弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中有罪部分を破棄する。
     被告人を懲役四月及び罰金三千円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期
間、被告人を労役場に留置する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
     本件公訴事実中、被告人が精米を統制額を超える代金で販売する目的の
下に所持していたとの事実(第一審判決摘示第六の事実)について、被告人を免訴
する。
         理    由
 弁護人福田覚太郎の上告趣意第一点について。
 所論中、憲法一三条違反を主張する部分は、その実質において、単に、営利目的
の点に関する事実認定の経験則違背又は事実誤認の主張に帰し、適法な上告理由に
あたらない。また、判例違反の主張については、所論援用の大審院判例は、「共犯
者ノ一人が営利ヲ目的トセズ又ハ自己ノ業務ニ関セズトスルモ共犯者ノ他ノ者が営
利ノ目的ヲ有シ又ハ其ノ業務ニ関スルトキハ共ニ価格等統制令違反ノ責ヲ免レザル
モノ」であることを判示するにとどまり、もとより本件の事案に適切ではなく、原
判決はすこしも右判例と相反する判断をしているわけではないから、所論判例違反
の主張は理由がない。
 同第二点、第三点について。
 所論はいずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
 しかし、本件公訴事実中、被告人が精米を統制額を超える代金で販売する目的の
下に所持していたとの事実(第一審判決摘示第六の事実)については、昭和二七年
政令第一一七号大赦令一条八七号による大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四
一三条但書、三三七条三号により、原判決中有罪部分を破棄し、右事実については
免訴の言渡をしなければならない。
 よつて、原判決の引用する第一審判決摘示第一乃至第五の各事実につき、食糧管
理法九条三一条、同法施行令八条、同法施行規則二三条(いずれも犯罪時のもの)、
物価統制令三条三三条、昭和二三年七月一一日物価庁告示第四六三号(第一の事実
につき)、昭和二三年一一月一日同庁告示第一一〇二号(第二の事実につき〉、昭
和二四年四月一四日同庁告示第二二六号(第三の事実につき)、昭和二三年一一月
一日同庁告示第一一〇〇号(第四の事実につき)、昭和二四年四月一四日同庁告示
第二二五号(第五の事実につき)、刑法五四条一項前段、一〇条を適用し、いずれ
も物価統制令三三条の刑に従い、なお同令三六条を適用し、さらに刑法四五条前段、
四七条、一〇条、四八条二項によつて、第五の昭和二四年五月中旬Aに精米一斗七
升を売り渡した罪の懲役刑につき併合罪の加重をした刑期範囲内及び罰金合算額の
範囲内で主文のとおり刑を定め、なお刑法一八条、刑訴一八一条を適用し、裁判官
全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 安平政吉出席。
  昭和二八年三月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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