弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役壱年四月及び罰金弍万円に処する。
     右罰金を完納することができないときは金弐百円を壱日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
     押収にかかるピース煙草空箱入粉末薬品(昭和二九年押第九九三号の
五)はこれを没収する。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人松本栄一提出の控訴趣意書に記載されたとおりであるか
らここにこれを引用し、これに対し次のように判断する。
 (論旨に対する判断省略)
 しかしながら職権により原審の法令の適用につき調査するに、原判決は昭和二十
九午六月十二日法律第百七十七号(同日施行)による覚せい剤取締法の改正後の行
為にかかる原判示第三乃至第五の所為をいずれも被告人が常習としてこれをなした
ものと認め、判示第三の譲受行為を同法により改正された覚せい剤取締法第四十一
条第一項第四号第四項後段、判示第四、第五の製造行為を各同法により改正された
覚せい剤取締法第四十一条第一項第三号第四項後段にあたるものとして、各別に犯
罪の成立を認めた上、判示第一、第二の行為(各同法による改正前の覚せい剤取締
法第四十一条第一項第四号に該当)と共に刑法第四十五条前段の併合罪の関係にあ
るものとしているが、判示第四、第五の行為はいずれも常習としてなされたもので
あるから、これについて刑法第四十五条の併合罪の規定を適用すべきでないことは
勿論であり、(大審院大正一一年(れ)第二一一五<要旨第一>号大正一二年四月六
日第一刑事部判決参照)また本件のように常習として覚せい剤を譲受ける等の行為
が特に常習犯として通常の譲受行為と区別して処罰されることとなつた
以上、右改正法施行前になした譲受行為もそれが常習としてなされたものと認めら
れる限りは、右改正法施行後の譲受等の行為と包括して一罪として処断すべきもの
と解するのが相当である。(連続犯の適条に関する大審院大正一一年(れ)第一九
七七号大正一二年<要旨第二>一月二六日第一刑事部判決参照)更に右同法による改
正後の覚せい剤取締法第四十一条第四項にいわゆる「常習として第一項
の違反行為をした者」とは、同条第一項各号所定の一又は数個の行為をする習癖を
有する者かその習癖即ち常習性の発現として同条第一項各号所定の罪の一又は数種
を犯したときもその全部を包括して同条第四項に該当する一罪として処断すべき法
意と解せらりれるから(大審院昭和二年(れ)第六五一号同年七月一一日第二刑事
部判決参照)ひつきよう本件はその全部を包括一罪として処断すべきものと云うべ
く、原審が判示のように第一乃至第五の事実につき各別に併合罪として法令を適用
したのは、法令の通用を誤つたものであつて、右違法は判決に影響を及ぼすことが
明らかであるから原判決はこの点において破棄を免れない。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第四百条但書により原判決を破棄し当裁判所に
おいて更に判決をすることとする。
 案ずるに
 被告人は法定の除外事由がないのに、営利の目的を以て且つ常習として
 (イ) 昭和二十九年五月上旬頃から同年六月下旬頃までの間三回にわたり千葉
県船橋市甲乙番地AことA方又は同市丙丁丁目戊番地被告人自宅において、右Aよ
り、又は同人の妻Bを介し現金引換又は現金後払の約で覚せい剤であるフエニルメ
チルアミノプロパン合計約百七グラムを代金合計一万二千四十円位で譲り受け
 (ロ) 昭和二十九年六月二十九日頃及び同月三十日頃の二回に亘り前記被告人
自宅においていずれも約五百cc入壜に蒸溜水を入れて熱した上これにフエニルメ
チルアミノプロパン約一、五グラム食塩、アンナカ、カフエンを入れて攪拌溶解し
フエニルメチルアミノプロパンを含有する覚せい剤注射液約四百ccを製造し
 たものである。
 (証拠説明省略)
 本件起訴状の記載によれば叙上の各譲受及び製造の行為はそれぞれ常習営利譲受
及び常習営利製造の罪にあたり併合罪の関係にあるものとして起訴されたものと認
められるのであるが、これを叙上のように包括一罪と認定するについては特に訴因
の変更手続を要しないものと解する。
 法律に照らすと、被告人の所為は包括して覚せい剤取締法(昭和二九年六月一二
日法律第一七七号による改正後のもの)第四十一条第四項後段に該当すると認める
ので、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年四月及び罰金二万円に処し、
刑法第十八条により右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算
した期間被告人を労役場に留置すべく、主文末項掲記の粉末薬品(覚せい剤)は被
告人の所有にかかるものであるから覚せい剤取締法(前記改正後のもの)第四十一
条の三によりこれを没収することとする。
 以上の理由により主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 谷中董 判事 坂間孝司 判事 荒川省三)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛