弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人鍛冶艮道の上告趣意は、後記のとおりである。
 上告趣意第一点について。
 刑法第二五三条は人の地位、身分によつて差別を設けたのではない、如何なる身
分、地位にある人でも、自己の業務に関して横領をした時はそれ以外の横領より重
く罰せられるのである。又業務の種類によつて差別を設けて居るわけでもない。如
何なる業務でも同じなのである。即ち「業務に関する」という行為の属性について
の区別であつて、人についての区別ではない。何等の業務をも持たない人は、右法
条の罪を犯す機会がないわけだけれども、それは偶々その機会を持たないというだ
けのことであつて、その為第二五三条が業務を持つ者と持たないものとの間に差別
を設け後者を前者より優遇する趣旨でないことはいう迄もない。同条は只前記行為
の属性を目標として加重要件を定めただけであつて、人によつて差別を設けたもの
ではない。即ち差別の目標は行為の属性にあるので、人の地位、身分にあるのでは
ない。例えば刑務所に拘禁されて居る者は、事実上殆んど刑法所定の各種の罪を犯
す機会を持たないけれども、その為め刑法が拘禁中の者と然らざる者との間に差別
を設け被拘禁者を優遇したものとは何人も考えないであろう。総ての刑罰法条は只
行為を標準として処罰要件を定めたものであつて、国民中に事実上所定の罪を犯す
機会を持ち得ない者が有るからといつて、そのため法が右の如き者と然らざる者と
の間に差別を設けたものといえないことはいう迄もあるまい。これと同様に刑法の
中には行為の属性によつて刑の加重要件を定めた条文は多々ある例えば第一八六条、
第二一一条等の如きである。第二〇五条もその一つに過ぎないのである(なお昭和
二五年(あ)第二九二号同二五年一〇月一一日大法廷判決参照)。所論の違憲論は、
同条は人による差別を設けたものであるとの誤解に出でたもので、違憲論としては
前提を欠くものである。そして、反社会性が顕著で、犯情が重いとされる場合にそ
の刑を加重しても憲法一四条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決の
趣旨に徴し明らかである(昭和二五年(れ)第一二一九号同二六牟八月一日大法廷
判決参照)。
 同第二点について。
 論旨は、量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第三点及び第四点について。
 論旨は、いずれも原審において主張されず従つて原審の判断を経ていない判例違
反の主張であるから上告の理由とならない、のみならず所論は第一審判決の認定し
ない事実を根拠とする立論であつて採用できない。なお、本件には刑訴四一一条を
適川すべき事由も認められない。
 よつて、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員の一致した意見で主文のとおり判決す
る。
  昭和二九年九月二一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛