弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人諫山博の上告理由第一点(一)(二)について。
 原判決が新民法(昭和二二年法律二二二号)附則二五条一、二項の解釈について
判示の如く判断した上、本件Dの家督相続人たるEの代襲相続人(遺産相続人)を
新民法附則二五条二項、新民法八八九条、同八八八条によつてEの亡兄Fの二女G、
同長男H、同長女亡Iの二女Jおよび長男Kの四名とEの亡姉Lの長男Mおよび二
男Nの二名合計六名と認定したこと並びに右Hの昭和二〇年七月五日の死亡により、
その長男Oが旧民法によつてその家督を相続し、またNの同年八月一五日以後の死
亡によつてその唯一の子である長男Pが旧民法または新民法によつてその家督また
は遺産を相続した旨判示したことは正当としてこれを肯認し得る。
 所論は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、原判
決に所論の違法は存せず、論旨はすべて採るを得ない。
 同第二点について。
 所論はPが本件土地を上告人らに賃貸することは、共有物の管理行為ではなく、
共有物の処分行為に該当するから、民法二五二条による持分の過半数だけではこれ
をなすことを得ず、同法二五一条の他の共有者全員の同意がなければならないにも
かかわらず、原判決は持分の過半数か否かのみを判断して、他の共有者の同意の点
について何ら審理判断していないと主張するけれども、上告人らは原審において右
同意の有無については、主張しなかつただけでなく、原判決は、右Pの本件土地に
対する持分が過半数に満たないことを認定した上「たとえPが単独で右宅地を控訴
人ら(上告人ら)に賃貸したとしても……」と判示して控訴人らの賃借権が被控訴
人(被上告人)その他の共有者に対抗することができず、控訴人らの賃借権の抗弁
が採用し得ない判示の前提として右Pの本件土地の賃貸が他の共有者の同意がなく
単独で行われた旨を判示しているものと解せられるから、原判決に所論の違法は存
せず、論旨は採るを得ない。
 同第三点について。
 原判決が控訴人らの賃借権はそれ自体被控訴人らに対抗することができないこと
を判示した上、所論摘示の如く判示したことは、これを肯認し得るところである。
所論引用の判例はすべて本件に適切なものではない。原判決に所論の違法は存せず、
論旨は採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介

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