弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決中有罪部分を破棄する。
     本件を福岡高等裁判所宮崎支部に差し戻す。
         理    由
 弁護人佐々木曼の上告趣意は、単なる法令違反と事実誤認の主張であつて、刑訴
法四〇五条の上告理由に当らない。
 しかしながら、職権を以て調査するに、本件は、昭和三一年三月三一日起訴にか
かる本件公訴事実の全部に対し第一審が有罪と認めたのに対し、原審は右起訴状別
表(二)5の事実につき罪とならず、同12の事実につき犯罪の証明なしとして夫
々無罪の宣告をなしたが、その余の計六二個の訴因については第一審の判断を是認
した事案である。
 ところで、原判決が是認した第一審判決は、罪となるべき事実を認定した証拠と
して、(1)被告人振出しの約束手形四〇通(証第一ないし第三号)(2)AのB
に対する手形割引状況一覧表(3)同じく預金取引状況調書(4)第四回公判調書
中の証人C(Aの宮崎出張所長)、証人D(同出張所会計事務補佐)証人E(相被
告人Iの兄)の各供述記載(5)F(B勤務)に対する証人尋問調書(6)G及び
H(いずれもAの取引先)の各司法巡査に対する供述調書(7)Aの伝票綴(証第
一〇ないし第二〇号)(8)証人I(相被告人)の証言(9)被告人Iの司法警察
職員に対する供述調書(一一通)(10)同人の検察官に対する供述調書(五通)
(11)第一審公判廷における被告人等の各供述を掲げている。
 そこで仔細に右証拠を検討するに、右一一種類の証拠の中、最も重要な証拠は(
9)であり、(9)を手引きにして(2)、(3)、(7)の書証物証の意味を了
解し、更に(10)を以てこれを補充しその余の証拠を参照するのでなければ、被
告人とIとの取引にまつわる事件の真相を理解することは容易でなく、また、(9)
(10)を除外して考察すれば、本件犯罪事実はその証明が十分であるとはいえな
いものと認められる(被告人は捜査当時から一貫して無罪を主張し、その理由とす
るところは一応整然としており、多くの立証をしている。この事情のもとで、(9)
(10)の証拠を除外しても、第一審判示事実にそうIの供述証拠、すなわち(8)
及び(11)が存在しないわけではないけれども、その内容たるや、主として被告
人とIとの間に共謀があつた点に関して極めて概括的に供述しているにすぎず、六
〇個に余る本件取引の個々の詳細については、ほとんど触れるところがないから、
これを被告人の反証と対比すれば、これを採用するに躊躇せざるを得ないのである)。
 ところが、第一審判決は(9)(10)の証拠を相被告人Iの関係に限定して引
用しており、被告人の関係ではそもそも証拠として採用していないのであるから、
第一審判決には、審理不尽に基づく理由のくいちがいないしは事実認定に関する証
拠法則違背があるものというのほかなく、従つてまた第一審判決挙示の証拠により
その認定事実を是認した原判決にも同様の違法があるとしなければならない。そし
て一件記録を精査するに、この違法は判決に影響することが明らかであり、これを
破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。
 よつて、刑訴法四一一条、四一三条本文に従い、原判決(無罪部分を除く)を破
棄し、本件を原裁判所に差し戻すべきものとし、裁判官全員一致の意見で主文のと
おり判決する。
 検察官 岡嵜格公判出席
  昭和四〇年三月一六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎

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