弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人岡田実五郎、同佐々木熈の上告理由第一点(同第三点中これと重複す
る部分を含む。)について。
 占有回収の訴は、物の占有者が他人の私力によつて占有を奪われた場合に、その
奪つた者からその物の返還を請求することを認めた制度であるから、権限のある国
家の執行機関によりその執行行為として物の占有を強制的に解かれたような場合に
は、右執行行為が著しく違法性を帯びてもはや社会的に公認された執行と認めるに
堪えない場合、換言すれば、外観上も前記私人の私力の行使と同視しうるような場
合を除いては、執行法上の救済を求めまたは実体上の権利に基づく請求をなしうる
ことは格別、占有回収の訴によつてその物の返還を請求することは許されないもの
と解するを相当とする。
 原判決が確定した事実によれば、被上告会社は、本件室に対する上告人との間の
賃貸借契約が、本件和解条項に定める三箇月分の賃料不払を理由として有効に解除
されたものとして、本件和解調書に執行文の付与を受け、さらに執行吏に委任して
上告人に対する本件室明渡の強制執行をなしてこれを明け渡させたものであるが、
真実は前記上告人の賃料不払の事実はなかつたというのであるから、本件室の明渡
の強制執行が前記例外的に占有回収の訴を許しうべき場合に該当しないこと明らか
であり、上告人の本訴占有回収の請求を排斥した原審の判断は正当である。論旨は、
これと異る独自の見解に立脚するものであり、したがつて、違憲の主張もその実質
は占有回収の訴の適否に関する原審の判断の単なる法令違反を主張するに帰するも
のというべきである。論旨は、採用するを得ない。
 同第二点について。
 被上告人Bに対する上告人の賃借権に基づく本件室の明渡請求を排斥した所論原
審の判断説示は、正当として是認すべきである。論旨は、いずれも、独自の法律的
見解に立脚するものであつて、採用するを得ない。
 同第三点(同第一点と重複する部分を除く。)について。
 原判決は、被上告人Bにおいては被上告会社が上告人に対する強制執行によつて
本件室の占有を取得した後被上告会社からこれを賃借してその引渡を受けたもので
あることが明らかであるから、被上告人Bをもつて上告人に対する直接の占有侵奪
者ということはできないし、また被上告会社の占有の取得が強制執行の方法による
ものであるから、上告人は被上告会社に対し占有回収の方法によつて本件室の明渡
を求めえない以上、右被上告会社からさらに本件室の占有の移転を受けた被上告人
Bに対し、占有回收の方法によつてその明渡を求めえないことはもとよりいうをま
たない旨説示しているのであつて(この判断は首肯しうる。)、所論のように、被
上告人Bが占有侵奪者の特定承継人であるの故をもつて上告人よりの占有回収の請
求ができない旨説示しているのではないことは、原判文に徴し明らかである。論旨
は、原判決を正解せず、独自の解釈を前提としてこれを論難するにすぎず、採用す
るを得ない。
 同第四点について。
 所論の点についての原審の判断は、原判決挙示の証拠関係ならびに一件記録に徴
し肯認できる。論旨は、原判示にそわない事実を主張して原判決を非難するもので
あつて、採用しえない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛