弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を罰金6万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1
日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(犯罪事実)
被告人は,平成17年4月18日午前11時28分ころ,公安委員会が道
路標識により,その最高速度を40キロメートル毎時と指定した神戸市A区
B通a丁目b番c号付近道路において,その最高速度を33キロメートル超
える73キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行した。
(証拠(括弧内の甲乙の表示及び番号は,証拠等関係カードの甲乙の符号)
及び番号を示す。他の欄においても同じ)。
省略
(補足説明)
1弁護人は,被告人は判示の日時・場所において普通乗用自動車を運転し
て進行していたものの,その際の速度が時速73キロメートルであるとは
認められないと主張し,被告人も弁護人の主張に沿う供述をしている。し
かしながら,当裁判所は,判示のとおり認定したので,以下その理由につ
いて補足して説明することとする。
2関係各証拠によれば,以下の事実が明らかである。
(1)兵庫県C警察署の警察官Dらは,平成17年4月18日午前11時
19分ころから午後0時56分ころまでの間,判示の道路(以下「本件
現場付近道路」という)において,本件現場付近道路の南側の車道に。
接する歩道の縁石上に取り付けた三脚上に設置したE株式会社製の○○
ー○○○○/○○形レーダスピードメータ(以下「本件速度測定装置」
という)を投射角25度に設定して使用して,東方から西方に向け走。
行してくる車両について,速度違反の取締りを行った(以下,この取締
りを「本件取締り」ということがある。。)
(2)本件当時,本件現場付近道路は,片側2車線の直線道路となってお
り,最高速度40キロの速度規制がされていた(なお,進行方向に向か
って左側からそれぞれ「第1車線「第2車線」という。また,本件」,。)
速度測定装置の設置地点から東方約100メートルには,信号機による
交通整理が行われている交差点(以下「本件交差点」という)があっ。
た。
なお,本件速度測定装置は,いわゆるドップラー効果を利用して,送
信した電波ビーム内を走行する車両に反射した電波を受信し,その周波
数の変化から車両の速度を測定する装置であるが,本件当時,同装置は
正常に作動していた。
(3)被告人は,判示の日時に,普通乗用自動車(以下「被告人運転車
両」という)を運転して,本件現場付近道路を東方から西方に向けて。
走行していたが,Dが本件速度測定装置により被告人運転車両に向けて
電波ビームを送信してその速度を測定したところ,時速73キロという
測定結果(以下「本件測定結果」という)が出た。。
(4)本件取締りにおいて停止係として従事した警察官Fは,速度違反車
両の存在を知らせる警報音を聞き,まず第2車線上を走行していた車両
を停止させた後に,被告人運転車両を停止させ,記録装置操作係の警察
官に対しどちらの車両が違反車両なのか確認した。
3検討
(1)弁護人は,本件測定結果につき,被告人運転車両の速度をDが測定
した際に,第2車線上の2重又は3重のドップラー効果が発生しうる位
置にFが停止させた車両又はその他の車両が走行していたため,被告人
運転車両について実際の速度と異なる速度が測定された可能性を指摘す
る。
,(2)そこで,被告人運転車両の速度を測定した際の状況についてみると
Dは「被告人運転車両の速度を測定した際には第2車線も含めてその,
前後50メートルに他の車両はなかったので,記録装置操作係に『1車,
白色,普通乗用,335,単独』と通報した『単独』とは,測定時に。
前後に他の車両がないという意味である」旨証言している。。
関係各証拠によれば,①Dは,本件取締り時までに6年ほど現認測
定係として従事した経験があること,②Dの測定位置から本件現場付
近道路の道路状況が明確に視認できること,③本件速度測定装置の操
作説明書には,投射角25度の場合には電波を発射し50メートル以
内に他車がいないことを確認する旨記載されており,Dもその記載に
従った測定をした旨明言していること,④被告人運転車両の速度を測
定したのは本件取締り開始から約10分後である上に,それまでに既
に2件の速度違反を検挙していたことに徴すると,誤測定のおそれの
ある車両を後日の紛糾の可能性を押してまであえて検挙しなければな
らない必要性があったとは解されないこと,⑤「速度取締用通報記録
紙」の走行状況欄には「単独」という記載や,速度測定カードのうち
記録装置操作係の警察官が作成した部分には「①白フジ335
単独」との記載があり,それらの記載はその筆跡などに照らしてD
の証言を裏付けていることが認められ,これらを考え併せると,上記
D証言には高度の信用性を認めることができる。
(3)これに対し,被告人は「本件現場道路付近の第2車線上は,車両が,
渋滞していた」旨公判廷において供述する。しかしながら,被告人の。
公判供述は上記のとおり信用できるD証言に反するばかりか,被告人が
供述するように第2車線が渋滞しているような状況にあったのであれば,
上記認定のとおりFが速度違反を犯した可能性のある車両であるかもし
れないとして第2車線を走行している車両を停止させるという行動に出
るとは考え難いから,上記の被告人の公判供述は信用性に乏しいという
べきである。
また,被告人は「本件交差点の手前で警察官が何らかの取締りをし,
ているのに気付いたので,制限速度を超過して進行したことはない」旨
公判廷において供述している。しかしながら,①既に指摘したとおり第
2車線が渋滞していたという被告人の公判供述の重要部分が信用できな
いことに加え,②速度制限違反の事実を認める旨記載された交通事件原
票の供述書欄に被告人が署名指印していること,③被告人の母親も被告
人運転車両が速度を出していなかった旨証言しているが,その証言は特
段の根拠を示すことのない感覚的なものにすぎない上に,被告人との関
係も考慮すると,その証言に被告人の供述を裏付けるだけの証拠価値が
あるとは解されないことに照らして,この点に関する被告人の公判供述
も信用することはできない。
なお,被告人は,交通事件原票の供述書欄に署名指印したことにつ
き「当初から速度超過はしていないと主張していたが,事実と異なっ,
ていても署名等をしなければならないと警察官に言われたため,交通
,事件原票に署名指印した」旨公判廷において供述する。しかしながら
①交通事件原票の作成に従事した警察官Gは,被告人が供述するよう
なことは述べていない旨明確に証言しているところ,本件測定結果が
出ていたのであるから,警察官においてあえて被告人をだましてまで
署名指印させる必要性があったとは考え難いこと,②被告人は過去に
交通事件原票に署名指印した経験があるのであるから,被告人が供述
するところのGの説明をそのまま信じたというのも直ちには納得し難
いことに鑑みると,被告人の供述は信用できない。
(4)以上のとおり信用できるD証言によれば,弁護人が主張する2重,
3重のドップラー効果を発生させるような車両は本件測定時に存在しな
かったと認められ,その他に本件測定結果の正確性に疑いを生じさせる
ような事情の存在は証拠上窺えないから,判示の日時・場所において,
被告人が時速73キロで普通乗用自動車を運転していたと認めることが
できる。そして,被告人は検察官に対し本件道路の制限速度は時速40
キロメートルくらいであると思っていた旨供述しており,その制限速度
を超過していたことは自己の運転操作を通じて五官の作用により感得し
ていたと十分推認できるから,判示のとおりの制限速度違反の事実を認
定することができる。
(法令の適用)
省略
平成18年7月20日
神戸地方裁判所第1刑事部
裁判官西野吾一

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