある決まった状態になったときに次のゲームが
できない状態にする処理手段と、該処理手段により次のゲームができない状態とな
ってから所定時間が経過したときに自動的に前記次のゲームができない状態を解除
する自動解除手段を含む、スロットマシン。」と認定したことは誤りである。
 3 取消事由3(相違点の認定の誤り)
 審決が本願発明と刊行物1記載の発明とを対比して相違点(A)及び相違点
(D)を認定したことは正しいが、相違点(B)及び相違点(C)を分解して認定
したことは誤りである。
 これらの点に関する両者の相違点は、刊行物1記載の発明においては次のゲーム
ができない状態を解除する手段が「自動解除手段」のみであるのに対し、本願発明
は、「自動解除手段」と「手動解除手段」と、「解除態様選択手段」及び「解除態
様を設定する設定手段」とを具備している点にある。
 4 取消事由4(相違点についての判断の誤り)
 (1) 審決は、本願発明と刊行物1記載の発明の構成上の差異を相違点(B)と相
違点(C)に分解した上で、相違点に係る構成について創作容易性を判断している
が、上記3で述べたとおり相違点を(B)、(C)に分けて認定したことが誤りで
あるから、これを前提とする相違点についての判断も、当然、誤りである。
 (2) 審決は、相違点(A)について、刊行物2(特開平3-143468号公
報。甲7)及び刊行物3(特開平1-303181号公報。甲8)を例示して、
「スロットマシンにおいて、通常ゲームよりも高確率で入賞が発生するビッグボー
ナスが終了したときに次のゲームができない状態にする処理手段を設けることは周
知」であるから、刊行物1記載の発明において上記周知技術に基づいて相違点
(A)の構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである、と判断した
が、その理由となった周知技術の認定が誤りであるから、相違点(A)が容易であ
るとした判断も誤りである。
 すなわち、刊行物2及び刊行物3には、ボーナスゲーム終了時にそのパチスロ機
械に付属されているリセットスイッチを自動的に操作処理し、次のゲームを速やか
に行えるようにした装置と、通常ゲームよりも高確率で入賞が発生するビッグボー
ナスゲームをプレイ可能な遊技機が、それぞれ示されているものの、スロットマシ
ンにおいて、通常ゲームよりも高確率で入賞が発生するビッグボーナスが終了した
ときに次のゲームができない状態にする処理手段を設けることは示されていない。
 (3) 審決は、相違点(B)について、「スロットマシンにおいて、「手動操作に
より次のゲームができない状態を解除する手動解除手段」を設けることは周知であ
るから(例えば、刊行物1の従来例の記載、刊行物2がある。)、刊行物1に記載さ
れた発明において、上記周知技術を施して自動解除手段だけでなく手動解除手段も
設ける構成とすることは単なる設計的事項程度のことにすぎない。」と判断してい
るが、誤りである。
 刊行物1の記載を検討すると、①刊行物1記載の発明は、従来のスロットマシン
の打止装置の手動解除装置を自動化するために、外周に数種類の標章を表示した複
数個のリールと、手動により前記各リールを個々独立に停止させるストップ装置
と、前記全リール停止時の有効標章の組合せに対応する検出信号を受信してメダル
の払い戻しをする装置と、打止装置とを備えた従来のスロットマシンの基本的構成
に、新たに打止装置にリセット信号を発信するリセット信号発生回路を付加したも
のであること、②新たに付加された打止装置にリセット信号を発信するリセット信
号発生回路を刊行物1記載の発明から除去すると、従来のスロットマシンに逆戻り
してしまうこと、③刊行物1記載の発明は、その課題からして、従来のスロットマ
シンに逆戻りすることはあり得ないこと、したがって、④刊行物1記載の発明と従
来技術とは、互いに二律背反の関係にあり、両立し得ないことが理解できる。
 そうすると、刊行物1に接した当業者が、スロットマシンの打止装置の解除装置
を構成するに際しては、自動で解除可能な刊行物1記載の発明を選択するか、手動
で解除可能な従来技術を選択するか、二者択一を迫られるものであって、両者を共
存させることは不可能である。
 したがって、仮に刊行物1に記載された従来技術が周知であったとしても、刊行
物1記載の発明に周知技術を施して自動解除手段だけでなく手動解除手段も設ける
構成とすることは、「単なる設計的事項程度」ではなく、この点の審決の判断は誤
りである。
第4 当裁判所の判断
 1 取消事由1(発明の目的についての審理不尽等)について
 原告の主張する本願発明の目的とは、打止めに関する種々の異なった営業方針に
対応できる汎用性の高いスロットマシンを提供する、というものであるところ、こ
の目的のために本願発明に採用されている構成は、スロットマシンに「自動解除手
段」と「手動解除手段」と双方を備えさせるとともに、両者の解除態様のいずれか
を選択して解除態様を設定する「解除態様選択手段と解除態様を設定する設定手
段」を設けるというものであると認められる。これは、結局、スロットマシンにお
いて打止解除を手動で行うか自動化するかという、刊行物1にも記載されている事
項に関連することにすぎず、原告主張の本願発明の目的は、刊行物1に記載された
発明との構成の相違について検討判断をすることよって評価し尽くせないほどの特
異なものとはいえない。換言すれば、原告主張の取消事由1は、詰まるところ、相
違点についての判断の当否の問題に解消されるというべきである。したがって、審
決が本願発明と刊行物1記載の発明との目的の異同について明示的な判断をしてい
ないとしても、そのことを理由として、結論に影響を及ぼすべき審理不尽、判断遺
脱等の違法があったということはできない。
 取消事由1は理由がない。
 
 2 取消事由2(一致点の認定の誤り)について 
 (1) 本願発明の「自動解除手段」、「手動解除手段」、「解除態様選択手段及び
解除態様を設定する設定手段」が相互に関連しているとしても、それらの相互に関
連した要素(構成)を分けて理解し、個々の要素ごとに従来技術との対比検討を行
うことは、合理的なものとして通常採用されている対比の手法であるから、審決に
おける対比の手法自体に誤りがあるということはできない。
 原告の主張する個々の要素の相互関連性ないし一体不可分性は、相違点について
の判断に当たって考慮すれば足りるものである。 
 (2) 本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、①本願発明は、請求項1に
記載されるとおり、「該処理手段により次のゲームができない状態となってから所
定時間が経過したときに自動的に前記次のゲームができない状態を解除する自動解
除手段」を構成要素として含むスロットマシンであり、②刊行物1記載の発明は、
原告も認めるとおり、「打止装置27がロックされてから所定時間が経過するとリ
セット信号発生回路9に指令を発することにより打止装置27のロックを解除し、
スロットマシンで遊技ができるようにする払い出しメダル集積回路8とを含むスロ
ットマシン」、すなわち、打止めの自動解除手段を構成要素として含むスロットマ
シンであるから、両発明は、「処理手段により次のゲームができない状態となって
から所定時間が経過したときに自動的に前記次のゲームができない状態を解除する
自動解除手段を含む、スロットマシン」である点を含め、審決が認定したとおりの
一致点で一致すると認められる。
 したがって、審決における両発明の一致点の認定に誤りはない。
 取消事由2は理由がない。
 3 取消事由3(相違点の認定の誤り)について
 原告は、審決は本願発明の「自動解除手段」、「手動解除手段」及び「解除態様
選択手段及び解除態様を設定する設定手段」を一体のものとして刊行物1記載の発
明と対比することなく、相違点を(B)と(C)とに分解して認定したことが誤り
であると主張する。
 しかし、審決は、刊行物1記載の発明には本願発明と同様の「自動解除手段」が
あるが、「手動解除手段」及び「解除態様選択手段及び解除態様を設定する設定手
段」を含まない構成であるので、「自動解除手段」については一致点として認定
し、「手動解除手段」と「解除態様選択手段及び解除態様を設定する設定手段」に
ついては、それぞれ相違点(B)及び相違点(C)として認定判断をしており、相
違点を(B)と(C)とに分けて判断したことによって判断の帰結に差異が生じる
とは認められない。相違点の認定の誤りをいう原告の主張も、審決で認定された相
違点(B)及び(C)以外の相違点があることをいうものではない。
 以上によれば、審決のした相違点の認定が誤りであるということはできない。
 取消事由3は理由がない。
 4 取消事由4(相違点についての判断の誤り)について
 (1) 審決が本願発明と刊行物1記載の発明の構成の差異を相違点(B)と相違点
(C)とに分けて認定したことに誤りがないことは前示のとおりである。したがっ
て、分けて認定したことが誤りであるとして相違点の判断の誤りをいう原告の主張
は、採用することができない。
 (2) 原告は、審決が相違点(A)についての判断において前提とした周知技術の
認定が誤りであると主張する。
  ア 審決が周知技術に関して挙げた刊行物3(特開平1-303181号公
報。甲8)には、次の記載が認められる(下線は判決による付加)。
   a「次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施
例では遊技機の一例であるスロットマシン10について説明するが、」(3頁右上
欄)
   b「なお、本実施例では打止の制御については触れなかったが、遊技機の差
数(取込んだ点数と付与した点数の差)が所定値に達したことや持点が所定値に達
したことあるいはビックボーナスゲームが終了したこと等に基づいて打止とするよ
うにしてもよい。」(19頁左下欄)
   c「さらに、前記特別状態として、ビックボーナスゲームやボーナスゲーム
等のように、通常の状態よりも得点が加算されやすい遊技状態を取り上げて説明し
たが、」(19頁左下欄)
 上記aないしcの各記載及び第1図ないし第5F図によれば、刊行物3には、
「スロットマシンにおいて、通常の状態よりも得点が加算されやすいビッグボーナ
スゲームが終了したことに基づいて打止とすること」が記載されていると認められ
る。
イ 審決が周知技術に関して挙げた刊行物2(特開平3-143468号公
報。甲7)には、次の記載が認められる。
   a「本発明は、上記のような問題点を解決し、パチスロ機械を閉じたままの
状態で、遠隔地のカウンター内に音声及びシグナルランプにて、ボーナス開始・ボ
ーナス終了時を知らせ、スイッチにて各々のパチスロ機械に対して、自動的にリセ
ットを行うことを目的としている。」(1頁右下欄)
   b「ボーナスゲームが終了するとLEDランプ⑮が点滅から点灯に変わる。
又、ボイス発生部③によって「予定終了しました。」というメッセージが聞こえ、
カウンター内の従業員に知らせる。次にリセットチャンネル部のオープンリセット
スイッチ⑭を手動にて、押下してリセットに作業を行う。そうすることによって、
再度パチスロ機⑫が作動し、御客様が再ゲームすることが可能となる。」(2頁左
上欄~右上欄)
 ボーナスゲームが通常ゲームよりも高確率で入賞が発生することは、刊行物3に
も記載されているように一般的に知られていることであり、リセットを行うことに
より再ゲームが可能ということは、リセットするまで次のゲームができないことを
意味するものであるから、刊行物2には、「パチスロ機械(スロットマシン)にお
いて、通常ゲームよりも高確率で入賞が発生するボーナスゲームが終了したときに
次のゲームができない状態にする処理手段を設けること。」が記載されていると認
められる。
  ウ 上記ア、イで認定した刊行物2及び3の開示内容に照らせば、「スロット
マシンにおいて、通常ゲームよりも高確率で入賞が発生するビッグボーナスゲーム
が終了したときに次のゲームができない状態にする処理手段を設けること」は周知
の技術的事項と明らかに認められる。
 したがって、周知技術の認定に誤りがあることを理由に審決の相違点(A)につ
いての判断は誤りであるとする原告の主張は、採用することができない。
 (3) 原告は、審決における相違点(B)の判断について、刊行物1記載の発明に
基づいてスロットマシンの打止装置の解除装置を構成しようとする当業者は、刊行
物1記載の発明の自動解除を選択するか、手動解除の従来技術を選択するかの二者
択一を迫られるものであって、両者を共存させることは不可能であるから、刊行物
1記載の発明に審決のいう周知技術を適用して自動解除手段だけでなく手動解除手
段も設ける構成とすることは単なる設計事項ではない、と主張する。
  ア 刊行物1には、「打止装置27がロックされてから所定時間が経過すると
リセット信号発生回路9に指令を発することにより打止装置27のロックを解除
し、スロットマシンで遊技ができるようにする払い出しメダル集積回路とを含むス
ロットマシン。」(審決書第4頁第15~18行)、すなわち、自動解除手段を設
けたスロットマシンの発明が記載されており、このことは原告も認めるところであ
る。 また、スロットマシンにおいて、「手動操作により次のゲームができない状
態を解除する手動解除手段」を設けることは、刊行物1における従来技術の記載及
び刊行物2の前記(2)イbの記載に示されているように、周知であると認められる。
  イ そして、スロットマシンなどの遊技機において、自動手段と手動手段の両
方を設けるとともに、自動手段による操作と手動手段による操作のうちいずれか一
方を選択する選択手段を設け、上記選択手段の状態に応じて自動手段と手動手段の
いずれか一方の操作が有効となるようにすることも、本願出願前に発行された文献
の次の記載に照らせば、周知であると認められる。
   a 特開平1-236081号公報(乙1): 「また、以上の実施例で
は、遊技者が停止順序を設定できるものを示したが、本発明はこれに限らず、スト
ップスイッチの操作タイミング等に基づいて、複数種類容易されている停止順序の
中から遊技機内部で停止順序を自動的に選択して設定するようにしてもよく、さら
に、このような自動選択設定あるいは遊技者による手動選択設定を切換スイッチ等
により選択できるようにしてもよい。」(13頁右下欄~14頁左上欄)
   b 特開平1-317467号公報(乙2): 「遊技中に賭け数釦27a~
27eをいちいち押して賭け数セットをするのが面倒なときには所望の賭け数釦(27a
~27e)を押した後にオート釦18bを押せば、・・・。それ以後は遊技者がもう一度
オート釦18bを押してオート状態をリセットしない限り自動的にそのセットされた賭
け数にてゲームが進行されることとなる。この自動取込み方式の採用により、賭け
数の設定操作が簡略化され単位時間内におけるゲーム回数の増大が図られ、遊技
者のゲームに対する煩わしさが回避される。」(14頁右上欄~左下欄)、「この
実施例によれば、賭け数の取込み方式として、手動取込み方式と自動取込み方式と
がある。・・・従って、遊技者は、必要に応じてその手動取込み方式と自動取込み
方式とを使い分けすることができる。」(21頁左上欄)
   c 特開平2-41188号公報(乙3): 「自動ゲーム操作部68は、上
部に自動ゲームオン表示器72を設け、自動ゲームオン表示器72の下方に自動・手動
切換スイッチ73を設けてある。」(4頁右下欄)、「このとき、自動・手動切換ス
イッチ73で自動遊技が選択されると、選択されたコイン取込数を記憶し、自動ゲー
ムを開始する。一方、手動遊技が選択されると、始動表示器64を表示させ、始動ス
イッチ65が押されると、手動ゲームを開始する。」(7頁右下欄~左上欄)。
  ウ そうすると、自動解除手段を設けた刊行物1記載の発明において、さらに
従来周知の手動解除手段と両者の選択手段を設けて、自動解除手段の動作に加えて
手動解除手段の動作も選択的に実施できるようにすることは、当業者ならば容易に
想到し得たことというべきであり、審決が「刊行物1に記載された発明において、
上記周知技術を施して自動解除手段だけでなく手動解除手段も設ける構成とするこ
とは単なる設計的事項程度のことにすぎない。」と判断したことに誤りはない。
 原告は、刊行物1に接した当業者は、スロットマシンの打止装置の解除装置を構
成するに際して、自動で解除可能な刊行物1記載の発明を選択するか、手動で解除
可能な従来技術を選択するか、二者択一を迫られるものであって、両者を共存させ
ることは不可能であると主張するが、本願発明において、自動解除手段と手動解除
手段とは同時に動作するものではない上、自動手段と手動手段とを設け、選択手段
を設けて自動手段と手動手段のいずれか一方の操作が有効となるようにすることは
周知なのであるから、刊行物1に記載された発明において自動解除手段に加えて手
動解除手段を設けることに何らの阻害要因も見いだすことはできない。
 (4) 以上いずれの点についても審決における相違点の判断に誤りがあるとする原
告の主張は、採用することができない。
 取消事由4は理由がない。
5 結論
 以上のとおり、原告主張の取消事由はいずれも理由がない。よって、原告の請求
は棄却されるべきである。
  東京高等裁判所第18民事部
       裁判長裁判官  塚  原  朋  一
裁判官  古  城  春  実
          裁判官  田  中  昌  利

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