弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人桝本輝義、同戸田謙の上告趣意第一点について。
 所論は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に
当らない。
 同第二点について。
 第一審判決は起訴状記載の公訴事実どおり、被告人両名は共謀して判示のごとき
法定外文書(無検印選挙運動用ポスター)を頒布したという事実を認定し、原判決
はこれを支持して、該ポスターは被告人Aが当時参会していた者に配布する意図の
下に該議場に持ち込み、被告人両名の意思に基いてその指示に従い他の者が直接配
布の衝に当つたことが認められるので、具体的に配布した者はいわば被告人らの手
足の延長に過ぎず、右の事実関係においては被告人らが配布したと認定してなんら
差し支えない旨判示したのは正当であつて、所論のような訴訟法違反は存在しない。
引用の判例は事案を異にし本件に適切でない。
 同第三点について。
 公職選挙法一四二条の選挙運動のためにする文書図画の頒布とは、右文書図画を
不特定又は多数人に対して配布することを要するのは固よりであるが、その現に配
布を受けた者が特定の少数人に過ぎない場合でも、そのものを通じて当然もしくは
成行上不特定又は多数人に配布されるべき情況の下に右文書図画を配布したときは、
右文書図画の頒布罪はそこに成立するものと解するを相当とする(大審院大正一五
年(れ)第一七号同年三月五日判決、刑集五巻七八頁参照)。論旨が引用する福岡
高等裁判所昭和二六年六月一九日判決は、同上にいう頒布とは文書図画を不特定又
は特定の多数人に配布することで、単に一特定人に対し配付しても同条の頒布に該
当しない旨を判示するとともに、一人に対する配付が不特定又は特定の多数人に対
する配付行為中の一に該当するときは、なお同条の頒布に当る趣旨をも示すもので
あるところ、原判決は、被告人らが共謀して選挙人五名に対し無検印の選挙運動用
ポスター一〇八枚を頒布したという第一審判決を支持する理由として、右五名に対
する配布は更に同人等をして他の組合員多数にも配布させる目的があつたことが認
められるとした上、公職選挙法一四二条所定に反する文書図画を特定少数の者に配
布した場合でも不特定多数人に配布させる目的があつた以上、同法二四三条三号の
頒布罪が成立するというのであるから、右引用の判例と相反する判断をしたものと
は認められない。それゆえ、公職選挙法一四二条の解釈を誤り判例に違反するとの
論旨は理由がない。しかも、本件被告人は前示のごとく、選挙人五名に対し無検印
の選挙運動用ポスター一〇八枚を配布したというのであるから、これにつき頒布を
認めた原判決は、結局正当であつて刑訴四一一条一号を適用すべきものとは認めら
れない。
 同第四点について。
 所論は違憲をいうけれどもその実質は単なる法令違反の主張に帰し、刑訴四〇五
条の上告理由に当らない。(公職選挙法一四二条により頒布を禁ぜられている文書
図画とは同条所定の通常葉書以外の選挙運動のために使用するすべての文書図画を
指称するものであり、同法一四三条一項五号に規定するポスターのごときも、検印
を受けた場合を除いては、これを頒布することは許されない趣旨と解すべきである。
 従つて本件のように無検印のポスターについては、たとえ掲示のためであつても
頒布の行為が存するかぎり同法一四二条に違反し同二四三条三号の罰条にふれるも
のと解すべきである。)
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三六年三月三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    河村大助は病気につき記名押印すること
ができない
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎

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