弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用を控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は「原判決を取消す。控訴人が東京都台東区a町b番地のc宅地三十
一坪八合六勺について普通建物所有の目的で、昭和六年三月十五日から期間の定め
のない、賃料公定賃料、毎月末日払という借地権を有することを確定する。訴訟費
用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主
文第一項同旨の判決を求めた。
 当事者双方の陳述した主張の要旨は、左記のほかは、原判決の事実摘示(但し、
控訴人は工作物の収去土地明渡の請求を当審において取下げたから、その関係部分
と第一審被告Aに関する部分を除く)と同一であるからここに引用する。控訴代理
人は、控訴人の譲受けた賃借権は期間の定めのないものであつた。右賃借権につい
ては登記はなく、又戦災で焼失した控訴人所有の建物については保存登記はなかつ
たと述べた。被控訴代理人は、控訴人主張の本件土地に対する賃借権は登記がな
く、焼失した建物についても保存登記がなかつたのであるから控訴人の本件土地に
対する賃借権は罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用を受けないもであると
述べた。
 当事者双方の提出援用した証拠方法とそれに対する認否は、下記のほかは、原判
決の摘示と同一であるからここに引用する。控訴代理人は新に、甲第八号証のc、
二、第九及び第十号証を提出し、甲第二、第三号証を撤回した。被控訴代理人は当
審で新に提出された右甲号各証の成立は不知、右甲号証の撤回には異議がないと述
べた。
         理    由
 本件宅地を含む七十八坪七合七勺は元訴外Bの所有に属していたが、同人は昭和
三年六月三十日訴外Cに右宅地七十八坪七合七勺を普通建物所有の目的で、賃料一
ケ月金五十円六十銭、毎月二十八日払、期間昭和十年六月三十日まで(控訴人主張
の期間の定めのない旨の主張については証拠がないが、借地法第一一条第二条によ
つて期間は三十年となる)の約で賃貸していたが、Bは昭和二十二年五月二十二日
右宅地を被控訴人に譲渡したことは、いずれも当事者間に争がない。
 原審証人Dの証言によつてその成立を認めることのできる甲第四号証、審証人E
の証言によつてその成立を認めることのできる甲第七号証及び、原審証人E、Dの
各証言によれば、控訴人は戦災前にBの承認を得て、Cから上記宅地の賃借権を譲
受けたことを認めることができ、外に右認定を動かすことのできるなんの証拠もな
い。控訴人が昭和二十一年十一月七日に右宅地のうち二十二坪八合二勺をBに返還
したことは自ら主張するところである。控訴人が上記宅地上に木造トタン葺二階建
家屋三棟を所有しており、右家屋はいずれも焼災によつて焼失したが、控訴人の上
記宅地に対する賃借権については登記なく、右各家屋についても保存登記がなされ
ていなかつたことは当事者間に争がない。従つて控訴人の上記宅地に対する賃借権
は元々賃貸人に対しては別として、その後の上記宅地の所有者に対しては対抗し得
ない関係にあつたものであるが、罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条によつて、
昭和二十一年七月一日から五箇年内に上記宅地に対し所有権を取得した者に対し対
抗し得る―被控訴人がそれに該当する<要旨>者であることは上記認定のとおりであ
る―にいたつたかどうかが問題になる。しかしながら、同条は罹災までは第
三者に対抗し得る賃借権を有していたものが、登記ある建物が戦災によつて焼失
し、一応借地権の対抗力を失つているような者などを保護してその借地権に対し対
抗力を付与したものに止まり、既に戦災前に対抗力を有していなかつえ借地権者の
借地権までをも新に保護する趣旨ではないと解するを相当とする。それ故、控訴人
の本件宅地に対する賃借権は同条によつても被控訴人には対抗し得ないものといわ
なければならない。
 従つて右賃借権の確認を求める控訴人の本訴請求は、その他の点について判断す
るまでもなく失当であるから、これを棄却すべきものであり、これを棄却した原判
決は理由において異るも結局は正当であるから、民事訴訟法第三八四条第二項によ
つて本件控訴を棄却し、控訴審での訴訟費用の負担について同法第九五条、第八九
条を適用し、主文のように判決する。
 (裁判長判事 柳川昌勝 判事 村松俊夫 判事 中村匡三)

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