弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人林徹名義の上告理由第一点ないし第三点について。
 本件における上告人らの原審における事実主張は、訴外Dが本件土地の賃借権を
他に譲渡することにつき、賃貸人である被上告人の承諾をえず、ただ被上告人がこ
れに対し異議ある旨の申出をしなかつたというに止まるから、右Dの賃借権の譲受
人と称する上告人らは、これをもつて被上告人に対抗するに由がないものといわな
ければならない。されば、被上告人の右Dに対する本件土地賃貸借契約解除に関す
る原判決ならびにその引用する第一審判決判示(この点につき原判決は第一審判決
を引用していること判文上明らかである。)の違法を云々する所論は、被上告人の
上告人らに対する本件土地明渡請求につき判決に影響を及ぼすべき違法を主張する
ものに当らないから、採用に由がない。また、本件の場合、民法三八八条の趣旨に
より、本件地上の建物の所有権を取得した上告人らに法定地上権が生ずる旨の上告
人らの主張は独自の見解であつて理由がない。論旨はすべて採用できない。
 同第四点について。
 所論の点に関する原判決の事実判断は、挙示の証拠に照し肯認できるから、原判
決に所論経験則違反の違法がない。所論は原審の専権に属する証拠の取捨、事実認
定を非難するものにすぎないから、採用できない。
 同第五点について。
 原判決確定の事実関係の下においては、被上告人の本訴請求をもつて権利濫用に
当らない旨の原審の判断は、当裁判所も正当としてこれを是認する。原判決に所論
の違法がなく、論旨は採用できない。
 同第六点(一)について。
 原判決は、被上告人が本件建物収去土地明渡請求権を有する旨判示しているので
あるから、これがないことを前提とする所論は、採用に由がないこというまでもな
い。
 同第六点(二)について。被上告人の本件損害賠償請求は、上告人らが本件土地
を被上告人に明け渡すことを遅滯したことにより、昭和二八年一二月一日以降これ
を新に第三者に建物所有の目的で更地として賃貸統することにより得べかりし利益
の喪失をいうものであるが、この場合、被上告人が第三者にこれを賃貸するにつき
地代家賃統制令による停止統制額によらないことができるものと解すべきであるか
ら、原判決に所論法令の解釈を誤つた違法がない。論旨は採用できない。
 同第六点(三)について。
 被上告人は、上告人らより地上建物を収去して本件土地の明渡をえられるならば、
これを更地として一括して利用しうるのであるから、所論の証拠により上告人らの
本件土地の不法占有による損害額として判示の金額を計上したことに違法はない。
なお、原判決中上告人らの本件土地中の占有範囲、占有期間の確定を争う所論は、
原審の専権に属する事項の非難にすぎないから上告適法の理由とならない。論旨は
すべて採用できない。
 同第六点(四)について。
 本件土地上に建物を共有することによりこれを不法占有する者は、その建物に居
住すると否とを問わず、土地所有者に対し、各自その蒙らしめた損害金全額を賠償
する義務があるから、この点につき原判決の違法をいう所論は理由がない。その他
原判決を精査するも所論の違法が認められず、論旨はすべて採用できない。
 同第六点(五)について。
 本件記録によるも、原判決に所論の違法がない(記録七四〇丁参照)。論旨は採
用できない。
 同第六点(六)について。
 第一審において全部勝訴をした原告も、控訴審において、附帯控訴の方式により
請求の拡張をなしうること当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和三元年
(オ)第九一〇号同三二年一二月一三日第二小法廷判決判例集一一巻二一四三頁参
照)。論旨は採用できない。
 同第六点(七)について。
 原判決は、所論指摘の各上告人の本件土地の占有内容を適法に確定しているから、
原判決に所論の理由不備の違法はない。論旨は採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛