弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人川原悟、同川原眞也の上告理由について
 建築基準法によれば、建築主は、同法六条一項の建築物の建築等の工事をしよう
とする場合においては、右工事に着手する前に、その計画が当該建築物の敷地、構
造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築
関係規定」という。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出し
て建築主事の確認を受けなければならず(六条一項。以下この確認を「建築確認」
という。)、建築確認を受けない右建築物の建築等の工事は、することができない
ものとされ(六条五項)、また、建築主は、右工事を完了した場合においては、そ
の旨を建築主事に届け出なければならず(七条一項)、建築主事が右届出を受理し
た場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の
吏員は、届出に係る建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを
検査し(七条二項)、適合していることを認めたときは、建築主に対し検査済証を
交付しなければならないものとされている(七条三項)。そして、特定行政庁は、
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に違反した建築物又は建築物
の敷地については、建築主等に対し、当該建築物の除却その他これらの規定に対す
る違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる(九条一項。
以下この命令を「違反是正命令」という。)、とされている。これらの一連の規定
に照らせば、建築確認は、建築基準法六条一項の建築物の建築等の工事が着手され
る前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを公権的に判断する
行為であつて、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果が
付与されており、建築関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目
的としたものということができる。しかしながら、右工事が完了した後における建
築主事等の検査は、当該建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどう
かを基準とし、同じく特定行政庁の違反是正命令は、当該建築物及びその敷地が建
築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準と
し、いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるか
どうかを基準とするものでない上、違反是正命令を発するかどうかは、特定行政庁
の裁量にゆだねられているから、建築確認の存在は、検査済証の交付を拒否し又は
違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ建築
確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、検査済証の交付を拒否し又
は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。したがつて、建築確
認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与され
ているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、
建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。
 これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、本件各建築
確認に係る各建築物は、その工事が既に完了しているというのであるから、上告人
において本件各建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われたものといわなけれ
ばならない。したがつて、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することが
でき、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立つて原判決を論難する
か、又は判決の結論に影響しない点について原判決を非難するものであつて、いず
れも採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   橋       進
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    牧       圭   次
            裁判官    島   谷   六   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛