弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人飯島豊同寺坂銀之助同武井正雄の上告趣意は末尾に添附した別紙書面の通
りである。
 弁護人飯島豊の上告趣意第一点について。
 しかし原判決挙示の証拠によれば原判決の判示した事実を認め得るものである。
そして証拠調の限度は原審において自由に決し得るところであるから、所論証人申
請を却下したからとてこれを以て審理不尽の違法があるとはいい得ない。論旨は理
由がない。
 同第二点について。
 論旨は被告人が攻撃の態勢をとつたものとすれば、片刃の兇器を右手に持ち、こ
れをふり上げて相手方の上半身の上位(前胸部の上部)に突き刺して下部に切おろ
すを通例とするにかかわらず、原判決挙示の鑑定人Aの鑑定書によれば、刃の方を
下に向けて穿入したとあるから攻撃ではなくて防禦防衛の為めの行為であると主張
する。しかし兇行に使用した兇器の刃の向き方とか、突き刺した部位とかによつて、
攻撃の為めの行為か、防衛の為めの行為かを区別し得る経験則は無い。従つて右鑑
定書によつて被告人の行為は防衛行為であると断定しなければならない理由はない。
論旨は独自の見解に基き原審の事実誤認を非難することに帰着するから上告適法の
理由とならない。
 弁護人寺坂銀之助同武井正雄の上告趣意第一点について。
 記録を調べて見るに本犯行の行はれたのは昭和二三年三月六日午後九時半頃であ
り、翌七日午前三時四〇分頃犯行現場から、あまり遠くない被告人の居宅において
被告人の就寝中逮捕されたものであつて、犯行の時から発覚まで僅か六時間と一〇
分ほど経過したにすぎない、被告人は就寝中であつた為め、顕著な犯罪の痕跡のあ
る被服の一部は被告人の身につけて居なかつたが、被告人の寝室中に在つたのであ
るから、所謂準現行犯として逮捕したものであることを推認し得る。しかし所論の
如く厳密に言えば、本件逮捕は旧刑訴法第一三〇条第二項に当らないと見るのが妥
当であるから、本件の逮捕は違法であるといわなければならない。しかし勾留状を
発した手続其ものについては、何等違法と認むべきところはないから、勾留状その
ものを違法であるとはいゝ得ない。論旨は違法な逮捕に基いて発せられた勾留状で
あるから、勾留状もまた不当違法であると主張するが、独自の見解にすぎない。す
でに勾留状が適法である以上、勾留中になされた訴訟行為を違法であると主張する
論旨は採用しがたいばかりでなく、逮捕手続の違法は原判決に影響を及ぼさないこ
と明白であるから、本件逮捕手続の違法は破棄の理由とはならないものである。(
昭和二三年(れ)第七七四号同年一二月一日大法廷判決参照)なお論旨は、勾留状
請求書には被疑事実として司法警察官逮捕調書記載の犯罪事実を記載しているが、
本件記録中には右調書は存在しないから、勾留請求は無効であると主張する。しか
し逮捕に関する司法警察官の書類としては逮捕手続書が記録中に編綴され、其手続
書には所論の記載があるから、所論逮捕調書は逮捕手続書の誤記であること明白で
ある。従つて此点についての論旨も理由がない。
 第二点について。
 しかし原判決は被告人の行為は、被害者と喧嘩闘争中に行われたという理由だけ
で正当防衛ではないと判断したものではない。そして被告人の行為は所論の所謂「
もみ合い」中に行われたものとしても、原判決挙示の証拠にてらし被告人の行為を
正当防衛行為であるとは認められないから、原判決において正当防衛と認めなかつ
たことは当然であつて、何等法則違背はない。論旨前段は結局原審の事実誤認を非
難することに帰着するから上告適法の理由とならない。なお論旨後段において被告
人に犯意のなかつたことを主張するが、原判決挙示の証拠により、犯意の存在を認
め得るものである。論旨は原審の事実認定を攻撃し、原審の事実認定と異る独自の
見解に基いて、原判決の擬律錯誤を主張するものであるから理由がない。
 よつて旧刑訴法第四四六条により、主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二四年七月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛