弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士小玉治行の上告理由、同一松定吉、同鍛治利一、同田中治彦、
同吉田賢三の上告理由、同大川光三の上告理由は別紙のとおりである。
 小玉代理人上告理由第一点、同補充、大川代理人上告理由第一点について。
 論旨は、原判決が「北條D一」、「北条D一」と記載された投票及び右氏名を仮
名書した投票またはこれと類似しその誤記と認められる投票を被上告人に対する有
効投票とし、その理由について、「下条D一」等と記載された投票を被上告人に対
する有効投票とするのと同じ趣旨である旨を説明したのに対し、論旨は上と下との
類似性は上と北との類似性とは同じでなく、「上条」を「下条」の誤記と認めるこ
とができても、「北条」を「上条」の誤記と認めることはできない旨を主張するの
である。
 しかし、一般に、選挙人は必ずしも平常から候補者氏名を記憶しているとは限ら
ないのであつて、選挙に際し候補者氏名の掲示、選挙公報、ポスター、新聞紙等を
通じてその氏名を記憶する者も多かるべく、その場合に氏名を誤つて記憶すること
があることも十分に想像できるのである。これを右の投票について見るに、その名
は被上告人の名「D一」と一致し、姓も第二字「条」は一致し、たゞ第一字「上」
が「北」と記載されているのに止まるのであつて、これら投票は、選挙人が被上告
人氏名を誤つて記憶して記載したものかあるいは単なる誤記と解すべく、被上告人
を選挙しようとする意思は十分に表示されているものとするのが相当である。原判
決がこれらの投票を被上告人に対する有効投票と解したのは正当であつて論旨は理
由がない。論旨はまた、これらの投票は、現衆議院議員北条E一の氏名の誤記と認
めるべき旨を主張するのであるが、これら投票の記載は北条E一の氏名と完全に一
致するものでないのみならず、同人は本件選挙の候補者ではないから、同人を選挙
する意思をもつて誤記したものと解することはできず、論旨は採ることができない。
 小玉代理人上告理由第二点、大川代理人上告理由第二点について。
 論旨は「中条D一」、「西条D一」、「川条D一」、「三条D一」、「一条D一」、
「山条D一」、「さんじようD(平仮名)いち」等記載された投票が無効である旨
を主張するのである。しかしこれらの投票はいずれも被上告人氏名の誤記と認める
べきこと第一点説明のとおりであつて論旨は理由がない。
 小玉代理人上告理由第六点、一松、鍛治、田中、吉田各代理人上告理由第一点、
第二点、大川代理人上告理由第三点、第四点について。
 論旨は「大西」と記載された投票は「小西」の誤記と認め上告人に対する有効投
票と認めるべき旨を主張しこの点に関する原判示を非難するのである。
 しかし、本件選挙のように候補者数の多い選挙の投票で、単に「大西」と記載し
てあるだけでは、上告人に投票する意思が表示されているものと認めることは困難
であり、ことに、本件選挙の候補者中に姓に「大」のつく者がある以上、直ちに右
の記載をもつて上告人の姓の誤記であるとはいえない。これらの投票を無効とした
原判決は正当であつて論旨は理由がない。
 一松、鍛治、田中、吉田各代理人上告理由第六点について。
 論旨は、原判決が地方区選挙の投票用紙に上告人の氏名を記載した投票を無効と
したのを非難するのである。しかし、原判決も説明するように、若しこれらの投票
を有効とするならば、一人の選挙人が全国区と地方区の投票用紙に同一氏名を記載
した場合に、いずれの投票も有効となり、かくては、一人の選挙人が一の選挙に二
票を行使する結果となり、その不合理であることは明白である。原判決がこれら投
票を成規の用紙を用いないものとして無効と判示したのは正当であつて論旨は理由
がない。
 以上の論点のほか、上告各代理人は他の論点で、原判決が無効と判断した投票を
上告人に対する有効投票と主張し、また、原審が上告人の書類取寄事請を却下した
のを違法であると主張するのである。
 しかし、原判決の確定するところによれば、上告人と被上告人の得票差は被上告
人において二〇一票一七〇多数であり、そして前段説明にかかる投票の効力に関す
る原判示が正当である以上、その余の所論投票をすべて上告人に対する有効投票と
し、また、上告人の取寄申請にかかる他事記載ある投票を全部有効と仮定しても、
なお、上告人の得票数が被上告人の得票数に及ばないことは計数上明らかである。
従つて、これらの点に関する原判決の当否は原判決の結果に影響がないものという
べく、これらの論点について判断を加えるまでもなく、本件上告は理由がないもの
といわなければならない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛